【人】 水子たちの霊 ヒルコ―廃病院 とある病室― 小さな子供が、脚の腐りかけた椅子を足場に、硬いコンクリのむき出しになった窓枠に肘をつき、外を眺める。 夜の闇に覆われ、青黒くなった木々の間に、小さく人影>>4が見えた。 「今日は、どんな人が来るのかな? あそこにいる人は、『僕』と遊んでくれるかな? 『私』と一緒に居てくれるかな? でも、男の人は『俺達』の『ママ』にはなれないね。」 何もいない空間、その四方八方から声があがり、部屋の中で反響する。 さながら、多くの子供がこの場に居るかのように。 (23) 2022/08/08(Mon) 23:02:21 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコしばらくの間、椅子の上でこれから来院する者達を思い、はしゃいで椅子を軋ませていたが、やがて椅子から飛び降りて、部屋の外へと歩いていく。 この病院に存在する人ならざる者は、自分だけではない。 彼等の中にも、自分の願いに沿う存在がいるかもしれない。 そう思い至り、廊下を彷徨い歩くことにしたのだった。* (24) 2022/08/08(Mon) 23:02:28 |
水子たちの霊 ヒルコは、メモを貼った。 (a7) 2022/08/08(Mon) 23:18:48 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコ ─地下「処置室」 四谷、千早と─ 連れ歩く2人>>44 >>47の視界の外。 朽ちて用を成せなくなった机やら、赤茶けたシミのついたベットやらが放り込まれ、一際澱んだ空気が漂う廊下の一角。 赤褐色に濁った瞳が一対覗いている。 「ねぇ、新しい人達だよ。 『私達』と遊んでくれるかな? 『俺達』が『アイツら』で遊んでも構わないかな?」 さながら、子供が遊び相手を見つけたかのような、楽しげな声。 といっても、その声はまだ2人には届かないだろうが。 子供は考える。 さて、どうすれば自分が楽しめるだろうか。 一方は、怪異に会う事を望んでいる者。 もう一方は、すでに怪異の一端に触れて、恐怖を知る者。 どちらを揶揄っても楽しそうだが、どうせなら一番愉快な方法で楽しみたい。 暫く子供は自問自答して、ゆるりと暗闇から抜け出し、目当ての相手の背後から声を掛ける。 (48) 2022/08/09(Tue) 15:04:31 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコ一方的に話し終えて、声の主は消える。 揶揄う相手に選んだのは、怪異に会いたいと望む者。 もう一方を選ばなかった事に理由は無い。 ただ、彼を自分たちの側に引き込めたら、もう一方もきっともっと怖がるだろう、その方が面白い。 そう考えただけの事。 相手がこちらを探そうとしても、見つけることは出来はしない。 もしかしたら、遠く離れていく小さな笑い声を聞くことが出来るかもしれないが。* * (49) 2022/08/09(Tue) 15:08:50 |
水子たちの霊 ヒルコは、メモを貼った。 (a16) 2022/08/09(Tue) 15:09:49 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコ─処置室 四谷、千早と─ 揶揄われた方が、自身を追いかけてきても>>59、笑い声は止まず。 むしろ、彼らからつかず離れず、誘い込むように、地下室への階段の奥から、そして地下廊下の向こう側から、最後はとある部屋の中から。 そこまで至って、ようやく止まった。 ーー…『堕胎室』。 部屋のプレートには、部屋の名前が刻印されていた。 部屋の入るかどうかは、彼らの自由。 もっとも、彼らが部屋に踏み入ったとして、自分はそこには居ないがーーもしかしたら、別の住人はいるかもしれない。 (64) 2022/08/09(Tue) 18:45:56 |
水子たちの霊 ヒルコは、メモを貼った。 (a20) 2022/08/09(Tue) 18:53:03 |
水子たちの霊 ヒルコは、メモを貼った。 (a21) 2022/08/09(Tue) 18:53:42 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコ―病院入り口 名坂と― は あ い ♪ [人気もなく、静まりかえり、冷水に触れたような空気が肌に触れる。 そんな入り口のロビーで、少女の呼びかけ>>66に応じるモノが居た。 少女が振り返れば、手近な椅子に腰かけた子供の姿があるだろう。] (84) 2022/08/09(Tue) 22:00:43 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコ (85) 2022/08/09(Tue) 22:01:12 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコねぇ、『僕』も一緒に探してあげようか。 