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【人】 家族愛 サルヴァトーレ【街中】 「────さ、着いた。ほら起きて、お姫様。それとも目覚めのキスが必要かい?」 「……なあに。まだ足りないの? はは、欲張りだなぁ。光栄だけど、僕はこの後用があってね」 「もう、そう拗ねないで。代わりに取っておきのプレゼントがあるんだ────なんだと思う? 当たり!」 「うん、勿論だ。愛しているよ。また顔を出すさ、すぐにね」 「じゃあまた、可愛い人!」 高級感のある黒い車の扉が開く。小柄な女性が姿を現す。こじんまりとしたアパートのドアを開け、その中へと消えていく。 男はそれを最後まで見送っていた。いつも通りの笑顔を浮かべて。 いつまでも家の前に留まっているのは無粋だろう。少し広めの通りへと車を走らす。再び路肩に止めて降り、伸びをする。時間を確認。まだ予定までは余裕がある。 行きつけのバーで時間を潰すか、手頃なカフェにでも入るか、車内で仮眠を取るか。しばし立ったまま悩むようだ。 (7) 2022/08/08(Mon) 22:54:29 |
【人】 家族愛 サルヴァトーレ>>16 君が声をかければ男は顔を上げる。それから車に預けていた腰を戻して、立って。柔らかく微笑むだろう。 「……ああ。君か」 「サルヴァトーレさん、なんて他人行儀だな。トトーって呼んでよ。いつも言ってるだろ?」 白い歯を見せて笑う。落ち着いた色の装いに、色の薄い肌や髪はよく映える。赤に近い紫の瞳が、細められて君を見つめた。 「今、お姫様をお城までお送りしたところだ。勿論丁重にね。 それで次の予定まで時間があるから、暇を潰してる。君は?」 (28) 2022/08/09(Tue) 21:15:44 |
【人】 家族愛 サルヴァトーレ>>34 マキアート 君が照れくさそうな顔をする度、男はいつも眉を下げた。今も同じようにそうして、幼気な我が子を見るような表情をそのかんばせに浮かべている。 指の長い、大きな手が、ゆっくりとした動きで君の頭に伸びた。 「いいとも。謝らないで、僕のカンディート」 「手のかかる子ほど可愛いとは言うけれど、手のかからない子だって同じくらい気にかかるものだね。何か困ってることはない? 君は少し、従順すぎるから」 整えられた髪を崩さないように、注意深く撫で付ける。まずは揃えた指の腹で。それから、曲げた指の背で。 仕事上がりなら少しくたびれているだろうか。それともプロなりに、清潔な姿を保っているのかもしれない。労うように、慈しむように、見下ろす視線。 そんな保護者然として落ち着いた表情はしかし、君の提案で明るい笑顔に変わった。 「いいの? 勿論! 大歓迎だよ、一人は味気ないからね」 「君の行きたいところに行こう。祭りでも、カフェでも、バーでも、なんでも。どこでも」 (47) 2022/08/10(Wed) 1:14:57 |
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