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人狼物語 三日月国


94 【身内】青き果実の毒房【R18G】

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【秘】 8435 黒塚 彰人 → 3839 南波 靖史

 捉えどころのない言葉に眉を顰める。瞳に滲む欲の気配にたじろいだ内心を捩じ伏せて。
 押し黙ったまま、唇を合わせる、それだけのことを躊躇う。その間にも、身体は無理やりに高められ続けている。

 そうして――不意をつく、軽い衝撃。視界が揺れる。気がつけば、鮮やかな青緑に、見下ろされている。
 降ってきた言葉を咀嚼するより、先に。明かりを背負う少年の手が、肌に触れる。滑らかな、白い手。


 ――――あっ、と情けない声が漏れた。


「……ふ、ぅ、――っあ、……っ!」

 唇を噛み、それでも止まらず、口元を手で抑える。
 少年の細い指が微かに動くだけで、過剰な程に肩が跳ね、噛んだ親指に鈍く痛みが走った。

 擽る手を掴み、引き剥がす。一切の加減を忘れた、強い力で握りしめて。
 その折にまた首元を掠めた指先にすら、びくりと反応した。
(-11) 2021/10/02(Sat) 15:11:29

【秘】 3839 南波 靖史 → 8435 黒塚 彰人


「声、我慢しなくていいのに。恥ずかしいから?俺、人間じゃないし良くない?」

目の前の男からこんな声が漏れるのは、少し心地が良い。
先ほどの様子とこの掴まれた手を見るに『他者に抱かれる』ことを想定していなかったと見た。

別に掴まれた手はそのままにしている。力を込められても、例え爪でも立てられても退く意思も辞める意志もないとばかりに、その手が傷付こうと行為を進めるのをやめない。

こちらの指か触れるたび、掠る度に跳ねる動作を間近で感じて、「かわいいね」と思わず、嘲笑でもなく純粋な愛おしむ本音が口をついて出る。

相手が声を抑えている隙に、手慣れた様子でベルトを引き抜いて、この行いもこの催しの中で何度目だろうか。下着ごとズボンをずり下げようとする。

抵抗が見えたならその瞬間今のこの感度の状態で布越しか直接か。あえてやや乱暴に掴んで上下に擦り、妨害を防ぐから結果は同じだろう。後は足の上に乗って、自分も膝までズボンを降ろすだけだ。

「痛いでしょ、指。
気持ちいいは悪いことじゃないよ、彰人くん」

最低限の挿入ができる程度に互いに肌を晒し終えて、それでもまだ口を抑えてるならその手を降ろさせようと、トントンとその手の甲を叩く。
(-15) 2021/10/02(Sat) 16:56:34

【秘】 8435 黒塚 彰人 → 9949 普川 尚久


 は、と短く息を漏らした音が背中越し、耳に入るだろう。
 膝を曲げ、しゃがみこむ。寝転がる少年に影が差しかかる。手を伸ばし、黒髪をわしわしと撫でた。

「大人しく得をしておけばいいだろうに」

 言いつつ、よいせ。脇から手を差し込み、軽い身体を持ち上げ、後ろから抱えて座り込む。
 壁に背凭れ、回した手を薄い腹の前で組んだ。

「そうだな……褒美は決めましたか」

 世間話です。
(-62) 2021/10/03(Sun) 19:57:19

【秘】 9949 普川 尚久 → 8435 黒塚 彰人


「? ???」

 ぴ。と跳ねて。その後の動作に対しても借りてきた猫のように大人しかった。あなたの行動の意図が全く分からない普川くんです。

「と、りあえず外での生活である程度不自由しないくらいの保障…? 住む所や仕事のあてとか。スポンサーさんとの縁結び、今回できそうだなとも思ったし」


 ぴ。ぴ。身を固くしつつも聞かれた事には答えていく。

「あとは、今回の参加者の情報をもらえるとこまでもらう」

 これは、企画中に追加で欲しくなったものだった。

「最後くらいで、出来たら刑期を短くする感じ。って言っても
 もう少しなんかおまけがつけられそうなくらいには
 貢献したと思うわ。でも今のところはそんなくらい」
(-64) 2021/10/03(Sun) 20:15:50

【秘】 8435 黒塚 彰人 → 3839 南波 靖史


 下着の中は先走りでぐずりと濡れていた。染みをつくった下着ごと、スラックスを脱がされる。
 身を捩って抵抗を示すも、少年の片腕であしらわれる。直接的な刺激を与えられ、くぐもった声が漏れる。
 掴んだ手をきつく握りしめる。爪が滑らかな手の甲に食い込んだ。
 顎の力を緩め、口元から外した手を首元へだらりと落とす。唾液が糸をひいて、口の端に垂れた。

