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【赤】 少年水夫 カイル[命もない、魔法も使えない一人の子供が、 目的を果たすためには、ここに居る他なかった。 あれから5年ほど経つ、時が経てば経つほど、 運命的な再会を果たす可能性は低くなる。 正直、焦っている。 でも僕はこの店に運よく相手が来ることを願い、 待ち続ける以外に出来ることはない。 会いたいだけなら、探しに行けばいい。 世界中を探すのは簡単な事ではないけれど、 ただここで待っているよりは、まだ希望がある。 でも厳密に言うと、会う事が目的ではない。 僕が本当に果たしたいのは―――――……。] (*0) 2022/05/27(Fri) 3:12:49 |
【人】 少年水夫 カイル現実って結構きついですから、 振り落とされてしまう事もありますよね。 色々なことが重なりすぎて、 目を開けていられなかったり。 自分を責めても辛くなるだけだから、 一時的に見ないふりをするのって、 そんなに悪い事じゃないと思います。 [あんな身の上話をした後だから、 現実のきつさについては説得力があると思う。] (1) 2022/05/27(Fri) 3:14:20 |
【赤】 少年水夫 カイル[僕だって気付いている。 一寸先は闇。未来はどう転ぶか分からない。 問題の先延ばしをしているだけかもしれない。 運命を変えたはいいが、より悲惨な末路を辿るかもしれない。 知ってしまったからこそ、悲劇が生まれるかもしれない。 占い自体は当たっているのに、 それを伝えることで未来の展開にずれが生じて、 占いが外れてしまったような形になるかもしれない。] (*1) 2022/05/27(Fri) 3:15:51 |
【人】 少年水夫 カイル[でも、だからこそ僕は思う。] 占いで未来を知ったとしても、そうでなかったとしても、 結局どうするか決断するのは自分です。 その先に待つ未来は、全て本人の責任ですよ。 もし何かに依存して、決断を放棄したなら、 それも決断を放棄した、本人の問題です。 自分の運命背負うだけでも、結構辛いものなのに、 他者の運命にまで責任を感じて、 一人で背負い込むことはないんじゃないですか? (2) 2022/05/27(Fri) 3:16:26 |
【人】 少年水夫 カイル相手が大切な人だったりして、 自分も背負いたい!って 思う事もあるかもしれませんけど、 それで心が潰れてしまったら、 きっとその相手は申し訳ないと思うんじゃないですかね。 これでは、どちらにとっても辛すぎるでしょう。 二人で二人分背負うとかなら、ありかもしれませんね。 [生前の知り合いの殆どを失った僕だから、 自分のやりたいように生きても (死んでるけど)、 苦しむ人はいない筈。それだけが、身軽で心地良い。] (3) 2022/05/27(Fri) 3:18:03 |
【人】 少年水夫 カイル[流れ星に願い事をするおまじない。 確かにこれは西の方の文化だから、 東の方に住んでいるであろう お兄さんには馴染みがないかも知れない。] 僕もそこまで詳しくはないんですけど、 西の方の経典が起源だと聞きました。 [お兄さんが描いてくれて地図を見る。 頭の中にある地図との照合を始め、 場所の特定は出来た。] (6) 2022/05/27(Fri) 3:20:34 |
【人】 少年水夫 カイル有難う御座います。 これで、問題ないかと。 僕はお酒の用意をしてきますね。 [お兄さんの方に何もなさそうなのを確認したら、 僕は厨房の方へと向かった。**] (7) 2022/05/27(Fri) 3:20:55 |
【人】 少年水夫 カイル[厨房に戻ってきて、お土産用のお酒作りを開始する。 と言ってもフルーツやスパイスを予め漬け込んであるから、 僕が手を加えることは、そんなにないのだけれど。 赤ワインのサングリアは、 苺、オレンジ、ラズベリー、 ブルーベリー、柘榴が漬け込まれている。 これに砂糖やシナモンなどの調味料も入っていて、 お酒が得意じゃない女性とかでも、 飲みやすいんじゃないかな。 預かった瓶に丁寧に、サングリアを注いでいく。 僕はここで スターフルーツ をスライスして、一切れ入れた。指を組み、目を閉じる。] (33) 2022/05/27(Fri) 20:19:29 |
