20:38:21

人狼物語 三日月国


202 【ペアRP】踊る星影、夢現【R18/R18G】

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


【赤】 一匹狼 “楓”

>>3:*41そうして必死に駆けた先で、古びた小屋を目に留める。>>3:*39
 およそ人が住む場所とは思えないが、それでも彼には直感があった。こここそが探し求めた場所に違いないと。

 辺りに草が生すのを見て足取りを緩め、慎重に様子を窺いながら少しずつ歩く間、ふと視界に飛び込んできたものがあった。
 泥と埃に塗れたそれは、白かった物・・・・・に見えて]


  椿!


[反射的に名を呼びながら駆け寄って、抱き締めようと両腕を伸ばした。汚れることも厭わずに]**
(*0) 2023/03/11(Sat) 0:08:03

【赤】 一匹狼 “楓”

[抱き締めたものは間違いなく彼女だった。>>*1
 木漏れ日が差す森の中は、楓にとっては薄暗く思えたけれど、彼女にとってはこれでも眩しすぎるほどのようだ。それだけで彼女がどんな時間を過ごしてきたか目に浮かぶようで、胸を苛まれた。

 けれど彼女の囁きで安堵した。>>-226
 信じて待ってくれていたのだと思えたから。
 それと同時に思い返したのは、あの湖のほとり。あのとき彼女から聴いた言葉は、今とほとんど同じだった。>>0:61

 もっと早くたどり着けていれば。
 そう思ったのは事実だけれど、彼女の有様を思えば、言葉が交わせることだけでも喜ぶべきなのかもしれない。そう思ったら、悲しいながらに微笑が浮かんだ]


  オレも、忘れた日なんか無かったよ。


[人の言葉で静かな声をかけながら、彼女をゆっくりと抱き上げ、扉が開いたままの小屋の中へと踏み入る。>>3:*39
 日陰になれば彼女も目を開けられるだろうし、草むらの中では落ち着いて話などできはしないから]
(*2) 2023/03/12(Sun) 13:45:04

【赤】 一匹狼 “楓”

[そうして彼女をそっと床に下ろして]


  水飲めるか? 椿。


[彼女の頬を軽く撫で、腰に下げていた水筒を手に取った。ここまでの旅路でずっと使ってきたもので、中身は村で足したばかり。充分な量が入っている。
 彼女が飲めるというなら水筒を渡すし、手助けがいるなら、それがどんな内容でも迷うことはないだろう]**
(*3) 2023/03/12(Sun) 13:45:15

【赤】 一匹狼 “楓”

[彼女は首を傾げたように見えた。>>*4
 それが意味するところが気にはなったが、声を出すのも辛そうな彼女に余計なことを問いかけたくはなかった。

 だから楓は気付きはしない。彼女が目覚めた直後だということに──それだけの時間のずれがあったということに。

 首が横に振られるのを見て>>*5、水も飲みようがないほどの衰弱と感じるとやはり胸は痛んだ。彼女の手は肉が削げ落ち、肌にも瑞々しさは残っていなかった。応える囁きが無ければ、あるいは彼女が見慣れた白いマントを纏っていなければ、彼女だと気付くことさえ無かったかもしれないほどだ]
(*6) 2023/03/12(Sun) 19:51:17

【赤】 一匹狼 “楓”

[痛ましく思いながら彼女を見つめていたとき、唇の動きに気付いた。>>*5
 それが水を求めてのものに思えて、水筒の蓋を開ける。自分の口に少しだけ水を含み、彼女に唇を寄せ、くちづけを交わしてそっと水を彼女の口中に移した。ほかに少しずつ飲ませる方法が思い浮かばなかったのだ。
 もし一度で足りないなら、彼女が望む限り応じるだろう。

 乾ききった唇を感じるのは辛かった。
 そうなるまで彼女が独りきりでいたという事実に苛まれた。

 今から少しでも長く傍にいたいと願いながら、隣に腰を下ろして彼女に身を寄せる。ソファで一緒に眠ったときのように]**
(*7) 2023/03/12(Sun) 19:51:30

【赤】 一匹狼 “楓”

[水を与えた後、僅かながらに彼女の体が動いた気がした。>>*8
 彼女の左隣から身を寄せ、肩を抱いて見守るうち、すっかり細くなった指が彷徨うのを見つけてそっと左手を寄せる。絡まってくる指を感じながらぴたりと掌を合わせ、絡め返した指で一本一本を愛おしむように撫でた。

 弱い吐息に乗せられた声は確かに耳に届き、微笑みが浮かぶ]


  椿、また会って話ができてよかった。


[室内に響かせた声は穏やかに安らいでいた。彼女にとっては聞き慣れないだろうが、夢の中での別れ際に聴いたばかりの声でもあるだろう。

 もう一度言葉が交わせることが心から嬉しかった。
 彼女の命はもう長く続けられないかもしれないけれど、少しでも長く共に在ることができるようにと祈った]**
(*9) 2023/03/13(Mon) 9:38:47

