今年の目標を決めないと。
　　冬馬くんに声かけようかな。

　　　

　　あ、始まった。

[くるくるとペンタブのペンを回しながら
ノートパソコンに小さくではあるけれど、とある動画サイトを開いている。
>>0:1ライブ配信をしてるのは舜ちゃん。

旅行中なのに絶賛修羅場(まだ何とかなる範囲)の私が
仕事だからと別のリビングに篭り
漫画の最後の2ページの清書をしているところ。

ちゃんと上手くいけば21時ごろには終わると思う。
うそ、22時ぐらい。]

　　せーっかくの休みなのに。

[ブツブツと言うが
身から出た錆なので愚痴も長く続かない。
作業用に舜ちゃんのライブ配信を聞きながら
仕事の残りに取り掛かる。]


──────────


[幾らか仕事を終えて
ちょっと疲れた所で、配信をしている所に
「リナ」なんて名前でコメントを打つ。
ネリー→リネ→リナとかいう雑な名前。]


　　『明日の旅行は何をするんですか』


[と、ついでにスパチャも投げたりして。
読まれなくても別にいいけれど
読まれたりするとちょっと嬉しいのは確かだ。]*

[年始。
男は大晦日に実家に帰り、正月だけゆっくりすると
1月2日には仕事場の近くの自宅に戻っている。
家の雰囲気が嫌いなわけでは無いが
最近は独り身のことを心配されるので
聞き流すことに疲れて来たと言うのはある。

そんな時にメッセージがあり
開けばいつものお嬢様から。]

　　【あけましておめでとう。】

　　【素敵な着物だ。年明けから綺麗なものを見れたよ。】

　　【夜？夕方から暇だよ。呼ばれた時間に行こう。】

[そうメッセージを送る。
着物に包まれた薊は、良いところのお嬢様という感じで
店に飾られるモデルのような美しさがあった。

夜に乱れる姿をよく見て来たが
こうした日常(今回は珍しい姿だが)の姿も
よく見るようになって来たのだと思う。

挨拶に行くなら日本酒に、実家から貰った餅でも持って行くかと。
餅は……微妙か？と思いながらも
一人では食べ切れないのだと思って紙袋に詰めた。

そうして時間になれば彼女の元へ行こう。
あいにくとこちらは着物だとかそんなものはレンタルしていない。ダブルコートに、マフラーを短く巻いて普段着で彼女の元に会いに行った]*

　『Shunくんご飯は？

　　軽食でルームサービス頼んでるよ。
　　奥さんが何食べたいか聞けないから、
　　彼女がつまみやすいものにしたり、
　　僕があーんしてあげたり。今日は前者だよ。

　　ルームにちょっと相談して、
　　ひと口サイズにしてもらったんだ。
　　ちょっと待ってね、来たみたい。
　　
　　……はい、これが僕の。普通のやつね。
　　で、こっちが奥さん用のひと口サイズ。
　　わざわざやってくれるなんて、さすがシェフ。
　　ん？あーんしてほしいの？
　　奥さんにしてきた後に考えるね』


そう言って、彼女のプレートと共に席を立った。>>1
ネリーがいるリビングに移動したなら、
作業中のネリーに近づいて、ひと口サイズのサンドイッチを
あーんしてあげたけど、食べてくれたかな。

食べてくれたら、あとは邪魔しないように
そばにプレートを置いて退散するよ。
愛してるの気持ちを込めて、髪にそっと口付けを。

『ただいま。はい、じゃぁ………


　…………どう？僕の即興劇。
　たまにはやってないと、ボケちゃうからね。

　んー………Shun様次の公演決まってるんですか？
　
　ありがたいことに予定は詰まってるから、
　また告知できる時にやるね。
　そんなわけで僕もご飯食べるよ。』

『食べ方可愛い？
　君の食べ方がもっと可愛いよ。

　明日の旅行何するんですか。>>2
　明日は、奥さんの仕事が今夜中に終われば
　ホテルの中のショッピングモールで
　僕のクリスマスプレゼント見てもらおうかな。
　後は、仕事終わるまで我慢した僕に
　ずっと構ってもらうつもりだよ。
　折角の休暇なんだしもっと外に出たいって
　奥さんには言われちゃうかもしれないんだけど』


