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【赤】 “観測者” 処暑[ 『処暑の灯守り』が代々継ぐ能力『風星』。 先々代の処暑様は、人前での演説等以外では、一般市民の前に姿を見せる人ではなかった。 けれどその代わり、この能力で、人々を近いところで見守っていた、らしい。 先代の彼は、自らが人々の近い所へ行く人だったため、この能力は、先々代程は使ってはいなかったらしい。 とはいえ、彼の足が及ばないところや、目の届かないところまでも気遣うために、風を“目”としていたようだ。 ……私はというと、灯守りになった当初は、領域の外へ出る事が出来なかった。 彼へと悪意を向けた世界。そんな悪意に私も殺されるのではないか、と怖かったからだ。 故に、人の手の入ったものも、長く口に出来なかった。 そのため『風星』で“外”を見て回るのが常だった訳だけれど。 彼の愛した処暑域。けれど、そんな彼を裏切った世界。 見れば見る程に、分からなくなってしまう。 この地は、この人間達は、守る価値があるのだろうか、と。 彼が命を賭してまで守るものであったのかと。 ] (*139) 2022/01/30(Sun) 18:31:28 |
【赤】 “観測者” 処暑[ 降り募っていく不信感。 全他者に対しての嫌悪感。 故に私は、部下になった行政職員に対しても心を開くことが出来なかった。 それでも右も左も分からない状態であった頃は、職員の助けがなくてはならず、領域へ入る事は許可していた。 しかしあの事件――私の個人的な日記を勝手に持ち出されて以来、私は領域へも人を入れなくなった。 ――やはり人間はどうしようもないのだと、私はその時点で心を閉ざしてしまったから。 蛍は当然置こうと思わなかった。 『処暑号の蛍』そのものを私は憎んでいて、到底受け入れられなかった。 だから私の領域へは、灯守り以外誰も入れないままに、 今日も私は世界との関わりを絶って、領域へと引きこもっている。 ] (*140) 2022/01/30(Sun) 18:32:01 |
【人】 “観測者” 処暑[ 長い時が過ぎた。 本来ならば、彼と二人、穏やかに過ごしているはずの時まで。 だけど、私は未だに彼の事を忘れられない。 自分の灯りのように、心は未だ、何時かの 夕焼け の海にある。普通の人間であれば、そろそろ寿命、と言える歳。 もし苦しみと言えるものから解放される事を願うなら、『証』を受け渡せば死ぬ事は出来る。そんな、二重の意味で絶好の機会。 ……だけど私は、そうする事も選べない。 私が死んだところで彼に会えないことは分かっているのだから、意味を感じない。 それならば、私は彼との思い出を抱いて共に“生きて”いたいと思ってしまう。 彼を思い返し、その度に彼を殺して、それでも彼の影を追いかけ続ける。 もうひとつの理由は、『処暑の灯守り』を託せる人間が居ないこと。 彼が死の際に触れた悪意。 そうでない人間に託す事が彼の想いだとして、私には、人間の全てが悪意に見える。 ――人間にきちんと向き合うことを放棄しているのだから、当然のことだ。 だから、それならば、私が持ち続けていたいと思う独善。 私は、私の選択で世界が悪意に曝されるのを、酷く恐れている。 ] (246) 2022/01/30(Sun) 18:33:07 |
【人】 “観測者” 処暑[ しかし灯守りも万能ではない。 いずれ私も、魂への負荷で苦しむ時が来るのだと思う。 そうなれば私は『証』を投げ出すだろうか? ……否、きっと、灯りが負荷に食いつぶされるまで、“生きる”ことを選ぶのだろう。 ――そうして苦しみながら死んでいく、というのは、報いとして相応しい最期であるのだろうと思う。 ] (247) 2022/01/30(Sun) 18:33:53 |
【人】 “観測者” 処暑[ 世界にある24の統治域、そこに座す、24人の灯守り。そしてその下に付く蛍達。 魂の管理者たる彼彼女らは、世界を守るために、人々を守るために、存在しているように見えた。 しかし、私は“灯守り”にも様々な事情があることを知った。 世界を愛する人も居れば、世界を疎む人も居る。 普通の人間とは一線を画しながらも、普通の人間とは変わらない心の動きをすることもある。 だから、“灯守り”を知ろうと思った。 彼彼女らが“世界”へと向ける想いを知れば、何か分かるのではないかと思ったから。 「人々を守る」と称される灯守りは、何を考え、何を思いながら、その位に就いているのか。 それを知ることが出来れば、私は、―――― ] (249) 2022/01/30(Sun) 18:35:19 |
