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![]() | 【人】 XX タチバナもちょっと切っておけばよかった? [過去は影になった。 彼にとっての己の価値を見誤ることはないし、 彼の好意も素直に受け止められる。照れるけど。 だから彼へ伸ばした手が拒まれることはありえない。 躊躇も怯えもなく前髪に振れ、毛先を揺らす。 少しずつ、結が私を埋め尽くしていく。 欠片の誇張もなく、彼だけのものになっていく。] (149) 2022/08/19(Fri) 0:25:27 |
![]() | 【人】 XX タチバナ[しっとりと肌を滑る空気が彼の声>>141で霧散した。 注いだ黒は材質まで再現することはできず、 重さも感じさせないまま上着の形で停滞している。] ふふ……あは、 主役はお姫さまだったの? [珍しくくすくすと声を漏らしながら笑ってから、 彼に心からの祝福を贈り、願いを受ける>>L16。] いるんだよ。 ずっと、一緒にいるの。 [彼の差し出してくれた手を取りながら返事をする。 XXの言葉というには陰湿で、 誓いよりも呪いに近い響きを有していた。 この場に似つかわしくない温度を持って、 彼がくれた白を纏い、光の下、花のように笑う。]* (150) 2022/08/19(Fri) 0:26:04 |
![]() | 【人】 XX タチバナ[花が咲いたのはどの指だっただろう。 彼が触れたことのない場所などないに等しいから いずれの指であってもサイズはぴったりだろう。] ……。 [一瞬、言葉を忘れた。 初めて会った時のように何も返せなかった。 ただまじまじと手元を見つめ、 驚いた表情を隠さずに彼の方を向き直す。] …………いつ、作ったの? [最初に出たのはそんな気の利かない言葉だった。 実際、彼の傍を離れることはほどんどない。 それなのに気づかなかった。隠されていた。 彼に関して知らないことがあった。 不満が炭酸の泡のように、ふつりと浮いて弾ける。 けれど、それは心地よい刺激だった。 足りないことがもどかしくて、新しい彼がXXしくて、 何より彼が与えてくれたものすべてが嬉しかった。] (152) 2022/08/19(Fri) 0:26:48 |
![]() | 【人】 XX タチバナううん……っ、ううん、 いいの。 これがいいの。これしかやだ。 [おもちゃみたいなんて言う彼に慌てて首を振った。 指輪を嵌めた手を抱きしめ、胸元に仕舞う。 押し当てた手の甲が布の向こうにある穴を感じた。] ……うれしい。すごくうれしい。 ありがとう結。ずっと大切にする。 [この穴に広がる感情を、 どうやったら言葉で伝えきれるだろう。 口から出た言葉はありきたりな物ばかりで、 音の不自由さにもどかしさを覚える。 うっとりと手元を見つめた。 細い何かを曲げて作ったのだろうか。 それなのに指先に何かが引っかかる感じはなく、 丁寧に作られたであろうことは予想できた。 彼から与えられた物が私に傷をつけても、 それもまた悦びでしかないのだけれど。 今は何よりももどかしさが勝って、 指輪を贈ってくれた彼の手を捕えようとする。] (153) 2022/08/19(Fri) 0:27:16 |
![]() | 【人】 XX タチバナ……わたしは、何をあげられる? [邪気を感じさせない穏やかな声で尋ねる。] 私には、私しかないの。 でも私はもう全部結のものだから……。 [そう、プレゼント。誕生日には必要な物。 随分と遠ざかっていたせいで思いつかなかった。 相手の目を盗んで準備する器用さもなく、 彼を捕らえた手も反対の手も空っぽだ。 だって、元々全部あげてるし。 だって、結が寝ている時も離れたくないし。 そんな言い訳が頭の中を巡る。] 教えて、結。 [だから、今、ここで。彼の願いを求めた。]* (154) 2022/08/19(Fri) 0:28:10 |
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![]() | 【人】 XX タチバナ[名前の続きを書く時、ふと左手が目に入った。 あれからずっとつけたままの指輪は、 次第に体の一部であるかのように馴染んだ。 その……いっぱい動く時はなくさないよう外すけど、 指が寂しくてそわそわするくらいだ。 シンプルなシルバーリング。 頂点には小さな花が咲いていた>>L17。] 花に……蓮≠ナ、かれん。 ……が、いい。 [いつかに似た言い回し。>>47 彼は黙って受け入れてくれるだろうから>>62、 自ら「くさかんむり」を書いた部分を指で擦る。 指先にインクなんてつけてないから、 擦ったところで彼の掌が赤くなるだけだ。] (168) 2022/08/19(Fri) 3:21:36 |
![]() | 【人】 XX タチバナ本当はこっち……でも。 いっぱいじゃなくて、ひとつがいい。 …………あなただけの花になりたい の。 [だから、私は名前を芽吹かせる。 あなたの前で蕾を赤く染めていく。] (169) 2022/08/19(Fri) 3:22:20 |
![]() | 【人】 XX タチバナ[これは余談なのだが。 「私も結に指輪をあげたい」と相談し、 本人に習いながら指輪作りに励む未来があるはずだ。 きっと彼の物より歪になってしまうけれど、 何らかの意思が働いているのか 彼の指から勝手に離れることのない銀色が やがて彼の左手薬指を彩ってくれるだろう。] (172) 2022/08/19(Fri) 3:23:57 |
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