【秘】 陽炎 シロマ → 気狂 ネコジマ「おやおや。入学希望かな? ふふ、呼び方はどちらでも構わないよ」 今のところ、自身を素直に先生と呼ぶのは夢川だけだ。きっと彼から話を聞いたのだろう、と考えた。 貴方が抱えた缶を見下ろせば、ふむ、と顎に手を当てる。 「ん〜、元の場所だとまた見つかっちゃいそうだしなぁ……」 それに。 彼等は満足に学校へ行けなかった子供達である。供養もされず、捨てるように燃やされた部落の子供達。 暫し悩んでから、口を開く。 「……きっと学校に行きたかっただろうし。 皆のところにしようか」 (-23) 2022/07/16(Sat) 16:31:31 |
【秘】 気狂 ネコジマ → 陽炎 シロマ>>-23 あなたが悩む間、猫島も少し視線を落として何かを考えていたけど、 それはもうひとつ聞きたいことをまとめていただけで。 皆のところに、というあなたの言葉に頷いて。 顔を上げて、ちょっと止まって、また視線を落として。 息を大きく吸うのと一緒に、 同じ高さのあなたの目をまっすぐ見た。 「梢先生、花火」 「教室で花火は、怒りますか」 「んん……」 「ふつうは…とうぜん、だめすけど」 「学校、なくなりますし」 「みんなは、そこにいますし」 訥々と、そんなことを口にする。 本当は誰に許可を得るでもなく 教室で花火をしてもらうつもりだったけど、先生がいるみたいだったから。 (-28) 2022/07/16(Sat) 21:46:18 |
気狂 ネコジマは、メモを貼った。 (a18) 2022/07/17(Sun) 11:52:08 |
ネコジマは、乾いた声でわらって、 (a19) 2022/07/17(Sun) 12:42:47 |
【秘】 気狂 ネコジマ → 夢中 ユメカワ「生きてる人を生きてる人から遠ざけたいから、」 「猫島はそうしました」 「でもまたやるのはなかなか難しいものです。 猫島、なるべく普通に生きる前提で考えていましたから」 この際、もうそうでなくていいかなとは思っている。 「死んだ人が何かするのを止めたいならー……」 「んー、…どうしましょう。 思い浮かぶ人が、そもそもが会いたくねぇんで」 「殺しても死んでくれないなんて、やっぱりだめですよ」 それがほんとうにすごくこわくて。 「あとー…」 「…あと、今の父さんは来ないだろうけど、 兄ちゃんは来そうで。何するかわかんねぇんすよあの人」 「別に死ぬ気だったわけでなくて、 連れ戻す気で来ちゃってたとか、全然ありそうで」 「生きてる人と、死んでる生きてる人とがいるんなら、 猫島はこわくてどこにもいられませんね」 その通り、終わりの先が続くなら、 生きても死んでも猫島はたすからない。 (-32) 2022/07/17(Sun) 12:45:13 |
ネコジマは、いろんなものが綯い交ぜになったこころでわらって、 (a20) 2022/07/17(Sun) 12:45:33 |
【秘】 気狂 ネコジマ → 夢中 ユメカワ猫島には生きてる理由があるし、生きたくない理由もあるし、 死ぬ理由があれば、死にたくない理由もある。 「さて、猫島はどの幸福を選びましょう」 皆が言ってくれている守るとか、助けるとかを信用していないわけじゃなくて。 そういう可能性も、全部ひっくるめた上で、猫島はこう言うのだ。 (-33) 2022/07/17(Sun) 12:46:12 |
ネコジマは、ただ、わらった。 (a21) 2022/07/17(Sun) 12:46:21 |
【秘】 気狂 ネコジマ → 夢中 ユメカワ「……なんて。大丈夫です、ちゃんと考えられますよ」 「こう言いながら、決まっているんです。 今すぐ決められないだけです」 「ああいや、んー……今決まっていないところが 決まらないと決められなくて……?」 「それだから、はっきり言えないだけで。 口に出したら、そうならなかった方の答えが さみしくなっちゃうから。それでも、」 「夜が明けてしまうまでには答えは出ているから」 「だから、大丈夫です」 (-34) 2022/07/17(Sun) 12:48:05 |
ネコジマは、猫島はほとんど迷っていない。道を決める要素は、あとひとつだけ。 (a22) 2022/07/17(Sun) 12:48:34 |
【秘】 陽炎 シロマ → 気狂 ネコジマ「……んん、花火かぁ。 まあ……、やっても構わないよ。 私は後ろで見てるからさ」 管理状況も悪い建物である。 これから急に保護をしたとしても、もう遅いだろう。朽ちるのを待つだけだ。 それに、この校舎自体に執着があるわけでもない。 「くれぐれも、自分が燃えないようにね。 焼け死ぬのは苦しいから……」 もう己が燃えることは無いと、わかっていても。 炎の雨は、どうしても。 「全員集めるのかい?」 しかし先生が暗い顔をしていては、心配させてしまうかもしれない。努めて平静を装って。 生者、死者、幻……それらを含めて『全員』と呼んだ。 (-35) 2022/07/17(Sun) 15:29:47 |
ネコジマは、先生の許可をもらえて、息を吐いた。緊張していた顔が少しゆるむ。よかった。 (a23) 2022/07/17(Sun) 16:46:41 |
