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【人】 瑞野 那岐[ガーリックブレッドに ルッコラの効いたサラダパスタ。 スープは定番のミネストローネ。 どれもローストチキンと相性のいいものだ。 二人の腹に収まっていくのを眺めつつ、 グラスが何度か活躍する頃には すっかり取皿も空になっていて 客足も途絶えていただろう。 閉店後には従業員用のバックヤードに移動してもらい 主の居なくなったテーブルを拭き上げていく。 戦場だった厨房も、 朝訪れた時のように磨きがかかっていた。] (5) 2023/12/24(Sun) 14:03:06 |
【人】 瑞野 那岐[サンタの帽子を脱いで元の姿に戻り、 小さな箱を抱えて、待ち人の元へと向かう。 お待たせしました、と声を掛け外に出れば、 白い粉雪が舞っていた。] ああ、やっぱり、雪が降ったんですね。 [空を見上げて呟くように零し、 冷えるという彼を見上げて頷いた。 イブから年末にかけては降りやすいとは聞くが まるで神がタイミングを見計らったように イブの日に雪が降らせるのは偶然か、どうか。] (6) 2023/12/24(Sun) 14:03:21 |
【人】 瑞野 那岐いいですね、温かそうで。 [隣で端末を弄る彼に軽く同意する。 喋る度に白い息が空気に溶け込んでいく。 どうやら風呂だけでなく、今日はこたつもあるらしい。 こたつとシャンパンというミスマッチさに ふ、と眉尻を下げて笑う。] それと、デザートもまだだったでしょう? タルト、ありますよ。 [手にしていた小さな箱を軽く掲げてみせる。 自宅についてからと考えてはいたが、 誘いをかけられたら中身をネタばらしを少し。] (7) 2023/12/24(Sun) 14:03:42 |
【人】 瑞野 那岐[明日もクリスマス当日が残っている為、 午前中にはランチの準備に 店には向かわないといけないだろう。 それでも一般的なサラリーマンたちよりは 夜更かしできる店で良かったと思う。 アスファルトを白く染めていく雪を眺めながら ゆっくり、帰路を踏みしめていく。*] (8) 2023/12/24(Sun) 14:03:54 |
【人】 瑞野 那岐[雪が降ると手を伸ばしたくなるのはどうしてか。 冷たいと分かっていながらも、 降りてくる雪に手を伸ばして結晶を水に変えていく。 もっと降るという言葉には苦笑を零して] 積もる程は、困りますけどね。 [都内の交通機関は天候で麻痺しやすい。 積もる程になれば道はすぐに凍ってしまうだろうから。 鍋の提案にも軽く相槌を返しつつ、 流れで食べ物の話になったなら。] (12) 2023/12/24(Sun) 15:50:08 |
【人】 瑞野 那岐[そんな夜気の寒さを抜けて彼の家に赴けば、 冷えた頬を彼の唇が温めてくれた。] ただいま。 [お邪魔します、というより、いつの間にか ただいま、と口にするようになった玄関。 冬の生地の厚いジャケットを脱いでも 室内は暖かさが残っていた。] 先にいいんですか? じゃあ、お言葉に甘えて。 [と断りを入れたものの、体力仕事の料理人。 冬でもほんのりを汗をかくくらいには汚れているので 早く汗を洗い流したい。──彼と居るのならば尚更。] (14) 2023/12/24(Sun) 15:50:32 |
【人】 瑞野 那岐クローゼット、触りますね。 [軽く頭を下げて自室でもないのに増えてきた 自身の着替えを手にするべく足を運び 勝手知ったる様子で準備をしてから浴室へと向かう。 ジョークの言える人間ならば、 一緒に入ります?なんて言葉も交わしたかもしれない。 そう考えて、一度。 浴室の前で足を止めて振り返ったけれど。] …………。 [構えてしまえば妙に気恥ずかしくなって、 口を閉ざし、ぱたりと扉を閉じた。*] (15) 2023/12/24(Sun) 15:50:48 |
【人】 瑞野 那岐[汗と汚れを洗い流して、頭からシャワーを浴びる。 鏡が曇っていくことに浴室の温まりを感じて、 ほっと息をついた。 サンタの帽子でついていた前髪の癖も 濡れてしまった今ではなくなって。 キュ、とシャワーを閉じてから張ってある湯船に 身を浸せばじんわりと身体の芯から温まる。 帰り道に彼が話していた旅館のことを 自然と思い出した。 初夏の緑が鮮やかだった時期の景色も 美しかったが冬場の寒空の下 雪が降る中で温度差を楽しむ露天風呂も さぞかし景観がいいことだろう。] (21) 2023/12/24(Sun) 21:08:16 |
