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人狼物語 三日月国


124 【身内P村】二十四節気の灯守り【R15RP村】

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【赤】 灯守り 冬至

[ 暫しの後、もう一度穏やかな笑みを見れば ]


  あなたは立派な灯守りです
  私よりも、よほど。


[ 手近な場所へ腰を下ろせば 隣りを手で示して
 「年寄りの話は長いですよ。大丈夫ですか?」
 なんて そんな防衛線を引いたのを覚えている ]

[ それからまた少しの間 夕空を見上げた ]
(*109) 2022/01/30(Sun) 2:57:20

【赤】 灯守り 冬至

[ それは 結論も 定義も 意図も無い
 ふっと始めた ただただとりとめのない昔語り ]


  私 生まれつきへんてこな力を持っていて
  そのせいか灯りがすぐに濁ってたんです。

  不思議な力を持っているなんて父も母も思いもしなくて
  私自身明確に理解できていた訳でも無いから
  当然、自分のことを上手く説明できる訳でも無くて

  だから当時は"病弱"と片付けられて
  灯りは弱るばかりで だから早死にするだろうと
  父と母にはとても苦労をかけていました。


[ どんな力なのか。
 訊かれても 訊かれずとも 掻い摘んで話して ]
(*110) 2022/01/30(Sun) 2:57:41

【赤】 灯守り 冬至


 あの日、
 ――晴れた日でした

 冬至域の冬の晴れは本当に珍しくて
 私の調子も良かったから
 両親が散歩に行こうって 外に連れていってくれました


 ……。
 でも 途中、
 隣りを歩いていた父が急に倒れました。

 突然すぎて何がなんだかわからなかったけど
 父の灯りは何時の間にか消えていて
 母は父に縋って ただ泣くばかりで
 私はただ、それを見ているしか出来なくて


 だから 思ったんです

 死なないでほしい、
 戻って来てほしいって。 多分そんなことを
  
(*111) 2022/01/30(Sun) 2:57:58

【赤】 灯守り 冬至


 父の灯りは元に戻りました

 一度は死んだ筈なのに
 母も私も それを知っていたのに。

 ……。
 これは 後になって雪姫様から――
 先代の冬至から聴いた話ですけど

 その日 灯宮に送るはずの全ての灯りが消えて
 新たにともる筈の灯りが全て消えたそうです

 すごいですよね
 それが私の"病弱"の正体でした

[ 小さな笑いを 見上げる夕空にこぼして ]
(*112) 2022/01/30(Sun) 2:58:18

【赤】 灯守り 冬至


 それから少しして、
 先代と蛍が家にやって来て
 私は領域で二人と暮らし始めました。

 二人とも 冬至域の英雄って呼ばれてて
 今も文献に残るくらい凄い人達なんですけど
 すごく良くしてくれて 本当の両親みたいに育ててくれました

 二人が力の使い方を教えてくれて
 灯りも いくらも澱みが薄らいで 本当に、感謝しかありません

 だから 役に立ちたい
 力になれることがあるなら
 二人の為ならなんだってするつもりでした
  
(*113) 2022/01/30(Sun) 2:58:39

【赤】 灯守り 冬至


 先代が亡くなったのは
 私が領域で暮らし始めて 三…四年くらい経った頃です

 先代は強すぎるくらい 強い人でした
 だから 私たちが魂の限界を迎えていたことに気付けたのは
 先代が倒れた それぐらいぎりぎりの時でした

 冬至の能力を使い続けた事が原因だと
 灯守りという立場も 英雄である事も
 知らず知らず重荷になっていて 限界だったんです

 枯草は自分が灯守りを継ぐと言いましたが
 でも 先代はそれを頑なに拒否していて


 ――…だから私が、立候補しました


 私なら その能力を使って灯りが濁っても
 其の澱みを払う能力があるから大丈夫だと伝えました

 形だけの灯守りです
 二人が居れば 大丈夫だと思いました
 だから先代も 枯草も 受け入れてくれました
  
(*114) 2022/01/30(Sun) 2:59:05

【赤】 灯守り 冬至


  灯守りを継いで
  先代の澱みを反転させる

  それで、全て解決するはずでした。
  
(*115) 2022/01/30(Sun) 2:59:18

【赤】 灯守り 冬至


 不幸せやみ幸せひかり
 ――そうして 先代の灯りは消えました。


 結果は 最悪の結末でした

 私は先代を殺しただけじゃない
 枯草の心も 深く  ………深く傷つけた

 何もしない方が余程幸せな終わりだったと
 誰がどう見ても 明らかなほどに。

 どうしてあんな事をしたのか
 あんな事さえしなければ少なくとも
