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【赤】 陽葉 シロマ散開した後。 どこかの時間、どこかの教室。 教卓の前で、少女が教鞭を執っていた。 「…… 鳥飼 。」机に被さる様にして、麦わら帽子の青年が座っていた。 いや、そうさせられていた。 「まだ一人かぁ。 ふふ、道のりは長いね」 (*1) 2022/07/02(Sat) 23:20:34 |
【赤】 陽葉 シロマ「や、深雪ちゃん。 ごめんね?彼、攫いやすそうだったからさ」 まだ細い息を残す青年の頭を、麦わら帽子越しに撫でる。 言葉からして、貴方の友人であると知っているようだ。 今回の面子の中で違和感なく過ごす程度には、記憶をある程度把握しているのだろう。 「私はここの在校生だったんだけど……君は多分最近の子だよね」 つまり、若く見積もっても生きていれば──貴方達の祖父母程の年齢になる。 (*3) 2022/07/02(Sat) 23:43:47 |
【人】 陽葉 シロマ>>【職員室】 >>25 「見出す、ね。 そうだなあ……出席簿とか名簿は面白そうだ。 皆のおじいちゃんおばあちゃんの名前とか、案外あるかもしれない」 棚の中でも、校長室に近い方の棚へ向かう。 ここに無ければ更に奥、校長室を見るつもりだった。 「ん〜……校長室だと今度は違う気がするんだよなあ」 恐らくそちらには出資者やその類、卒業生達より上の世代が並ぶ名簿だ。 そこまで遡ってしまうと、逆に身近では無くなってしまう。 曽祖父や曾祖母が生きていれば、多少面白味があるかもしれないが。 「……、……お! えーと……、ここら辺かな?」 棚の中で散らばっていた在校生名簿が数冊。 中から、最も若い年月日の物と二番目に若い年月日の物を取り出した。 二番目に若い年月日の名簿を永瀬に差し出して。 「マユちゃんはこっち見てくれるかい。 見覚えのある苗字があれば、当たりだ」 (30) 2022/07/02(Sat) 23:56:13 |
【赤】 陽葉 シロマ「心配しなくても、酷いことするつもりなんて無いよ」 まるでこの行いが酷いこと≠ナは無い風に告げて微笑んだ。 「……私ね、先生になりたかったんだ」 目を伏せた少女は語る。 「 でも生徒がいなくちゃ、先生はできないだろう? 」だから攫った。只其れだけ。 その精神性は、当時のまま育っていない。 (*5) 2022/07/03(Sun) 0:48:47 |
【人】 陽葉 シロマ>>【職員室】>>42 「ああ、そうそう。用務員さんの部屋だ。 昔は主事さんが寝泊りしてたっておばあちゃんが……」 祖母の話を嬉々として語りながら、畳の敷かれた主事室を少し迷ってから土足で上がる。 とっくに砂埃だらけだ。靴を脱いだら靴下が真っ黒になってしまうだろう。 鍵を入れるなら恐らくここだ、と目星を付けて机の引き出しに手をかける。 机の一番上の引き出しが、施錠されている。もしくは何かが引っかかっている。 勿論、強硬手段に出ても良いだろう。 「……」 どうする?と言いたげな視線を貴方に向けた。 『これ以上の遠回りは流石にちょっと面倒だよね』という顔でもある。 (43) 2022/07/03(Sun) 1:07:57 |
【赤】 陽炎 シロマ「……ふふ。 こんな良い子を除け者になんて、する筈無いじゃないか」 さみしがりの貴方に近付いて。 自分よりも低い位置にある頭へ手を伸ばす。 「ああ、これからも皆で一緒にいよう。 先生のこと──手伝ってくれるかい?深雪。」 これまでにもこの校舎を訪れた者はいた。 しかし殆ど大学生の年頃であったりして、白間にとって彼らは生徒というより『大人』だった。 自らも少女と呼べる年齢であるが、長い月日をこの校舎で過ごした故に。 自身を『大人』と考えている。 彼女の刻は、あの夏で止まっているというのに。 (*7) 2022/07/03(Sun) 10:33:46 |
【人】 陽葉 シロマ>>【職員室】 >>57 >>59 普段よりもほんの少し柔らかい表情に、こちらも微笑ましそうな気持ちになる。 「構わないよ。マユちゃんはもう手荷物たくさんあるし、私が持っておこう。 いざという時は守って貰おうかな……ん?」 連続して鳴る通知音に、スマートフォンを取り出して。 次々にアップされる顔に見える染みや落書き、転けやすそうな穴を眺めていた。 ……ので、息を吸ったことに気付いたのは、耳を劈くような大声が聞こえた後であった。 キーン…… キーン…… キーン…… 「……まずは向こうの様子見に行こうか? 校長室はその後にしよう」 相変わらず耳がキーンしているが、何でも無い風に装った。 声の聞こえた方を指し示す。 (62) 2022/07/03(Sun) 11:29:53 |