【人】 瑞野 那岐『次に旅行に行くなら、 景斗さんが話していた方の温泉に行きたいです。』 [帰り道にはそう応えた。 始めてのドライブで桜の咲く頃に聞いた話。 そちらの実現はまだ叶っていない。 湯船の中で肌を撫でればちゃぷん、と水気が跳ねる。 旅行にノリ気だった彼の表情を思い出して笑う。 社会人になってからは旅行という旅行には あまり行く機会がなかったから擽ったい。 こうして彼と過ごす時間が 少しずつ、少しずつ増えていくのだろう。] (22) 2023/12/24(Sun) 21:08:39 |
【人】 瑞野 那岐[クリスマスの夜を、誰かと過ごしたことが ないわけではなかったけれど。 数年ぶりの『恋人』と過ごすクリスマスというのは いささか久しぶりな気がして。 あまり変わらない日常のようになっている現状に 少しばかり気後れてしまう。 かといって仕事上がりではどこかに寄ることもできず 申し訳程度のタルトぐらいしかない。 一つだけ用意しているものは、なくはないけれど。 そんなことを少し頭の片隅で考えながら、 少し火照ってきた身体が熱さを訴えて 湯船から身体を起こした。] (23) 2023/12/24(Sun) 21:08:49 |
【人】 瑞野 那岐……あ。 [そして、脱衣所に来てから気づく。 パジャマの上下は用意したものの、 その下に履く下着の準備を忘れていたことに。 ぽたぽたと髪から落ちてくる水気を拭い、 タオルを肩に掛けたままの状態で そっとリビングへと続く扉を開けて顔を覗かせる。] (24) 2023/12/24(Sun) 21:09:14 |
【人】 瑞野 那岐[冬の寒さは応えるから、トレーナーでは足りない。 触り心地のいい前開きの、いわゆるもこもこした フリース素材の生地のナイトウェアを着て。] お先にいただきました。 お風呂、温かいですよ。 [浴室に向かう彼を見送りつつ、 風呂上がりの補給にキッチンへと向かう。 冷蔵庫を開ければ、先程の箱が入っていた。 これは後で二人で食べるとして、 今はブラックコーヒーを手にリビングへと戻る。 先程も見たが部屋の中央に鎮座するこたつは 二人で入っても十分な広さだ。 足先を入れれば、素足がほんのりと熱に晒される。 暖かい、と、無意識に声が漏れた。**] (26) 2023/12/25(Mon) 1:37:03 |
【人】 瑞野 那岐[ここ最近は時間が噛み合わなかったせいか、 彼の家に来ること自体を控えていた。 それでも、会いたい、と言葉を飾らずに 伝えてくれる彼に気持ちが傾かないはずもなく。 もらった合鍵を使って彼の居ない部屋で 待つこともしばしば合った。 夜でも胃に凭れないような夜食を作り、 温めるだけの状態で待っているつもりが うとうとと船を漕いでしまった日も。 ”待たせる”という行為が返って 気を使わせてしまうのではないかと。 やはりしばらく来るのは控えると口にした日もあったが 『もう少し』、その一言に引き摺られて 結局、自分の意志も弱いまま。] (30) 2023/12/25(Mon) 21:40:23 |
【人】 瑞野 那岐[だから、店の中だけでも。 お風呂から上がって寝るまでの少しだけでも。 こうしてゆっくりと時間を過ごせるのは久々だった。 とはいえ彼の方はまた朝から出かけるという。 もう時計の針は天辺で揃いそうになっている時間。 あまり、夜更かしもさせられないだろう。 こくん、コーヒーを喉に流し込んで息をつく。 大人になって時間を作るのはこうも難しいのかと、 改めて物思いに耽けていれば、やがて 浴室から物音が聞こえ始めた。] シャンパンを一人で先に飲むのは さすがに、待ってますよ。 [グラスの代わりに置かれたマグカップは 幾分か減っていたけれど。] (31) 2023/12/25(Mon) 21:40:36 |
【人】 瑞野 那岐[髪はしっかりと乾かしてきたのだろう。 寧ろ、中途半端に乾かした自身のほうが まだ少し湿り気が残っているかもしれない。 そういう細やかさに 身だしなみを気にかける仕事なのだと ふとした瞬間に気付かされながら。] ええ、足が温かいです。 背中まで温まれないのが残念。 [こたつの感想を笑い混じりに応え 彼がボトルを取りに行くなら 自分も腰をあげようとして軽く制止が掛かる。] (32) 2023/12/25(Mon) 21:41:08 |
【人】 瑞野 那岐[遠慮なく準備を任せながらせめてもと テーブルを片付けて伏せたままのグラスを寄せる。 ボトルの扱いは彼のほうが慣れているだろう。 注ぐのを任せながら、誘いの声がかかれば] はい、いただきます。 せっかくのイブだし。 こたつで寝たくなる気持ちは分かりますけど、 オレじゃベッドまで運べませんよ。 [双眸を細めて頷き、独り言のような声に笑う。] (33) 2023/12/25(Mon) 21:41:22 |