【人】 少年水夫 カイル[今日はとても霧が深いからね。 残念ながら星どころか周囲も見えないけれど、 ここから目的地は離れている。 帰り着くまでに、何度か夜を迎える筈だ。 僕は毎晩、ここで流れ星を探すよ。 見つけたら今度こそ、きちんと本物の星にお願いする。 事情は知っているみたいだし、 ウーヴェに言ったら一緒に探してくれるかな? 今日のこれは、予行練習。 願い事3回に所在地まで、 星が落ちる前に言い切るのは中々大変だからね。] (34) 2022/05/27(Fri) 20:21:03 |
【人】 少年水夫 カイル[用意が整えば、またターバンのお兄さんの席へと戻る。] お待たせしました。 お持ち帰り用の、赤ワインのサングリアです。 僕がサングリアを選んだ理由は、 生前ホットワインをよく飲んでいたからなんです。 あれは過熱してアルコールを飛ばしているので お酒ではないですが、 材料があまり変わらないので、 サングリアも味に馴染みがあるように思えて。 寒い北の海で、オーロラを眺めながら父と飲みました。 毛布にくるまって、二人身を寄せあって。 [どんな奇跡をもってしても取り戻せない、僕の 宝物 。] (35) 2022/05/27(Fri) 20:22:25 |
【人】 少年水夫 カイル飲んでいたのは普通のホットワインです。 でもこの味は、僕にとって特別なもの。 今でも冬になると時々飲みます。この店で。 失ってしまった悲しみを呼び起こしても、 僕はこの味が恋しくなる。 一人だったら絶対に飲む気にならないと思います。 ここには少なくとも僕にとって、 "大切な仲間"しかいないから……。 だからここで飲むホットワインは、 とても美味しいんですよ。 (36) 2022/05/27(Fri) 20:23:21 |
【人】 少年水夫 カイル魔法をかけるより確実に、特別な製法よりも強く、 誰かと一緒に飲むことは、 お酒を何倍も美味しくします。 それが、自分のことを深く 大切に想ってくれる友人だったら、 尚の事、味は変わってきますよね。 だからこのお酒を"特別"にするのは、出来るのは、 僕はお客様ご自身なんだと思いますよ。 (38) 2022/05/27(Fri) 20:24:23 |
【人】 少年水夫 カイル― 閉店後:MiraggiO ―[夜は明け、霧幻の宴は終わった。 お客様が帰り始める頃、 僕は食器やテーブルの片づけをしながら、 ペガサスナイトのお兄さんの席の会計だけは 横目でしっかりと見守った。 本当に全部お兄さんの奢りだったのか……。 それは会計を見届けた者のみぞ知る。 明け方にウーヴェが肉じゃがを 食べているのを見たけれど、>>16 残ってしまった料理はきっとそれだけではなかった筈。 そんな料理を従業員たちで、互いを労いながら食したい。 「皆でお疲れ様会をしようよ!」なんて 提案してみたけれど、 参加してくれた人はいたかな?] (46) 2022/05/28(Sat) 7:19:20 |
【赤】 少年水夫 カイル― 回想:僕たちの船が沈んだ理由 ―[ウルティマ・トゥーレへと向かう途中に、 僕たちは救援信号を出している船を発見した。 近づいて双眼鏡を覗けば、 船の甲板にがりがりに瘦せ細って、 最早服とは言えないぼろぼろの布を纏った青年が、 膝を抱えているのが見えた。 勿論、僕たちは救助に向かった。 父さんをはじめとした乗組員たちが船を移り、 青年に気をとられている隙に、 僕たちの船に待機していた賊が侵入した。] (*2) 2022/05/28(Sat) 7:21:13 |
【赤】 少年水夫 カイル[初めに人質に取られたのは、僕より幼い乗客の少女。 そして少女を盾にして、人質は増えていった。 当然、僕もその中に含まれた。 「私たちはどうなってもいい。 どうか乗客の命だけは助けて欲しい」 最後まで懇願する父を無視して、 下卑た笑みを浮かべながら、父の首を撥ねる光景を、 僕の瞳はしっかりと映した。 それを皮切りに、大人の男性は乗組員・乗客を問わず、 一人残らず命を刈られた。 僕はもうこの時点で、 後生だからいっそ今すぐ僕も殺して欲しいと思ったよ。 けれど、地獄の宴は終わらなかった。] (*3) 2022/05/28(Sat) 7:22:11 |