「……ゃ、めろ、」

 いれるな、と熱に浮かされた声で拒む。
 のろのろとした動きで、先ほどまで咥えていた片手を曝け出された下肢へ伸ばす。隠そうとしたか、押しのけようとしたか。ほとんど意味を持たない動きだった。
(-65) 2021/10/03(Sun) 20:19:54

【秘】 8435 黒塚 彰人 → 0043 榊 潤


「さあ」

 人と比べようとしたことなぞ無いからな、と呟く。苦々しい響きが籠った。
 基準点三つはまあまあ、それなりに満たしているのでは無かろうか。及第点程度には。作業染みた抱き方をする男ではあるが。

「ああ……お前が上でもいいが。
 とりあえず準備はしてやるから、寝ろ」

 敷布団を叩いて、ざっくばらんにそんな返答。寝転んでくれますか。
 なお、この男も見下されるのは嫌いです。
(-67) 2021/10/03(Sun) 20:39:15

【秘】 8435 黒塚 彰人 → 9949 普川 尚久


 小さな頭に顎を乗せ、口を開く。発声とともに、少年の頭頂部へと振動が伝わる。

「ああ……励んでいたな。おつかれ。
 どれも叶うんじゃないですか」

 知らんけど。そう続きそうなくらいには他人事だった。
 その口ぶりに疑問を呈されれば、多少上の手伝いをしていたと、さらりと明かすだろう。

「情報。……知りたいことでもできましたか」

 畳の上を滑る足へ、何とはなしに視線を向けつつ。
(-68) 2021/10/03(Sun) 21:04:21

【秘】 3839 南波 靖史 → 8435 黒塚 彰人


「だめ」
「俺達セックスしないとでしょ?」
「いい子なら守れるよね」

こんななってるし、大丈夫だよね。と、抵抗の意味もない手を掴んで、逆にその手で相手の陰茎を掴ませて、その上に手を重ねて扱くように抜かせる。自慰に近く思えて、不規則な読めない動きで、ぐりぐりと何度も責め立てる。強引かもしれない。

だってこのまま、相手が射精した精液を多少後孔に何度か出し入れするだけで、あとはそのまま同じように興奮して勃起している己の先走りを塗りつけてから、グッと最低限の前戯だけで挿入する早急さは、この男に関しては珍しい事だった。薬が、多分回っているのもあるけれど。

こう言う『駆け引き』めいた事をされると、自分が乱れないと、犯されないと疑ってもない存在が拒否するのを見ると、正直クるのも仕方ない。……そんな感性を、一番わかってくれそうな相手に見えたけど、どうだろうね?いつかこういう事、話してみたいな。
その上で、俺を叩き潰してくれる気概があるなら、それもそれで好きだけど。


(-69) 2021/10/03(Sun) 21:44:42

【秘】 3839 南波 靖史 → 8435 黒塚 彰人


「……っ、狭……、……?」

いつもよりも前戯を減らしたのもあるが、やはり経験が少ないのか中がキツイ。ただ、勘は未経験と言う風には見えなくて、少し疑問符を浮かべつつも、辛うじて腰を掴んで引けば、ばちゅん、と音が鳴る程度に腰を打ち付けて前立腺か、弱い部分を探す。

癖のようにMっケ…被虐心とも言うそれを感じるタイプか少し確かめた後、その結果その傾向が見られるとしても、『あえて』痛覚を殆ど切る。つまり、純粋な快感しか与えないようにする。だってその方がきっと楽しい反応を見せてくれそうだから。あとは。

「……溺れられるなら、溺れちゃおうよ」

貴方の声色が、身体の跳ね具合が明らかに違う箇所を探り当てれば、あとは執拗にそこを責める。泣かせて、鳴かせて、啼かせたくて仕方なかったし、実際する気だけれど、その前に。

散々感度を上げられて疼くであろう相手の腹に手を当てて優しく撫でてから、唇は嫌がるからその黒髪に愛おしむキスを落とした。そうして欲望のまま、中に白濁を流しこんだ。零れて溢れるまで、快感を教えこませるように、その後何度も行為は続いた。
(-70) 2021/10/03(Sun) 21:46:41

