【置】 夏の雪 ユメカワ皆と居る日々が好きだった。なんでもない日々がよかった。 それさえあればよかったんだ。 夏彦が隣に居て、ふと目が合って、なんだか嬉しくなって。 栗栖が面白そうな事を持ってきて、稔がひょっこり顔出して 麻弓ちゃんが元気にやって来て、牧夫兄が苦笑しながらそこに加わって。 明日香ちゃんが怪我したらおいでって声掛けて、 不意に鹿乃姉がぴゃって声上げて、つられて裏道がびっくりして。 そんな二人を梢ちゃんが上手く宥めて、皆を纏めてくれて。 そんな日々が、 (L6) 2022/07/14(Thu) 4:50:45 公開: 2022/07/14(Thu) 5:00:00 |
【置】 夏の雪 ユメカワもう戻らないなら、どうしたらいい? 全部全部がいっぺんに叶う方法なんて、もうこれしかないじゃん。 他にどうしたらいいんだ、教えてくれよ。わかんないよ。 俺は楽しければそれでいいからって、今まで全然頑張ってこなかった。 甘えてばっかのやらなきゃできないだめな子なんだよ。 吁、だからか。 (L7) 2022/07/14(Thu) 4:51:17 公開: 2022/07/14(Thu) 5:00:00 |
ユメカワは、鏡の前で呟いた。「俺が悪いの?」 (a85) 2022/07/14(Thu) 4:51:30 |
ユメカワは、鏡の中で笑っていた。ただただくらく笑っていた。 (a86) 2022/07/14(Thu) 4:52:35 |
ユメカワは、そんな、いつかのどこかでのお話。 (a87) 2022/07/14(Thu) 4:52:42 |
【人】 友達 ネコジマ【音楽室】 「 」 「 」 「 」 「 」 鍵盤を叩くのに合わせて、一番だけを何度か繰り返し歌って。 「 」 締めのところの音符を猫島は覚えていなかったから、 そうやって口に出して締めくくられた。 (40) 2022/07/14(Thu) 17:03:09 |
【人】 友達 ネコジマ【音楽室】>>40 「──……」 「べつに、なんとも…? 特に好きでもないですね。 嫌いとも言わねぇすけど。猫島楽譜も読めませんし」 「猫が昔から好きだっただけです」 「昔は、これ弾いてたら 猫が寄ってくるんだと思っていました。 タイトルに猫ってついてるから」 「──……」 「昔はあんまり考えなかったけど、この歌猫踏んでいますし。 それで傷付いたのって、たぶん忘れないじゃないですか」 「おんなじようにのんびりしているところに、 おんなじ人が近寄って来たら、」 「おんなじにならないように、逃げるなりなんなりするでしょ?」 (41) 2022/07/14(Thu) 17:12:36 |
ネコジマは、 鍵盤を軽く押した。 (a88) 2022/07/14(Thu) 17:17:44 |
ウラミチは、もう冷たくなった蚊取り線香のケースを抱えている (a89) 2022/07/14(Thu) 17:29:51 |
ネコジマは、鍵盤の蓋をとじて。音楽室を後にした。 (a90) 2022/07/14(Thu) 18:04:14 |
ミナイは、手荷物が増えて、重い。 (a91) 2022/07/14(Thu) 18:58:45 |
ユメカワは、いつも通り笑って。 (a92) 2022/07/14(Thu) 20:05:57 |
ユメカワは、君にお別れをしない。 (a93) 2022/07/14(Thu) 20:06:04 |
【置】 夏の雪 ユメカワひらひら はらはら 夏の雪が降る ぱらぱら、ぱらぱら、降るのはちいさな写真。 まっくらでなにも写っていない、さみしい写真が10枚ほど。 インスタントカメラが写したはずの、写せなかった光景。 楽しくなかったから撮れなかったのかな。 そうじゃなくても、どのみちもう撮れなかったのかな。 今となってはわからないけど、もういいんだ。 もう 大切な今は、写真に切り取らなくたっていいから。 記憶の中に切り取って、そのままのかたちで、ずっとこの手の中に。 だからこのさみしい一瞬は、すべてここに置いていこう。 壊れたものだって大切だから、壊れたまま共に在ろう。 終わりの先で、永遠を共にしよう。 ひらひら はらはら 夏の雪が降る (L9) 2022/07/14(Thu) 20:51:55 公開: 2022/07/14(Thu) 20:55:00 |
ユメカワは、校舎の屋根の上。 (a94) 2022/07/14(Thu) 20:54:53 |
ユメカワは、君と手を繋いで、君と抱き合ったまま、 (a95) 2022/07/14(Thu) 20:54:58 |
ユメカワは、屋根の端、その向こうへ、身を投げだした。 (a96) 2022/07/14(Thu) 20:55:09 |
ユメカワは、君と同じ夢の底へ落ちていく。 (a97) 2022/07/14(Thu) 20:55:14 |
ユメカワは、そして──現実から覚めて、夢に起きる。 (a98) 2022/07/14(Thu) 20:55:18 |
ネコジマは、都合の良い幻聴を聞いていました。 (a99) 2022/07/14(Thu) 20:55:54 |
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