【赤】 少年水夫 カイル[次に狙われたのは女性。 「クルーの皆さんが噂しているのを聞いたの。 貴方がとってもお料理上手だって。 プロのお料理も良いけれど、 貴方の作った料理も食べてみたいわ」 どこかで僕の境遇を知って、 優しく接してくれた乗客の奥さんが……。 「私は途中で下船して、恋人の元へ行くの。 二人暮らしが安定したら、結婚するわ。 ハネムーンで、再会できると良いわね」 幸せを約束されていた筈の、乗客のお姉さんが……。] (*4) 2022/05/28(Sat) 7:22:48 |
【赤】 少年水夫 カイル[他にも船に乗っていた花は一輪残らず、 海賊どもに踏み荒らされた。 奴らが何をしたのか、子供には分からない。 彼女たちが何をされたのか、子供には分からない。 でも、死んだ方がマシな事をされているだろうことは、 分かってしまった……。] (*5) 2022/05/28(Sat) 7:23:49 |
【赤】 少年水夫 カイル[こんな所に最高にイイ女など居ようものなら、 どんな酷い目に遭ったことか、子供の僕にも知れたこと。 既にこの世に存在しないものを盗むことは出来ない。 だから僕は心の底から、 母さんが生きていなくて良かったなどと、 罰当たりなこと思ったんだ。] (*6) 2022/05/28(Sat) 7:24:21 |
【赤】 少年水夫 カイル[希望と愛を乗せていた船から、 幸福は残らず奪われた。 最後に僕たちの船は油を撒かれて火をつけられ、 夕日みたいに沈んでいった。 僕たち女子供は、そのまま海賊のアジトへ拉致された。 最早暴れて抵抗する元気を持つ者も、 泣き叫ぶ元気のある者もいなかった。 アジトには他にも何処かで僕たちのように 拉致されてきたのであろう、 女性や子供たちが沢山いた。] (*7) 2022/05/28(Sat) 7:25:12 |
【赤】 少年水夫 カイル[そして今度は、僕たちを奴隷として売るために、 船で奴隷市場のある場所へと移動する。 不衛生な船室には、絶望に塗れた子供たちが、 ぎゅうぎゅうに犇めき合っていた。 一日に一度、魚に餌をやるように、 パンくずが僕たちの押し込められた船室にばら撒かれる。 それをわれ先にと、奪い合いながら貪った。 最早、人としてまともに生きているとは、 到底言えない有様だった。] (*8) 2022/05/28(Sat) 7:25:52 |
【赤】 少年水夫 カイル[いつしか狭い船室内で、しきりに咳をする子供が出てきた。 人数はどんどん増えていき、死者も出始める。 海賊は子供がこと切れているのを確認すると、 面倒くさそうに船室の外へ運んでいった。 まともに葬ってくれるような連中じゃない。 船外へと子供たちの屍は投げ捨てられていたのだろう。 当然医者が診ることなどありえないから、 これは僕の推測だけれど、 あれは恐らく肺結核だったのだと思う。 生きているだけで満身創痍な子供たちに、 病は翼を開く様に軽やかに蔓延した。 当然僕も、同じ病気を患った。] (*9) 2022/05/28(Sat) 7:26:43 |
【赤】 少年水夫 カイル[高熱に、止まらない咳、血痰……。 最初はすし詰めだった船室内に、 ぽつりぽつりと穴が開いていく。 「助けて」と、声にならない叫びをあげた時、 僕の瞳が捉えたのは、幸せだったころの幻。 助けて欲しいのは、皆の方だったと思う。 僕は今の今まで、のうのうと生きてしまった。] 助かってしまった (*10) 2022/05/28(Sat) 7:28:16 |
【赤】 少年水夫 カイル[高熱で痛む節々に無理をさせ伸ばした手は、 何も掴むことなく沈んでいった。 を叶えることもできず、 を守ることもできず、 に一矢報いることもできなかった。 悪寒で震える体に、熱に浮かされ燃える憎悪。] (*11) 2022/05/28(Sat) 7:28:59 |
【人】 少年水夫 カイルでは、ここに居る店員たちの行く末が、 温かなものになるように願って貰えますか? [その中に僕は含まなくていい……とはっきり示さずに、 けれど"僕の友人"と言う事で、 僕自身は対象から外れる言い方を選んだ。 狡かったかな?伝わらないかもしれないけど。] (132) 2022/05/29(Sun) 14:05:26 |
