【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人― バレンタインデー ― [ホウスケから借りたお金を握りしめた。 ごめんと謝られたけれど>>17、ふるりと首だけ振った。 いや、自分が欲しい物をちょっと買うくらいのお金はあるんだ。 現に先日インクやらも買いましたし。 無駄なものを買ったからお金がないんです。 早々にゴミに出した型だとか、お店で配る事になったorクローゼットの奥に仕舞い込んだ板チョコを買ったせいでお金がないんです。 説明するとこの後の予定が台無しだから何も言えないのが余計にもどかしい。 返さなくていいと暗に言われて、 せめて物分かりの良いラッコでいようと思った。 こくんと頷いて、ありがとうと少し眉を下げて笑った。 せめて最高のチョコレートを探し出し選び抜こうと奮起して、 納得いくものが見付かれば気分も上がった。 ホウスケが帰宅する頃にはすっかりいつもの自分になって、 お疲れの彼の逃げ場を奪いすらしながら 調子良く壁ドンをお見舞いした。>>19 面食らった様な顔に気を良くしたが、 次の反応も見たくて頭ごと視線を移動させた] (35) 2021/02/17(Wed) 15:33:57 |
【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人[彼の頭の横に手をついたまま身体を寄せて囁けば、 吐息の様な声と共に小さな身体が揺れた。>>20 随分久し振りに捕食者の気分にさせられたけれど、 餌は彼じゃなくて彼の胸に押し付けたものです。 餌──もとい贈り物を受け取る彼は俺の髪を撫で、手に手を重ねて、優しい声で囁いて、あっという間に甘い空気を作り出した。>>21 自分で近付いておいて照れくささが増したけれど、 ふんわりと満たされる気持ちも一緒に心身を温める。 うん、と笑ったけれど、 番としてのスキンシップはまだ慣れない事も多い。 髪を撫でていた手に引き寄せられて、 匂いを嗅がれる様な仕草にどきっとして、ぴくんっとした。 頬への優しい口付けに 胸がぽかぽかと落ち着けられる気持ちになりながら、 冷えるから早く中へ、と促しただろう] (36) 2021/02/17(Wed) 15:34:02 |
【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人[ソファに移動して、包みを開けるホウスケにそのチョコを選んだ理由を説明しようと思ったが、ここは大人しく彼の手付きを見守っていた。 砂糖の多い準チョコレートではなくカカオマスが多いからポリフェノールが豊富だとか、ナッツや乳酸菌が入っているものもあって健康にもいいのだとか、一口サイズのチョコは小鳥やねずみやリスのかたちをしていて、ホウスケのご飯と認識してこれに決めたんだとか長々語ろうとしたが、まぁ美味しく食べてくれたらいいかなと思った。 少しぼんやりしている間に、ホウスケがにじり寄って来た。>>22 その瞳に滲む色まで見て取れないのが 俺はまだ鈍ラッコなんだろうけれど、] ……食べさせるのは、 スプーンとかに乗せてたらOKで、 摘んだものは駄目なんだそうだ。 [ポッキーの日だけは例外で賑わうらしいが。 俺があの店でその日を迎える事はないだろう。 ひとつ、小鳥のかたちをしたチョコを摘んだ。**] (37) 2021/02/17(Wed) 15:34:10 |
【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人― 翌日 ― [ホウスケから差し出されたもの>>29を見て、 ぴこんときた。 実物を見た事がある訳ではなかったが、 これは、あれだろう!とすぐに察して笑顔になった] ありがとう! [半ばひったくる様に受け取って、 柔らかい革をきゅうと手で包み、丁寧な縫い目>>30を撫で、 手を入れてみてくるくると紐を巻くその顔は、 高級海産物を見るよりもきらきらと輝き、紅潮している。 サイズがぴったりな事を不思議に思う余裕は今はなくて、 後で手作りだと知ればもっと嬉しそうな顔になるだろう] うん、うん。 うん、 ありがとう、ホウスケ。 大事にする。 おいで。 [タオルでだって全然構わなかったけれど、これを贈ってくれるって事は、これからも本来の姿でも甘えてくれるって事だろう。 それが嬉しくて、 手首の紐をもう少ししっかり巻いてから、手の上に招いた] (38) 2021/02/17(Wed) 23:10:03 |