【人】 “観測者” 処暑[ 元々の私は、世界や人間を研究する学者だった。 だから、本当は、私はこの世界が好きだった。 けれど、“灯守り”となってからは、世界への興味も、すっぱりと失くしてしまっていた。 ……そこに、答えがあるのかは分からない。 もう数十年も続けている事。未だに、はっきりとしたものは見つからないのだから。 けれど、もう一度世界を好きになれれば、私はまた笑える日が来るのかもしれない。 それに私は、灯守りと蛍を見守る事が好きだった。 好奇心が強いという、自己さえ喪失していた私に、灯火をくれた人たち。 答えを探すだけではなくて、その日々は、単純に楽しいものだった。 だから私は、何時しか心穏やかに過ごせるようになった。 ] (251) 2022/01/30(Sun) 18:36:21 |
【人】 “観測者” 処暑[ 私は“観測者”だ。 故に傍観者でもある。 積極的に灯守りに近付くつもりはなかったけれど、 ……『処暑の灯守り』としての繋がりも、増えているように思う。 それは、嫌ではない。これを、嬉しいと表現するかは、分からないけれど。 そして何時か、唯の『カナミ』として、誰かと向き合う日が、来るのかもしれない。 ] (252) 2022/01/30(Sun) 18:37:25 |
【人】 “観測者” 処暑[ “灯守り”というものは、これからも代替わりを続けながら、世界と共にあるのだろう。 私の灯り尽きるその時までは、その時々の灯守りたちを、見守り続けたいと願う。 ――それが出来るのなら、それは“私”の幸福と言える。 ] (253) 2022/01/30(Sun) 18:37:48 |
【人】 “観測者” 処暑[ 白かった手帳は、随分とインクで黒く染まった。 そんな分厚い記録 と、それから2通の手紙 を手に、私は中央域を後にした。 ] (254) 2022/01/30(Sun) 18:38:15 |
【人】 “観測者” 処暑[ “外”は夜であっても、今はまだ、 夕景 に染まる、黄金色 の領域。そこを、一際強い風が吹いて行く。 さて、“会合後”の灯守り達はどうしているだろうかと、 今日も私は“観測”する。** ] (255) 2022/01/30(Sun) 18:38:55 |
【人】 灯守り 白露[宴酣の時 さてそろそろ解散、という空気の流れが漂いはじめて わたしも帰ろうと、広げた荷物を片付け始めた 荷物の中には、少しばかりの招待状>>203があって 刷り上がったばかりのものを少しだけ持ってきたものであった 持ってきたは良いがどうしようかと会場を見渡して…] …… 立春様っ [ふと帰ろうとする背を見たのなら、荷物もそこそこに慌てて声を掛けた こんなもの、いつでも渡せはするのだけれど -なんなら送っても良いのだから - 、今が良いと思ったので]……えと…… こ、今度……展示会を、するんです…… ……来て、 ほしい……です [ずい、と渡すハガキ もちろん、もうすぐ立春ということもあり、お祭りの準備などで忙しいであろうこともわかっている それでも、来て欲しかったのだ わたしの住む街に、わたしの住む白露に 忙しいと渋い顔をされたなら、しゅんとしつつもハガキだけでも、と食い下がるつもりである] …… 待ってる…… 茉莉お姉ちゃん…… [去り際に、微笑みひとつまたね、と手を振り 呼ぼうと思い続けていた名前を呼べたなら、満足そうに笑っただろう**] (256) 2022/01/30(Sun) 18:42:52 |
【人】 灯守り 立春[更に新しい便箋を1枚、取り出して 今度は柔らかな桜色のインクを選び取る。 『 雀さんへ 先日のパーティーでは、 お話してくださりありがとうございました。 春分域の桜について 本当に嬉しそうに語ってくださる雀さんを見て、 花咲く春への楽しみと期待が高まりました。 満開の桜の下、ピクニックシートを敷いて お姉ちゃんと広げるお弁当の中身はどんなものが良いか、 今から真剣に悩んでいます。楽しい悩みです。 雀さんも、春分さんとご一緒に お花見に行かれるのでしょうか? お二人はどんな時間を過ごされるのでしょうか。 見どころやおすすめの場所なども、ありましたら また是非教えていただけると嬉しいです。 』 ] (257) 2022/01/30(Sun) 19:32:34 |