 少なくとも 枯草を追い詰めることはなかった
  
(*116) 2022/01/30(Sun) 2:59:42

【赤】 灯守り 冬至


[ 彼女は口にした。

 本当は今が 辛かったのだと。
 普通に過ごしたい
 枯草と 私と 家族のように生きたい
 枯草と同じように老いながら共に生きて 逝きたいと

 その願いを叶える為に
 彼女の不幸を 幸せに変えた。

 ――違ったのだ。
 何もかも。

 冬至の能力なんて使わずともわかった
 彼女の灯りが消えた時 聡明な只人は私より早く気付いた

 或いは彼女さえ 最期まで気付かなかった本当の願いに ]
  
(*117) 2022/01/30(Sun) 3:00:05

【赤】 灯守り 冬至


[ ――ただ、死にたかったのだ。

 私達との未来よりもこの生から解放されたかった
 生きている事自体が不幸だった 
 だからそうなった。

 だから 誰よりも傍に居て
 誰よりも彼女の幸せを願った彼は
 愚かな私が愚かな力を使うのをやめさせた

 自分との未来ではなく
 死こそを希望と見出していた

 そんな現実を突きつけられて尚
 彼は、私が犯そうとした罪を止めた そんな人だった ]
  
(*118) 2022/01/30(Sun) 3:00:24

【赤】 灯守り 冬至


 ……どうすれば良かったのか

 使わなければ良かった。
 そうすれば枯草を二重に苦しめなかった

 大切な人を殺した存在を
 ずっと、文句も言わずに支え続けて
 どんな想いで、仇と過ごしていたのか

 私はあの二人を 不幸にしただけだった
  
(*119) 2022/01/30(Sun) 3:00:36

【赤】 灯守り 冬至

[ 気付けば 手が震えていた
 握りしめた拳を反対の手で抑えて
 ――目立たぬよう 細い 長い息を吐いた ]


  ……。
  何をすれば 償えるのか
  そんなことを 今も、考えることがあります


  ――…なんて。

  やっぱりこれ お礼にはなりませんね?


[ 暫くぶりに見上げた彼に
 「すみません」と微笑む事は 容易かった。 ]
(*120) 2022/01/30(Sun) 3:01:32

【赤】 灯守り 冬至


[ 苦言――ただの願い。

 あの時 もっと話していたら
 途中ではぐらかさずに、
 蛍の最期までを きちんと話せば
 ひょっとして何かが変わったのだろうか

 否。
 変わることはない

 彼は優しすぎた。
 身を滅ぼすと解っていても
 其処に心があれば 優しく在る人だ ]
  
(*121) 2022/01/30(Sun) 3:01:53

【赤】 灯守り 冬至

[ あの時とて理解していた
 理解して、それ以上を願うだけに留めた
 ただ 頭にともる あたたかな優しさを受け入れて>>3:*98 ]


  ……夕来、訊いてもいいでしょうか


[ 穏やかで のどかな夕景に
 湿っぽい懺悔の結びなど似合わないから ]


  あなたにとって
  " 灯守り "とはなんですか?


[ 雑談の如き気軽さを伴って
 終わりの近い彼とのこの今に 花を咲かせよう ]


           [ ――近付く夜の風は 未だ其処に ] *
(*122) 2022/01/30(Sun) 3:03:06

【人】 灯守り 冬至

  
――冬から春へ


[ 嘗て 冬至域は雪と共に生きていた

 雪の無い日は無く
 冬には家を呑み込まんと堆く聳えた

 雪に覆われ 雪に阻まれ 雪に囲われ
 雪の内に数多の大切なものが失われた

 民は、雪を疎んでいた ]
(298) 2022/01/30(Sun) 23:20:51

【人】 灯守り 冬至

[ 凍え行く民の心に 二人の若者が立ち上がる

 雪に覆われ 阻まれ 囲われ
 数多の大切なものが失われる雪の内

 雪の姫は数多の灯に寄り添った
 民の陽となり、民はその灯に希望を見る
 
 希望に降りかかる闇を
 傍らの剣士が悉く斬り払う

 彼女達は 民達の陽となった ]
(299) 2022/01/30(Sun) 23:20:56

【人】 灯守り 冬至

[ 或る年の春のこと

 常に雪と共に在る冬至域から
 掛け値無く、一切の雪が消えた

 夢でも見ていたかのように
 夢から覚めたかのように

 冬至域に 春の大地が広がった ]
(300) 2022/01/30(Sun) 23:21:01

【人】 灯守り 冬至

[ 其れは毎年訪れた

 前触れはなく
 理由などわからず
 けれど、必ず一度 雪が消えた。

 民は其れを 神の恵みと称した ]
(301) 2022/01/30(Sun) 23:21:06

【人】 灯守り 冬至


              春はまだかな
        もうすぐさ

   そろそろかなあ
                  もうすぐだ


     あ―――…

            ねえ、見て!


