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人狼物語 三日月国


69 【R18RP】乾いた風の向こうへ

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【人】 第11皇子 ハールーン


 俺ね、ホントに外に出る事ってなかったからさ〜
 新しいお店に行くってなんだかワクワクするね!

 逃げ回ってた時に、こっそり色々食べさせてくれる
 お店は覚えてるんだけど……昨日、買い物がてら
 探してみたけど変わっちゃってたんだよね。
 ちょっとサミシイ……


[そしてなるほど、聞き上手でいる事が交流の秘訣なのか>>28。ふんふん、とインプットしつつ]


 ……あまり話さない……?そうだったっけ?
 試験の時はよく話してるイメージしかなかったな〜
 うん、そんでちょっと怪しかったりしてた!


[笑いながら朝食というか軽食になっているものをつつく。お菓子とお茶は、あの会場を思い出す。けれど何か塩っぱいものも欲しくなり、チーズと香草のオイル漬けを食卓に出す。]

                
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(30) 2021/04/21(Wed) 14:47:26

【人】 第11皇子 ハールーン


[それから、滞りなければいつもの手段で市場まで行くだろう。あそこは人が多いから、急に二人くらい現れても目立たないのが好きだ。

作ったお菓子は、個人的評価では上手くできていた。
重たい陶器の器に、丁寧に並べて包む。器の重さに加え、量も多くなってしまったため重量があるから加工された布に包んでいきたいのだけれど、久々の家の中で見つけられず、一先ずなんの変哲もない布袋に収納している。]


 (はぐれないようになら、手を繋いだ方が良いんだけど……流石にそれは、お願いはできなさそう、だよね)

                
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(31) 2021/04/21(Wed) 14:52:48

【人】 第11皇子 ハールーン


 
 ……あのさ、ダレン。

 この前みたいにはぐれないようにする為には手を
 繋いだり、一部接触してるのが好ましいんだけど。
 流石にここでは色々不都合あるから、えーと

 ──俺の事考えてもらっていい?


[言ってから、言い方にすごく不備がある気がした。]


 (……待って、何この恥ずかしい感じ……!?いや、でも、主従関係なんだから普通だよね!えっ、……普通かな???)

 ッつまり、意識は俺にフォーカスしてくれてると
 はぐれにくいと思う!お願いします!


[無駄に慌ててしまって恥ずかしいけど、多分甲斐あってはぐれずに市場に辿り着ける。そうしたら、先に『アルフシルバー』に向かうのが良いかな?お店までの案内はダレンにお任せしてしまう魂胆だった。]*

                
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(32) 2021/04/21(Wed) 15:01:12

【人】 第11皇子 ハールーン



 ……うん。ホント気に入ってもらえるといいなぁ

[本心では自信はなかったが、向けられる表情に幾分か心の薄暗さが和らいで>>33、自然と期待を口に出せる。

そして追加で食卓に上げたチーズが思いの外気に入ってもらえたようで。]


 ふふ。お酒も買ってこようか!市場にはあまり
 大っぴらに売ってなかった気がするけど、
 酒場に行けば手に入れられる気がする!


[宗教的な禁酒法は、元々醸造も盛んだったこの国には根付かなかったと聞いている。観光客も増えたからひっそりしてるんじゃないかと思うけど、どうだろう?
基本的に酔う人種じゃないというダレンがどのくらい飲めるのかは、実は興味があった。]

                
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(36) 2021/04/21(Wed) 18:10:31

【人】 第11皇子 ハールーン


 
 (そういや、俺……ダレンの事あんまり知らないんだよね。年齢とか、いくつ離れてるんだっけ。)


[ずっと一緒にいる気で居たから、生活する上で解っていけばいいかなどと呑気に構えていた。けれど自分の恋心がある限り、そうはいかない。彼が返事をする側>>34ならば丁度いい。自分は結構おしゃべりなのだ。聞きたいこと、聞き始めたら止まらないかもしれないなと思いつつ。]

                
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(37) 2021/04/21(Wed) 18:19:53

【人】 第11皇子 ハールーン


[まるで主人がすごい格好で転んだのを見た猫みたいに、目を瞬かれてしまった>>35
『それは必要なことではないのか?』と問われて、滅茶苦茶に恥ずかしい。]


 (俺の、自意識過剰……!だよ、もう、バカ!)

