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人狼物語 三日月国


167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】

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視点:


【置】 鳥葬 コルヴォ


終わりの見えない闇路は苦痛だった。

もしもそれが漸く終わるとしたら、今だと思った。

それで良いと思っていた。


けれど、本当はそうではないのかもしれない。
今更になってそんな事に気付くなんてのは、やっぱり運が無い。
(L7) 2022/08/23(Tue) 20:53:36
公開: 2022/08/23(Tue) 20:55:00
マウロは、手紙を読んだ。遺されたそれに、何とも言えない顔をして。
(a54) 2022/08/23(Tue) 20:55:31

マウロは、「それも、知らなかったな」と言って。寂しげに、薄く笑っていた。
(a55) 2022/08/23(Tue) 20:56:16

【置】 天使の子供 ソニー

小さな部屋の中に、音楽が流れ続けている。子供のための祈り、子守唄の伴奏だ。
締め切った部屋は蒸し始めて、細く流れる血の匂いが壁に塗り込められるように充満し始めている。
バスルームの壁を背にして、乾ききっている空のバスタブの中に座り込んでいた。
此処までに至る幾つもの部屋には鍵が掛けられている。辿り着くまでには、時間が掛かるだろう。

ぼんやりと天井を見つめていた。そこに楽譜があって音符が踊っているかのように、指で辿る。
目線はタイルの色をほとんど形も判然としないままに見つめている。ジェイドの色が輝いていた。
僅かに差し込む月の光はちょうど目元を映し出していて、瞼に嵌った宝石を照らし出す。

考えていた。自分に何が残っているのかと。
親友と親の仇、そう思いこんでいた人税の目標のような誰かを失った。
仰ぎ見るように心の中にあった、甘い匂いのする眩しい明星を失ってしまった。
たった一人きりの友人を失い、己が助言を仰ぐ優しい手を失い、
己が先に順番が来たとしてもその背にして守るはずだった目上の彼を失い、
この街から逃がそうとしていた友人も、彼女が大事にしていただろう脆い存在も失ってしまった。

此処に残り続ければ自分の手に何が余るのか、何が出来るのか。考えた、筈だった。
ぼんやりと麻痺した頭は、死臭に囚われてしまったように眩んでしまって。
自分の中には何も無いのだと、ようやく気付いてしまった。

「……♪……♪……」

手の中にはくしゃくしゃの紙。手の中には一丁の拳銃。
それは誰かから買い付けたものではなくて、隠し持っていた虎の子の一丁だ。
思い出の中のメロディを鼻歌でうたってみて、それを耳で聞く。けれどもそれは、自分の声だ。
本当に欲しかった誰かの声ではない。それはもう、得られはしない。
(L8) 2022/08/23(Tue) 20:56:43
公開: 2022/08/23(Tue) 21:00:00

【置】 天使の子供 ソニー

「……ああ、約束。果たしておけば、よかったかな」

ほとんど抑揚のない声が思い出したようにこぼした。誰に向けるでもない声だ。
けれども一度言葉にしてみたなら、誰かが聞いているような気がしてしまって。
叶いもしないことを、口にしてみた。

「ねえ先生、最後に。オレに、――……」

最後に口にしたのは何だっただろう。
誰も聞かない。聞こえない。届かないだけのもののまま。
その声も、心も。命も。思い出も瞳も、花の匂いも何もかも、一人のもののまま。
どこかそれに安堵しながら。

拳銃の引き金を、引いた。
(L9) 2022/08/23(Tue) 20:59:44
公開: 2022/08/23(Tue) 21:00:00