【置】 夏の雪 ユメカワ皆と居る日々が好きだった。なんでもない日々がよかった。 それさえあればよかったんだ。 夏彦が隣に居て、ふと目が合って、なんだか嬉しくなって。 栗栖が面白そうな事を持ってきて、稔がひょっこり顔出して 麻弓ちゃんが元気にやって来て、牧夫兄が苦笑しながらそこに加わって。 明日香ちゃんが怪我したらおいでって声掛けて、 不意に鹿乃姉がぴゃって声上げて、つられて裏道がびっくりして。 そんな二人を梢ちゃんが上手く宥めて、皆を纏めてくれて。 そんな日々が、 (L6) 2022/07/14(Thu) 4:50:45 公開: 2022/07/14(Thu) 5:00:00 |
【置】 夏の雪 ユメカワもう戻らないなら、どうしたらいい? 全部全部がいっぺんに叶う方法なんて、もうこれしかないじゃん。 他にどうしたらいいんだ、教えてくれよ。わかんないよ。 俺は楽しければそれでいいからって、今まで全然頑張ってこなかった。 甘えてばっかのやらなきゃできないだめな子なんだよ。 吁、だからか。 (L7) 2022/07/14(Thu) 4:51:17 公開: 2022/07/14(Thu) 5:00:00 |
ユメカワは、鏡の前で呟いた。「俺が悪いの?」 (a85) 2022/07/14(Thu) 4:51:30 |
ユメカワは、鏡の中で笑っていた。ただただくらく笑っていた。 (a86) 2022/07/14(Thu) 4:52:35 |
ユメカワは、そんな、いつかのどこかでのお話。 (a87) 2022/07/14(Thu) 4:52:42 |
【独】 傷弓之鳥 マユミ>否応なく大人にならざるを得ない子供もまた、存在する。 シロマも幽霊枠か!?!みんな幽霊に見えるな!?と思ってたけど これ読んでたらなんか 幽霊っていうよりも 何? 和崎節全開の恐ろしい人間の醜さで固められた生々しい背景ありそうだな 梢の意思なく孕まされたとか、売られたとか、政略結婚的な奴とか、そういうのかな (-246) 2022/07/14(Thu) 6:18:08 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 陽葉 シロマ「例えば直接傷つけたとか、そうでなくても唆したとか。他の人を脅かすというのは怒られる行為です。 けれど、もし犯人が恨み以外……例えば、寂しかったからとか。そういったものであれば。少なからず理解はできますから。拙からきちんと怒ることは、出来ないでしょうね」 もし自分が幽霊だとしたら。きっと、自分と同じ立場になってほしいと願ってやまなかっただろうから。 どうして、その者たちを責められよう。 「深雪ですか?分かりました。忘れず、きちんと聞いておきます」 少女はしっかりと言葉を覚えていたのだが、それよりも早く件の夢色の彼自らが少女に連絡を入れたのは……もう少し先の話。 ▽ (-247) 2022/07/14(Thu) 6:26:29 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 陽葉 シロマ「梢」 多くを取り落としてしまったような虚ろを見る。 「どうしてそんなに、自分が蚊帳の外にいるような口ぶりなんですか」 意思がないとはっきり言われた。 夢も、願いも問われた。なんだかそれも、自分にはもう無いと言っているように聞こえた。 「まるでもう、少年時代から踏み外してしまったか、或いはもう抜け出してしまったかのよう」 犯人を断定したわけでも無いのに「彼」と呼ぶことについて気になったが、それよりも貴方が静かに紡ぐ内容のほうが気にかかった。 「拙は、拙はただ…… …………皆と、ずっと一緒に楽しい時間を過ごしていたい。 ………………ただ、それだけです」 (-248) 2022/07/14(Thu) 6:27:00 |
【秘】 不知 ミナイ → 傷弓之鳥 マユミ誰かは死ぬ理由がある、なんてこと。 わかってる。 「……心は疲れてるかも。 でも身体はとても動かせるようになった。元気にさせられている」 手術によっててにいれた心は返せない、 否、何度絶とうとしたか思い出せない。 「ボクは健康で皆の成果を示す状態になることを望まれてる、 笑顔になって、健康にならないと……。 ボクのために何人もの努力や想い、たくさんのお金も動いてる。 返さないと、返したいんだよ」 それは、自分のわがままだけど。 勿論さ、君たちのことも入ってるんだよ。 一緒に遊びたかったんだからさ。 「じゃあ意見かぁ、なら、まず、ひとつ」 すうと、息を吸って。 自分にいいきかせるようにその言葉を。 「今、生きていても死んだとしても。 君の思う寂しくならないなんてことは、ないよ。 何故なら、今死んでも満たされる感情を理解していないからだ」 死んでも、生きても良いなんて、寂しいね。すごく、寂しいね。 (-249) 2022/07/14(Thu) 7:13:19 |