 ──…………警戒は、するに越したことない、かな。
 イスハークは支配するのが趣味みたいなひとなんで
 雨粒ひとつで、人を溺れさせる事ができるよ……


[兄をダシにした言い訳がとても物騒になってしまって、自己嫌悪を重ねた。あながち間違っていないのが恐ろしいところ。今日は他国に出向いていて不在だから大丈夫!と笑って、二重に誤魔化してしまった。]

                
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(38) 2021/04/21(Wed) 18:35:30

【人】 第11皇子 ハールーン

──市場周辺──


 ダレン、そのお店って市場から遠くないんだよね?

[無事にはぐれずに済んだ同行者の姿を確認して安堵。さて、早速目的地をと思うけど。

本宅との約束の時間は昼過ぎ。まだ時間はある方だ。
いくらか迷っても大丈夫だと余裕の心持ちでいた。]*

                
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(39) 2021/04/21(Wed) 18:42:51

【人】 第11皇子 ハールーン


 ……看板っていうからすごく目立つもの探し
 ちゃったけど、意外と小さかったんだね?


[ようやく見つけたその店『アルフシルバー』は開いているのだろうか?表札ほどのその看板>>0:175を見るに、ここで間違いはなさそうだが。

しかしここに辿り着くのになんだかものすごく迷ってしまって、約束の時間が近くなっていた。場所が解ってしまった今は市場からそう遠くなく思えるのだけれど。運命のいたずらか、何故か死ぬほど迷った。

声をかけたら出てきてくれるかな? もし居ないのなら、本宅に顔を出してからでも寄れたらと思う。こちらから約束をしておいて、遅刻をするのは気まずい。が、]


 ……できれば、ダレンを護ってくれる何かを、
 手に入れておきたかったんだよね。
 ……俺には、守る術がないからさ。


[そうこぼして、同行者の意向を伺う。]*

                
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(54) 2021/04/21(Wed) 20:37:12

【人】 第11皇子 ハールーン


[返事がない。今日は留守なのだろうか。しばしその場で待ってしまった。]


 ……居ないっぽい、かな……
 

[約束の時間が迫ってくるのもあってか、自分の緊張を感じる。ここへ来るのにこんなに迷うつもりじゃなかったし、何より迷う様な場所でもなかった。実に予想外の出来事だ。手に入れるつもりでいた物もアテが外れて余裕が無くなってる自分を感じた。]


(……大丈夫。今日は俺の味方しかあの家には居ないから。)


[味方しか、と言っても明確に自分に害を与え無いと言えるのはアンタルだけだが、幸い2,4番目の兄たちは不在と聞いている。
幸か不幸か、あの頃からぐっと皇子の数は減った。]

 (2、3、4、6、12、16……から二人いないんだ、4人。そのうち成人して居ない弟達が2人……うん、大丈夫。過剰反応も良くない、よね)


 行こうか。また後で来よう!


[そうしてあの家へと向かうだろう。遠くはない場所だけれど、歩く気は無かった。じわじわと断頭台に赴くよりは一気に決めたい。そんな感じ。]

                
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(68) 2021/04/21(Wed) 23:06:12

【人】 第11皇子 ハールーン


[緊張が勝っていたか──いや、そうでなくとも自分は鈍い、>>70の気配には気づかず性急に陣を開いてしまっていた。臨機応変がきかない自分の代わりに対応してくれたダレンに、感謝を告げる。

そうして本宅の屋敷手前まで転送されれば、タイミングを同じくしてアンタルが現れる。]


 『よォ!ハールーン!昨日ぶりだな?

