16:09:18

人狼物語 三日月国


265 【ペアソロRP】配信のその先に2【R18/R18G】

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【人】 初波華音


[熱はもう下がったのかな。
 少し寝て、元気になった?
 そう私が尋ねるより先に、彼が自分から身を起こす。

 一歩遅れてベッドから起き上がると、
 四方八方に放置されていた看病グッズたちが
 てきぱきと回収されているところだった。]


  ────……、……? あッ
  忘れてた……!


[慌ててベッドから飛び降りて
 持ってきたものたちを一緒に集める。
 キンキンに冷えていたはずのスポーツドリンクも
 いつの間にかぬるくなってしまっていた。

 ゼリー飲料の方だってもう
 とっくにつめたさは失われているはずだ。

 なのに壮真くんは、美味しそうに飲んでくれる。]
 
(5) 2024/06/01(Sat) 23:23:40

【人】 初波華音

 

  ……壮真くんにだから、
  優しくなれるのよ

  好きな人が辛そうだったから
  少しでも私に出来ることをしたくて
  気付いたら、身体が動いてた

  壮真くんは凄いんだよ


[ベッドに腰を下ろしたまま、
 膝に両手を置いて彼を見つめる。
 桃は果実を買ったから、ゼリーははちみつレモン味。

 甘めの味付けが好みなら
 はちみつも好きかも、と思って選んだのは内緒。]


  体調は……大分良くなった?
  お薬も一応買ってきたけど……
  ……もう大丈夫そう、かな

  
(6) 2024/06/01(Sat) 23:23:57

【人】 初波華音

 
[そんな話の流れで
 思いがけないリクエストを受ければ]
 

  えっ
  あ、あれ……!!?
  見て、くれてたんだ

  そっか〜〜〜……見て、くれてたんだ
  ……えへへ、嬉しい


[完全なる自己満足で作った
 お祝いの気持ちを込めた桃のパンナコッタ。
 いいねも付かなかったから、
 見られてなんかいないと思ってたのに。]

 
  ふふ まかせて!
  今度好きなだけ作ってあげる

  壮真くんが完全復活できたらね?

  
[君の喜ぶ顔が見られるなら
 多少の手間暇は手間暇のうちに入らない。]
 
(7) 2024/06/01(Sat) 23:24:06

【人】 初波華音

 

  ……だから
  今は、しっかり休んでね


[ゼリー飲料を飲み終えたタイミングで
 彼をベッドへ押し戻す。
 旦那様が体調を崩すのは珍しいってことも
 嫁はまだ知らないの。

 キッチン借りるね、と言い残した十数分後
 玉子入りの雑炊と桃を手に部屋に戻った。]


  元気になったら
  壮真くんのピアノ、生で聴かせてほしいな

  そうそう
  この間の生配信の曲さ───


[生配信に途中からコメントしそびれた理由。
 君が私を想って演奏してくれていたこと。
 
 きちんと向き合って話して、改めて聴いたら
 きっと私はまた泣いてしまうんだろうけど]
 
(8) 2024/06/01(Sat) 23:24:38

【人】 初波華音


[謎のお隣さんの正体については
 あまりにも寝耳に水だったので]



  …………え?



  ………………………………
は?????



  えっ………… え??? うそッッッ
  どこからどこまで…………!!?!?!?!!



[これまでの行いをさすがに悔やんだし
 赤面と蒼白を反復横跳びした後その場に崩れ落ちた。
 今後彼がいかなる追跡装置を持ち出して来ても
 私は何も言えない。

 毎日壁にキスしていたことだけは、
 ばれていないと思いたい。*]
 
(9) 2024/06/01(Sat) 23:25:42

【人】 初波華音


[壮真くんたってのリクエストとあらば
 ケーキでもパフェでもラザニアでも、
 生地から作るピザも我儘のうちに入らない。
 デコレーションも前以上にはりきっちゃう。

 手の込んだものはレシピを見ないと作れないけれど、
 それなりに料理ができるようになっていて良かった。
 この料理の腕前だって、美容に気遣いつつ
 ソウマくんへの投げ銭を捻出するために、
 生活費を節約しようと奮闘しているうちに
 自然と上達していったもの。
 ソウマくんが私に与えた影響は計り知れない。
  