【秘】 不知 ミナイ → 傷弓之鳥 マユミ「一番環境が変わるのは、時間が止まることだよ。 楽しい時間が続く奇跡なんてずっとは、ないんだ」 「遺された先が辛くないなんて思わないさ。 でも死んだ彼らは楽しそうだったかな、 生きたこの先に楽しいことがひとつもないなんてことはないけれど、死んだ先には、保証は誰もしてくれないよ」 「ひとつも、ほしいものはない? 本当に、後悔も、やりたいこともない? 全部がなくなった、こんな疑問もなくなった時は ボクも麻弓くんをみんなに会わせてみせるさ。 だから、選ぶことが出来たらその時は報せてくれると嬉しいな」 「だって、なにも言わずにいなくなるのは寂しいからさ」 (-250) 2022/07/14(Thu) 7:31:06 |
【秘】 陽葉 シロマ → 傷弓之鳥 マユミ蚊帳の外。 これは正しい指摘だと、少女は思う。 「生きたまま、ずっと楽しい時間が過ごせれば最高だ。 だけど現実はままならない。 もしかすると、常世も似たようなものかもしれないよ」 少年時代から抜け出してしまったかは、わからない。客観的に見れば、きっと自分は未熟な小娘のままだ。 貴方の問いに答えることなく、光の失せた瞳を向ける。 何故『彼』と呼んだのか、その説明もしないまま。 「ただ…… 常世は、これ以上悪くはならない 」現実は、これから更に良くなる可能性がある。 しかし同じくらい、悪化する可能性もある。 卒業、就職、結婚。 人生には、数多くの分岐点が控えている。 「きっと世間はさ、何があっても生きていくことを美談とするのだろうけれど……私は、そうは思わない」 病気、事件、 事故 。加えて──数多くの予定外が、そこら中で息を潜めて狙いを定めている。 困難を乗り越えられるかは運次第。 私達は努力が報われないことくらい、もう知っている年頃だろう? 「君の未来に、何か希望があるのなら。 生きるべきだね」 「無いのなら、死んでしまっても構わないだろうよ。それを咎める資格は、誰にも無いのだから」 (-251) 2022/07/14(Thu) 10:46:02 |
【秘】 甚六 カナイ → 傷弓之鳥 マユミ「んぁ、 ……んふ。 まぁ、だ」きみの耳朶を打つのは、ぽそぽそと内気な、 親愛をぎゅっと詰め込んだ声。 その声も、 転んで膝をつく、短パンからひょろりと伸びた脚も、 「ねーちゃんまた、転んじょった…」 前髪とフード越しにへにゃりと笑う顔も、下がる眉も、 「す、すまね」 おずおずときみの手に触れて重なる、長袖から覗く指も。 いつも通りに、いつかと同じで。 齎された不可逆を示すのは、その体温。 熱をどこかにうっかり、置いてきたみたい。 (-252) 2022/07/14(Thu) 12:13:41 |
【秘】 陽炎 シロマ → 奔放 クリス「言うじゃないか。 ああ、幻かどうかを決めるのは私達じゃない。世間様さ」 頬をなぞる仕草をした後。 貴方の顎を軽く持ち上げるように、人差し指を動かした。 少女は静かに喉を鳴らし、笑う。 「いてもいなくても同じ。背景にさえならない滲みのひとつ。 そんなものだろうよ。私も、君達も」 鴉がどこかで鳴いた。 鳥が目を覚まし、陽の下を飛ぶのはあと数刻後。 どこかの家では誰かが起きて、どこかの家では誰かが眠る。 「さて、栗栖。 君の話を聞くに、君は私に変わってほしいのだと捉えたわけだが」 世界は今日も、いつも通り回っている。 「生徒ではない君の願いは叶えられない」 「大事な生徒を置いて消え失せることなど、もっての外」 「しかし。 聞いて、知り、検討することはできるよ」 (-253) 2022/07/14(Thu) 12:36:12 |
【秘】 奔放 クリス → 陽葉 シロマ「つまらないからね、ただ結末が決まっているものを見やるのも」 行きつく先が決まっている。それは未知ではない。 ただ、そのままに、流れに身を任せるだけ。 何度だって言っている。そんなものは、つまらない。 「似てるからこそそう思うのかな? それとも僕が僕であるからか、フ、フフ」 幻かどうかさえ分からない男は、笑う。 頬を撫でられたかさえ分からない男は、笑う。 「僕にできることなど、もうきっとないんだからさ」 きっと、この先ちょっとだけマシな結末などないんだろうけど。 きみの知ってる通り、その男は、だからといって動くことをやめないのだ。 幻に成り下がったとしても。 「ただ、解決しに来ただけさ、僕は」 きみの妄執を。 「きみの期待に応えに来た」 静かな対話は、きっと行き着く先などありはしない。 幻は幻のままに。それにはきっと意味は付随されず。 願いなど他者に預けない。それが彼と彼女だった。だから。 世界に疵をつけるのだ。それがどんな前提を持っていようとも。 相馬栗栖にとって、彼女は。 白間コズヱではない。ただの、 (-254) 2022/07/14(Thu) 13:46:02 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 甚六 カナイ「はい。拙ですよ」 いつも通り、にしては何処か少し、噛み締めるような低い声音。 ぽそぽそと内気な、親愛をぎゅっと詰め込んだ声。 