  お帰り……とは言われたくねぇか。』


[まぁでもお帰り!と豪快に頭を撫でられ、ダレンと挨拶を交わした兄は、自らが立っている陣の中へ自分達を招いた。
そこに足を踏み入れたその一瞬後には、見覚えのある敷地内だ。

白を基調としたこの建物は、光をよく反射して明るい。そして天井が高い。一階も二階も等しく高い。通路は風通しの良い造りで、庭で舞う噴水らがほどよく空気を潤してくれている。水の音が、心地良い。この噴水を2階の自室から眺めているのが好きだった。

あの頃充分に背の高かった樹木は、更に伸びていて。二階も3分の1が隠れるほどになっているのではないだろうか。

アンタルの案内を受け、ついていく。恐らく招かれるのは2階にある広間だ。]

                
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(72) 2021/04/21(Wed) 23:31:47

【人】 第11皇子 ハールーン



 『今日は帰るのか?
  お前の自室、今朝方アーイシャが来て掃除して
  行ってたぜ? 泊まって行ったらどうだァ?
  ダレンくんは隣の客間を使やぁ良いだろうしな』


[アーイシャという自分の乳母は、自分が別宅に引き籠ってからも定期的に本宅の部屋を整えてくれていた。

もう帰らないと言っているのに、そうされるのが昔は嫌だった。責められているようで。]


  ううん、帰るよ。
  俺はもう、ここに住む資格はないんだから……
  ありがとう。


 『──そんな難しく考えなくたって良ンだぜよ
  家族なんだから。』


[──『家族』

その言葉は、この家ではとても重く響いた。

命の取り合いをするのが家族なのだろうか。そんな捻くれた思いが浮かぶ位には心にのしかかったままの、あの日々を感じる。
そうなのだ、ここに来ると終わってくれない何かがある。]*

                
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(73) 2021/04/21(Wed) 23:35:38

【人】 第11皇子 ハールーン



 あ、そうだね!
 アンタル、これ俺が作ったお菓子なんだけど
 皆に、……皆と食べれたらと思って!
 俺ね、料理人になろうと思うんだよね!


[>>82ダレンに促されるまま、一応、言い方には注意を払った。何が誤解されるか解らないから、意図もちゃんと伝えて──これは執事試験でのあの騒動が役に立ってるかもしれないななどと振り返りつつ。]


 『──ほぉ!へぇ〜それはそれは、
  じゃあ早速茶を淹れさせようか!』


[アンタルがダレンに手を差し出す。無事に受け取ってもらう。

すると通路の奥、階段の方から『アンタル!』と高い声が聞こえた。そしてこちらへ駆けてくる小さい影が、隣の兄に飛びつくまでお時間少々。]


 『アルスラーン、こっち来ちまったか!』


[兄が笑いながら肩に抱き上げたその子の名は記憶にある。『アルスラーン』、もうすぐ6歳になる第16皇子だ。茶色の髪と薄緑の瞳に親近感が湧いた。]

                
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(90) 2021/04/22(Thu) 14:14:29

【人】 第11皇子 ハールーン



 か……っ、かわいいね?!
 俺と同じ色だ〜! こんにちは!


[興奮しすぎて思わずダレンの服の裾を掴んで、同意を求めてしまった。
改めてその小さな弟に自己紹介をしていれば、また違う声が割り込む。どこか聞き覚えのあるその声。]



 「……ホント緊張感ねぇな、クソ兄弟。」


                
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(91) 2021/04/22(Thu) 14:16:10

【人】 第11皇子 ハールーン



  ……イスマーイール……


 「アンタル、それ貸せよ。茶ァ淹れてくる
  ハールーン、オマエも来い。気になんだろ」


[自分とは違う白めの肌にオレンジの髪。歳は同じのその弟は、あの日毒殺を仕掛けてきた人物──第12皇子イスマーイールだ。

アンタルが苦笑しつつ呼び止めるも、さっさと給仕室へ向かっているようだった。ダレンに彼の事を口頭で簡単に紹介した。過去に何をされたかも含めて。]


 「──おい、早くしろ。」


[彼の言う『気になるだろ』とは、自分があの日から頑なに出された食事に手をつけなかった事に由来するんだろう。

"誰の手を通ったものか"をひたすらに気にしていた。もっとも、ここに居てそれを気にするのは当時の居住人数を考えると不可能で。それでノイローゼ気味になりながら別宅に逃げたのだった。

──少し、懐かしく思える程度には色褪せた記憶らしい。否、隣に居てくれる人のお陰で心強くいられるからかもしれない。
ダレンに目線を送って、返答する。]


 ……いま、行くよ!


