【人】 天狗 ヨシツネ―かつての話― 気を扱う術の中には、「房中術」というものがある。 男女の和合によって気を高める、れっきとした術式の一つだ。 仙術とは違うとはいえ、周囲からの精気を糧とするという意味では変わらない。 何より、他者から得られる精気がとても美味で、より強く自身を惹きつけてやまないという特性だけは、ごまかしようのないものだ。 (17) 2023/06/20(Tue) 18:07:35 |
【人】 天狗 ヨシツネ―かつての話 キャメロットのどこか― その日は、ひどく無茶をしてしまった。 明らかに身の丈に合わない魔獣討伐を引き受けて、結果として精気の殆どを使い果たしてしまった。 学院に戻るのもやっとの有様で、寮に戻る前に倒れ込んでしまう程だった。 「…かふっ…ひゅー…」 肺が痛んで、息をするのも苦しい。 意識が朦朧として、視界が明滅する。 助けて欲しい。 誰でもいい、ほんの少しでも精気を分けて貰えれば。 そんな時に、ふと。 飢えた嗅覚が、濃い精気を嗅ぎつけた。 しかも、精気の元はこちらに近づいてくる。 「ソレ」は何かを言っていただろうか。 「ソレ」は手を差し伸べてくれたのではなかったか。 「ソレ」は、もしかして、僕を心配してくれた生徒の一人ではなかったか。 そんな当たり前の事も考えつかないまま、僕は「ソレ」を捕えて、押し倒した。 「精気…早く…。」 うわ言のように呟いて、「ソレ」の唇に僕の唇を重ねる。 「ソレ」から精気を吸い取って、同時に我を忘れてしまう程の強い快楽を与えて、より多くの精気を引き出す為に、「ソレ」の気を操って。 (18) 2023/06/20(Tue) 18:09:50 |
【人】 天狗 ヨシツネ「ソレ」の精気は甘く、深く身体に染みわたる。 萎えていた身体に、力が張っていく。 このまま、ずっと「ソレ」を味わっていたい。 そう思ったところで、ようやく我に帰った。 「―――っ!!」 声にならない悲鳴だった。 自身のした事に頭が真っ白になって、脇目もふらずに駆け出した。 恐ろしい事をした、許されない事をした。 被害にあった相手を探そうと、訪ね回ってみたけれど見つからない。 ただただ罪悪感だけが、あの日から胸の中に沈んでいた。* (19) 2023/06/20(Tue) 18:10:22 |
【人】 天狗 1年 ヨシツネ―一年前の話 フォボスと>>13― 昔から、僕は二つ上の兄について回る事が多かった。 僕は兄のように強くなりたくて、戦闘訓練にこっそりと潜り込む事もしばしばあった。 けれど、その日の兄は忙しく会う事は出来なかった。 『そんなに暇なら、丁度良い相手を紹介してやろう。』 と、訓練場に居合わせた他の先輩が声を掛けてくれた。 その相手が「豚」と、「木偶人形」などと言われているなど、今も昔も知りもしない事だけれど。 (20) 2023/06/20(Tue) 18:59:18 |
【人】 天狗 1年 ヨシツネなんでも、手加減をしなくていい相手なのだそうだ。 きっと大層腕の立つお人なのだろう、そう思って遠慮なく模擬刀を打ち込んだ。 「せいっ!」 打ち込んだ模擬刀は吸い込まれるように首筋を捉えて、直撃すれば相手に大ケガを負わせてしまうと確信できるほどで。 ――…すんでのところで、手首を捻って相手の首輪へと打ち込んだ。 「申し訳ございません!大丈夫でしたか!?」 慌てて相手に駆け寄って、安否を確かめる。 騒ぎを聞きつけた兄様が走り寄ってきて、自分と相手の無事を確かめると、まず僕が勝手に戦闘訓練に潜り込んだ事を怒り、それから僕に相手を紹介した先輩を呼びつけて怒っていた。 (21) 2023/06/20(Tue) 18:59:55 |
【人】 天狗 1年 ヨシツネ僅かに聞こえた限りでは、 「どんな理由があれ、フォボスを蔑んだり、練習台扱いなど許さん!」 と。あんなに怒っていた兄様は、後にも先にもあれっきりだ。 それから、フォボス殿と顔を合わせる機会はあっただろうか。 もしあったなら、かつての事をまずは一言謝ったろう。* (22) 2023/06/20(Tue) 19:00:36 |