      そらが!

  
(302) 2022/01/30(Sun) 23:21:11

【人】 灯守り 冬至


 [ 天は常夜
  世の闇を満たす常夜の天 ]

 [ 地に満ちる白雪
  遍く罪過を覆いたり ]

 [ 見渡す限りに遮るものの無い
  薄暗がりの織りなす地平線 ]

 [ 昇る陽の無い世界に 少女は立つ ]
  
(303) 2022/01/30(Sun) 23:21:27

【人】 灯守り 冬至


       
*


                  
*

       ―――満たせ

               
*

 
*

         
*

  
(304) 2022/01/30(Sun) 23:21:36

【人】 灯守り 冬至

     
*


    空の盃        
*

    渦巻く暗澹 澱む罅

    降り来たる暗夜 遠き彼方に明星
  
*

    蜻蛉 蠍 狼 烏 蝿 驢馬 梟
    澱み塗れた此の闇夜
                     
*

    災禍の夜 罪過の夜
    呵責の夜を寄る辺無き夜を

    満たせ此の夜へ盃一杯 こんこんと

     
*
(305) 2022/01/30(Sun) 23:21:44

【人】 灯守り 冬至


          
*

    古今今昔
    去就の星夜 去来せし月夜
                   
*

    栄枯興亡
    彼我の晴雨
    貴賤 功罪 清濁の万象
                 
*

    遍く果てに利害無き吉凶を
  
*


    苦楽も悲喜も裏表
    天地因果の死生は輪廻也
  
*

               
*
(306) 2022/01/30(Sun) 23:21:52

【人】 灯守り 冬至


      
*


    満たし零るは瑕疵の星
    其の息吹に堕つるは誰が翳星
                
*


          星やこんこん
            雪やこん
     
*

                   
*

    満ちて
          散りて
              
*

  
*


               ――――翳よ明け   
*

  
(307) 2022/01/30(Sun) 23:21:58

【人】 灯守り 冬至


             
*

           
*

        
*
(308) 2022/01/30(Sun) 23:22:04

【人】 灯守り 冬至

  
――小満と


  くふふ。
  とびきり美味しいお菓子といわれたなら
  フェイを頼らざるを得ませんでした

[ 調理場に立つ小満の傍らで
 のんびりと道具を用意していく>>178 ]
(327) 2022/01/30(Sun) 23:51:56

【人】 灯守り 冬至

[ 甘い香りに 一口と味見をねだりながら ]


  あなたの声を聴いていると
  ついと食べたくなっていけませんね
  口がもうすっかりポタージュの口です

  良きチーズとクリームを見繕って
  お邪魔する事にしましょう


[ おつるの持ち帰ったパンプキンパイは
 真澄やむぎとも共に食べる事にして
 今はまだ少し、おあずけの時>>179 ]
(328) 2022/01/30(Sun) 23:52:00

【人】 灯守り 冬至

[ 真澄やむぎは 今何を話しているだろう>>180
 傍ら 軽口の如くに笑ってみせる知己を
 カフェラテをちびりとしながら盗み見て ]


   どうするのです?


[ もう一口 ちびりと喉の奥へとかす ]


  フェイに何かあったら
  いらなくてもよしよししに行きますからね


[ だから好きなように どうすればいい
 足りぬ言葉を繕わぬ 信頼と怠惰を綯交ぜに ] *
(329) 2022/01/30(Sun) 23:52:04

【赤】 灯守り 冬至

  
―――いつか、貴方と見た月


[ 温泉にくゆる月を見上げていた>>*141

 何も無い夜にともるそれは
 そのひと時は 私にとっての陽であった ]


    ?


[ 隣りで 名を呼ぶ声がして
 ふっと見上げた先の満月>>*142 ]
(*150) 2022/01/30(Sun) 23:59:16

【赤】 灯守り 冬至


  ――…そうですね。

[ 小さく笑って また月を見る。

 このひと時が 続いてほしい
 そんな叶わぬ願いを 天にとかしながら ] *
(*151) 2022/01/30(Sun) 23:59:32
 




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