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【人】 秋月壮真なんでって、それは…… 外の世界は危険だから…… きみを守るためだよ [────そうだよね、センセイ? ただ現在の自分は配信を通じて僅かながら 他者と触れ合って何よりきみと出逢って 危険なばかりじゃないって知ったのだけれど……。] (1) 2024/05/26(Sun) 3:06:50 |
【妖】 秋月壮真[「ハツナ」の投稿を見て まず目に留まったのは「顔」だ。 ……と言うと語弊があるが 単に容姿の美しさに惹かれた訳ではない。 とある少女の面影を彼女は宿している気がした。 壮真の幼少期の記憶は酷く曖昧である。 それは自身の心を守る機構が働いている為。] ($0) 2024/05/26(Sun) 3:08:33 |
【妖】 秋月壮真[秋月美奈子という 世界に名だたる天才ピアニストが居た。 恵まれた指の長さ。感性の鋭さ。 圧倒的な表現力に人々は魅了された。] 「どうして私なのよ……ッ!?」 [音楽の神に愛された彼女は病魔にも愛された。 百年でもピアノを弾き続けたかったのに。 有名な指揮者との間に奇跡的に子を授かると 籍は入れないまま人知れず産んだ。 子もある意味天才だった。 それを、美奈子は利用することにした。] ($1) 2024/05/26(Sun) 3:09:06 |
【妖】 秋月壮真「壮真、貴方はそれでいいの」 はい、センセイ ありがとうございます 「次も私の演奏をよく聴いていて」 はい、わかりました 「貴方は私の弾いた通りに弾けばいいの」 ($2) 2024/05/26(Sun) 3:09:22 |
【妖】 秋月壮真[自分の表現する音楽を後世に 正確にそのまま伝えるための楽器だ。 長時間のコンサートに耐えられるよう 毎朝走りピアノを弾くことを義務付けた。 変な癖がついてしまっては困る。 レコードでも聴いたのか教えていない曲を 勝手に弾けば躊躇いなく折檻した。 そう、楽器に意思は要らない。] 「これは貴方を守るためだから」 [社会性も要らない。 学校には碌に行かせなかった。 音楽大学に行かせる為に必要な資格は通信で良い。 支配欲には歯止めが効かない。 部屋にカメラと鍵をつけた。 「視られる」ことが与える影響を考えもせず。] ($3) 2024/05/26(Sun) 3:10:43 |
【妖】 秋月壮真[子にとって初めて人前で弾く機会。 いつどこでどう行われたかは、憶えていない。 ただただ人の目が怖かった。 無機質なレンズが一斉にこちらを向いているようで。 聴こえ過ぎる耳も相まって全てが敵のよう。 センセイが言うように外の世界は恐ろしい……。] ……っ [生まれて初めてミスをした。 二人以外の誰も気づきはしない、だけど確実なミス。 たった一音だけ センセイのニュアンスと異なる弾き方をした。] ($4) 2024/05/26(Sun) 3:12:05 |
【妖】 秋月壮真はぁ……はぁ……っどうしよう……っ [思わず会場から外に出たが逃げる場所などない。 センセイは怒らせなければ優しい。 でも優しくないセンセイは……。 膝を抱えて肩を震わせていると小さな小さな足音がした。 顔を上げると自分と同じくらいの子供。 偶に食べるあのおいしい果物みたいな色の瞳がふたつ。] ($5) 2024/05/26(Sun) 3:13:22 |
【妖】 秋月壮真[すごく素敵な、カッコイイ演奏だったと。 素直な感想を伝えてくれたように記憶している。] ……ありがとう [失敗でしかないのに。 だけどいつのまにか震えはおさまって。 帰宅後、一晩中折檻は続いたが 受けている間 耳に残った少女の声は心の支えとなった。] ($6) 2024/05/26(Sun) 3:14:26 |
【妖】 秋月壮真[それから時は過ぎ、美奈子がこの世を去ると 身体ばかり大きく育ち中身の伴わない青年が残された。 独りでは何をしたら良いか判らない。 美奈子にとっては不幸なことに その後の指針を示す前に亡くなってしまっていた。 青年にとっての幸運はそれが済んでいたら 自身の命尽きるまで母親が入力した通りに動く ロボットであり続けたこと。 入ったばかりの大学を休学し 朝のランニング以外引きこもる毎日。 田中の勧めにより自宅で出来る動画配信を始めると 様々な意見が聞けて興味深かった。 リクエストという形で指示を受けると 行動範囲が広がって色々なことにチャレンジできた。 人が混まない時間を狙えば 入って食事をすることができるくらいに。] ($7) 2024/05/26(Sun) 6:47:19 |