 そんな彼を一人、
 寝室へ残して行くのは
 ほんの十数分とはいえ非常に心苦しかった。

 渋々な様子で返事をしてベッドに戻る君が
 あまりに愛おしく感じられたものだから、
 つい「いいこいいこ♡」などと口走りそうになった。
 寸でのところで呑み込んで頭を撫でるに留めた。] 
 
(23) 2024/06/03(Mon) 14:47:53

【人】 初波華音


[キッチンに立つ自分に需要があるのは盲点だった。
 でももし逆の立場なら、
 私のためにキッチンに立ってくれる壮真くんなんて
 バーストモードでシャッターを切ってる。
 極小ワンルームならベッドから見放題のキッチンも
 この広いお家では少し遠い。とはいえ階下だ。
 階段を上がれば壮真くんがいる。
 その事実だけで胸がいっぱいになってしまう。
 
 調理中もずっと、壮真くんのことを考えていた。
 壮真くんのために食事を作って運べる贅沢。
 自分用なら適当にしてしまう盛り付けも
 自然と、バイトの時くらい丁寧になる。
 
 部屋に戻ると、壮真くんは起き上がって
 隣の部屋から椅子を運んで来てくれた。
 私のことは床に転がしておいてくれていいのに、
 元々部屋にあった方の椅子を譲ってくれる。優しい。

 私の作った料理にも、配信で見た通りに
 きちんと手を合わせてくれる。
 端々に育ちの良さが現れてる。
 蓮華を持つ指先ひとつ取っても美。カッコイイ。

 あんまり凝視したら食べにくいわよね、
 そうは思いつつ特等席で見とれてしまう。
 口元へ蓮華が運ばれる度にドキドキしてしまう。
 ……のは、さっきのキスを思い出すからかな。]
 
(24) 2024/06/03(Mon) 14:48:56

【人】 初波華音


[彼とは別の意味合いで両手を合わせ]



  生きててくれてありがとう……



[「口に合ったみたいで良かった」
 言おうとしたのはこうだったはずだ。
 口癖とは恐ろしいものだわ。]
 
(25) 2024/06/03(Mon) 14:49:44

【人】 初波華音


[生配信の話になれば]
 
 
  そうね……結構、音違ってた
  やわらかくて優しくて、
  表情も穏やかに見えて……
  その少し前から、
  それまでとはどこか違う気がして
  何か良いことあったのかな、って思ってたの

  こんなにソウマくんに
  想いを捧げてもらえる人がいるんだ、
  どんなに好きでも私はただの
  10万分の1にしかなれないのに……

  ……って思ったら
  ソウマくんの幸せを祝福したい私と
  知らない誰かに嫉妬してしまう私が
  ケンカして、苦しくて悲しくて
  感情がぐしゃぐしゃになっちゃって……


[真相を聴けたから笑い話に出来るけど、
 冷静に思い返せばかなり恥ずかしい。
 でも聴いて欲しかった。あの苦しさは、
 君への想いの強さゆえでもあったから。]
 
(26) 2024/06/03(Mon) 14:51:13

【人】 初波華音


[勿論華音のことを、と保障されれば
 嬉しくて頬が緩んでしまう。]

  
  ふふ まさか自分自身に妬いてたなんて
  思わなかったけどね──── わっ


[こんなみっともない姿を白状しても
 君は、私を抱きしめてくれる。
 数十分ぶりの温もりが嬉しくて
 思いきり胸を押し付けた。]
 
(27) 2024/06/03(Mon) 14:52:18

【人】 初波華音


[──からの爆弾告白である。

 きゃーーーーーーっっっなになになに!?!?
 真剣な表情の壮真くんやっっっばカッコ良すぎ
 心臓がいくつあっても足りないよ〜〜〜!!!
 ……なんて能天気に思えたのは
 彼が口を開くまでだった。
 
 元々、迷惑防止条例違反で今頃
 誰に訴えられていてもおかしくなかった。
 郵便受けから郵便がはみ出してしまうくらいに
 中身を放置していた私にも
 十分すぎるくらいに非があるのであって。]


  ……ほ、ほんとに薄すぎない? あの壁
  寝息まで聴こえちゃってるなんて
  でも全然気付かなかったな……

  …………いいよ
  ものすごくびっくりは、したけど


[羞恥心に殺されどこかの穴に埋まりたくはなっても、
 責める気持ちはもう全然沸いてこない。]
 
(28) 2024/06/03(Mon) 14:58:22

【人】 初波華音



  てかお互い様だから……
  ごめんなさい、私気持ち悪くなかった……?