【人】 灯守り 立春[ 『桃のタルトも、桜のケーキも 桜のフレーバーティーも今年もまたいただきたいので 桜の咲く頃には幾度となく『陽だまり』さんに お邪魔させていただくことになりそうです。 ご相談なのですが 練りきりや錦玉羹はお持ち帰り出来ますか? 昨年は自分のことでいっぱいで何も出来なかったので 今年はきちんと先代を弔いたいと思っています。 春分さんにもよろしくお伝えください。 それでは、また。近いうちに。 立春より 』 三色団子の絵の描かれた切手を桃色の封筒に ぺたりと貼り付けて、送り出した。]* (258) 2022/01/30(Sun) 19:32:57 |
【人】 小満末候 麦秋至―― 会合後/真・麦ちゃんのポトフ ―― [約束されていた宴会、皆様いかがお過ごしでしょうか。 今日のポトフはコンソメスープを使わないで、 お肉から染み出るうまみと野菜のうまみ、 そして各種香辛料の味わいを合わせて、 あっさりだけどコクのある味に仕上げました。 隠し味は八角という名前のスパイスです。 小満さまの厨房にはいろんなスパイスがあるんですけど、 この八角は星図盤に書いてある星みたいな形をしているんです。 香りが独特ですのでほんとうにちょっとだけ入れました。 楽しく召し上がってくれると嬉しいです] (259) 2022/01/30(Sun) 19:33:14 |
【人】 小満末候 麦秋至[雨水さまが持ってきてくださったお肉類を見て、>>195 「これなら沢山ポトフが作れる」と口走ってしまったためでしょうか。 わたしは宴会の席で一品ふるまうことになりました。 お肉類、わたしが雨水域にいた時に食べたものとは、ランクが違うと一目見て思っていた。 お金を節約して高級店ではお買い物しませんでしたし。 正直緊張したけれど、うまくできたようでよかった] あ、あの、どうですか、これ。 わたしが作ったポトフなんですけど。 雨水さまが持ってきてくださったベーコンやソーセージも、 入っていますよ。ほら! [文字通りごろごろとした大きさに切られた野菜に混じって、 ごろごろと厚切りにしたベーコンが入っている。それを指差した。 断られなければ向かい側に座って、 食べるかどうか、それを見守った] (260) 2022/01/30(Sun) 19:35:03 |
【人】 小満末候 麦秋至…………。 [じーーーーーー……。 会合後のパーティーの時のチュウくんとは、 互角な目力比べができそうな勢いだった。 彼女が美味しいと言ってくれたなら、 飛び上がる勢いでよろこびました] [嬉しくても涙が出るということを、わたしは経験したばかり。 だから、雨水さまが人知れず涙ぐんだのを見ても、 ただ、それが拭われるのを見守っていた。 灯守りだからって泣いてはいけないわけでもない、そうでしょう?*] (261) 2022/01/30(Sun) 19:37:14 |
【人】 “小雪” 篠花兄は私に号を譲りたいと言っていたけれど、 私は兄に灯守りをやっていてほしかったの。 ……いいえ、違うわね。側にいてほしかった。 それまでずっと、兄のそばにいたから、 いきなり放り出されるのが怖かった。 [遥か遠い過去の自分を見つめて。] だから、手紙1つで何処かに消えた兄が許せなかったの。 何処にも行かないでほしかった。 子供だったのね。いつか別れは必ず来るのに。 それを認めたくなくて、荒れていたのよ。 だから蛍を迎えなかった。 八つ当たりしてしまいそうというのもあるけれど、 何れ来る別れに、堪えられそうになかったから。 [今なら温泉が全てを溶かしてくれそうだから。 誰にも語ったことのない本音を落としていく。] (264) 2022/01/30(Sun) 19:40:06 |