【人】 2年 ターコイズ[自分は長女なのだから。 弟や妹の見本にならなければならないと。 優秀でなければならないと己を戒めて生きてきた。 キャメロットに入学しマーリン寮に振り分けられたのは、 その生き方の御蔭なのか。 自らを高めるために研鑽を続けていれば、 嫌でも自分の才能の限界に目を向けざるを得ない。 世の中には天才がいる。世の中には己より才ある者も大勢いる。 自分がいくら努力しても、 天才や才ある者がそれ以上に努力すれば 差は縮まらないで広がるばかり。 恨めればよかった。 憎めればよかった。 だが、その人らの研鑽を知っている。 その人らが胡坐をかかずに、探求する姿を知っている。 だから、成功を手にしたのも当たり前で。 それを喜ぶ姿に、羨ましいも妬ましいもいえない。 だから、笑顔でやったよと駆け寄るあなたに向けての 「おめでとう」 の言葉に込められた嫉妬に、 どうか気づかないでくれ。 ] (24) 2023/06/20(Tue) 19:08:28 |
【人】 2年 ターコイズ― 現在:学園裏の森近くの飼育場 ― [グランデの祭りも2回目ともなると、生徒らの熱気が薄らと 学内も、その周囲の地域をも包んでいるのを知っている。 出店のために魔具などを作る者、 当日開かれる催し物のために腕を磨く者、様々である 魔術師として氷を操る己は、マーリン寮としては珍しく 魔法生物を育てるクラブに所属していた。 依頼やらのためにか材料を貰いに来る生徒もいるし、 或いはただ単に癒しを求めてやってくる者もいた。 毎年数人ほど、魔法生物をちょろかまして売りさばこうとする輩もいるので そいつらにはきついお灸をすえることもあるけれど、 それは兎も角、として。 一角獣の毛並みをブラシで整えながら、 今年はこの子が幻影魔法を披露するのだよな。と独りごちる。 クラブの先輩方や後輩は皆良い人たちだ。 競い合うこともなく、ただ、 ここで飼われ、或いは保護される生物のために 心を尽くして世話をしているから。 逃げだと、理解している。 学内での研鑽に。上がらぬ成果に疲れ果てて、 ただ、何も結果を求められぬ場所に居たかった。 誤算は、逃げ込んだ場所の心地よさだった。] (25) 2023/06/20(Tue) 19:09:27 |
【人】 2年 ターコイズ[ふるるぅ、という嘶きに。 もういいのかな?と最後に手櫛で鬣を整え、 ぎゅっと白銀の首に抱き着いた。 処女しか乗せないという噂が出回る一角獣だが、 森から乱入してきた魔法兎にもこもこたかられている姿を見れば 噂は噂というのを実感できるだろうけれど。 その結果毛玉だらけになったこの子を 自らの手で整えることができたのだから 個人的には良かったと思っている。 魔法生物の世話は好きだ。 其処なら、誰にも比較されない。 誰を妬むこともない。 ―― 己の心根の醜さから、目を反らせるもの。 *] (26) 2023/06/20(Tue) 19:10:44 |
2回生 ターコイズは、メモを貼った。 (a5) 2023/06/20(Tue) 19:18:19 |
【人】 宝石人 リリスキャメロットには様々な人々が暮らしています。 リリスの様に稀少な種族であったり、他者に害を成す可能性のある吸血鬼や淫魔なども存在しています。 リリスはもちろんそんな事は理解していました。 そういう場所だから護られる筈。 だからここで暮らし、学び、身を守る術を覚えなさいとお母様は仰ったのですから。 だからリリスはたくさん魔術を学びました。 魔術を学ぶのが楽しくて、色んなやり方を覚えました。 光魔法の応用で影に身を潜める方法。 光魔法での目眩し。 宝石人という種族はその特性から大地や光の魔法を得意とします。 リリスもその傾向があったようです。 だから、毎日が楽しくて忘れてしまっていました。 もともと呑気な性分なのです。 ここには、害を与える可能性もある種族も存在しているという事。 そして宝石人は、ただでさえ狩られる側である歴史を重ねてきていることを。 (27) 2023/06/20(Tue) 19:21:10 |
【人】 宝石人 リリス「ん、んんんっ!?」 何が起きたのかわかりませんでした。 慌ててもがこうとしましたが、何かーー、魔力でしょうか、吸い取られる感覚がありました。 そしてその代わり、未知の感覚がその身を襲いました。 体の奥底が震えて熱くなります。 肌が敏感になって、鼻先から甘える様な声が漏れました。 押し返して抵抗しようともがいていた手に力が入らなくなります。 でも。 その未知の感覚は、リリスに恐怖を感じさせました。 だから、光魔法を応用して、影の中に潜もうとしました。 彼が声にならない悲鳴>>19をあげたのと、影の中に逃げたのは、どちらが速かったでしょう。 もしかしたら彼はリリスのことを影の様な姿としか覚えていないかもしれません。 元々、黒い肌が特徴的な種族です。 影に潜むのは得意なことなのですから。 (29) 2023/06/20(Tue) 19:23:26 |