【秘】 9949 普川 尚久 → 8435 黒塚 彰人


「ほんとうに色んなとこに見られてるな………」

 舌噛ませたろかな。思っただけです。

 ぶちぶち文句はたれていたので、それを拾われてのさらりとした呟きを聞くことになった。こいつよぉ。

「叶ってもいいなと思うことを叶えるんに、
 知ることは知らんと出来んから、もらうだけよ」

「黒塚さんのこともね。そっちはご褒美なにもらうん」

 体温の中に納まっているのは、案外心地は悪くはない。相手があなたである事を除けば。
(-73) 2021/10/03(Sun) 22:33:39

【秘】 8435 黒塚 彰人 → 3839 南波 靖史


 己の手で、知らない動きで追い立てられる。やっと正面から与えられた刺激に、半ば自発的に手を動かしていたかもしれない。ぬるついた性器を扱けば、呆気なく射精して。

 放ったものを塗り込めるように後孔へ触れられれば、往生際悪く、いやだ、やめろと譫言のように繰り返す。
 けれども入り口を解す指が止まれば、あるいは抜かれれば、切なさが勝って、みっともなく腰が揺れる。苦しい、痛い、いやだ、やめろ、
やめるな、足りない、はやく、はやく。
(-84) 2021/10/03(Sun) 23:39:37

【秘】 8435 黒塚 彰人 → 3839 南波 靖史


「……っ、ん゛、……ぅ、」

 捩じ込まれる質量に呻きながらも、無意識のうち、背が反り返ってしまう。数年ぶりに男を咥え込んだ後孔は異物を拒んで、けれどもその先にある快楽を知っている。
 痛覚すら興奮を駆り立てる材料と成り果てて、けれどもばらばらに解けた思考を手放そうとするたび、走る痛みに引き戻される。

「ゃ、そこ、……っ、〜〜〜〜!!」

 ばちばちと弾ける、脳を揺らす。穿つものから逃れようとするように腰を引く。快楽が追いかけてくる。
 ……この一時、痛みが失われたことに気づく余裕もなく、その動きはいつしか、追い求めるものに変わっていく。▼
(-85) 2021/10/03(Sun) 23:43:18
黒塚 彰人は、
愛おしむような行為に首を振り、消え入る声で、「とうさん」と漏らした。
(a37) 2021/10/03(Sun) 23:43:59

【秘】 8435 黒塚 彰人 → 3839 南波 靖史


 ――……

 どれほど経った時分か。

「あ゛〜〜〜……ああ゛っ、あ、あ、」

 揺さぶられ、知り尽くされた性感帯を責め立てられる。
 意味のない音が、律動に合わせて口から押し出され続ける。

 ――不意に、シーツの上、爪の先がかつんと何かに触れる。小さく硬いそれは、幾らか前にこの手で投げやった装飾品だった。
 摘まみ上げ、震える手で少年の手を掴む。縋るように、その指に輪を添える。きっとその行為は上手くはいかなかった。

 そうしてまた、溺れていく。今度こそ、指の一本も己で制御できなかった。もう何度目になるか、体内で脈打った熱を感じながら、理性の手綱を手放した。
(-87) 2021/10/03(Sun) 23:45:08

【秘】 0043 榊 潤 → 8435 黒塚 彰人

>>-67
「……?」

寝ろといわれて、首をかしげる。同じ空気を感じた。
こいつもしかして――

「大人しく寝るのはどちらだ?
身体を好き勝手にされるのも、まさか俺だけだと思ってないだろうな」

61ぐらいの力で、あなたの足を引っかけてから押し倒そうとする。足りなかったら、多分転がされるんだが。
大人しく『はいどうぞ』と、身体を受け渡すきになぞならなかったのだ。
(-89) 2021/10/04(Mon) 0:00:28

【秘】 8435 黒塚 彰人 → 9949 普川 尚久


 文句を垂れる様子をちょっと面白そうに聞いて、それから、訝しがる声。

「……何に使う気ですか」

「戸籍と、住所。……できるだけ、人の少ない土地が良いな」

 少年の髪へ鼻先を埋めるように俯いて、呟く。初めてはっきりと口にした願いだった。
 指を組み替える。他人の温度、知らない匂いはただただ、心地が悪い。
だのに何故か、腕の中のこれを離しがたかった。
(-92) 2021/10/04(Mon) 0:12:13
黒塚 彰人は、榊の足払いを避けようとする。36くらい。>>-89
(a40) 2021/10/04(Mon) 0:23:52

