【人】 教会住みの娘 エヴィ[ 教会を出ればようやく息が出来るような、 そんな日々の暮らしの中で、いつだって 外の空気だけは私に嘘をつかないと、 小さく空を見上げては息をひとつ吐くのです。 御使いを頼まれ、川沿いを歩く。 変わらない生活を送る自分の周りは 普段よりずっと賑やかで、華やかで、 あぁ今年も音楽祭の季節が来たのだと 目を伏せました。 ] [ 18になったのだから、私も参加したい。 宮廷音楽家の肩書にはたいして魅力を 感じないけれど、安定した収入があれば ここを出て行ける。 教会の小さな妹や弟たちに、少しは 良い暮らしをさせてあげられる。 ] (10) 2020/09/19(Sat) 8:34:37 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ[ ……ぼんやりと歩く私の目の端に、ゆらり 揺れて立ち昇る、細い煙。 街の風景になんとなく馴染まない佇まいの 男の人は、燻らせていた煙草をぽいと 川へ投げました>>5 川にゴミ捨てんじゃないわよ、と言う舌打ちを ぐぐと腹に据えて、私はにっこりと笑って。 その人がこちらに気づいたのなら ぺこりと頭を下げましょう。 彼が迷惑がらない様子であるなら、 微笑んだまま一節歌を歌います。 ] 愛する主よ、父なる神よ 私達の愚かな行いをお赦しください [ なぁんて。 許すも許さないも、川の魚が決めるでしょう? ]* (11) 2020/09/19(Sat) 8:38:16 |
教会住みの娘 エヴィは、メモを貼った。 (a2) 2020/09/19(Sat) 8:40:00 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ[ こちらに会釈を返すその姿はなんだか ばつが悪そうで>>15。 先程の吸殻のポイ捨ては、さほど悪意が あったものではないのかしらねと思えば、 ふ、と辺りの空気が緩むような気がしました。 だから続ける歌は、季節の風に乗せましょう。 透けるような青の空に細く雲を掃くように、 色付いた木の葉をさらり揺らすように、 流れる川のさざめきを邪魔しないように。 独言るように紡がれる言葉>>15は そんな歌に紛れて、私の耳には途切れて。 ] (18) 2020/09/19(Sat) 17:05:15 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ[ そうしてふいに向けられた彼の声が 耳に届けば>>16、私の身体は無意識に びくりと小さく跳ねてしまいます。 怖かったわけではなく、男の人の声に 身を竦めることは日々の癖のようなもの ですから、気付かれないように。 また笑みを浮かべて。 ] …神様の歌です。 どこで、習ったのでしょうね。 物心ついた時には、歌っておりました。 [ 声が震えないように、喉に力を少し込めて、 そう答えます。 ] 音楽祭にいらした方ですか? 貴方に神の御加護が降り注ぎますように。 お嫌でなければ、少しだけ (19) 2020/09/19(Sat) 17:06:57 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ[ 彼が首を竦めて笑えば>>26、やはりどこか ふわりと空気が揺らいだような気がしました。 演奏をするのだと言うその異国の人が、 どのような音を生み出すのかはまるで見当も つきませんが、纏う風は確かに音を奏でるよう… 示されるまま、確かにあまり見たことがない、 不思議な形の上着に、パンツに、靴に、 ちらと目をやりました。 嗤うなど、とんでもない。 見慣れないお姿ですけれど、とてもよく、 似合っていらっしゃいますし。 [ そのアシンメトリーでは片方だけ寒くない? なぁんて、聞けないけれど。 ] (57) 2020/09/20(Sun) 7:45:22 |
【人】 教会住みの娘 エヴィそれに、伝統だけが音楽ではありませんもの。 [ ついそんな事がぽろりと転がり出れば、あ、 と口を噤みます。 慌てて、 ] 貴方が信じて進まれる道に、 神様は必ず寄り添って下さいますわ。 ( 人は皆、神の御下には平等ですから。 (うそばっかり。) [ と付け足して。 思い出したように、くす、と 僅かな笑みも付け足して。 ] (58) 2020/09/20(Sun) 7:48:47 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ[ けれどそのあと続いた言葉>>26には、 ぢり、と音を立てる胸の奥に気づいてしまうのです。 あぁこの方もやはり音楽祭に 参加されるのですね。 ] ……私は、 [ 参加出来たら、どんなに幸せだろう。 あいつの狂った庇護から抜け出して 心のままに、歌えたら。 一時だけ、目を閉じて。 重い瞼を懸命に持ち上げても、 真っ直ぐな、その人の瞳は直視出来ないままに。 ] (59) 2020/09/20(Sun) 7:51:25 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ…私は、そこの教会で寝起きする、 ただの神の子です。 神から賜った声で、歌で、人と競ったり、 金銭を得たりすることは、許されないのです。 [ 初めて会った名も知らぬ異国の人に、 何故こんなことを話してしまうのか、 自分でもわからないまま。 彼はどのような様子で居たのでしょうか、 困らせた様子なら、慌てて謝るでしょう。 そうでなくても、やはり小さく頭を下げます。 ] お時間を頂いて、ごめんなさい。 貴方の音に、どうか良い未来が訪れますように。 [ 異国の音楽、聞いてみたいなぁ、なんて。 あの人が聞いたら折檻間違い無しのことを思って。 唇をぎゅうと引き締めて、ふわり笑って。 また歩き出そうとしたでしょう。 ]* (60) 2020/09/20(Sun) 7:55:59 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ* [ 音楽祭に出てみたいと、初めてお願いしたのは いつのことだったのでしょうか。 