　まさか、同じ空間にいる彼女から
　投げ銭と質問が来るなんて露にも思わなくて
　口元を緩ませながら答えるんだ。
　勿論早く終わってほしいけど、
　仕事は仕事、プライベートはそれ。
　まだまだ休暇はあるんだし、ゆっくりでいいんだ。
　彼女の仕事が終わるまでか、飽きるまでの間
　ライブ配信は続いていったんだけど、
　何時間も続けちゃったみたいだね。*

［　夕方から空いてるというおじさまに、
　　帰宅予定時間を教えて、早めに帰ろうと思う。
　　
　　振袖姿を見てほしいから、というよりも
　　その紐を解き放ってほしくて。
　　ふふっと笑っていたせいか、
　　同行してくれている知り合いが不思議そうに
　　こちらを見ていたことに暫く気づかなかった。　］

＊ ＊ ＊

　　あけましておめでとうございます、おじさま。
　　………どう？実際に見た振袖。
　　おじさまに見てほしくて、
　　着替えずにいたのだけれど……


［　無事に帰宅してまもなく、
　　部屋が開いておじさまが入ってきたらしい。
　　メイクが崩れていないことだけを
　　急いで確認すると、玄関先へ歩みを進めて
　　年始の挨拶を改めて口にした。

　　手に荷物を抱えているようだから
　　ひとつくらい持たせてもらって、
　　リビングテーブルにのせてしまえば、
　　おじさまのコートとマフラーを受け取り
　　近くのハンガーにかけることに。　　］

　　明日のご予定は？ゆっくりできる、のかしら。


［　既に夕方。泊まってくれるだろうから、
　　次に考えるのは明日のこと。
　　一緒にいて、と遠回しにお願いする形で
　　彼に尋ねながら体を近づけることにした。　］*

[>>5配信を見てるから
彼が食事をこちらに持ってくるのも事前にわかる。
さっと、動画のところを消してしまえばいいだけ。
ちょっと配信ラグがあって危なかったけど。]


　　おつまみ？ありがと。
　　
　　あーん。

[動画の話を聞いていたので対応も滑らかにこなす。
食事をありがとう、と言ってまた仕事に取り掛かる。

取り掛かりながら動画も聞いてたり]

　　ふーーーーーーーーーーーーーーん？


[>>6時折大きいため息を出したり]

　　あ、やったわ！読まれた。
　　あぁショッピングモール、あったわね。
　　プレゼント、何かしら……お財布とかかしら……

　　まぁ見たいものがないわけじゃないけど
　　ホテルが凄いからね……

[>>7だからホテル内でも特に不満はない。
舜ちゃんが言うことは、部屋の中って意味かも知らないけど。
それでも私の仕事に付き合ってもらったし
彼のしたいことに今度はこちらが合わせるつもりだけど。

それから21時ぐらいには何とか仕事を終わらせたのだった]*

　『誕生日？
　　おめでとう、素敵な一年になりますように。
　　


　　はい、僕からのプレゼント。
　　ふふふ、こういうのもいいかなって。
　　待って待ってリクエストされてもちょっと、
　　すぐ対応はできないから、っと………。



　　さ、日本も夜中だよね？
　　奥さんも仕事が何とか片付いたみたいだから
　　今日のところはおしまい。
　　また次の配信にも遊びに来てね。
　　
　　Good Night everyone』

　「ふぅ…………長くやったな。
　　さて、どうかな？」


奥さんが僕の知らないところで反応してるとは知らず、
演技の練習を兼ねて遊んでいたんだ。>>12
流石に公共の電波を使うから
色ごとに近いことはやらないけれども、
それ以外なら色々とやってみた。