*
(92) 2021/04/22(Thu) 14:18:43

【人】 第11皇子 ハールーン

─ 給仕室 ─


 「皿は下の棚の左にある一番デカイ奴使え。
  茶葉はモスグリーンの棚。茶器はその上。 
  壊すなよ。人数?知らね。6人でいーんじゃね。」


[──なんて事を、コンロ台に足を組んで座りながら上から目線で一気にまくし立てるもんだから、俺は流石に開いた口が塞がらない。あの頃と全く変わっていないのだ。
変わってないといえば、この給仕室も何年経っても真っ白のまま。鮮やかな濃いブルーとターコイズ、ウルトラマリンのタイルが幾何学模様を描いていた。コンロの上に備え付けられた棚はモスグリーンの石造り。コンロしたの棚のドアは昔から木だった。ここだけなんで材質が違うんだろうと、今も同じことを思う。それはさておき、]


  ……ちょっ、なんで命令してんの?!
  俺がやる!

 「オマエ相変わらず莫迦だな
  何の為の従者なんだよ。仕事を奪うな。」


[そういえば、といった雰囲気で俺はじっとイスマーイールを見つめた。実に嫌そうな怪訝な顔で見つめ返される。]


 「……何?」


  イスマーイール……従者居ないんだ。


 「殺してやろうか???」
                
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(98) 2021/04/22(Thu) 19:40:21

【人】 第11皇子 ハールーン


[引きつった笑みで零された物騒なセリフに、思わず笑ってしまった。こんなやり取りを、ダレンはどう思ってるんだろうか?さっき伝えた情報が冗談みたいな雰囲気にみえるかな。
だけど、そう思ってるのは俺だけかもしれない。憂鬱そうなセリフが続く。]


 「もてなしてやってんのに何その態度
  ホント腹立つ野郎なとこは変わってねぇ
  昔からトチ狂ってんだよな。」


  それ、俺のこと毒殺しようとした人が言う?!


 「……昔からそう。皇子の自覚がねンだよ。
  家のために強い奴が残るのは当然だろ。
  弱ぇヤツまで大事に保護なんかしてたら
  秒で財政破綻の未来が見えるわ。」


[『財政破綻』という単語に少々面食らう。確かにそんなこと、考えたことなかったかも知れない。イスマーイールの言葉はそこで終わらなくて]


 「オマエの主観では悲劇かもしんねェけど、客観、
 『皇子の自覚もなくフラフラと逃げ回った挙げ句、
  特に用もないのに男連れで帰ってきた不良債権』
  って状態なの、オマエ解ってんの?」


[そこまでいって、何かに気づいた様に口を噤む。俺は、返す言葉が見つからなくて、ただ、相手から目を離さない事しかできない。]
                
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(99) 2021/04/22(Thu) 19:45:37

【人】 第11皇子 ハールーン



 「……悪い。言い方誤った。

  けど、お前は全然解ってない。
  こうやって生まれてきたんだろうがよ。
  死ぬのが嫌なら、大人しく言う事聞いてりゃ
  不自由なく暮らせるだろうが。」


  ──大事にしてる、ものが、違うだけ、
  じゃないかな……


 「…………そうやって馬鹿にした目で見るオマエが
  ずっと大嫌いだ。帰ってくんなよ。」


[酷いことを言われてる気はするのに、俯向いてこちらを見ないこの弟の方が傷ついてる気がして、何も言えなくなった。

こんな事を考えてるなんて全く思いもしなかったから、思いやる様な返事はできなくて。自分を正当化してしまっただろうか。でもそれも分からない。

重い空気になってしまったと、ダレンを気にしたら、同じタイミングでイスマーイールが声を投げる。]