【独】 8435 黒塚 彰人

/*>>a40 負けた・・・・・・・・・・・・・・
(-97) 2021/10/04(Mon) 0:24:42

【秘】 3839 南波 靖史 → 8435 黒塚 彰人


事後。こんな状況だが後始末をしなければらならない。
取り掛かろうと動こうとしつつ、

「ねえ」

「俺、君が出した言葉の意味、わかるかもしれない」

「────
靖史


外れたまま転がっていた──一瞬、貴方がもう一度着けようとしているように見えた──指輪を拾い上げて、指輪とあなたを交互に見た。

「──どうして、君は、」

「どんな気持ちでこれをはめ直そうとしてくれたの」

上を見上げた。どこを見ても同じだ。
多分この間、これすら彼は話してくれないだろうから。

あなたの意識が落ちている間に全部を済ませて、大きすぎる抱きまくらにでもするように背中に顔を埋めて、その日は眠りに落ちた──
(-99) 2021/10/04(Mon) 0:30:42

【秘】 8435 黒塚 彰人 → 0043 榊 潤


 制服の胸ポケットから錠剤のシートを取り出し、一つ舌に乗せたところだった。ごく軽い、催淫剤の類。

「――っ、」

 不意を突かれ、布団の上。どさりと尻もちをついて、天井と少年の顔を見上げることになる。
 含んだ薬を飲み下し、舌打ちを漏らした。
(-100) 2021/10/04(Mon) 0:31:33

【秘】 9949 普川 尚久 → 8435 黒塚 彰人


「人が少ないとこより、人に興味を持たれない
 とこのがよくない? 田舎は田舎で微妙に面倒よ、不便だし」

「ベッドタウンの中の都会じゃないとこ寄りくらいが適度かもな」

 さらさらと述べながら、あなたの動作が一々落ち着かない。なんだこいつ。
この人僕のこと別に好きなわけじゃないはずなのにな。


 はあ、ため息ひとつ。逃げるわけでない程度に少し沈んだ頭からは、石鹸のにおいがする。バラの香りのシャンプーだとか、そんなのにはちっとも手を出していない。

「知ったこと何に使うかは、言ったまんまよ。
 黒塚さんらのそういう、
 何かしたいとか、何かしてほしいとか」

「そういうのが、叶っていいと思ってんのさ」

「自己満足で勝手にやるけど、見当外れはしないでいる気。
 だから知るんですよ。言ってることそんなに分からない?」
(-103) 2021/10/04(Mon) 0:58:15

【赤】 8435 黒塚 彰人

 ――少し前までは何時でも煌々と照らされていた場所。

 様々が撤去された院の中、明かりは消え、ただの部屋へと戻ったそこで一人、腰掛けている。
 いくらかの考え事と、疲労感。静かな場所を求めていた。

 足を組み替える。
 ぎぃ。古びたパイプ椅子が軋んで音を立てた。
(*0) 2021/10/04(Mon) 0:59:46

【秘】 8435 黒塚 彰人 → 3839 南波 靖史


 返ったのは、寝息だけだった。

 
翌日は昼過ぎまで寝ていただろうし、
起きてからは過去一レベルに不機嫌だったろうと思われる。
散々、無様を晒した後なので。
それでも最低限の会話は成り立っていただろう。それが美徳であるうちは。
(-109) 2021/10/04(Mon) 1:12:13

【秘】 0043 榊 潤 → 8435 黒塚 彰人

今この瞬間に様々なことが脳裏によぎった。
ここで南波や普川を呼んだら、それこそ秩序が乱れる酷い祭りが繰り広げられるのではないだろうか。
この黒塚はいい餌になり得るのではないだろうか。

だが、収集が付かないどころか、自分自身まともで居られる気がしない。
だから、口元に薬を含んで、お前に口づけた。

それは、液体だった。
口内の熱と、お前の熱とで、生ぬるく、互いの口を汚し喉元までやってくるだろう。


「――いい子で眠れ、愛しき出演者。
俺がその舞台を見下ろしてやる。お前を持ち上げて、飾ってやる」


まぶたがだんだんと落ちてくるだろうか。
襲いかかるのは眠気だ。
はらりと、眼帯をあなたの前では外して。
また酸素を奪うように口づけて。
耳と首元を一度だけ撫でれば、暗闇へと誘う。