転んで膝をつく、短パンからひょろりと伸びた脚も、 前髪とフード越しにへにゃりと笑う顔も、下がる眉も、 おずおずと自分の手に触れて重なる、長袖から覗く指も。 いつも通りに、いつかと同じで。 ……嗚呼、けれど。 触れる体は、もういつも通りじゃない。 「ふふ、相変わらずですね。転んでもいいですよ、拙が何度だって手を貸しますから」 それでもいい。貴方が貴方であるのなら、自分は。 ▽ (-256) 2022/07/14(Thu) 14:30:25 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 甚六 カナイ「その代わり」 少女はさらさらと流れる黒髪を揺らしてそっと両腕を広げた。 そのまま小柄な貴方を囲うように、腕を回して閉じ込めて。 「…………今だけ、こうさせてください」 縋るように、或いは何かから隠れるように。 貴方の肩口に、力なく顔を埋めた。 熱はない。いのちの欠片が何処にもない。いつも通りと一緒に、何処かに置き去りにしてしまったのだろう。 けれど、貴方が貴方である証はいくらでもある。 声を、華奢な体を、詰め込まれた親愛を。 残っているいつも通りをよすがにして、少女は貴方に体を寄せる。 「……」 「…………」 「ねーちゃん……」 ぽつり。 それは、いつも通りじゃない声は、貴方の服に吸い込まれた。 今まで一度も、そんな呼び方をしたことがない。けれど、いつも通りじゃない今だからこそ、少女はその呼び方を音にした。 少女は一度も、貴方を「だめだめなねーちゃん」だと思ったことなどなかった。 気弱でも優しくて、一緒に過ごしてくれた大切なお友達。 寄り掛かりたいと思う、素敵なねーちゃん。 (-257) 2022/07/14(Thu) 14:30:52 |
【秘】 甚六 カナイ → 奔放 クリス見上げるきみに笑いかけた。 口をもにもにさせて、笑い声はその中に含んで。 「じゃ、そぉま は…… んぇ 」それも、束の間。 ちかちか瞬き、息を継ぎ。 「 ……ん。」んん、 「す、すいり。……が、がんばれ よ 、しゅ い、す …すひ 、ぁう。」「 すいぎむ 「ぁと、…あと!」 「 こ ずちゃん のこと、おねが い、な」 ▽ (-259) 2022/07/14(Thu) 14:44:07 |
【秘】 甚六 カナイ → 奔放 クリス慌ただしく、言葉を重ねて。 さいごにぎゅっと、きみの手を握ってから。 「元気でな、そぉま」 廊下の奥に駆けていった。 (-260) 2022/07/14(Thu) 14:45:36 |
【秘】 不知 ミナイ → 友達 ネコジマ「そっか、よかった少しぐらい同じように思ってくれる子が居て」 同じように手持ち花火を手に取って。 赤紫colorから紫colorに変わる火を見届けながら目を閉じる。 「なるほどね、誰かが――この色になるように。 この花火を持ってきてくれたのかもしれないね」 そうして再び目を開ければ燃え尽きた煤が目に入る。 あゝそうだね、どんな光にも終わりは存在するんだよね。 「――キミ、すごく大変だっただろう。 なにか帰ってからも頼み事があればボクも頼るんだよ。 そう、友達が居なくなって寂しい。とかね」 「人捜し、得意なんだ。どこぞの名探偵よりもね」 (-261) 2022/07/14(Thu) 15:01:56 |
【秘】 陽炎 シロマ → 奔放 クリス「予定調和だって尊いものさ。 予想外の事は正直、もう勘弁してもらいたいものだけど」 警報が解除された直後に空襲に見舞われ、優勢と聞かされていた戦争は負け、校舎から生徒は消えた。 社会の荒波は常に少女に厳しく、また虚しさを与え続ける。それはいつの時代にも存在する、『よくある話』だ。 「しかし期待に応えてくれると言うなら、もう少し話を聞いてみよう。 私の欲しいものが、その先にあるかもしれない」 実のところ、その答えが何であっても構わない。 こうして、自分について考えさせることが目的であったから。 勿論、期待に応えられれば嬉しいけれど──高望みはしない。 そう告げて、亡霊は貴方の言葉を待った。 (-262) 2022/07/14(Thu) 15:48:31 |
【墓】 電灯 カナイ暗い暗い夜のすきま、 どこかの、何かの、誰かのあわい。 ぱたぱたきぃきぃ足音と木の軋む音を響かせながら、 彼を背にして廊下を走って、角を曲がって、 「 あ えぁ」なにかに蹴躓いたらしきいつもの声が。 暗い廊下に小さく響いて、 ▽ (+17) 2022/07/14(Thu) 15:48:46 |
【秘】 明滅 カナイ → 奔放 クリス「そぉま」 「ぼくもさ」 「きみくらい賢かったら、 呆れた顔とかさせなかったんかな」 「がっかりもさせなかったかな」 「ねーちゃんのくせに、 悲しませたり、しなかったよな」 「あの子のことも、わかってやれたんだろな」 (-263) 2022/07/14(Thu) 15:52:45 |
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