そこで出来ないって決めつけたくないのは
　　　挫折を知らないから？
　　　自身の実力を疑わないから…？

　　　



　　

　　

　　

　　　　　　　　　　

　　

　　

　　　降り立ったと同時に、ユスティと目が合う。
　　　扉の方にいるってことは、
　　　こっちに来れたら、とか言ってたけど
　　　本当は迎えに来てくれるつもりだったのかな
　　　なんて、都合のいい想像がよぎる。

　　　

　　

　　　「
　　　　でもね、
　　　　一人じゃできないから頼んでるんだよ？」

　　

　　　距離を取られてしまうのは悲しい。
　　　あの時みたいに傍に居たいって
　　　そう思ってるのは私だけ？





　　

　　　　　　　　　　　　　


　

　　

　　　君が真面目なのは知ってる。
　　　約束を反故にするはずないとも思ってるから
　　　ユスティの後ろをついていくんだ。
　　　

　　　行き先が図書室だと分かれば
　　　やっぱり手伝ってくれるんだ、とわかって
　　　嬉しくなった。
　　　一緒に居たいだけだから
　　　本当は手伝ってくれなくたっていいんだ。

　　　
　　
　　　

　

　　　そんなことを考えていると
　　　ガクン、と急に足に力が入らなくなって。

　　　前へと転びそうになって―――。


　

　

　　　
　　　「

　　　　おなかすいちゃった、のかな……。
　　　　あ、でも宿題が先だよね！」


　　　ふらついてしまったことへの言い訳は
　　　多分かなり下手だったと思う。
　　　それでも、ここで離れたくない私は
　　　図書室へ行こうって、言うんだ。*

　　

　　　


　　

　　　

　　

　　　




　　　

　　　

　　　
　　　

　　　


　　　

　　

　

　　　

　　　君の言葉から、声から
　　　微かに滲む怒りを感じ取ると
　　　目を見開いて、言葉に詰まる。



　　　

　　　理解から遠い憧れの気持ちが
　　　ユスティの目を曇らせているとも知らない私は
　　　咄嗟になにかを言うことも出来ない。

　　

　　　何も言えないままによろけてしまった私を
　　　君は支えてくれた。
　　　言葉は冷たく感じられたって
　　　優しい君のままなんだ。


　　　ため息をつかれてごめんね、ってもう一度つぶやく。

　　

　　　
　　　




　　　


　　

　　

　　　

　　　


　　

　

　　　頬が熱いなと思いながら
　　　もう大丈夫、って微笑んで見せる。



　　

　　　ユスティと図書室に到着する頃には
　　　すっかり普段通りの私に戻っていた。

　　
　　　「実は授業中寝てて……



　　　

　　

　　　君が図々しいお願いを無視しなかった結果、
　　　宿題に取り掛かる所からじゃなくて
　　　ノートを写すところからはじまるわけだから
　　　君からしたら前途多難かもしれないね。

　　　
　　　手伝ってくれるってわかったら
　　　それはもう、とことん付き合ってもらうよ？

　　　分からない箇所は教えてーって都度質問したし
　　　結構手伝いは面倒だった、のかな、どうだろう。
　　　夕焼け空の色が変わって星空になる頃には
　　　ようやく、宿題も終わって。