(-111) 2021/10/04(Mon) 1:48:57

【秘】 0043 榊 潤 → 8435 黒塚 彰人

「A drowning man will catch at a straw.
誰でもいい、俺を眠らせてくれ」

どうせなら今だけは俺の舞台に、引きずり下ろしておこうか。
お前の主張は受け入れてやる分、眠ってその快楽を享受していろ。


「ああ、やっぱり――黙っている人間は。
目を閉じて眠っている人間は、愛おしいな」


そういや、誰にも理由を語ったことが無かったか。
まあ、いい。
せめて俺の代わりにでも願いを叶えて、勝手に悦に浸らせておくれ。
(-112) 2021/10/04(Mon) 1:51:19

【赤】 8435 黒塚 彰人


「何をしたつもりも、無いんだが」

 頬を一度撫ぜたこと。あれは何気ない仕草だった。
 特別、深い意味など持たなかった。

「そうだな。話をしようか、靖史やすふみ
 ……で、お前。アレを見ていたのか?」

 あの時とは呼び名を反転させて、問う。
 目の前のこれが見ていないうちに顔を出したと、そう言っていたのを思い出して。
(*2) 2021/10/04(Mon) 2:03:48

【赤】 8435 黒塚 彰人


「そうか」

 手を伸ばす。届かなければ、立ち上がって。頬を撫でる。
 馬鹿だな、と呟く。
思いのほか、柔らかく響いた。


「『うまれつき他者の事を正しく愛せなかった』。
 ……ただしい人間は、難しいな」

 お前のことだとも、俺のことであるとも――あるいは、両方とも、示さず。
 草臥れた声でもう一度、難しいよ、と言った。
(*5) 2021/10/04(Mon) 3:22:56

【赤】 8435 黒塚 彰人


 手を離し、だらりと体の横へ下ろして押し黙る。
 ……横たえた沈黙が答えに等しかったものの、口を開いて。

「――違わないな」

 ゆったりと紡ぐ。
 
この男は、言葉にはなるべく、言葉をもって返す人間であった。
それが美徳であったからそうしたのか、元々そういう人間だったのかは、
記憶の奥底に沈んでしまったけれども。
(*7) 2021/10/04(Mon) 4:33:36

【赤】 8435 黒塚 彰人


「だから、死を望まれたんだろう。
 ……おかげで、“あの人”は死なずに済んだが」

 肉体の死と記憶の死は同一ではなく。
 殺された己の記憶のみを引き継ぎ続ける、短命の生き物。
 “黒塚彰人”の劣化コピー、上書き保存を繰り返し続ける、かつては人間で――今となってはもはや、何であるか、定かでないもの。

 詳細を問われれば、そう言葉にして説明を返しただろう。
(*8) 2021/10/04(Mon) 4:38:40

【秘】 8435 黒塚 彰人 → 9949 普川 尚久


「ああ……そのくらいが、ちょうど良いのかもな」

 鼻を掠める、似た色の髪が擽ったい。
 
何だろうな、これ。……猫?
思って、くつりと喉を鳴らした。
不気味かも……。


 回していただけの腕に、僅か、力が籠る。
 据わりが悪い。
本当に、何だろうな、これは。


「うん。……理解し難い」

 背を丸める。ずるーっと肩の辺まで頭がずり落ちる。
 耳元で、「眠い」と呟いた。
(-140) 2021/10/04(Mon) 17:57:54

【秘】 9949 普川 尚久 → 8435 黒塚 彰人


「おもたい」

 何笑ってんだと思っていたら、勝手に腑に落ちられた。
 理解し難いというのはそっくりそのまま返せるぞ。

「眠たいなら、寝たらいいじゃないか。
 もっと寝やすくはしなよ、布団敷くくらいはしてやる」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「もしもし?????」
(-141) 2021/10/04(Mon) 18:06:47

【赤】 8435 黒塚 彰人


 椅子に腰掛けた膝の上、指を組む。右手の親指のはらで、左の親指の爪を擦る。
 そうやって、言葉に迷うような、言い渋るような、何とも表現し難い沈黙があって。

「ここを出て――大切な人と生きたいと、言っていた奴がいるんだが」

「…………心底、羨ましいな。
 俺の大切な人は……あの“俺”は、もう、いない」

 目の前の少年から視線を逸らしたまま、ぼそぼそと言葉を吐く。 
 
己の声が、遠い。……あの人の声は、もっと、低かった。


「……記憶だけは、ここにある」

 とん、とこめかみを人差し指で叩く。
 
今となってはもはや、この記憶だけが、あの人の存在を残している。


「まっさらにはならないな。
 そいつの見た景色を、俺も見るだけだ」

 は、と自嘲するように笑う。
 降り積もって、いつまでも残り続ける。便利で、不便な仕組みだろう?▼
(*11) 2021/10/04(Mon) 18:47:35