まだ生きてるとは思えないけど、身体の一部ぐらいは見つかるかもしれないし。 [この病院で消息を絶ったなら、つまりそう言う事。 言葉には、少女への温情などなく、事実を突きつける。 だって、自分は生きていた事なんてないのだから。 生きている者の気持ちなどわかろうはずもない。] その代わりに、『私達』のお願いも聞いてくれる? [爛々と、光る眼が少女に注がれる。 この少女こそが、自分たちの「母親」になってくれるかもしれない。 歪んだ欲求を、彼女に向けていた。*] (86) 2022/08/09(Tue) 22:01:18 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコ[少女に話しかけていたところ、こちらに歩み寄ってくる姿>>83が見えた。] ――あの人が、雪? [目の前の少女に問う。 はてさてどうしたものか。 少女が望むなら、三人で探すことも構わない。 自分が邪魔ならば、潔く身を引こう。]* (87) 2022/08/09(Tue) 22:03:56 |
水子たちの霊 ヒルコは、メモを貼った。 (a29) 2022/08/09(Tue) 22:06:59 |
水子たちの霊 ヒルコは、メモを貼った。 (a30) 2022/08/09(Tue) 22:09:05 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコ―いつかの話 カナと― 「―〜~※§Ж〜―♪」 彼女が時折口ずさむ歌>>63を、彼女が横たわるベッドの横で、懸命に真似をする。 生まれた事のない自分達には、声を出す感覚などわからないから、酷いものだけれど。 言葉に込められた意味など、わからないけれど。 それゆえにか、彼女の歌に籠っている想いはわかる。 心が壊れて、それでもなお、刻まれた記憶。 それを、羨ましいと思う。 同時に、腹の底から憎く思う。 ――自分は、そんな風に歌ってくれる相手すらいないのに。 (95) 2022/08/09(Tue) 22:29:48 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコ「ねぇ、おねぇさん。 教えてよ、『僕たち』だけじゃあ、わからないんだ。」 彼女の名前を聞いた事は無かった。 だから、いつも「おねぇさん」とだけ呼んでいた。 「どうして、そんなにキレイに歌えるの? 「歌う」って、どんな気持ちで歌えばいいの? ―――誰かを愛してるって、どんな気持ちなの?」 何一つわからない。 何せ、経験する事すらなかったのだから。 歌に籠めるべき思いが、からっぽだった。 「―〜~※§Ж〜―♪」 調子はずれな声が響く。 彼女のベッドの横で、日が昇るまで。* (96) 2022/08/09(Tue) 22:30:02 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコ―病院入り口 名坂さん、カナさん― 「イモウト? 言葉の意味はわからないけど、生きた人間なら、さっき地下の堕胎室に案内した。 『お姉ちゃん』って、呼んでる人も知ってるよ。」 言葉の意味はわからないが、言葉の響き>>92なら知っている。 もっとも、「お姉ちゃん」と呼んでいるのは>>72の事なので、要点を理解しているとは言い難いが。 「ねぇ、さっき言った、『僕達』のお願い>>86、聞いてくれる? この人>>97を、連れて行ってあげて。 『僕達』より、ずっと大切な物を探し続けてる人だから。 『私達』は後ろについて行かせてもらえればいい。」 そう、少女に懇願する。 自分達の願いより、そちらの方が重要であろう。* (99) 2022/08/09(Tue) 22:54:32 |
水子たちの霊 ヒルコは、メモを貼った。 (a32) 2022/08/09(Tue) 23:08:12 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコ―病院入り口 名坂さん、カナさん― こちらの願いに、了承を返す少女>>105の様子に、ほっと息を吐く。 「――…ありがとう。 『私達』は、質問して貰えたら応えるから、困ったら呼んでね。」 それだけ伝えて、後は二人の成り行きに任せよう。 特に聞かれる事が無ければ、黙って後をついて行くし、邪魔ならば早々に離れて他に行くとしよう。** (111) 2022/08/09(Tue) 23:34:14 |
