シロマは、線を引いた。 (a11) 2022/07/16(Sat) 12:54:07 |
シロマは、出席簿に名前を書き加えた。 (a14) 2022/07/16(Sat) 16:46:56 |
【赤】 先生 シロマ……色とりどりの炎が、花を咲かせた後。 どこかで、少女が教鞭を執っていた。 「 鳥飼 。」「 夢川 。」「 司馬 。」「 来家 。」「 山中 。」名前が増え、賑やかになった出席簿を満足気に読み上げる。 その声は隠し切れない程の喜色が溢れていた。 「……ふ、ふふ! すごいなぁ、こんなに沢山! 体育の授業だって色々できるようになるね……!」 前回との違いは、更に名前が増えたことと──最後にもう一名分、空欄があった。 「さて、さて。 もしかしたら、遅刻かもしれないし。少し待っておかないとだ」 欠席かもしれないけれど。 時間は幾らでもある。 時計の針が進まないのだから。 (*1) 2022/07/20(Wed) 23:06:44 |
【赤】 先生 シロマ「……良かった。 『もし待ち切れないから今すぐ行こう』って言われたらどうしようかと思ってたんだ。 私はこの辺りから動けないしさ」 貴方に視線を向けた後、窓の奥を見遣った。 「しかし、矢張り難しかったね。 特に私は皆と昔から友達、というわけでもないから……夜が明けてしまうと尚更」 もしも幼馴染なら、情に訴えることも可能だろう。そう思い 馴染んだ わけだが。白間コズヱは神でもなく、只の少女であった。限界というものはどうしても見えてくる。 ギシ、板が沈む。 教壇の上を、少女の細い足が進んでいく。 ▽ (*4) 2022/07/21(Thu) 11:19:27 |
【赤】 先生 シロマ「……今日は、『待ち切れなくなったら』の話をしようと思ってたんだ」 貴方の頭を、誉めるように撫でて。 「ね、深雪。 車とか用意できそう?バスとかさ。 そういうのがあれば私も移動できるだろうし──修学旅行だって行けると思うんだ」 自ら調達できればするのだが、こればかりはそうもいかない。 生徒の、貴方の力を頼るしか無かった。 「それに」 できる限り多くを望む子供の、 「 皆を迎えに行き易いかと思って。 」夢を叶えてこその教師だ。 (*5) 2022/07/21(Thu) 11:20:53 |
【赤】 先生 シロマ昨夜から明け方。 ほんの数時間だが……思い感じて過ごしたことは、正しく現実のものだろう。 それは自分が、貴方が、ここにいるという証左に他ならない。 たったそれだけの事実が、存在の証拠だ。 「……そう言ってくれると嬉しいよ」 きっとそんな貴方だからこそ、この学級へやって来たのかもしれない。 「まあ、急ぎというわけでもないからね! 初めての課題……うん、校外学習って感じかなぁ」 楽しみで仕方ないのだろう。 普段の落ち着いた抑揚も今は無く、年相応の笑顔があった。 「修学旅行はやっぱり京都かな。 いや、最近は東京なんだっけ。 たしか、すごく高い電波塔ができたんだろう? ……へえ、もう向こうまで車で行けるようになったんだ。 高速……道路?っていうのを使うんだね」 「ああ、寝るのが惜しい! こんなに今夜が待ち遠しい朝は初めてだ……」 (*8) 2022/07/21(Thu) 19:32:36 |
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