                
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(100) 2021/04/22(Thu) 19:49:11

【人】 第11皇子 ハールーン



 「──おい、出来たか?
  こんだけ喋ってんだ流石に出来たろ。」


[皿に並べられた菓子類を『悪くないじゃん』と眺め、胸元から取り出した指輪を嵌めて、皿の上にその手を翳す。]


 「ふーん。なんも盛ってねぇな。OK。
  行くぞ。」

  ……えっ、何それ、なにか分かるの?


[指輪を外して仕舞いながらさっさとキッチンの外へと踵を返す彼に問えば、毒殺防止に職人に特注で作らせたものだという。石の変色によって毒も数種類見分けられると簡潔に教えてくれた。それから、背中越しにひとこと。]




 「……アンタルが味方だとか思うなよ。」



[それについては、彼はもう口を開かなかった。]*
                
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(101) 2021/04/22(Thu) 19:57:06

【人】 第11皇子 ハールーン


[子供の頃から何かと喧嘩をしていたなと思い出していた。下の棚から大きな皿を出して、菓子類を並べようと容器の蓋を開ける。あの頃とひとつ、この家が違っているのは人が少ないことだ。護衛や兵らしき者は視界の端に映れど、女性がいない。

ダレンには紅茶をお願いした>>102。茶葉は何がいいだろうか。意外と種類は多いのだが一番スタンダードであると思われるものでお願いした。]

                
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(107) 2021/04/22(Thu) 21:23:39

【人】 第11皇子 ハールーン



 ……早めに帰ろう。
 さっきの魔法具屋さんにも行きたいしね


[付き合ってくれてありがとう、と笑顔で感謝を告げて。

きっと、用意だけで疲れさせてしまったに違いない。一瞬覗いたその表情>>102は、今まで見た事なく険しいものだったから。自分はこの世界に慣れなくて避けていたつもりだったけれど、他の人間よりは慣れてしまっているんだろう。]
(108) 2021/04/22(Thu) 21:39:28

【人】 第11皇子 ハールーン


[広間に案内されれば、アンタルとその従者数名、アルスラーンと乳母達が背の低いテーブルを囲む黒い革張りのソファに座って談笑していた。

ふてぶてしくも輪を作るように座るイスマーイール。2、4番目の兄達は居なくて、ホッとした。
ダレンに持って貰っていた皿をテーブルに置く。客人であるのにそんな事をさせて申し訳無い、と、アンタルが紅茶類をアルスラーンの乳母達に引き受けて貰ってくれた。それぞれに置かれたカップに注がれる。俺はちゃぁんと率先してそれらに口をつけた。]


 ……スライマーン、は?


 「婿に入ったよ去年。お前もそうすれば?
 わざわざ見栄張って従者なんて抱えてねぇで。」


[さっきより一層トゲトゲしくイスマーイールが教えてくれた。6番目の兄の行方。一方、俺は感心してしまう。ここを抜け出すのに、色んなやり方があるんだな、と。

アンタルもアルスラーンも、作った菓子を褒めてくれた。特に小さな弟は、無言で夢中になって食べてくれていた。その姿は素直に嬉しくて笑顔になった。

よく見れば、アンタルもその弟さえもさっきの『指輪』をしていた。イスマーイールのあの言葉がぬるりと心を逆撫でる。]

                
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(112) 2021/04/22(Thu) 21:46:35

【人】 第11皇子 ハールーン



 (俺が信用をされてるされてないとか、そういう話じゃなくて……必要な自衛だよ)


[そう言いきかせるも、もしその指輪がなければ皆食べてくれたのだろうか。そんな考えが頭を過る。
そんな考えに、心が沈むのは、甘えだなと。>>0:146『逃げ回っていた』それは兄弟間での共通の自分への評価なのだろう。出生に向き合っていない、そう言われれば、そうなんだ。]


(さっきの話……ダレンにどう思われたんだろうか)