[家での私はよそ行きの私とは大分違う。
 友達ですらごく一部の幼馴染しか知らない。

 好意を免罪符にしても、
 本人には聴かれたくないような想い含めて
 思いの丈を好き放題叫んできた自覚はある。
 直接コメントするのは憚られたり
 勇気が必要だったりした想いだからこそ、
 口に出すことで発散してきたのに。
 
 逆に、そういう私を知った上で
 それでも好きだなんて言ってくれる彼が
 神様みたいに見える。実際神様かもしれない。
 呆然と床に蹲っている私の隣に
 いつの間にか移動して寄り添ってくれている。
 優しい。好き。こんなに素敵な人君しかいない。
 絶対離さないの気持ちを込めて手を握った。

 勢いで、
 壁一面のソウマくんコレクションについても謝った。
 もし万が一見てみたい、なんて言われたら
 君の頼みを私は断れない。*]
  
(29) 2024/06/03(Mon) 15:01:51

【人】 初波華音


[壮真くんに食べて欲しくて
 奮発して買ったちょっといい桃を、
 彼は自分で食べるより先に
 私の前に差し出してくれた。

 それなりに品質の良い桃だったのは
 買った私が一番よく知っていた。
 けれど今まで食べてきたどの果実より甘く感じた。

 きっとそれは、
 君が食べさせてくれたから。]
  
(30) 2024/06/03(Mon) 19:21:54

【人】 初波華音


[壮真くんを看病した日曜日の夕方
 着替えその他お泊りに必要な品々を取りに、
 一度ワンルームに帰宅した。
 乙女には色々あるの。
 
 私がずっとここに居たい、と思って
 彼も快く受け入れてくれたとして、
 自分はまだ学生の身だ。
 両親にも、友人達にも心配はかけたくない。

 居場所が見つからないと塞ぎ込んでいた私に
 少しずつでも何か頑張ろうと思わせてくれたのは、
 他ならぬ壮真くんだ。
 そうして不器用ながらも積み重ねてきた学びの日々が
 自分で思う以上に大切なものになっていたことを
 気付かせてくれたのも、壮真くんだ。

 自信を持って君の隣に居られる私になりたい。
 この先ずっと君の隣に居るためにも、
 結婚を認めてもらうためにも勉強はしておきたい。

 壮真くんの家の片隅に私物を並べて
 彼がどう思うかはさておき、意思は伝えた。]
 
(31) 2024/06/03(Mon) 19:23:51

【人】 初波華音


[──もっとも
 彼の言動ひとつで吹き飛んでしまいかねない
 儚い儚い意志ではあった。

 壮真くん曰く、
 抱きしめられたときに感じたしなやかな筋肉は
 日々のランニングによって育まれているらしい。
 朝から走って汗を流す壮真くん、見たすぎる。
 爽やかな朝陽に照らし出される壮真くんが見たい。

 是非とも連れて行ってほしい。
 私の申し出を彼は断らなかった。優しい。
 圧倒的体力差を後に思い知ることになる。]
 
(32) 2024/06/03(Mon) 19:24:29

【人】 初波華音


[迎えた翌朝。
 壮真くんの起床に合わせて一緒に早起きして、
 ウォーキング用に買ってそのままになっていた
 ほぼ新品のウェアに袖を通して家を出た。
 スタート前、壮真くんは
 無理はしないでと声を掛けてくれた。好き。