【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人[……ホウスケが思うより、こっちは彼の本来の姿を頼りにはしていなかった。というのも、夜道が危険だとか、自分が襲われる様な対象だと思っていないから。 ホウスケの気遣いは勿論ありがたいと思っていたが。 ふくろうはどっちか言うとかわいいと思う。 いや、ふくろうが、というより、 ホウスケの本来の姿が、と言うべきか] (39) 2021/02/17(Wed) 23:10:07 |
【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人[頼みたい事、と改まって言われれば>>33首を傾げたが、 その少し緊張した面持ちの原因を考えるより先にホウスケの身体が縮んだ。 赤ん坊の様な姿で膝に転がる姿に、一瞬目を見開く。 そうして口にされた頼みごと>>34に、 きゅっと胸が苦しくなる感覚に襲われる] ……かわいいな。 [思わず漏れたその呟きには、 かわいさに嫉妬する様な色は無い。 絵面の愛らしさに加えて、ホウスケが自分でできない事を頼ってくれる声色だとか、セリフだとか、姿に何かがくすぐられる。 ……女は時々、 好いた男を可愛いと思う事があるらしい。 これがそうなんだろうか。 うゥ、と悶える様な声を上げながら用意されたはさみへ手を伸ばすが、持ち上げるには少しかかった。見悶えタイムをください。 ふくろうは爪を切られたりするのを怖がるんだったか。 その恐怖は視界を遮れば軽減されるんだったか。 ふくろうの生態は以前はさっぱりだったが、 彼の奥さんになって、調べたりホウスケに聞いたりして学ぼうとしたのはごく自然な行動だっただろう。経験はないし個体差があったりするだろうからお世話が完璧にできるとは言わないが] (40) 2021/02/17(Wed) 23:10:17 |
【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人[お店にふくろうの女子なんか来たら「初めてをもらってもいいの?」なんてリップサービスをしたところかもしれないが、ホウスケ相手にはしばし可愛さに悶えた。 はさみを持てば任された仕事を全うしようと背筋が伸びる。 すぐにホウスケに合わせて背を丸めるが。 胴体を圧迫してしまうのには気を付ける。 それで簡単に呼吸を止めてしまうらしいので。 「任せておけ!」と 無駄に自信満々でにょっきした爪に刃を掛けた。 こちらも初めてのくせ勢いよくぱちぱち切っていったが、躊躇いがないだけで初めから深く切ろうとしなかったから、深爪にはさせなかっただろう。 嘴の方へ移る時、 ホウスケは自分で目を瞑っていたが、 身体の力を抜いて少しでもリラックスできる様に、タオルを引っ張ってそれでホウスケの目をふんわりと覆った。 それから嘴を切る時、ふくろうは舌で抵抗してくる事があるらしいとかなんとか。 ホウスケには必要なかったかもしれないけれど、一応親指を嘴に咥えさせた。そうしていた方がはさみの振動も軽減される様な気もしたし。 嘴を切る時すらはさみ使いに迷いはなく、 むしろやすりでショリショリと微細な整形に時間をかけた。 美しくかっこよくしてやろう、まだだ、もう少し待て、左右のバランスが……と本人以上にこだわって、仕上がった姿に「うん、男前だぞ」とにこにこ笑っただろう。**] (41) 2021/02/17(Wed) 23:10:28 |
【人】 ふくろう ホウスケ[靴を脱ぐ時間も惜しんで瑠璃人の匂いを吸い込んでいたけど 瑠璃人は誘いに素直にうなずいてくれたから おれも瑠璃人に促されれば>>36素直に中に入った。 瑠璃人が選んでくれたチョコレートは 様々な形の小動物の形をしていた。 いくつか星々の形をしているものもあったから おれの好きな(そしておいしそうな)夜の世界みたいで 箱を開けただけなのに、ますます上機嫌になってしまう。] ……箱からしてオシャレ…… [おれは甘いものに詳しくないから 瑠璃人がチョコレートの蘊蓄を語ってくれたなら 喜んで耳を傾けただろうけれど。 スプーンに乗せてたらOKなのか。 ……今度店に行ってやってもらおう。 いや別に頼めば今でもやってくれそうだけど お店で瑠璃人がどんな顔するのかも見たいし…… そんな考えは、瑠璃人のアーモンド形の爪先が 小鳥を摘まみ上げれば、中断された。] (42) 2021/02/18(Thu) 21:55:43 |