【人】 宝石人 リリスただ、数日後。 リリスの手から研究室に小粒の魔石がいくつも提供されました。 だって、リリスは怖かったんです。 自分の魔力が奪われるのも。 自分の中に知らない欲が生まれてしまったことも。* (30) 2023/06/20(Tue) 19:24:06 |
【人】 天狗 1年 ヨシツネ― →購買部 ステラと>>16 ― 「こちら、ご注文の「ヒンヤリ草のクリーム」になります。 割引とかお得意様サービスとかは一切ありませんので、そういうものだと諦めていただきたい。 あ、それはそれとしてチップは大歓迎にございます。 」彼女の注文>>16に、テキパキと応答する。 ちゃっかりとチップの要求も忘れない。 貧乏学生には硬貨一枚とて惜しいのだ。 魔道具クラブなら材料の買い出しに来ている者も多く見るが、彼女はどうであったろう。 彼女が購買部の常連であれば、ここでバイトをしている自分と顔を合わせた事もあるだろうが。** (31) 2023/06/20(Tue) 19:26:36 |
宝石人 リリスは、メモを貼った。 (a6) 2023/06/20(Tue) 19:27:47 |
【人】 オーク フォボスーこれまでの話ー 『グランド』にてアーサー寮のニ回生は何かをするらしいがフォボスはぼっちだった。 木偶人形に友達はいなかった。 昨年まで違うのは隷属の首輪が壊れて意志が自由になったこと、それにより多少魔術が扱えるようになった。 覚醒した時はこの年齢になっても程度の低い自分自身に絶望感しかなかったが、戦闘訓練で技や魔術を試し撃ちされる間に見て覚えることで著しく成長してきている。 これは戦闘種族としての本能を今のところ満足させることができている。 戦闘訓練で肉体を使えば腹が減る。 食欲は最初から変わらずにあり毒キノコなどを食べてもけろりとしていられるくらいには対毒性は強い。 (32) 2023/06/20(Tue) 19:35:00 |
【人】 オーク フォボス それらの欲求は元からあるものだ。 だが隷属の首輪が壊れたことで別のナニカの介入を受けている。 これは明確に自覚できるもので、生殖欲が恐ろしく高まっていた。 種族として孤独なこともあるが『他種族の女を拐かし胤を植え付ける種族』と種族概念が外付けされているらしい。 外付けされた欲求は強かった。 欲求を解消する方法は調べてもわからず恐怖を覚えて過ごしていたが、ある時木偶人形と侮りかかってきた女の子の実力が足らず返り討ちにすると欲求が抑えつけられなくなり、そのまま胤付けを済ませてしまった。 後日、発覚して責められないか怯えていたが気づかれておらず、それはナニカの影響があったのだろうか。 女の子は記憶を曖昧にされながらもオークによる強い快楽の強制を身体に覚えさせられているようである。 (33) 2023/06/20(Tue) 19:35:24 |
【人】 オーク フォボス フォボス自身はと言えば最初は恐れ慄いていたが次第に慣れてしまっていた。 それはこれまでの学園生活で木偶人形と打ちのめされてきたこと、強いものが正義であり敗者は勝者に全てを奪われると覚えてしまっていたからだった。 たった一度、庇われたことがあったがそれだけだ。 その一度で全てがなかったことにはならない。 元来戦闘種族であることと外付けされた概念が環境により最悪の意識を芽生えさせ、罪悪感のざの字も浮かばないようになっていた。 そして、欲求は『グランド』が近づくたびに強まっている。** (34) 2023/06/20(Tue) 19:36:22 |
天狗 1年 ヨシツネは、メモを貼った。 (a7) 2023/06/20(Tue) 19:42:16 |
天狗 1年 ヨシツネは、メモを貼った。 (a8) 2023/06/20(Tue) 19:47:28 |