 温かい言葉のお守りをもらっておいて
 日課の足を引っ張るわけにはいかない。
 「体力には結構自信があるの!」
 そう言って走り出した。までは良かった。
 
 ランニングに慣れていない私に合わせて
 普段より速度を落としてもくれてたんだろう。
 それでも十数分経てば、息が切れてきた。

 朝から大好きな人と走れるとあって、
 序盤にはしゃぎすぎたのも
 いけなかったのかもしれない。
 何がとは言わないけれど思ったより揺れた。
 ゴール地点が近づく頃にはぐったりしていた。

 マラソン大会が苦手だった理由を思い出した。
 肩は痛いし男どもの視線が一点に注がれるからだ。
 でもあんなに嫌悪していたのに
 壮真くんになら、見られてもいいと思える。
 やっぱり壮真くんは凄い。
 そんな彼の穏やかならぬ心中は知らない。
]
  
(33) 2024/06/03(Mon) 19:25:33

【人】 初波華音

 
[隣を走る壮真くんを見れば、
 最後まで涼しげな余裕の表情だった。
 流れた汗が陽光を受けてキラキラと輝いている。
 えーーーんカッコイイ。汗拭いてあげたい。好き。
 壮真くんがいつも見てる景色が知れて嬉しかったな
 私ももっと体力を付けないと……
 
 連れていってくれたことにお礼を言って
 しょんぼり一人反省会をしているうちに、
 彼はバスルームに吸い込まれていった。
 どうやらこれも日課らしい。

 少しの間を置いて、
 扉一枚隔てた向こうから水の音がする。
 なんだかいけないものを聴いている気分になって
 慌ててリビングに避難した。

 そのうち、一緒に入ったりとか……するのかな。
 いやいやいや。そんな。妄想するのも畏れ多い。
 ていうかもしかして私もシャワー浴びた方がいい?
 汗臭くない??? ソファにも座れなくない?????
 どうしよう考えてなかった。]
 
(34) 2024/06/03(Mon) 19:26:49

【人】 初波華音


[そうこうしているうちに
 湯上りほかほかの壮真くんが現れた。
 彼はこれからピアノの練習をするらしい。
 ピアノ室への出入りも自由にしていいと言う。優しい。

 壮真くんのピアノなら
 二十四時間三百六十五日いつでも聴いていたい。
 これまでだって配信を一日中聴いていたから
 ライブ演奏はむしろ贅沢だ。
 でもその前に、]


  あ、あの〜〜……
  私もシャワー借りていい?

  練習がんばってね……!


[ピアノ室ということは防音の密閉空間だ。
 汗の匂いで壮真くんの気を散らせるのは避けたい。
 奏者が万全な体調で弾いてくれるなら
 観客だって万全なコンディションで聴きたい。
 
 ぱたぱたとバスルームへ走って汗を流し
 超特急でピアノ室前へと戻ると、 
 扉の中から聞き慣れたピアノの音色が聴こえてきた。
 曲と曲の合間を見計らってそうっと扉を開き
 邪魔にならないよう、部屋の隅に腰を下ろす。]
  
(35) 2024/06/03(Mon) 19:29:55

【人】 初波華音


[夢にまで見たソウマくんの生演奏が
 目の前で繰り広げられている。
 最高音質と謳われたヘッドホンをもってしても
 生音の素晴らしさには到底敵わない。

 譜面を見つめる真剣なまなざしも
 鍵盤を軽々と撫でていく長い指先も
 ペダルを踏む長い脚も、すべてがカッコイイ。
 ピアノの音色は言わずもがな、
 練習と言えど非の打ちどころがない。]


  (は〜〜〜〜〜至福 
   耳も目もしあわせ……だいすき……………………♡)


[熱い視線はどうしても注いでしまう。けれど
 壮真くんはそれも気にならないといった様子で
 夢中で延々と演奏を続けている。]
 
(36) 2024/06/03(Mon) 19:32:32

【人】 初波華音


[いつもこんな風に、ずっと練習してるのかな。
 ……凄いな。体力も集中力も精神力も想像以上だ。
 もうピアノが壮真くんの一部みたい。

 この部屋に居ると、時間を忘れてしまう。
 二時間くらい聴かせてもらったらお暇しよう、
 週末やりそびれた課題を済ませないと。
 最初はそう思っていたのについ長居して
 気付けば実に六時間近い時間が経っていた。]


  (……あっ カノン……!!!)