【人】 ふくろう ホウスケ[かさ、とチョコの包みが乾いた音を立てる。 瑠璃人の指が、おれの合わさった唇を優しく開いて 体内に挿入ってくる。 硬い、飴のように薄い爪先が唇に触れて 単純な体が熱を上げた。] ん…… [今度は、おれがぴくんと跳ねる番だ。 指先も味わってしまおうとしたけれど コロン、とチョコの一粒を残して瑠璃人の指が逃げた。 ……せっかく瑠璃人が選んでくれたチョコなのに 惜しい、と思ってしまうおれは薄情だろうか。 もぐもぐと噛めば、硬いビター味は鈍い音とともに砕け 細かい破片になったチョコが、体温で溶けていく。 ……瑠璃人は逃げない、と言ったけど>>23。 ほんのわずかな時間、指が引かれただけでも焦がれてしまって つい、なんでも急ごうとしてしまう。 だから、瑠璃人がチョコを自分の口の中に放り込んで おれの背中に手を回した時には おれの手も瑠璃人の腰に回されていた。] (43) 2021/02/18(Thu) 21:56:21 |
【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人[外装も勿論こだわって選んだので、 オシャレだと言われれば>>42、そうだろうふふんと笑う。 まぁ今はどこもオシャレなパッケージに包んで商戦を乗り切っているんだけども。ホウスケが持って似合う様な、シックな色合いにしたつもり。 ホウスケがお店で「食べさせて」を頼もうかと考えたとは夢にも思わないまま、お店ではできないサービスを試みる。 唇で触れるよりホウスケの唇は柔らかく感じられた。 今まで「食べさせて」を強請ったどんな客より小さな反応。そして色っぽい反応だった。 俺の胸のサイズを測る際に上級者みたいなプレイに及ばれたりして経験を重ねていたが、 元々かわいいだけじゃなくてぴゅわなラッコは、そのまま指を咥えさせようという発想はまだ浮かばなかった。 チョコの砕ける音が聞こえてきそうなホウスケのほっぺの動きに口元を緩ませる。 指先に僅かな感触と湿り気を残したまま、 同じ手で自分の分のチョコを口に入れた。 彼の背に手を伸ばしたのと、 彼の手が腰に伸ばされたのはどっちが先だったのか。 どちらにせよ、もっと近付きたいという気持ちが共鳴していたみたいで、それだけで満ち足りる気分だった] (44) 2021/02/19(Fri) 12:15:23 |
【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人― そんでもって旅立ちの日 ― [空港への道のりは普段通りだったし、 飛行機に乗ってからも、北海道は梅雨がなくて年中空気が気持ちいいだとか、寒いから玄関扉の前にまた扉があるんだとか、海鮮が本当に美味だとか、大きくなってから会った野生のラッコはまだいるかなとか喋りまくっていた。 けれど離陸の準備が進んで機体が滑走路をじわじわと進み出すと、顔が強ばってくる。 じわりと額に浮かんだ汗は前髪を弄って誤魔化したが、 明らかに減った口数は戻らなくて、 ホウスケの手をぎゅっと握った] 寝る。 [もう飛ぶというのに、唐突にそう告げて目を瞑った。 もう二年近く前になるか、 初めて内地へやって来た時も飛行機に乗った。 その時も恐ろしくてパニックになってしまって、隣にいた婦人に宥められていた。 ラッコはトラックなどで輸送されている途中に死んでしまうくらいストレスに弱い。 人間に化けているおかげでマシなところもあるが(例えばこうして誰かに訴えたり頼ったりできるし、しがみついて揺れを軽減させたり)、ラッコ姿なら俺は死んでたと思う。 今も本当はホウスケに抱き締めてほしいとすら思うが、離陸時のルールで出来ないから手を繋いで。 もう大人だから、二回目だからと、 取り乱す姿を隠して寝たフリをした。 眉間の皺も、握る手に入る力もすごいし、 ゴオオオとエンジン音だか風の音だかわからない耳障りな音にうぅと呻いて、もう片方の手もホウスケに重ねた。 ホウスケももしかしたら怯えていたかもしれないが、 ホウスケを気遣う余裕はなかった] (45) 2021/02/19(Fri) 13:29:50 |