【人】 少年水夫 カイル道中、気を付けてお帰り下さいね。 せっかくここまで来て、お酒も手に入ったのに、 飲むことが出来なかったら悲しすぎますから。 [自分が既に命を持たない身だと、 やはりそこは心配になってしまう。 しっかりと酒瓶を託せば、一礼して店内を見回した。**] (133) 2022/05/29(Sun) 14:06:30 |
【人】 少年水夫 カイル― 回想:僕がここで働く理由 ―[死後に目を覚ました時、僕は海岸にいた。 砂浜に突っ伏すようにしていたのに、 砂の感触がなかったのを覚えている。 自分の姿を見れば、いつものセーラー服を着ていて、 けれど死んだその時のような、衰弱した体ではなかった。 目を閉じて波の音を聞く。 僕も遂に非業の死を遂げた……それは覚えている。 まるで夢だったかのように、僕にはその痕跡がなかった。 だからと言って、失ったものは失ったまま……。] (172) 2022/05/29(Sun) 22:30:04 |
【赤】 怨霊 カイル[この五年ほどの間、 憎い奴らの顔を忘れることはひと時もなかった。 全員しっかり覚えている。 ……残念ながら、未だ巡り会えてはいないんだけどね。 僕が知る限りお客様たちは、基本良い人ばかり。 それが世界中の善人比率が高いということの証左なら、 それはそれで良い事だとも思うけれど。 流石に僕も良い人相手に悪さをすることはしないよ? あんな死を遂げたからこそ、 良い人が理不尽に不幸な目に合うのは、大嫌いだし。] (*18) 2022/05/29(Sun) 22:34:50 |
【赤】 怨霊 カイル[復讐は何も生まないとはよく言ったもので。 確かに生まない。 僕が悪党の魂をその身から引き抜けば、 悪党から生まれる筈だった被害者も 生まれなくなる 。 だからといって、自分の行いを正当化するつもりはない。 命を奪う事は、例え相手がどんな人間であろうと、 それが正しいなんてことは、決してあり得ないと思う。] (*19) 2022/05/29(Sun) 22:35:23 |
【赤】 怨霊 カイル[運命の再会を果たし、 内心で 「ここで会ったが百年目」 なんてほくそ笑む日はきっと来る。 それが僕の持つ、強くて暗い願望。] (*20) 2022/05/29(Sun) 22:36:09 |
【人】 少年水夫 カイル― 会計時:MiraggiO ―[お客様方が店を出始めるより少し前、 スマートに会計を済ませようとしている ペガサスナイトのお兄さんに気付いて、>>188 僕はつい熱視線を送ってしまっていたらしい。 お兄さんに見つかってしまった……。] ……本当に奢りだったんですね。いえ、何でも……。 お口にあったなら、僕も嬉しいですよ。 わ!ご丁寧にどうも。 僕はカイルと言います。 [ペガサスの名前まで教えてくれたのには、にっこりした。 幽霊相手に名を教えるのを警戒するのは当然のことで、 僕もそれが分かっているから、 気になったけど聞けなかった。] (210) 2022/05/30(Mon) 2:52:00 |
【人】 少年水夫 カイル……手土産ですか? お客様、随分とお人よしですね。 夜が明け始めて無事に帰れそうだから 安心しちゃいました? でも、世の中には良い幽霊も悪い幽霊もいますが、 悪い幽霊の方が圧倒的に多いと思うので、 少し気を付けた方が良いですよ。 僕がここで、 「ではお客様の命を下さい」 どうするんですか? [善良で、気前が良くて、紳士。……顔も良い。 美人は得をするというけれど、 彼の場合は苦労の方が多そうな気がする。 完全に偏見だけどね。 ] (211) 2022/05/30(Mon) 2:53:37 |
【人】 少年水夫 カイルでは、お土産話をお願いできますか? アリアと見た宝石のような景色でも、 日常で遭遇したちょっと面白い事でも、 何なら上司に対する愚痴でも良いです。 僕はこの通り若くして命を落としましたから、 世界に知らないことが沢山あります。 僕はお客様のお話を聞くの、大好きなので。 [普通の日にここを訪れる生者はそう多くはないけれど、 万が一話している所を見られたら、引かれる可能性は高い。 でも愛馬に語り掛けている風を装えば、 切り抜けられるのではないかと思う。多分。] (214) 2022/05/30(Mon) 2:54:22 |