[生配信で聴いたカノンとも
 それ以前のリクエストで聴いたカノンとも
 また少し違う、
 優しくてやわらかな旋律。
 耳を傾けていると胸が甘く高鳴る、
 まるで彼が抱きしめてくれているかのような
 錯覚を覚えてしまうあたたかい音色。]
  
(37) 2024/06/03(Mon) 19:33:25

【人】 初波華音


[哀しみも苦しみもすべてが
 今この瞬間のためにあったのだと思えるような、
 幸福な未来への祈りのようなメロディー。]


   ────……

   壮真くんが弾いてくれるカノンが、
   世界でいちばん大好き


[演奏が終わったところで惜しみなく拍手を送った。
 いつも練習の最後には
 パッヘルベルのカノンを弾いていると知れば、
 なんだか照れてしまった。]
 
(38) 2024/06/03(Mon) 19:34:11

【人】 初波華音


[やっぱり勉強は大事だ。
 好きだと思った曲も、
 どんな風に好きだと感じたのかも
 的確に君に伝えられるようになりたい。]


   お疲れさま
   素敵な演奏、聴かせてくれてありがとう

   さて──私、大学に行ってくるね
   今日は帰りはちょっと
   遅くなっちゃうかも……


[そう。そういう日もある。
 先週搔き集めたデータを纏めて分析して
 所見を交えて読めるレポートにせねばならない。
 午前中の講義をまるっとサボってしまったから
 せめて午後の講義には顔を出さねばならない。

 向かう先は文学部の心理学科だ。
 壮真くんが同じ大学に在籍しているとはまだ知らない。

 すぐ後ろをついてくる様子なら、
 振り返って小首を傾げてみよう。*]
  
(39) 2024/06/03(Mon) 19:36:01

【人】 初波華音


[壮真くんは、私の意思を尊重してくれた。
 私の言葉を信じてくれた。
 
 好きに使っていい、と言われた空き部屋は
 壮真くんの部屋に一番近い部屋を一部屋
 ありがたく使わせていただくことにした。
 ワンルームから一気に物を運んでくるのは大変だし
 大きな家具は運べないから、
 お気に入りの小物を少しずつ。
 取り急ぎ許されたソウマくんコレクションを纏めて
 大切に宝箱にしまい込んだ。

 私も寝るときは一緒がいい。
 だから、彼の主張には二つ返事で頷いた。
 これからはおはようからおやすみまで
 壮真くん本人が傍に居てくれる。
 
 最初の数分こそガチガチに緊張しながら
 「お、おじゃましま〜す……」なんて言ったものの、
 最愛の人の腕枕があまりに心地良くて
 抱きつきながら数分で眠りに落ちた。ので
 彼がどんな一夜を過ごしたかは知らない。]
 
(54) 2024/06/04(Tue) 16:50:05

【人】 初波華音


[けれど私は、
 早朝目覚めてから昼までに
 はしゃぎ疲れてかなり消耗していた。

 隣を走っていたときに聴こえた息遣い。
 ぐっしょりと汗でウェアを濡らして
 そこはかとない色気は感じさせても、
 むさ苦しさは一切感じさせない首元。
 どんな香水より魅力を感じる汗の匂い。
 脱ぎ揃えたシューズの大きさ。
 濡れた髪が張り付いたうなじ。
 熱いシャワーを浴びて上気した肌。

 言うなれば壮真くんの過剰供給。
 余すことなくすべてが目の保養で心臓にわるい。
 
 脱衣所を出るとお手製スムージーが用意されていた。
 シャワーを浴びるとき脱いだ衣類は畳んだけれど
 習慣で一番上に下着を置いたことを大分後悔した。
 スムージーは美味しく頂いて、
 グラスは二人分洗ってからピアノ室へ向かった。

 極めつけに
 ずっと愛を囁かれているかのようなピアノの音色。
 六時間越しに立ち上がろうとしたとき
 ごく当たり前な感じで差し出された手。]
 
(55) 2024/06/04(Tue) 16:50:16

【人】 初波華音


[「行ってらっしゃい」と送り出してくれる声も、
 「気をつけて」と気遣ってくれる優しさも
 言葉にできないくらい愛おしい。
 幸せすぎて眩暈がする。
 そんな彼も今日はどこかへお出かけするらしい。
 
 えーーんオフ壮真くんカッコイイよ〜〜!!!♡♡♡
 もしベストキャッパー大賞があれば彼が毎年優勝ね
 間違いない。]


  わ、そうなの?
  じゃあ途中まで一緒に行こっ


[どこに行くのかな?
 訊きたい。すごく訊きたい。
 行き先が知りたすぎる。
 お買い物? 気分転換??
 何かお仕事とか、習い事とか
 それともお友達とお出かけ???