水子たちの霊 ヒルコは、メモを貼った。 (a35) 2022/08/09(Tue) 23:38:45 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコー病院入り口 名坂、カナさんとー 少しぼんやりした様子のおねぇさん>>118の手へと、そっと自分の手を重ねる。 今日は、比較的記憶の状態が良いのだろうか? 「怖いお話に、休めそうな場所? ーーなら、死体安置室かな。 誰かが食べちゃったりしてなければ、『イモウト』の身体も、あるかもしれないよ? 『俺達』も、何人かそこにいるから、見せてあげようか?」 死体安置室なら、彼女の目的に叶うだろう。 曰くの多い地下に有って、『イモウト』を見つけられる可能性があり、皆んなぴくりとも動かずに休み続けている。 「それとも、屋上? 高いところからなら、探し物もしやすいし。 みんな、『これで楽になれる』って言って、飛び降りるんだ。 『楽』って、休むって事でしょう?」 少女へと問いかける。 どちらが、少女の目的に沿うだろうかと。 (132) 2022/08/10(Wed) 9:48:30 |
水子たちの霊 ヒルコは、メモを貼った。 (a43) 2022/08/10(Wed) 9:53:50 |
水子たちの霊 ヒルコは、メモを貼った。 (a49) 2022/08/10(Wed) 17:51:01 |
水子たちの霊 ヒルコは、メモを貼った。 (a50) 2022/08/10(Wed) 19:29:58 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコ─病院入り口 名坂、カナと─ 「死体安置室なら、こっちだよ。」 少女から了承>>140を得れば、二人に先立ち、先導して歩き始める。 向かう先は、地下室へと降りる階段。 鼻を抜ける地上より濃い黴臭さと、皮膚に纏わりつく水分を含んだ空気。 そんな中を、二人がついて来ているかどうか、時折振り返りながら――。 (153) 2022/08/10(Wed) 22:03:27 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコ→死体安置室 ――部屋の中央には、赤黒く錆びた大きなベッド。 壁には、無数の金属の扉が並んでいる。 その中に何が仕舞われているか、かすかに漂う生臭さから、あえて言うまでもないだろう。 おもむろ、並んだ扉の一つに手を掛けて、躊躇なく開いてみせた。 「この身体が、『イモウト』?」 もし、少女が扉の中を覗き込むのなら。 まず鼻の奥に突き刺さる様な刺激臭を感じる事だろう。 次に、真っ黒な袋に包まれた大きな何かが、横たえられている事が目に映る。 (154) 2022/08/10(Wed) 22:03:47 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコ「この身体だった人は、何人か前の■■さんだったかな?」 記憶は朧気ながら、この身体も「■■さん」呼ばれていたのだったと思う。 もしかしたら、一緒に案内したおねぇさんが、詳しい事を知っているかもしれない。 (155) 2022/08/10(Wed) 22:04:02 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコ「――『俺』の役割は、ここで終わりだけれど。 どうする?」 少女の願いはかなえた。 ならば、もう『僕』が少女に同行する理由は無い。 少女がこれ以上、『私達』に望むものがないのなら、あとは二人に任せてしまおうと思うけれど。* (156) 2022/08/10(Wed) 22:04:06 |
水子たちの霊 ヒルコは、メモを貼った。 (a53) 2022/08/10(Wed) 22:07:58 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコ─死体安置室 名坂、カナと─ どうやら、自分の働きは少女の満足に足るものだったらしい。 これで、ここを立ち去っても後腐れはないという事だ。 ならば、あとはカナおねぇさんに任せてしまおう。 「『イモウト』、見つかると良いね。」 『私達』に礼を言う二人>>169>>175へ、『僕ら』も言葉を返しておいた。 (178) 2022/08/11(Thu) 0:21:40 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコ部屋の出入り口、重く冷たい金属製の扉に手をあてて―――手が、扉の中へと潜り込んだ。 続いて肘が、肩が、頭が、扉の中へと潜り込んでいって、一番最後に残った脚が扉に飲み込まれて、子供の姿は綺麗さっぱり部屋の中から消えた。* (179) 2022/08/11(Thu) 0:21:47 |
(a59) 2022/08/11(Thu) 0:23:56 |
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