【人】 少年水夫 カイルなので、限りある生を満喫してくださいね。 またのお越しをお待ちしています。 [唇は弧を描き、ふわりとお辞儀をする。 また一つここで働く楽しみが増えた。*] (215) 2022/05/30(Mon) 2:54:50 |
【人】 少年水夫 カイル僕はね、前にも話した通り、 船が沈んで家族や仲間を失ったんだけれど、 僕自身が死んだのはもう少し後のことなんだ。 病気にかかっちゃってね。 僕は先に父を亡くしているから、 勝手にその娘さんに肩入れしちゃった……。 [ペールブルーのお兄さんの手助けが突破口になって、 今までどうしていたか分からない 娘さんのことが分かるかもしれない。 今がそういう状況なのは話を聞いて分かった。 だから、これが最後かもしれないというのも分かった。 湿っぽい話は進んでしたくはないけれど、 最後となれば話は変わってくる。] (219) 2022/05/30(Mon) 2:57:37 |
【人】 少年水夫 カイル無事に会えると良いね。 気を付けて行ってきて。 [でも、それもこれでお終い。 お疲れ様会の食卓には、 出会った時より少し美味しくなった、 ブイヤベースがあった。**] (220) 2022/05/30(Mon) 2:57:59 |
【人】 少年水夫 カイル[霧深い宴の夜が終われば、 夜空は星の瞬きを取り戻す。 皆の迷いは、どのくらい晴れたかな? まだの人がいるのならば祈ろう。 星が落ちる数だけ、願いは存在する。] (260) 2022/05/30(Mon) 18:58:28 |
【人】 少年水夫 カイル[ターバンのお兄さんと、そのお友達のことを祈った。 空は繋がっている。 もしかしたら僕が祈った流れ星と同じ星に、 お兄さんが僕たちのことを祈ってくれているのかもしれない。 占い師のお姉さんの負担が軽くなる様に祈った。 例え話って、主語があやふやになっているだけで、 大抵自分の話だったりするよね。 ユスターシュとその娘さんが無事会えるよう祈った。 こんなに早いうちに、父親に先立たれるのは辛いけれど、 何も分からないまま生きるのは、もっと辛い事だ。 きっと娘さんの頭に手を伸ばしても、 ゴーストのユスターシュは触れることが出来ない。 とりあえず代わりに、僕が受け取っておいたよ。>>249] (261) 2022/05/30(Mon) 18:59:22 |
【人】 少年水夫 カイル[迷いが晴れる人がいる中で、 霧中に飛び込み惑う人がいる。 死に逝く人がいる中で、産声をあげ生まれる命がある。 何かと、その対になる何かが共存しながら、 世界は廻り、時を駆ける。 僕らの日常の様な非日常も、 変わることなく続いていく。 霧の夜以外は相変わらず、 生者に干渉することも干渉されることもなく。] (263) 2022/05/30(Mon) 19:00:55 |
【人】 少年水夫 カイル[エアハートさんとアリアは 時々店に遊びに来てくれたかな? 「アリア!今日も綺麗だね!」そんな言葉をかければ、 僕に視線を向けてくれただろうか。 さらさらと靡く鬣が、 より滑らかになったような気がする。 女っぷりが上がったね! そんな小さな何かが、僕の日常を彩った。 霧が立ち込める夜は、また酒場が開く。 ペールブルーのお兄さんは リピーターになってくれたかな? もしまた来てくれたら、 ユスターシュのことを聞いて、お礼を伝えて、 「お薦めは唐揚げです」と言うんだ。 僕には秘伝のレシピがあるからね。>>254*] (264) 2022/05/30(Mon) 19:01:51 |
【人】 少年水夫 カイル― 数年後:MiraggiO ― ヨーソロー! 『 MiraggiO 』へ、ようこそ! [街灯に導かれるように、迷い込んだお客様たち。 僕は今宵も笑顔で迎える。 その中には、知っている顔もあったかもね。 何度も来店してくれるのは歓迎するよ。 死んだ後の再就職で、再会はしたくないけどね。 ゴースト店員も、メンバーが変わっているかもしれない。 この店を巣立っていった人もいれば、 新たな人材が何の因果かこの店に辿り着いたりして。] (269) 2022/05/30(Mon) 19:33:56 |