【人】 瑞野 那岐[互いに夜着に着替えて こたつにシャンパンとタルトと飲み干したマグカップ。 始めての恋人とのクリスマス。 ……そう語るにはさすがにリラックスが過ぎている かもしれないが、それも悪くないと思える。] 乾杯。 [カチリと、音を鳴らし合わせれば 音だけは鐘の音が響くように綺麗に。 タルトは切り分けるつもりだったけれど そのまま食べたいというのなら、どうぞ。と 愉しそうにフルーツを見つめる彼を促しただろう。*] (34) 2023/12/25(Mon) 21:41:34 |
【人】 瑞野 那岐[寒いのがだめだという人は、 趣味のバイクに乗る時には厚着をしてでも 走らせたいと言っているのに。 こたつの悪魔には抗えないらしい。] そうですね、家にも置いていないし 実家にもこたつはなかったから新鮮かな。 気に入るかどうかはこれからの 使い道次第ということで。 [くすくすと肩を揺らして応えをはぐらかす。 笑ってしまっていることと、 既に言葉に甘えてこたつから出なかったことで その内情は知られているようなものだろう。] (39) 2023/12/25(Mon) 23:56:29 |
【人】 瑞野 那岐[彼が布団を広げれば足元に外気が入り込む。 素足の彼の足が少しだけ触れて、 冷たい、と笑いながら大袈裟に足を引いたりして。 もう一つの問い掛けが投げられたなら、 ぱち、と目を瞬かせた。] 本当に寝ちゃうんですか? 風邪引きますよ。 [後半、少し嗜めるようになったのは この後控えた仕事のことも気になってのこと。 仕事では見えない姿をいくらか知っていても、 さほど日常にだらしなさを感じた訳でもなく 少し意外に思えたのも一つ。] (40) 2023/12/25(Mon) 23:56:41 |
【人】 瑞野 那岐[ホールとはいえカップル用に作られていた 限定のものだから、サイズは然程大きくはない。 直径12cmほどのフルーツタルトだ。 称賛の言葉に目を細め、 彼が口に運ぶ様を横目にグラスを傾ける。 炭酸の混じったシャンパンが喉元を過ぎていく。 パチパチとする感じと仄かに熱を持つアルコール。 少し喉が焼けるような感覚に息を吐く。] うん、店のシャンパンも美味しかったですけど、 こっちも美味しい。 [どこで買ったんですか?と話のつまみに グラスを揺らしながら問いかけて。 飲みやすいものを選んでくれたのも きっと、自身の好みを鑑みてのことだろう。] (41) 2023/12/25(Mon) 23:56:55 |
【人】 瑞野 那岐[こたつで風邪を引くことは 既に経験済みだったらしい。] そうしてください。 景斗さん自身と、 あなたを待っているファンのためにも。 [こたつの中で軽く肩を竦めて見せる。 彼自身、裏方に回ったは言っていても 続けているラジオ番組もあれば、 表舞台に復帰を願う声も少なからずあるだろう。 誰かに求められるような仕事に携わるのは 世間ではほんの一握りだ。 そんな彼がしている仕事を楽しみにしていた 自身の経験と、もう一つは恋人としての忠告。] (45) 2023/12/26(Tue) 21:13:41 |
【人】 瑞野 那岐[電源切ってと言われても、 実際にその場を見てしまえば甘やかしてしまうだろう。 そうしたら寒くなりません?と、 軽く合いの手を入れつつ、ひとまず。 今のところは眠気が来そうにないことを確認して。 タルトにはいちごだけでなく キウイとマスカット、それにラズベリーも載っていた。 緑と赤の組み合わせ、いわゆるクリスマスカラーだ。 食べるのはほとんど彼に任せることになっただろう。 けれど、奨められたなら自身もと、 フォークで果物を口に運んだ。 シャンパンの弾ける泡と果汁が絡む。 美味しいという言葉は自然と溢れていた。] (46) 2023/12/26(Tue) 21:13:55 |
【人】 瑞野 那岐[彼が自身を蔑ろに癖が時々あると、 気づいたのは増えた会話の中からだった。 今だって彼の為にと告げた言葉はきっと、 彼にとっては、きっと。 俺の為にという意味も含まれているのだろう。 大切にされていると思う。 それは言葉の端々に感じられても、 時々念を押すように言ってしまうのは何よりも 自身で、自身を、大事して欲しいからに他ならない。 いくら傍に居ても気づけないこともある。 そういった時に、彼は堪えることを選びそうだから。] (49) 2023/12/26(Tue) 22:30:50 |
【人】 瑞野 那岐[彼自身がそのことに気づくまで、 懇切丁寧に伝え続けることになるだろう。 今はそれが俺の為だとしても。 向けられた一口分のタルトを 首を近づけてフォークごと口に含む。 甘さで誤魔化されたような気がしなくもない。 けれど、 彼から与えられる甘さは癖になるから 今はその味を堪能する為に言葉を呑んだ。] (50) 2023/12/26(Tue) 22:30:59 |
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