[問えばきっと、自分を傷つけない言葉を選ぶんだろう。隣にいるその人の事を、伺ってしまう。
向かいのアルスラーンが、菓子を頬張ったままじっとダレンを見つめていて。ちょっと笑ってしまった。さすが俺と似たカラーリングの弟。好みが似てるのかな、なんてね。]

                
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(113) 2021/04/22(Thu) 21:53:11

【人】 第11皇子 ハールーン


[──『どうして戻ってきた。』

その答えを、自分はもう自覚して持っている。
およそ死んでも口に出せないもの。

菓子を囲んで談笑しつつ、ぐるぐると渦巻いていく暗いものから離れられそうにはなかった。そんな折、]



 「──…………へぇ?
  これはこれは、珍しい客人が居るもんだね。」



[この国特有の乾いた風のような。生き物を選ぶ無慈悲な抑揚のない低い声が響いた。]*
(114) 2021/04/22(Thu) 21:54:22

【人】 第11皇子 ハールーン



[その声の方に、視線など向けられない。

一日だって忘れたことはなかった──なんて、そんな事実を思い起こすのも口に出すのも嫌だ。
油断していた。来ないと言われていたし、実際居なかったから。

衝動的にダレンに縋りたくなるのを拳を握って堪える。]


 「水臭いね、アンタル。教えてくれたのなら
  予定は開けたのに。愛しい弟に会うための時間
  ひとつ作れないなんて、王たる者失格だろう?

  イスマーイールが教えてくれなかったら
  危うく機会を逃すところだったよ」


[無表情のままカップに口をつけるその弟と、薄く笑うイスハーク。

当然のように自分の隣へ座る彼の、二人の従者はソファ近くへ。連れ歩く兵団の一部は広間の外で待たせているのが見える。

一脚余ったティーカップは"そういうこと"だったのかと、今気づいた。乳母達が足早に、空いたカップへいつの間にか用意されていた淹れたての紅茶を注ぐ。]

                
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(126) 2021/04/22(Thu) 23:15:22

【人】 第11皇子 ハールーン

 

 「へぇ……これおまえが作ったのか。
  大したものだね。あの頃は泣いてばかり
  いたのに。」


[優雅に躊躇いなく菓子に伸ばされる指は、それをその口へ運ぶ。その光景をただ見ていた。何も出来ないまま、声が出せなくなるのはあの頃と全く同じだ。呼吸が浅くなって無駄に動悸が早くなるところまで。
目は合わせていないのに、蛇に睨みつけられたネズミのようだ。]


 「うん、美味いな。ハールーン

  どうぞ?」


[一口齧られたショートブレッドを差し出されるというその行為を、一瞬、うまく把握できなかった。
眼前の、その菓子を、食べろというのだろうか。この、自らも毒でできたような人間の食べかけを。


毒物の扱いに長けているこの兄は、当然のように自身で効果も調べている。何度か倒れて居るのを見たことがあった。次の日にはケロリと笑って話すものだから、それもなお不気味で。──兄弟の間では、彼は体液は当然のこと、髪の先から爪の先まで余すことなく毒物であるという認識だ。

──あの指輪はしていない。

視線が自分を透かして後ろに注がれるのを感じた。ダレンを見てるのだと解ると、その後に発せられる最低な言葉の予想をしてしまった。

この場所では誰もイスハークに逆らえない。出来るとしてアンタルだ。けれど自分の従者を守れるのは自分だけなのである。]

                
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(127) 2021/04/22(Thu) 23:19:05

【人】 第11皇子 ハールーン


[アンタルの静止が聞こえたような気がしたが、お構いなしに咀嚼して飲み込んだ。差し出された中途半端な形のそれを。
こんなところでまさか自分を殺したりはしないだろうと読んだが、何かを冷静に考える余裕なんてない。]


 「──何を考えてる?」


[ゆるく笑ってこちらに問う声に気付いたときには、距離はゼロになる。イスハークの左腕が大蛇のように自分の半身に絡む。頭を支えられて動けない。

アンタルの静止が強く入る。それでも腕は外れない。外すわけないと思ってしまう。]