【秘】 気狂 ネコジマ → 陽炎 シロマ>>-35>>a23 「んー……いない人は、いないんじゃねぇすかね。 猫島も、栗栖ニイがいなかったらいませんし」 猫島 稔という奴は、今日に起こった非現実的なことを 受け入れているようで、目を逸らしていて、 そして現実から逃げきれないでいる。 「ほんとうに、みんなみんながいるだなんてことに なるんだったら。それなら」 「……猫島が、くるしいくるしいになっても、 みんな、みんなで花火をするのがいいです」 経験したことのない苦しみを軽く見ているわけではない。 ここを運命のわかれ道だと決めているだけだった。 あなたの努力は実を結んでいるようで、 猫島はあなたが火を恐れているだなんてちっとも思わなかった。 (-36) 2022/07/17(Sun) 16:48:41 |
【秘】 夢中 ユメカワ → 気狂 ネコジマああやっぱり、できる事なら君の傍に居てあげたいなと思ってしまう。 きっと大丈夫じゃないのに、笑って大丈夫を言う君が寂しくて。 それが死者の傲慢だという事に気付いているのかいないのか、 きっと誰も聞きはしないし、語られる事も無いから定かじゃない。 「……ねえ、稔。俺は稔が頑張ってるの、邪魔したくないから」 隣を歩く君の頭にそっと手を伸ばして、 触れられたなら、やっぱり優しく髪を梳くみたいに何度か撫でた。 触れた手はきっと冷たくはなくて、血で汚れてもいない。 「応援してるから」 それから、いつか君がくれた言葉を返した。 きっと今の君は自分と同じで肯定が欲しいわけじゃないから、 いつかの君と同じ、これはただ身勝手な言葉だ。 (-37) 2022/07/18(Mon) 4:27:42 |
【秘】 夢中 ユメカワ → 気狂 ネコジマ「だから俺、ちゃんと待てるよ」 君達が答えを出すまでにもう少し掛かるなら、待っていられる。 君達が生きてしなければならない事があるなら、待っていられる。 ずっとは待たない。君達がこれからを生きていく限り、きっと自分達は いつかは記憶に埋もれて色褪せて、遠い過去のものになってしまうから。 いつか大人になってしまう君達と、大人になれずに終わってしまった自分達が その時も友達のままで居られる保証なんて、何処にも無くて。 「ここに来てくれた皆の事が好きだから。ずっと」 君達には、たくさんのものを手放させてしまったけれど。 そんな自分が多くを望むのは、きっと高望みなのだけど。 それでもやっぱり、できる事なら皆一緒が良い。 皆と過ごしたあの日々が、かけがえのない時間の事が、ずっと好きだから。 皆もきっとそうなのだと、信じて疑っていないから。 (-38) 2022/07/18(Mon) 4:28:37 |
【秘】 夢中 ユメカワ → 気狂 ネコジマ「また会いに行くからさ」 だからきっと、夢川はまた君達の前にやって来る。 『また』が来るのがすぐの事でも、少し先の事でも。 何れにしてもその時は、やっぱりちゃんとそこに居るはずだから。 「みないふり、しないでね」 だからその時も、目を逸らさないで、と。 寂しがり屋を免罪符にしてちょっと強引なお願いをするあたり、 やっぱり昔から、なんにも変わっていなかった。 (-39) 2022/07/18(Mon) 4:29:10 |
ネコジマは、「しませんよ」 ひとこと、それだけ言っていた。 (a26) 2022/07/18(Mon) 6:00:12 |
【秘】 陽炎 シロマ → 気狂 ネコジマ「……そっか。 稔が苦しいのは、私も苦しいけれど……。 君がその方法を選んだとしても、私は止めないよ」 まるで境目をぼんやりと見つめているような子だ、と思った。 両方に足を着けている、と言った方が良いだろうか。 一言で表すならば、『狂い』になってしまうが。 その様に、何だか親近感さえ抱いてしまう。 苦痛だと知っていても尚、選んだとしたら。 貴方の想いは、それ程強いのだろう。 もしくはそれ程に、狂っている。 ああ、来てくれないかなあ。 君のような子にこそ、この いとま で笑って欲しい。「──みんなで一緒にいたい気持ちは、わかるつもりだからさ」 少女はそっと微笑んで、肯きをひとつする。 その横顔は、今までの笑顔とは違って。 ほんの僅かに、憐れみが滲んでいた。 (-40) 2022/07/18(Mon) 12:04:53 |
ネコジマは、わかってもらえてうれしい。 (a27) 2022/07/20(Wed) 21:25:03 |
ネコジマは、滲んだ程度のその憐れみを、心配なのだと思った。だから、 (a28) 2022/07/20(Wed) 21:25:08 |
ネコジマは、わらって頷いて、それで先生と別れていたのだった。 (a29) 2022/07/20(Wed) 21:25:48 |
【置】 友達 ネコジマ【屋根裏】 「──そすね。長かったと思いますよ、猫島も」 「君は猫島よりも我慢がたくさんできるいい子なんですね」 「はい、考えておきます」 「考えておくだけですって」 (L2) 2022/07/20(Wed) 21:33:18 公開: 2022/07/20(Wed) 21:35:00 |
【人】 気狂 ネコジマ【みんなの教室】 と、と、と。 お骨のかんかんを抱えて、猫島は教室に戻ってきた。 教室には誰がいるだろう。誰もいないだなんてことは、きっとない。 「ただいま」 きょろ、室内を見回して。 真ん中あたりの空いてる席に缶を置く。さみしくないね。 それから教室に置いていた花火の袋を開けて、何本か缶の横に添えた。 続けて、動かない身体たちの──確か利き手だったと、 猫島が記憶している方の手に花火を持たせて。 抜き取った靴紐なんかで、落ちないように結びつけていく。 (16) 2022/07/20(Wed) 22:22:45 |
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