【人】 少年水夫 カイル[ドアが開き、生者が入るたびに声を掛けて、 注文を取って、お酒や料理を出す。 お客様の話を楽しそうに聞く。 いつも通りの、霧幻の宴だったのだけれど―――……。] (270) 2022/05/30(Mon) 19:34:18 |
【人】 怨霊 カイル[相手は僕たちの船を沈め、 奴隷として売り飛ばそうとした海賊のリーダー。 流石に僕もここまで大物が釣れるとは思っていなかった。 いつも一生懸命働いているから、日頃の行いの賜物かな? ……なんてね。きっとこんな僕の為に、 無念が晴れるのを祈ってくれた人たちの、 願いが届いたんだと思う。 有難う……きっと、この謝意は届かない。] (271) 2022/05/30(Mon) 19:35:57 |
【赤】 怨霊 カイル[そ知らぬ顔で近づいて、注文を取り料理や酒を提供する。 最初はビールを飲んでいたけれど、 「お薦めはあるか?」と聞かれたから、 オリンピックとブラッディマリーを出してやった。 その意図に気付くこともなく、美味しそうに飲んでいたよ。 滑稽だね。さてはこの人、教養がないな?] (*27) 2022/05/30(Mon) 19:36:27 |
【赤】 怨霊 カイル[子供らしい笑顔で、話を聞いた。 その裏で、賢しさと殺意を研いで。 この日は他が疎かになってしまったけれど、 どうか許して欲しい。 何年も待ちわびた、千載一遇のチャンスなんだ。 「海賊は格好良い!」「僕たち海の男の心は一つ」 そんな虫唾が走るような嘘も、平気で吐いた。 店員が、お客様に嘘を吐くわけにはいかない? 奴はお客様じゃない。憎い仇だよ?] (*28) 2022/05/30(Mon) 19:37:08 |
【人】 少年水夫 カイル[メルヴェイユの絵本、>>0:387 僕は読んだことがあったから、 ヴィムの名前を最初に聞いた時は、 同一人物ではないかと一瞬怯んだ。 でもね、僕は本物の悪党を知っている。 だからヴィムが、大罪人だなんてあり得ないって、 すぐに思い直したよ。 ウーヴェは涙腺の弱い雨男だけれど、 君は自分の為に泣いたことって、あったのかな? 少なくとも僕は、 そんなウーヴェを見たことはなかったと思う。 だから本当はね、 「どの口が言ってんの???」 って、>>0:251控えめに言ってちょっと思ってたけど、 このまま、多分存在しないだろう 墓まで持っていくからね!] (273) 2022/05/30(Mon) 19:39:41 |
【人】 少年水夫 カイル[ユスターシュの娘さん、無事で良かったね。 血の繋がりがどうであれ、やっぱり僕は似ていると思うよ。 だって、気立てが良くて (面倒見が良くて)、 健気で (大切な人の為に必死になれて)、 泣き言を言わない人 (無暗に人を恨まない人) だったんでしょう?>>0:197 序でに破滅を招く女の何処が、"イイ女"なのか教えて欲しい。 幸福をすべて奪われた、そう思っていた僕だけれど、 僕はこの店で新たな幸せを見つけて、 無念を晴らすことまで出来た。 僕を拾ってくれた店長には、誰よりも感謝している。 でも不純な志望動機を隠していたことは、 申し訳ないと思っている。] (274) 2022/05/30(Mon) 19:40:30 |
【人】 少年水夫 カイル[船が沈められ、父さんと仲間を殺された時も、 病気になって命を落としたその時も、 僕は涙はおろか、声すら出なかった。 だから、今度はちゃんと遺していくよ。] ここでの日々は、僕にとって宝物だった。 一緒に働いた仲間たちも、 美味しいと料理を食べてくれたお客さんたちも、 みんな、みんな、大好きだよ。 有難う。サヨナラ―――……。 [僕の逝き着く"最果ての地"が、 どんな所か分からないけれど、 霧の晴れた夜明けに、僕は旅立った。 * *] (275) 2022/05/30(Mon) 19:41:43 |
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