 「ははは、可笑しいな。兄弟の抱擁に何を
  そんなに動揺することがあるんだい?」


[朗らかに、低く良く通る声は、よく伸びて場を征す。
思えば初めて触れられている。幼い頃からこの兄だけは恐怖で、ずうっと逃げ回っていた記憶しかない。]


  ぁ、……


[あの頃と変わらない空気に、忘れていた記憶が引きずり出される。身体は強張って冷たくなった指先が震える。ふわりと漂う甘く独特な香りが目眩を起こしそうで、ぎゅっと目を瞑って息を止めた。

どれだけどんな禍根があっても『兄弟』という言葉がそれを片付けてしまう。
そこには『従者』など、割って入れるものではなく。]

                
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(128) 2021/04/22(Thu) 23:24:15

【人】 第11皇子 ハールーン



 「…………つまらなくなったねハールーン
  逃げ回るおまえの方が、よっぽど皇子だった」


[低くつぶやく声と共に、爪の長い指が頭髪の隙間を割って入る。皮膚を舐める尖った感触に肌が粟立ち、思わず回されてない片腕を掴んだ。抵抗になどならない程度の抵抗だ。

その爪が皮膚を破れば何らかの毒が回る。そんな想像をしてしまう──多分合っているのだが。]


 「……小さいね、ハールーン。ちゃんと
  栄養とらないと大きくなれないよ?

  ──菓子類じゃなくてね。」



[ゾッとさせられる耳元の響きに、無理矢理に意識を開かせられるこの感覚に──やっと目が覚める。

この人は意味のある言葉しか言わない。言に魔を込める人だ。表と裏などではなく、多角に光る鉱石のように。黙っていれば捕らわれてしまう。頭にこびりつかないよう意識を閉じて『跳ね返す』]



  っちゃんと、食べてる、よ……

  お菓子は、好きなんだ。
  俺に生きる道をあたえてくれたから……

                
.
(129) 2021/04/22(Thu) 23:27:48

【人】 第11皇子 ハールーン



 「……んふっ、くっくっくっ……」


[いやに嬉しそうに溢れる笑いがひたすらに気味悪く脳内に響いて、]


 「そう……じゃあおまえは
  "それに従事する"人になりたいの?」


[言い方を妙に思う。やっぱり『菓子』が指すものはそれ自体じゃない気がした。意図をやや外して答える。]


  ──俺、は、料理人になりたい
  みんなに、笑顔になってもらえる料理を、
  作る人になりたい……それが、俺の道だと思う、
  から。


[声が震えないように、決意をもって発声した。この気持ちは決して嘘じゃない。
目線を、合わせなくていい体勢になってるのは不幸中の幸いだと思った。]

                
.
(130) 2021/04/22(Thu) 23:31:54

【人】 第11皇子 ハールーン



 「そう…………良かったね。
  ならば定期的に持って来るといい、此処へ。

  僕も甘味は好きだからね。酒に合う。
  身内から忌憚のない意見を貰うのは
  悪くないだろう?」


[おまえも自分で作ったものなら食べられるだろうからと、そう言ってイスハークは腕を緩め──"ひとこと"告げて離れた。他の誰にも聞こえないような、微かな、けれど確かな音を。]



 
『おまえはウスマーンのようには、ならないよね?』




                
.
(131) 2021/04/22(Thu) 23:35:56

【人】 第11皇子 ハールーン



 「……では僕はこれにて失礼するよ。
  御馳走様、ハールーン。
  
  ──戻ってきてくれて、嬉しいよ。」


[離れた腕の感覚だけを、確認して。あとはもう何も、耳に入らなかった。ただその兄の姿が消えるのを見送った。それが本宅での最後の記憶となる。

その場で、自分は意識を手放していた。]**

                
.
(132) 2021/04/22(Thu) 23:40:51
第11皇子 ハールーンは、メモを貼った。
(a10) 2021/04/22(Thu) 23:44:41