【人】 オーク フォボス―これまでの話>>8― フォボスは戦闘術や魔術を修めていなかった。 完全に素人であり思考も制限されていたため常に受け身で反撃もしなかったのは前回の『グランド』までの話だ。 そこから戦闘術も魔術も見て覚えていくまでに時間がかかった。 >>33最初に犠牲者は新入生だった。 >>20『丁度良い相手』として二回生か三回生に紹介された後にいつものように打たれ続けていた。 ただ、その連れてきた上級生は用事があるのか去ってしまったので二人きりになってしまったことが災難の始まりだった。 フォボスは術理はないが恐ろしく強靭な肉体があった。 いくら打たれても倒れないし怯まない。 そうして平然としているものだから大体の相手は打ち込み続けてくる。 打ち込み続ける方は続ければ普通は疲れが溜まっていってしまうものだ。 フォボスがしたのは打ち込みを誘い続けて疲れ切ったアカツキに最後に一撫で、初めて反撃しただけ。 (35) 2023/06/20(Tue) 20:03:34 |
【人】 オーク フォボス「あー…………」 見様見真似の一撃は拙い術理によるものだった。 だが、『反撃はない』と言われていた相手からの唐突な一撃はダメージはなくとも疲労と衝撃から一次的に前後不覚の状態に追いやった。 「…………かったあ! かったあ!」 初めての勝利は猛烈な高揚感を齎した。 それは抑えこんでいた欲求を解き放ってしまう程であった。 勝者は敗者を好きに扱って良い――。 その日、フォボスは初めて女を抱いた。 アカツキと名前を聞き出した少女はその日のことを覚えてはいないらしいが、フォボスは覚えている* (36) 2023/06/20(Tue) 20:04:09 |
【人】 オーク フォボス―これまでの話― 木偶人形であった時の記憶は朧である。 隷属の首輪が種族意識を封じ込め向上心をなくして意志を他人に委ねるように操作していた。 ――師が亡くなりマスターが消えた後はマスターからの強い強制力はなくなったが他者の言いなりなのはそのままだった。 >>20その日もいつものように木偶人形をしていた。 獲物は真剣の時もあるので模造刀は"きれないから楽だな"なんて思っていた。 怪我をしても魔法が通りやすいので回復魔法を掛けてもらえば常人より遥かに早く治癒すると知られてからは真剣が増えていたものだから特にそう。 相手は学生ではないらしいし"きょーのご飯なにかな"と思っていたら>>21恐ろしくキレがある思い切りのいい一撃が飛んできた。 (37) 2023/06/20(Tue) 20:22:43 |
【人】 オーク フォボス フォボスは避ける技術もなかった。 手で庇おうとしたがご飯のことを考えていたことで反応が遅れてしまった。 "あー、しんだかなー"と思った一撃は直前で軌道を変えた。 軌道が変わった軌跡は隷属の首輪へと入り、その一撃は頸を断つことはなかったが首輪を太い首に押し付けることになり、振り切った衝撃に吹き飛ばされてごろごろと地面を転がった。 隷属の首輪にヒビが入る。 刻まれていた魔術刻印が機能不全を起こしていき、フォボスは急速に自意識を取り戻していった。 自分は誰だろう。 どうしてこんなところにいるのだろう。 討たれて、打たれて――あゝ、弱いからみんな死んだのか。 弱いから、みんな、奪われてきたのか。 身体を弄られ、操作されて、自由意志を消されてきたのか。 (38) 2023/06/20(Tue) 20:22:53 |
【人】 オーク フォボス―裏庭― ぼっちのフォボスは今年の『グランデ』でもやることがなかった。 準備も当日の役割も何もない。 みんな準備で忙しいから木偶人形としての出番もない。 昨年と違うことは当日は部屋にいなくてもいいということだ。 思い返せば一年前の出店は美味しそうなものがいっぱいあった。 「ことしは、いっぱい、たべられるー」 お金は――師の遺産があるので大丈夫。 食べる意志もあるから今年はいっぱいご飯が食べられることが嬉しかったので気分がとても良かった。 「まほーせーぶつも出るのかなー」 魔法生物は食べたことがなかった。 学園の周辺に現れる魔法生物は友好的な生物だけらしい。 以前、飼育場の傍で魔法生物美味しそうだなと見ていたら>>25ちょろまかす奴と間違えられてキツいお灸を据えられた。 (41) 2023/06/20(Tue) 20:45:10 |
【人】 オーク フォボス "ごかいだよ! 売らないよ! 食べたいだけ!" 誤解を解こうとしたら余計に怒られたことは覚えている。 氷の魔術とはあんなにも洗練した美しさとキレがあるのかと驚きながら全攻撃を受けて撃沈した後に反省と強制労働をさせられたのだったか。 あれも良い思い出だ。 (42) 2023/06/20(Tue) 20:45:30 |
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