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レヴィアは、両手で箱を抱えて、路地を歩く。カコン、カコンと音が鳴る。 (a1) 2022/08/12(Fri) 17:10:58 |
【人】 暗殺屋 レヴィア【寂れた時計塔】 >>ストレガ カコン、カコンと、両手に抱えた箱から音を鳴らして。 辿り着いたのは、もう随分前から廃墟となった時計塔。 さして遠くもないこの場所にたどり着くために、 随分と遠回りした。 途中でした変装も解いて、黒のリボンを再び頭に結ぶ。 服の埃を軽く払って、錆びついた扉の前に立つ。 「入口までは知らないわ。 出迎えてくださるかしら。」 お届けものよ、と、中にいるであろう 特定の誰かに向かって呼び掛けた。 (10) 2022/08/12(Fri) 19:35:01 |
【人】 暗殺屋 レヴィア>>12 ストレガ 「ここは廃墟すぎるわ。」 「木を隠すなら森の中、とはよく言ったものね。」 声の方に目を向ける。 ノッテが蔓延らせた情報網は広くて正確だ。 それがたとえ同じ【血の掟】を交わした構成員と言えど。 秘密は許されない。秘められるのは心くらいだ。 「興味がないわ。」 「でも」 「帰るにも、時間を置かなければいけないわね。」 この場所が見つからないように工夫はした。 なればそれは最後までされるべきで。 廃墟に入ってすぐに出てくる、なんて不自然な動きは するわけにもいかない。 「少しだけ場所をお借りするわ。」 手渡した箱は、ずしっとした重さを伝える。 件のものがそれなりの数、入っているのだろう。 そうして貴女が迎え入れてくれるなら、 小さな穴に華奢な体をするりと通すのだった。 (13) 2022/08/12(Fri) 20:15:15 |
【人】 暗殺屋 レヴィア>>16 ストレガ 「わざわざ蹴られに来る口説き屋を一人知ってるわ。」 どかされた箱を一瞥してから、するりと穴の中に入る。 内装を、首は動かさないまま視線だけで見回して。 廃墟というには随分と小奇麗で生活感のある部屋。 靴先で床を擦る。ワックスまでかけてあるらしい。 通っていないはずの電気が通り、PCの画面が冷たく光る。 ランプの灯りだけが妙に暖かかった。 「猫は好きよ。」 興味がある事、への回答。 何処かに腰かけることはせず、壁にもたれて佇む。 「珈琲よりアールグレイの方が馴染みがあるわ。」 そう告げて。 飲み物が運ばれてくるまでは、分解された銃を 横目に眺めている事だろう。 (18) 2022/08/12(Fri) 21:33:26 |
【人】 暗殺屋 レヴィア>>20 ストレガ 「貴女も猫なら良かったのに。」 上へと昇る背中を見つめて、そんな風に言って。 家主が消えたとて、女は何をするでもなく。 ただ同じ場所に、石像のように立ち続けている。 ガチャ、パタン。 こつ、こつ。 音を聞いて、投げ渡されたものを片手でキャッチする。 「手ずから淹れられたものより、こっちの方が安心できるわ。」 キャップを回して鳴る、パキリという音が心地よい。 こんな仕事をしていれば、いつどこで、何を入れられるか 分かったものではないから。 だから未開封の飲み物は、嫌いじゃない。 「そのライフルは、狙撃用かしら。」 薄い色の唇を飲み口につけて、喉を上下させ。 それから、作業机の上に視線を移した。 (43) 2022/08/13(Sat) 17:04:18 |
【人】 暗殺屋 レヴィア>>47 ストレガ 「だから外では飲食をしないようにしているわ。」 「ファミリーから貰うものだけ、受け取ってる。」 "同じファミリーなのだから毒を盛るわけがない"という楽観的な考えなのか、 あるいはまったく別の考えがあるのか。 氷のように動かぬ表情には、何一つも読み取れる要素はなく。 猫を可愛さで好いているわけでない女は、 可愛げのない言葉を気にした様子もなく。 「そう。」 「威力を下げる改造は、威力をあげるよりも 随分簡単なことに思えるけれど。」 ゆるりと分解されたそれを眺めたまま、 まるで疑うような言葉を、疑心の見えぬ声で紡ぐ。 「誰かからの依頼かしら。」 何故この銃が此処にあるか、という問いかけだ。 (49) 2022/08/13(Sat) 19:24:58 |
【人】 暗殺屋 レヴィア>>50 ストレガ 「それが、罪を犯すという事だもの。」 「罪と欲とエゴが私達のドレスコードでしょう。」 だから、仕方のない事だと眉一つ動かさず。 暗殺屋は、マフィアの中でも恨みを買いやすい役割だ。 沢山を殺す、それも、自分の危険を殆ど犯さず。 きっと仲間であるノッテの中ですら、女に忌避感を抱くものは 少なくはないはずだ。 「そう。出来ないわけではないのね。」 「趣味仲間を見つけるのが大変そうね。 そう。やってないならいいのよ。」 返答をすんなりを受け入れる。 敵意も害意もない。徹頭徹尾、冷えた声と表情。 「じゃあ何のために?」 だから紡ぐ言葉は、ただの純粋な疑問だった。 (53) 2022/08/13(Sat) 20:39:19 |