【赤】 一匹狼 “楓”

[彼女が食事を乞う>>*11。その言葉がとても嬉しかった。
 声はまだ弱々しいけれど]


  卵か……、鶏飼ってたりしねェよな?
  買ってこようか。


[小屋がこの有様では、ろくに食料が保存されていると思えなかった。
 村まで行って食料を買う生活が続けば、森の中に住んでいる人がいると知れる可能性は気にかかったが……。
 食べないわけにはいかない。特に今の彼女は。
 二人とも“狼”として食べたいものが別途あるとはいえ、ヒトとしての食事もまた生きるために必要なのだから。>>*12

 こうして、この地での彼女との二人暮らしが始まった。
 これは彼女が旅に出られるほど回復するまでの一時的なもの。楓はそう思ってはいたけれど、それが結構な長期間になりそうなことは予想できていた]
(*13) 2023/03/13(Mon) 20:12:00

【赤】 一匹狼 “楓”

[共に暮らし始めて間もない頃、彼女が無理なく会話できるようになった頃合いに、楓がふと脈絡無く紡いだ言葉があった]


  なあ、椿……
  “いらないもの”なら後に残るはずねェよな?
  後に残るのって、それだけ重要なもの……、
  存在の核とか、柱や基盤とか……
  そういうものなんじゃねェのか……?


[それは確信というより、そうであってほしいという祈りだけれど。
 あの夢から覚めた後、彼女に思いを馳せる間に考えついたことだった。

 たましいを善と悪のふたつに分けて、悪を滅する。それが彼女が生み出された過程で、彼女は滅せられる側──不要物と扱われた側だった。>>1:*3>>1:*4
 それなら、どうして先にもう片方が消えたのか? どうして滅せられる側だったはずの彼女が後に残ったのか?
 真に滅せられるべきは向こうだったのか、それともどちらかを滅するという考え自体が誤っていたのか……そこまでは楓に理解の及ばないことだが。
 楓にとって、彼女は間違いなく『存在していてほしいひと』だ。それを補強する理屈がどうしても欲しかったのだ]*
(*14) 2023/03/13(Mon) 20:12:17

【赤】 一匹狼 “楓”

[初めのうちは楓が食事を作ろうとしただろうけれど、そのうちに彼女が作ってくれるようになったのだろうか。
 彼女が歩けるようになったなら、短い時間でも共に散歩しようと誘っただろう。

 楓は彼女と一緒にできることが増えるたびに喜び、彼女が望むことを果たす助けであろうとした。寄り添い、支え、尽くし、触れ合った。連理の如く]**
(*15) 2023/03/13(Mon) 20:12:34

【赤】 一匹狼 “楓”

[彼女の答えを聞きながら、考えた。>>*16
 元々の“彼女”──その人が男か女かさえ知らないのだけれど]


  自分が……嫌いだったのかな。


[『たましいから不要なものを取り除きたい』
 その欲求はつまり、自己否定から生じるものだろう。誰か受け入れてくれる人がいたら、そんな考えは抱かなかったのではないか。
 もっとも、その結果やっと椿が生まれたのだから、その行動を否定できはしないが。

 自分の存在を許さないような自己否定は、かつて夢の中で彼女が思い悩みながら伝えてくれた言葉の内容に通じるものがあった]
(*18) 2023/03/13(Mon) 22:32:31

【赤】 一匹狼 “楓”

[だから今の彼女を見ているだけで楓は幸福だった。>>*17
 頬に両手が伸びてくると、彼女の腰に腕を回して抱き寄せた]


  うん。
  ……傍にいてくれ、椿。


[甘える彼女に甘え返して、くちづける。

 愛など、もうわかりはしないと思っていた。
 全て食欲に塗り替えられてしまったと。

 けれど“食べたい”という衝動にはいくつか種類があって、彼女に抱くのは特別なものだった。>>3:*28

 もしかしたらこの先、他にも見つけることがあるのかもしれない。失くしたと思っていた人間らしい感情を。
 見つけたところで人間に戻っていいと思える日は来ないだろうが、長らく感じていた絶望は少しずつ和らいでいくだろう。大切な人たちに抱く思いを噛み砕くにつれて]**
(*19) 2023/03/13(Mon) 22:32:43

【赤】 一匹狼 “楓”

[悪戯を窘めるように耳朶を擽り返し、なめらかさを取り戻した唇に舌を滑らせる。汗に濡れた肌を重ね合わせ、彼女の内に熱を注ぐ。たましいまで溶け合ってひとつになるような至福の時。>>*20