ネリーが終わった雰囲気を感じ取ったら、
手を振って、投げキッスまで送ってから
配信を切って彼女のところに。
終わっていたなら、お疲れ様と声をかけたら
隣に腰を下ろし、唇を頬に寄せて。*

　　あけましておめでとう、薊。
　　綺麗だよ。
　　豪勢なのを着こなしてるのは流石だ。

[>>9薊の着物姿は美しいものだった。
同時に普通の人が着ると派手さに負けてしまいそうなものだが
彼女はよくそれを着こなしている。
その意味でとても似合っている着物姿だ。

コートを脱ぐと
下は白のタートルネックのニットと黒のズボン。
着物姿の彼女と比べると随分質素だが
急に着物を用意するのは不可能だった。]

　　
　　あぁ。もちろん。
　　まだ正月休みが続いてるからね。

[>>10身体を近づけて来たら
彼女を軽く抱いて、そのままキスをする。

以前手解きというか、レッスンをした女性から
基本的に長く放っておいたら
その分だけ一緒に居てあげるべきだと言われている。
最近はそこまで放置した事はないのだが
会える時は出来る限り時間を取ろうとしていた]*

　
　　……舜ちゃん、押せ押せ王子様系に見えるけど
　　実際はそうじゃないのよね。
　　こういうのも好きだけど。

　　執事。
　　……確かに執事はありかも。
　　王子様より、執事系かも。
　　
[>>14舜ちゃんは実はこうなのよね、とか
超マウントを頭の中で取りながらも
色んな役を幅広く演じられるのだから
プロの俳優さんなんだな、としみじみ思う。

少しの休憩を挟みつつ
また仕事に取り掛かり、漸く仕事を終えると
21時ごろになっていた。]

　　ありがと。やーっと終わったわ。
　　あたしのせいでごめんね？

[>>15頬にキスをされるなら
目を瞑って笑う。
仕事は一通り終わったから明日はもう大丈夫だけれど]


　　何かお酒でも飲む？

　　寂しい思いをさせちゃったからね、私の子犬ちゃん？

[そう言ってもう少し話そうよ、と言って。
明日に備えて寝るにはまだ早いから。]*

　「いいんだよ、これくらい。
　　寧ろ仕事終わってないのに移動になってごめんよ？

　　無事に終わるまで待てるから、ね。
　　お祝いにシャンパンでも入れようか。」


ごめんね、は全然気にしない。
奥さんの予定を若干無視してフライト入れたから。
寧ろこっちが謝らないといけないほう。
ルームサービスでシャンパンをオーダーして、
手元に届くまでの間ネリーに構ってもらう。
こうやって、まともに話をするのも久しぶりだから。

　「明日僕のクリスマスプレゼント買ってほしいな。

　　色々とお店はあるし、ネリーの気に入ったものがあれば。
　　僕はネリーからのプレゼントなら何でも喜ぶし。」


子犬ちゃん、と呼ばれるとどっちのことかなって
ほんの一瞬考えてしまった。サイズ感的には彼女の方が
的を得ているんだけれども、僕のこと。>>18
とはいえ、子犬に見えるのか、と思ったり。
彼女に構ってほしいことを考えると、
当たっているのかもしれない。

　「お仕事お疲れ様でした。
　　無事に仕事もなく新年を迎えられそうだね」


暫くしてシャンパンが手元に届いたなら、
そう言って彼女のことを労う。
こちらは特に何も出来ていないので、
仕事ゼロで新年を迎えることを喜ぶくらいしかない。
グラスを渡して、しゅわわ、と音を立てながら
注いでいくアルコールが煌めいているように見えるのは
彼女と飲むからなのか、それとも彼女が明るいからなのか。

どっちもいいかもしれない。なんて考えてるせいで
顔が緩んでいないといいんだけど。*