 でも言いたくないかもしれない。
 尋ねて面倒な女だと思われるのは嫌だ。
 ここは全然関係ない話をしよう、
 あっねえ見て見てあの猫かわいい!]
 
(56) 2024/06/04(Tue) 16:50:29

【人】 初波華音



  次の信号を私は右なんだけど
  壮真くんは…… え?
  壮真くんも右? 
  ふふ もう少しだけ一緒に居られるね

  言いそびれちゃってたけど
  スムージー、私の分も作ってくれて
  ありがとう

  ……ね、手繋いでもいい?


[長く一緒に居られるのは素直に嬉しいのだ。
 歩き慣れた変わり映えのない歩道も
 君と一緒に歩くと輝いて見える。

 あっいつの間にか新しいカフェが出来てる!
 可愛くて美味しそう。壮真くんも好きかな?]
 
(57) 2024/06/04(Tue) 16:50:35

【人】 初波華音



  あ、あの角のパン屋さんのメロンパン
  すごく美味しくて大きいんだ〜
  食べたことある?
  
  そこの交差点を私は左なんだけど
  壮真くんは…… え?
  壮真くんも左?
  えへへ 嬉しいな〜

  今日は西洋音楽史の講義の日でね
  毎週楽しみにしてるの!
  壮真くんがさっき練習してた曲も、
  ぜんぶじゃないけど
  曲の生まれた背景や歴史が
  詳しく知れたりするんだ

  あっ あの角のクレープ屋さん
  私の今のバイト先なの
  サービスするから良かったら今度食べに来て!


[いつもより少し距離があったはずなのに
 君と歩くとあっという間だ。
 下宿先のワンルームから大学へと続く、
 通い慣れた通学路に辿り着く。]
 
(58) 2024/06/04(Tue) 16:51:05

【人】 初波華音



  じゃあ私はこっちだから……
  ……え?
  壮真くんも? えっすごーい!!

  この道通ると近道なんだ〜♪


[──思えばこの辺りで気付くべきだった。]


  次は──  え? 一緒?
  ほんとー? すごい偶然ね

  ふふ、嬉しいななんか
  壮真くんと一緒に大学通えてるみたい


[すれ違う歩行者に学生が増えてくる。
 その次の角を右。彼も同じく右に曲がる。
 往来が賑やかになって、
 徐々に大学の立派な校門が見えてくる。

 というか、]
 
(59) 2024/06/04(Tue) 16:51:30

【人】 初波華音



  ほんと奇遇……はは

  …………、



  
…………………???????


 
(60) 2024/06/04(Tue) 16:51:54

【人】 初波華音


[奇遇……?????
 
 気付いたらもう校門の前まで来ていた。
 この奥は大学の敷地内だ。
 キャンパスしかない。]


  
同じ大学だったの!!?!??!?

  いいい言ってよぉ……!!?!?

  い、行ってらっしゃい
  ……またあとでね?


[身体は大きいのに淋しげに小さく手を振る彼が
 なんだか非常に可愛らしく思えた。
 ただ講義に向かうだけなのに罪悪感がすごい。
 そしてやはり、長身の彼はかなり目立つ。カッコイイ。
 ソウマくんファンに取り囲まれてしまうかもしれない。
 連れ去られたりしたらどうしよう。不安だ。
 
 連絡先は伝えてある。もし何かあれば
 メッセージ送ってね、とも伝えた。
 繋いできた手をそっと解放して、手を振り返し
 後ろ髪引かれながら講義棟へ向かったのだった。*]
 
(61) 2024/06/04(Tue) 16:52:01
 




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