【妖】 秋月壮真[中でも────、] 『こんばんは。 初めてコメントさせていただきます。 すごく素敵な、カッコイイ演奏ですね』 [時計の針を動かしてくれたのは、そのコメント。 それが、始まり。] ($8) 2024/05/26(Sun) 6:47:33 |
【人】 秋月壮真[キッチンでミキサーに材料を放り投げる。 くり抜かれた壁の間から リビングのモニターが見える。 そこには自室の扉の上につけられた 監視カメラの映像が映し出されていた。 こてんと横になる彼女がかわいくて 思わず口元が緩む。でも────] あの拒絶の仕方……、 見守るのは相手の為じゃないのか? 迷惑にしかならない……? でも、だって、センセイは…… [もしかして自分も、センセイにそうされるのを もっと嫌がったり憤ったりしても 良かったのだろうか。 モニターに映る華音に触れようとして、やめる。 その指で電源を落とした。] (3) 2024/05/26(Sun) 8:15:05 |
【人】 秋月壮真[ぶるり。悪寒がして、服の上から腕を摩った。 ずっと一緒に居たいのに、駄目なのかな。 食べ物の美味しさを ピアノを弾く楽しさを 教えてくれたのは華音だ。 行動の誤りだって きみが指摘してくれなきゃ解らないよ。] (4) 2024/05/26(Sun) 8:15:48 |
【人】 秋月壮真[グリーンスムージー入りのグラスと 封のされた水のペットボトルを手に戻ってきた。 コンコン、ノックしてから鍵を開ける。] ……入る [彼女はどこで何をしていただろう。*] (5) 2024/05/26(Sun) 8:16:07 |
【人】 秋月壮真[ペットボトルを一旦小脇に挟んで鍵と扉を開けた。 いま飛び出したりなんかしてこられたら 咄嗟には捕えられないだろう。 ただ玄関も内側から鍵を使って開ける必要があるから 鍵束さえ奪われなけれは問題はないのだけれど 彼女が出て行こうとしたとして 無理矢理引き止めるのはどうなんだろう。 確固たる意思で睡眠薬まで盛ったのに わからなくなってしまった……。] (9) 2024/05/26(Sun) 17:07:13 |
【人】 秋月壮真[扉から顔と半身を覗かせる。 彼女はベッド、ではなく椅子に座っていた。] えっ [耳と目を疑って、一度バタンと扉を閉めた。 すごくかわいい顔で、 おかえりを言われた気がする。 夢?] (10) 2024/05/26(Sun) 17:07:39 |
【人】 秋月壮真[もう一度開けて中に入る。 間違いなく自分の部屋に、華音がいた。 簡素な部屋に咲いた一輪の花だ。 もたつく手で鍵穴に鍵を刺すのを 何度も失敗しながら施錠して向き直る。 出た時と雰囲気と態度ががらっと変わっていて……、 疑いたくはないんだけれど 何かを企んでいたりするのだろうか。 だけど、例えそうだったとしても 彼女のことが好きな想いは変わらないし 帰したくない方向に一気に気持ちが傾いた。 欲望に忠実な自分が嫌になる。] えっと……、ただいま……? [声音にすると、ひどく懐かしい挨拶だった。 最後に口にしたのは一体いつだっただろう。 こんなにもホッとするものだったのか……。 それはきっと、対の言葉をきみが投げてくれたから。] (11) 2024/05/26(Sun) 17:08:17 |
【人】 秋月壮真……俺はいつも朝はこれだけなんだけど よかったら 足りなければ何か買ってくる あと水も [彼女の傍にある机の上に二つともどうぞと置いた。 別に手をつけなくても気にしない。 薬を盛ってきた人間の運ぶものが 信用されないのは当然だ。] (12) 2024/05/26(Sun) 17:08:22 |