あの日、教会を訪れた、宮廷楽士の方々。 何の御用でいらしたのか、男性か女性か、 何人だったか、それすら覚えてはいないけれど 王国の紋章、銀の中央に線が引かれた布の 腕章>>28 は今までに見たどんな物よりも眩しく 私の目を焼いたのでした。 音楽祭の話をされていたようでした。 私は決して視線を上げることを許されては いませんでしたから、そっと花瓶の水を 替えるふりをして、耳をそば立てていました。 ] (68) 2020/09/20(Sun) 11:43:10 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ[ 皆様がお帰りになった後、私も、 あのような素晴らしい皆様の前で、 一度で良いから歌ってみたいと、 勇気を振り絞って懇願したけれど、 やはり髪の毛ほどの期待をしたのが馬鹿馬鹿しい と言うほどに、返ってきたのはいつもより 少し激しくなった暴力で。 開かれた世界などに目を奪われず、 ただここで歌っていれば良いのだ、と 投げられる言葉は、いつも街の人たちに 教えを説く時となんら変わらない、 静かに穏やかに凛と響く声。 嗤いながら、その人は、 神父様は 手にした司祭杖で、分厚い聖書で、 祭服の裾を翻しその靴で、それは楽しそうに 私を嬲るのでした。 ] (69) 2020/09/20(Sun) 11:45:11 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ神様など、居ないのですよ。 祈れば願いを聞き届けてくださるような、 そんな人はどこにも。 [ そう思いながら、けれど私は今日もまた 神を讃える歌を歌うのです。 ] 驚くべき恵み なんと甘美な響きよ 私のように悲惨な者を救って下さった。 かつては迷ったが、今は見つけられ、 かつては盲目であったが、今は見える。 * (70) 2020/09/20(Sun) 11:48:18 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ[ 歩を進める私の背に触れる、言葉。>>93 私の唐突な告白を聞いて尚そう掛けて くださる声は、なにか闊達としたものではない ように感じられ、あぁやはり困らせてしまった と、小さく眉根が寄りました。 それでも私は振り返ることをせずに。 先程と同じように、彼の未来が輝くようにと 小さな祈りを口遊みながら。 ] (96) 2020/09/20(Sun) 22:36:46 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ音楽祭で、会おう。 [ 今振り返れば、きっと笑えない。 ] 音楽祭で、会えたら。 [ 目と鼻の奥が、じん、と熱くなることに、 気付かないふりをすることに懸命だった私は、 その人が、何を見ていたのか、 何を思ってその場所に暫し立ち尽くしていたのか>>93 彼の心にあるものを察することなど 当然出来ないままでした。 ]* (97) 2020/09/20(Sun) 22:39:28 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ[ 橋を渡ってしばらく行けば、そういえば 普段の御使い事より少し遅くなったことを 草木の影を見て知って。 一瞬、ふと案じました。 が、明日までしばらく神父様は教会に 戻られないと言うことを思い出して、 は、と吐息混じりの笑みを吐き出して。 音楽祭の為に、才能ある者を探す為。>>77 この次期神父様は彼方此方に出向いては、 宮廷学士にふさわしい音の持ち主を探すのです。 見つけて来た者が、宮廷学士に選ばれた ]ことは一度もないですけど。 ざまぁみろ。 (98) 2020/09/20(Sun) 23:04:10 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ[ ならば、お花屋さんに伺う予定を、少しだけ。 音楽祭が行われる宮廷をせめて、 一目だけでも見てみたい。 豪華な王宮で紡がれる輝く音たちの、 ほんの一筋でも漏れ出てきては 風が私の耳に運んでくれるかもしれない。 普段なら絶対に思わないそんなことが やけにクリアに頭を過ったのは、 やはり先程の異国の方との出会いが為した ことなのでしょうか。 ぎゅむ、と踵を返して、私は宮廷がある通りに 足を向かわせました。 ]* (99) 2020/09/20(Sun) 23:07:39 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ* [ 身体の傷は日が経てば癒えます。 少々の折檻なら慣れましたし、 私に矛先が向いている間、小さな妹や弟には 充分な食べ物や暖かい寝床が与えられ ましたから、さほど辛くはありません。 ただ、皆が寝静まった夜に訪れる その伽だけは、いつまで経っても ねぇ、皆様はご存知ないでしょう? まさか神職にお仕えのあの人が 人々に慕われ尊敬され、畏敬の対象でさえ あるあの人が 夜な夜などんな瞳を宿しているのか。 ] (105) 2020/09/20(Sun) 23:17:58 |
【人】 教会住みの娘 エヴィ[ そんな時、私は決まって歌を歌います。 もちろん心の中で。 ] ( 主よ御許に近づかん ) ( いかなる苦難が待ち受けようとも ) ( 汝の為に我が歌を捧げん ) ( 主よ御許に近づかん ) [ こんな時さえ、歌える歌は限られていて。 だって知る歌は賛美歌しかないのだから。 心も、身体も、汚れた自分が歌うには あまりにも相応しくないというのに ]** (106) 2020/09/20(Sun) 23:21:50 |
(a23) 2020/09/20(Sun) 23:23:48 |
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