【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人[無事に空を飛んでも緊張状態が続いていたが、機体が安定すれば少し気持ちも落ち着いた。 気を紛らわそうとホウスケと話そうとしただろうし、 おそるおそる窓から空を覗いて、ホウスケはこんな景色を見てるんだなとか小さく顔を綻ばせた。 着陸の時にまたビクビクしながら寝たフリをして、 飛行機を降りたら、まず少し休もう……とカフェに寄ったりして、それでも暗くなる前に亀のおばちゃんの家へ案内した] (46) 2021/02/19(Fri) 13:30:52 |
【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人「よく来たわねウォソちゃん!」 [丘の上の一軒家の前で亀のおばちゃんは待っていた。 黒い長い髪を高い位置でふたつに結んでふりふりの服を着た幼い少女の様な外見だが、コレが正真正銘俺を育てた亀。 まだ大分距離があるのにこちらを見付けるなり、 ハスキーぎみの大声を張り上げて近寄って来る。 ……ウォソとは、ウォーターソーセージの略だ。 ホウスケが首を傾げればそれだけ答えるだろう。 彼女と出会った時、俺はまだ赤ん坊だった。 ラッコの赤ん坊はその、今と少し風貌が異なる。 「ラッコ ウォーターソーセージ」で調べてもらえたら何となく理解してもらえると思う。 ルトリスの名を借りたのも、瑠璃人の名前で戸籍を取ったのも、彼女のもとを離れてからの出来事だ。 名付け親になりたくなかったらしい彼女は、俺をウォーターソーセージと呼んでいた。 名付けたくなかった理由は、彼女のハマっている宝塚に同じ名前のジェンヌさんが現れたら微妙な気持ちになるからだという。 瑠璃人って名前は教えたんだがな。 俺も彼女の名前を呼ばないのでお互い様なのだが] (47) 2021/02/19(Fri) 19:55:58 |
【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人[てってっと小さい歩幅で近付いて来た彼女は、 ホウスケに目もくれず俺の前まで来たかと思えば、ハッと眉をつり上げ、いきなり俺のコートのボタンを外して来た] な、なに、…… っ!? [訳がわからず困惑していると、 両手で胸を揉まれた。 ますます意味がわからないが、引き剥がそうとするともっと力を込めてくるから、痛い、としおらしくしてしまった] 「胸なんて生やしてきて、アナタ、アナタ……!」 [その表情は怒りとかよりも驚きが色濃くて、胸が本物か確かめる様に(いや知ってるだろおばちゃんがさらし巻けとか言ったんだぞとかツッコむタイミングは逃した)ずっと揉み続けながら、ようやく彼女はホウスケの方を見た] 「……アナタがこの子を女にしたの?」 [訝しげにそう尋ねて、 けれどたとえホウスケが答えずとも静かに顔を伏せて、そう、そうよね、と何度も小さく頷いた] (48) 2021/02/19(Fri) 19:57:05 |
【人】 愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人[男役さんも卒業したら結婚したりするもの、妻になって、母になるんだもの、と、少し淋しそうな、それでいてその気持ちが身勝手なものだと知っている様な複雑な顔を、ゆっくりと上げる。 それから俺とホウスケを交互に見て、 やがてホウスケに向けてにこりときれいな笑みを浮かべた] 「歓迎するわ、よろしくね、アタシは───」 [まだ胸を掴んだまま名乗ろうとする彼女の頭を掴んで、「゙亀のおばちゃん゙でいいぞ、ホウスケ」と言いながらひっぺがした。 おばちゃんは、もー!とか怒っていたが、 後ろから何やら大きな荷物を抱えた配達員の様な男性が近付いてきたので、「そうだったわお寿司をたくさん頼んでおいたの、中に入りましょう、色々お話を聞かせて!」と、小さいながらも洋館の様な家に招き入れてくれただろう。**] (49) 2021/02/19(Fri) 19:57:27 |
愛らしさで人類を支配するラッコ 瑠璃人は、メモを貼った。 (a4) 2021/02/19(Fri) 19:59:44 |
(a5) 2021/02/19(Fri) 23:07:31 |
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