【人】 暗殺屋 レヴィア>>54 ストレガ 「この年まで生きてるから、しっかりしてるのよ。」 「そう。貴女を大切に思う人は大変ね。」 興味のない声色で告げる。 静粛なパーティ会場を土足で踏み荒らすかのような態度。 正装をきっちりと着込んだ女は、石の顔で笑顔をちらりと見た。 「ファミリーの整備士の工房が、こんな廃墟の中だなんて嘆かわしいわ。」 「立場に相応しい住居を得るべきではなくて?」 銃の構造に深く精通しているわけではない。 しかし、全てのパーツが揃ってない事くらいは分かる。 机全体を見て、それから部屋を緩く見渡した。 「人体消失マジックでもするのかしら。」 それから、夕闇が貴女を見据えた。 (55) 2022/08/13(Sat) 21:31:25 |
【人】 暗殺屋 レヴィア>>57 ストレガ 「いないことを祈るわ。」 「嫌いなのよ、人。」 煤けた指を見る。 女は普段白いシルクグローブをしているから、汚れとは無縁で。 指を出すのは、グラスハープを奏でるときくらい。 だけれど、血に濡れた手は、不自由だ。 「馬鹿ね。」 「そんな人を殺しますよ、なんてアピールする 暗殺者、いないわ。」 部屋に這わせられた配線達。 最早銃の整備士、の枠には収まらない技術のようにも思える。 機械全般に強いのだろうか。 「こんな世界に入らなくても、生きていけそうなのに。」 「馬鹿ね。」 瞳を落として、紅茶をまた一口飲んだ。 紅の液体は、まだボトルのラベルの上辺程しか減っていない。 (59) 2022/08/13(Sat) 22:36:10 |
【人】 暗殺屋 レヴィア>>60 ストレガ 可憐な容姿は随分と色んな所で役に立つ。 仕事だって、標的に近づくにはこの顔は便利だ。 しかし、それを振り回して自由に振舞う事はない。 任務に忠実な暗殺者は、自分の意志を重視しない。 「手からする香りが油なのか、血なのか。」 「どちらが良いのかしらね。」 招集でも掛けられなければアジトにも顔を出さない女だ。 貴女の仕事ぶりを見たことはなく。 そして、自分の仕事もまた、誰にも見せることはない。 「そう。幸せな人生なのね。それはよかったわ。」 「私にお店は無理よ。接客、嫌いだもの。それに」 「この世界以外の道もないわ。」 「だって私、ノッテに拾われなければ、 道端で凍え死ぬ赤子になっていたもの。」 ノッテに拾われ、教育され。 女は"こんな世界"以外の世界を知らない。 「私、人を殺すためだけに生きてるのよ。」 だから、人を殺す以外の仕事はできないのよ、と。 (61) 2022/08/13(Sat) 23:40:23 |
【人】 暗殺屋 レヴィア>>63 ストレガ 「邪魔だわ。楽しみなんて。」 「死ぬときに、未練が残ったら嫌だもの。」 生に執着するような人間にはなりたくない。 屍の山を築いておいて、生きたいなんて言葉を吐きたくはない。 明日が来ることに期待なんてしたくもない。 また一口、ドリンクに口を付けた。 「血でふやけた手なんて、猫は嫌がるわね。」 「ないわ、やりたい事。一つも。」 「それに………あの店を気に入っているの。」 「死ぬならあの店の中がいいわ。」 時代から忘れられた品物たちと共に、 誰にも見つからずに忘れられていく。 貴女が私を殺すときは、あの店にしてくださる?なんて 無機質な問いかけを零した。 (72) 2022/08/14(Sun) 16:59:41 |
【人】 暗殺屋 レヴィア>>75 ストレガ 「誰にも見せたりなんてしないわ。暗殺屋だもの。」 「そう。ぜひ死ぬまで待ち続けてくださるかしら。」 暗に探す気もない、という言葉だけ吐いて。 飲みかけのボトルは、鞄の中にしまった。 ここでは全部飲み切れそうにないから。 「じゃあ、お役御免になったらお願いしに行くわ。」 「……………。」 返された言葉を、一切の色もない冷えた夕闇が見つめて。 「わかったわ。」 「後始末は烏にお願いするけれど。」 戸惑いもなく頷く。 それが依頼であるならば、十全にこなす。 女はそのために生きているのだから。 「時間を潰しすぎたわ。」 「ランプと共に、良い夜を。」 最後の挨拶だけは、店員らしく。 そうして、くるりと踵を返して。 飴色の髪がふわりと浮いて、呼び止められなければ、 そのまま去っていくだろう。 (79) 2022/08/14(Sun) 19:23:53 |
レヴィアは、何かを望んだことがない。 (a22) 2022/08/14(Sun) 19:24:35 |
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