【人】 陽葉 シロマ>>【廊下】 「いざとなったら私が裏道を背負って戻ろうかと思ってたけど、その必要は無さそうだね」 体格的に、本当に必要となればこの少女はするだろう。 運動部であることも含めて、力はある方だ。 「カナ姉、暗いの苦手なら明日香の所でのんびりしてるかい? ほら、奥の方。多分あの明かり、明日香だよ」 誘導灯のように揺れる懐中電灯の明かりを指し示す。 「裏道、カナ姉を教室まで送ってくれるかな」 あえて『ついていくか』ではなく、『送り届けてほしい』という言葉を選ぶ。 (69) 2022/07/03(Sun) 13:01:32 |
【人】 陽葉 シロマ>>【廊下】 親戚の少女の擦り傷を見て、口を開きかけたものの。 あの教室にいるのが、手当の上手い薬袋であることを思い出した。 「私はまだ探索の途中だしね。 それにほら、一人にすると無茶しそうだし…… 」名前を出さずに、すぐ傍にいる永瀬を一瞬視線で示す。 自身をブレーキ役と自覚しているのだ。 ついさっき正攻法を使ったばかりだが 「ま、こちらも手ぶらでは戻れないのさ。 何せ勝負だからね」 そう告げる少女の片手には、錆びた鍵束。 これで色々な場所を開けようという算段だ。 (73) 2022/07/03(Sun) 14:29:59 |
【人】 陽葉 シロマ>>【廊下】 少女の視線に気付き、「わかった」と一言頷いた。 自分の体格もある。床の抜ける音がしたら、自分か山中の確率が高いだろう。 猫島は……猫分の重みも含めたら確率は高いかも。 舌打ちされようと気にも留めず、笑顔のまま。 本気で嫌われているとも思っていない。そんなことは青年の言葉や態度でわかる。 「はーい。ちゃんとどこにいるかは伝えつつ行くつもりだからさ。 時々見ておいて」 スマートフォンを軽く示し、セーブポイントへ向かう貴方達を見送った。 (78) 2022/07/03(Sun) 15:12:27 |
【赤】 陽葉 シロマ柔らかい髪をするりと撫でる。 「ありがとう、助かるよ。 生徒集めが一番大変だからね」 この学校だって、生徒がいれば。 名前を変えて、校舎を建て替えて、今日まで続いている筈だった。 誰だって独りは寂しい。 この校舎で何十年もの時を過ごし、少女の欲は膨れ上がっていた。 「皆一緒の方が良いに決まってる。 歳も関係なくさ、同じ教室で過ごせたら良いなあって。 新学制って長くても六年しか同じ学校に通えないだろう?」 もしも生きていたのなら。 それは、承認欲求と呼ばれる代物だ。 「ああ、そうそう。ひとつ確認しておかなきゃ」 話を戻すように、少女は軽く手を叩く。 ▽ (*9) 2022/07/03(Sun) 17:53:30 |
【赤】 陽葉 シロマ「皆≠チて言ってたけど──…… それは、 今日ここに来た全員のことかな? 」「それとも、 君と特に仲の良い友達だけ? 」私はどちらでも良いよ、と付け加えて少女は返答を待った。 生徒が一人でもいれば『先生』役は務まるのだから。 (*10) 2022/07/03(Sun) 17:54:10 |
【赤】 陽葉 シロマ「……ああ。 何のしがらみも無く、将来を憂うこともなく、ずっと楽しく穏やかに暮らせたら最高だ」 女だから無理だとか、男だから無理だとか。 子供だから無理だとか、大人だから無理だとか。 そんな無粋なことを言う人間がいない場所で。 「よし、 全員だ 。せっかく奉公も戦争も無くなって、民主主義になったんだから。 離れ離れになる必要なんて何処にもないもの」 勿論、これは二人の願望というだけ。 七夕の短冊に書く様な、幼く無謀な高望み。 だが、しかし。 夢は大きく、我儘であるべきだ。 ▽ (*13) 2022/07/03(Sun) 21:18:54 |
【赤】 陽葉 シロマ鳥飼へ視線を向け、貴方に戻す。 「まずは彼から攫っちゃおう。 後は……誘いやすい子から誘っていこうか? こちら側 が多くなれば、寂しくなって自ら来たがる子だって出てくるかもしれないしね」髪を一つに結んだ少女と、自分を遠い血縁だと信じている少女。 彼女たちは誘えばきっと来ると、白間はそう考える。 (*14) 2022/07/03(Sun) 21:20:04 |
【人】 陽葉 シロマ>>【校長室】 >>92 そんな貴方の後ろに続き、校長室へ。 ぐるりと室内を見渡し、壁にかけられたままの肖像画を見た。 歴代の校長が並んでいるが、初期の物は手書きの肖像画だ。随分と上手いものだから、写真に見えるが。 「雰囲気はあるね〜。 とりあえず撮っておこう」 それらをスマホで撮ると、一旦ポケットに入れた。 そして当時の校長が使っていたであろう、机の引き出しを開けてみる。 「……ん、」 一番上の引き出しに入っていたのは、数枚の紙だった。 ボロボロの紙はよく見れば『券』『切符』と書かれているのが見える。 氏名からして、恐らく校長一家の物だろう。 「配給切符か」 すんなりと紙の正体を当て、机の上に置く。 更に下の引き出しから、古い冊子を数冊見つけ出した。 (101) 2022/07/04(Mon) 10:45:22 |