 そんなふうに彼女を“食べる”何度目かの時間で漸く気付いた。翌朝、飢餓感が薄らぐことに。

 どちらも本能に根差した衝動だからだろうか。あるいはそれは、たましいの傷を和らげる方法のひとつだったのかもしれない。
 彼女と共に在れば、誰の命も犠牲にせずに済むのかもしれなかった。彼女のほうはどうかわからないけれど]
(*22) 2023/03/14(Tue) 10:21:09

【赤】 一匹狼 “楓”

[いつの間にか、季節が終わりかけていた。>>*21

 重ねていく日々はどれも至宝だった。
 彼女を支え、
 彼女に支えられて、
 寄り添いながら過ごす毎日。

 これからも変わらない幸福が在り続けることを祈って、その夜も眠りに就いた。彼女のあたたかい体を抱き締めて]
(*23) 2023/03/14(Tue) 10:21:20

【赤】 連理 “楓”

[ある町、夜遅く。外套に身を包んだ男が宿の受付を訪れた]


  一人。一泊。急で悪い……、霧で迷っちまって。
  その茶もらえるか? シナモン・シュガーを入れて。


[彼は宿帳に名を書き込んだ後、宿の主人が飲んでいたカップを指差す。そこには煙草のような芳香を漂わせる茶が入っていた。>>3:*3
 主人は当初不審がっていたが、それなりに会話する気のある客と見れば、少しずつ警戒心も和らぐようだ。前払いが決め手となって、茶の入ったカップとともに鍵を差し出してくれた。

 宿帳に書き込んだ名は“楓”──本名ではないけれど、この長い旅路でずっと使っている名だった]
(*24) 2023/03/14(Tue) 10:22:01

【赤】 連理 “楓”

[部屋に入って外套を脱ぐたび、その色が目に留まる。
 白。
 彼女が愛用していたマントの色。
 そしてその裏地は、琥珀色。彼の瞳の色。

 共に暮らした日々の終わりが思い浮かぶ。
 あの地を去る最後の日、小屋を炎で包んだ。
 何も残ってほしくなかった。
 あそこでの暮らしを知るのは二人だけにしたかった。
 帰る場所などいらない。

 そうして彼は独り、旅に出た]
(*25) 2023/03/14(Tue) 10:22:14

【赤】 連理 “楓”

[彼女のマントはあの後、仕立屋に持ち込んだ。
 自分が着られるように直してほしいと無理を承知で頼んだところ、表と同じ布が使われていた裏地を使ってサイズを合わせたらしい。新たに琥珀色の裏地が張られていた。

 仕立屋が何を思ってその裏地を選んだのかはわからない。だが、それ以来、彼女を思い浮かべる機会が増えた。鏡を見るたび、瞳の色を通じて。

 彼女はいつも傍にいる。>>*21
 声も聴けず、
 触れることもできず、
 姿を見ることもできないけれど]
(*26) 2023/03/14(Tue) 10:23:01

【赤】 連理 “楓”

 

  ……これ、本当に美味いと思うか?


[カップの中身を味わって、思わず問いかけの言葉を呟いた。確かに風味は随分変わるのだが、どうにも彼の好みからは離れている。
 体を共有したつもりでいても、こういうとき、別個の存在なのを実感せずにいられなかった。

 それがきっかけで普段は気にしない孤独感が増し、ベッドの中に外套を引きずり込む]


  傍にいてくれ──椿。



[もう、彼女の匂いはしない。使い込んでいけばいくほど、彼女のものだった痕跡は薄れていく。それでもこれは、彼女との思い出を繋ぎ止めるもののひとつ]
(*27) 2023/03/14(Tue) 10:23:19

【赤】 連理 “楓”

[変わらないことを望んで縋り続けた生活を捨て、新たな道に踏み出した。かつては一度も考えなかった選択肢の先に、今、立っている。
 かつて歩んだ道と違い、信じられるものは何もない。
 だからこそ、歩み続けてみるしかなかった。

 旅路の先で何か見つけても、何も見つからなくても、今はただ、思いのままに。
 どこにも抜け道のない袋小路だと思っていた場所さえ、こうして抜け出してこられたのだ。
 正しくても間違っていても、心のまま歩めばいい。そうすればいつか行き詰まったとしても、きっとまた、道は拓ける。

 これから先の旅路も、彼女と一緒に。
 誰にも見えない『二人旅』を、共に終えるときまで]**
(*28) 2023/03/14(Tue) 10:24:06

【人】 連理 “楓”

[昇りゆく太陽
 明るくなり始める空
 薄らいでいく三日月
 消えていく星影
 遥かなる道の彼方へ

 歩みゆく人影が在るのは、確かに現>>0:1
(279) 2023/03/14(Tue) 21:22:33

【人】 連理 “楓”

[変えずにいたいと縋った生き方を
 全て捨てた道の先。

 一時の安らぎが終わり、
 新たな旅が始まった。

 広がる可能性一つひとつに目を向けて
 歩き続ける日々

 ──どこまでも、彼女と共に。>>0:2]**
(280) 2023/03/14(Tue) 21:22:40