【人】 “小雪” 篠花それにやっと折り合いがついたのが最近で、 その時の蛍候補が貴方だった。 貴方なら、私の何かを。 遠くへ攫ってくれるのではないかと期待したのよ。 とても勝手な話だけどね。 でも、貴方に会って考えが変わったわ。 初めてあった時の貴方の質問、よく覚えているわ>>4:*41。 灯守りの仕事が好きかどうかなんて、考えたことなかった。 “やらなければならない”そう思っていたから。 だって、後継も蛍も誰もいない。 灯守りの変わりは誰もいないのだもの。 そういう状況を作り上げたのは私だけど、 放り出すことはできなかった。 その状況に、疑問を持っていなかったの。 好きか嫌いかで決める考えなんて、なかったのよ。 [兄がいなくなってしまったら、私がやらなければならないと。 それが普通なのだと、思っていた。] (265) 2022/01/30(Sun) 19:40:45 |
【人】 “小雪” 篠花だから、貴方の自分と決めるという考え方は、 とても目新しく見えてね。 だからこそ、止めてはいけないと、どこかで思ったの。 でも、貴方の去り方が兄と同じだったから。 私の方で覚悟を決めていなかったから、手紙を見た時は少し堪えたわ。 それからそう経たないうちに再会して、 “退屈だった”と言われたから。 かなりキツかったわ。 (266) 2022/01/30(Sun) 19:41:26 |
【人】 “小雪” 篠花でもそれが本心ではなかったのなら、安心した。 話が聞けて、よかったわ。 [ふわり、と慈しむような目で微笑む。] 小雪域は貴方の故郷。 帰ってきたければ、いつでも帰っていらっしゃい。 貴方のお土産話、待ってるわ。 [許されるなら、頭を撫でようか。] (267) 2022/01/30(Sun) 19:41:49 |
【人】 灯守り 立春[更に白藍色の封筒を取り出して、一通。 『 大雪さんへ パーティーではお目にかかれて光栄でした。 もふもふはできませんでしたが、大雪さんご本人に お会い出来て嬉しかったのは本当です。 ご近所のお店で可愛い手作りの ぬいぐるみを見つけたので、送らせていただきます。 以前何度か遊びに行かせていただいたときに 見せていただいた子たちを思い浮かべて、 大雪さんのお好きそうな子を選んだつもりなのですが どうでしょうか……? 受け取っていただけると幸いです。お近づきのしるしに。 お菓子も、ぜんぶおいしいと 言っていただけてほっとしました。 またお土産にお菓子を持って 大雪さんとぬいぐるみさんたちに 会いに行っても構いませんか? 大雪さんのお邪魔でないときに。 時間を気にせずゆっくり、ぬいぐるみのお話や いろんなお話を聴かせていただけたら嬉しいです。 立春より 』 ふわふわもこもこのテディベアにカードを添えて。]* (269) 2022/01/30(Sun) 19:57:20 |
【人】 灯守り 雨水 ― 宴会:麦秋至さんと ― [さて、そこに料理としてあったのなら 無論頂きますしたわけである。>>259 スパイスに関してはぼくは匂いに少し感じたかな? くらい。隠し味がわかる程達者な舌じゃない。 持って行った材料でポトフを作って貰えた。>>260 素材が使って貰えて料理になるのは嬉しい。 どうですか? と差し出されれば勿論受け取る。 流石に蛍の人に様を付けられるのはあれこれ言わない。立場があるのもわかっているから。] 有難うございます。頂きます。 ……おぉ、美味しそうになっている。嬉しいです。 [お料理という手をかけてくれたことにペコリ、と頭を下げて感謝した。お野菜ごろごろしていて暖かくて、見るだけで美味しそう。] (270) 2022/01/30(Sun) 20:19:57 |
【人】 灯守り 雨水美味しいです。すごく、すごく。 ありがとうございます、素敵に料理して下さって [そう伝えれば、わかりやすく喜んでくれた。 それは、嬉しかった。] [美味しいって、どこで、どう食べるかも大事なんだな。って凄く感じる。 涙を拭ったのを見られたのはわかっていたけれど ぼくはそれを隠さなかった。] 麦秋至さんも一緒に食べましょう? [見られるより、一緒に美味しいと食べたい。 その気持ちを言葉にした。 その方がきっと、もっと、 あたたかいから。 ] (272) 2022/01/30(Sun) 20:22:17 |
【人】 灯守り 雨水[宴会のどこか合間で ぼくは小雪さんを捕まえてこう声をかける。] 今日は、誘ってくれてありがとうございました 本当に嬉しかったし、今楽しいです。 [来てよかった。 そう思えたからそう伝えたかったんだ。]** (273) 2022/01/30(Sun) 20:23:11 |
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