シロマは、かなり掘りすぎた。でも発掘できたし、ヨシ! (a46) 2022/07/04(Mon) 11:42:02 |
【赤】 陽葉 シロマ「そうだねぇ、誘えば来てくれそうな子が多いのは確かだ。 只、相馬くんは工夫しないと難しそうだけど」 彼に対して言い包めや説得は難しいだろう。 どうすれば興味を持たせることができるか、恐らくそこに懸かっている。 ……暫し考えたものの、一先ずは。 少しでも『全員』という夢に近付く為に、数を揃えなければ。 (*17) 2022/07/04(Mon) 12:04:19 |
【赤】 陽葉 シロマそうして聞いた貴方の甘えを、心地良く感じながら少女は頷いた。 「……ああ、いいよ。勿論だとも」 自身が子供だからこそ、誘い方というものに想像がつく。 子供の気持ちがわかるから、甘言の選び方だって知っている。 「それまでは、彼らと親交を深めておこう。 時に情は理屈を越えるものだからね」 大人≠ニいう子供のおわりが見えてきたからこそ、情に訴える余地がある。 少女はそう考えていた。 (*18) 2022/07/04(Mon) 12:04:58 |
【人】 陽葉 シロマ>>【校長室】 >>107 冊子を机に置き、スマホで一枚撮る。 たしたし。少し操作をしてからしまった。 「一番乗り……しちゃうかい?」 放っておけば、一人でも貴方は向かってしまうだろう。 なら共に向かった方が良い。 きっと、防空壕の中でもあまり作りがしっかりしていない──粗末な物の筈だ。 比較的丈夫な作りをしているなら、付近の学校が授業の一環として見学させていてもおかしくない。 そうしていないということは……つまり、多少の危険がある場所だ。 「ま、他にも来たい子がいるかもしれないし、のんびり校舎裏に向かうとしよう。 蔵……倉庫にでも寄って、シャベルとか調達してさ」 (113) 2022/07/04(Mon) 14:27:46 |
シロマは、見取り図 を 手に入れた!▼ (a47) 2022/07/04(Mon) 18:01:47 |
【赤】 陽葉 シロマ「暫くしたら、この教室で会おうか。 私は在籍していた証拠の隠滅をしなきゃいけないし……牧夫を隠したら色々動くつもりだ。 職員室の方には人が行かないようにしてくれると助かるよ」 先程見つけた名簿。 そこにはしっかりと、自分の名前が記されていた。 永瀬がいた手前、放置してきたが──もしかすると、誰かが見てしまうかもしれない。 処分するか、隠すかしなければ。 「いってらっしゃい」 とはいえ、これは『先生』の仕事だ。 この場は『生徒』の背中に手を振って。 扉の向こう側に消える背中を見送っただろう。 (*21) 2022/07/04(Mon) 18:15:26 |
シロマは、結局玄関先に立て掛けて置いた。 (a50) 2022/07/04(Mon) 21:05:01 |
シロマは、机選びのセンスが79くらい。 (a53) 2022/07/04(Mon) 21:51:43 |
シロマは、机選びのセンスが結構ある。 (a54) 2022/07/04(Mon) 21:52:01 |
【赤】 陽葉 シロマ>>【職員室】 >>117 永瀬を見送り、一人になった頃。 鳥飼の様子を確認してから、足早に職員室へ戻って来る。 そろそろ起きてしまう筈だ。 白間コズヱは神ではなく、普通の人間であった。 神隠しの真似事など長くは持たないだろう。 名簿から自身の名前が記載された頁を破り、ポケットに入れる。 さて、どうしようか。 破いても良いが、パズルのように復元される可能性もある。 そんな芸当をしてしまいそうな者もいることだ、あまり賢い選択肢ではない。 燃やすにしても、夜の暗闇で炎は目立つ。 加えて、自分はマッチなど持っていない。 「……そうだ」 ふと、思い至る。 「牧夫に手伝ってもらおう」 とっておきの隠し場所が、あるではないか。 唇は静かに弧を描き、ピントが外れたように輪郭が滲んで──── ───ゆらり、少女の影が消えた。 (*23) 2022/07/04(Mon) 22:34:00 |
【人】 陽葉 シロマ>>【校舎裏】 液晶画面に表示させた見取り図と、周囲の景色を交互に見ながら歩いている。 校舎や焼却炉の位置関係から、防空壕の大まかな位置を予測しているのだった。 とはいえ、待ち合わせの入れ違いになるのは良くない。 「多分……ここから真っ直ぐ行ったらあるかな」 目星を付けると校舎の側まで戻り、木々の茂る校舎裏を見やった。 その景色は、半ば裏山といった表現が近いかもしれない。 (130) 2022/07/04(Mon) 22:35:13 |
シロマは、周囲をきょろきょろ。猫ちゃんを見つけられなかった (a63) 2022/07/05(Tue) 22:39:54 |
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