【人】 秋月壮真改めて……、嫌なことをして悪かった きみのためなんて言ったけど 俺がしたいだけだったんだと思う 華音のことがもうずっと前から好きだから [眉尻を下げて謝罪した。 彼女に想って貰えていた暁ソウマは 画面の外には存在しない。 ボロボロで、犯罪者で、今更少し悔やんでいて だけど浅ましくて、 帰って良いと自分から言うことも出来ない、 何も持ってはいない、 ただきみのことが好きなだけの秋月壮真だ。*] (13) 2024/05/26(Sun) 17:09:41 |
【人】 秋月壮真[頬を染める華音がかわいい。] ……え、…… [まだ彼女は自分のことを好きだと言ってくれた。 ずっと好きだと。 どうして? 望まないことをしたのに。 やっぱりこれは夢なのか。] (18) 2024/05/27(Mon) 16:57:44 |
【妖】 秋月壮真[自分が知る愛の形はこうやって 相手を無理矢理閉じ込めるものしか知らず 会話を重ねていけば人間の浅さが隠せなくなる。 だから薬が手取り早かった。 切り取られた時間と四角の枠の中に映すのが 己の中で一番まともに見える姿で 知られる毎に失われる想いと確信していたから 自分だけが抱き続けるので良かったのに きみの中から消えるのが怖くなってしまった。 最後までは言われなかったけれど "ソウマくんはそんなことしない"のだ。 だから謝罪をして、いまはまだ、 正しく過ちを理解出来てはいないのだけれど 理解出来るようになりたい。 きみが抱く理想の姿を目指すという訳ではなく きみの前で恥じずに居られる自分になりたい。] ($9) 2024/05/27(Mon) 16:58:04 |
【人】 秋月壮真[下から覗き込まれる。かわいい。 見惚れる。……そんな場合じゃなかった。 そちらから出されると思っていなかった手を 恐る恐る取れば握られて、瞬いた。 視線の先でグラスが傾いて、 自分はその場に膝をついてしまった。 勿論変なものは入れていない。 田中さんが買ってきてくれた小松菜とりんご。 手早く栄養とカロリーがとれる、ただそれだけの。] (19) 2024/05/27(Mon) 16:58:13 |
【人】 秋月壮真[膝と膝の間にお行儀よく揃えられた爪先がある。 目線の高さが逆転して 繋いだままの手は彼女の膝の上。 まるで縋り付くみたいな体勢になった。 事実、自分の心は彼女に縋り付いていた。] 一緒に何かするなんて 考えたこともなかった 本当に手を繋いでていいの……? 帰ってきてくれる……? そんな、 [都合の良い話があっていいのかって、 彼女が行動で示してくれても まだ少し疑ってしまっている。 彼女は、想像していたより芯が強い人だった。 益々惹かれていくから、過ぎた幸福に震えてしまう。] (20) 2024/05/27(Mon) 16:58:35 |
【人】 秋月壮真[繋いだままの手を握る。 彼女の手は冷んやりとして気持ちが良い。 不思議と力は全然込められなかった。 強くしたら壊してしまうから丁度良いけれど。] 嫌われるのが怖い、けど…… 一緒に出掛けたり、色々……はな……話す 大好きな華音と、一緒に、幸せになりたい [望んでも許されるなら。] かわいくてきれいで妖精さんみたいで ピアノの演奏には静かに耳を傾けてくれて 弾き終わると元気にはしゃいで感想を聴かせてくれて 全部がかわいくて本当に本当に大好きなんだ こんな俺を見限らないでくれて優しいし 芯がしっかりしていて益々すき…… [喋るのは苦手だけど、 好きな人のことを話す時だけ矢鱈饒舌だった。 でも、急に熱く語ったのがいけなかったのか……。] (21) 2024/05/27(Mon) 17:00:20 |
【人】 秋月壮真……そういえば、まだ名乗ってなかった 俺は秋月壮真 四季の秋に、夜に浮かぶ月 壮観の壮に、まことの……? [ぐらり。世界が揺れる。 違う、揺れたのは自分。] (22) 2024/05/27(Mon) 17:01:46 |
【人】 秋月壮真……? 、? [身体が重くて、怠い。 力が入らなくて、ずるずると床に蹲ってしまう。 フローリングが冷たくて気持ちいい。 ……そう感じるのは、発熱してるからだって、 理解するのは、きっともう少し先。 意識とともに手を離してしまった。 服のポケットから覗く鍵束が、きらりと輝いた。**] (23) 2024/05/27(Mon) 17:03:22 |
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