【人】 片連理 “椿”[階段を降りて正面、つまり玄関の真向かいにはバーカウンターつきのキッチン。右にリビングと、その先、今はカーテンの閉まった大きなガラス戸の向こうはウッドデッキに続いている。左奥にバスルームと洗面所、手前には手洗いだ。 カウンターの左から奥のキッチンへ入ると、小さな二人用の丸いダイニングテーブルが置かれていて、その先がバーカウンターと垂直になる形で小さなシステムキッチンになっている。 椿は奥の冷蔵庫を開けて、食材を取り出していく。楓が寝室に上がったときに一度物色しているから、迷いはない。] ほら見て素敵、ラムがあるわ。 これを焼いて、あとは野菜をコンソメで煮て…… [それから、ふと振り返って楓の方を見る。] 男の子には、バターグラッセの方がいいかしら? [問いかけて、椿は悪戯めいて微笑んだ。 もちろん、目の前の彼はきちんと大人だ。] (205) 2023/03/02(Thu) 4:28:36 |
【人】 片連理 “椿” とりあえず、人参の皮を剥いて輪切りにしてくださる? [椿は手際良く用具を並べてから、肉を焼く用意を始めている。 時には王に傅く従者のように、時には年の離れた弟に接する姉のように、その容姿と同じく、椿の言動には不安定さがある。自身では別段意識しているわけではないのだが、存在の不確かさがそこに表れているのかもしれない。] お肉の焼ける音って、しあわせですわねえ。 お料理は人間だけにゆるされた営みだわ。だから、好き。 ……わたくしは、あまり上手ではないのですけれど。 あの人の方が、得意だったわ。 [しばらくして、そんなことをぽつりと呟いたりもする。]** (206) 2023/03/02(Thu) 4:29:39 |
片連理 “椿”は、メモを貼った。 (a19) 2023/03/02(Thu) 4:30:45 |
片連理 “椿”は、メモを貼った。 (a20) 2023/03/02(Thu) 4:56:11 |
【秘】 一匹狼 “楓” → 片連理 “椿”[あの反応を見た彼女が何を思ったか、楓には窺えなかった。 強張る体に気付かれなかったか、あるいは意味を見出されなかったか。そのどちらか、と判断していた。 誰にも何も言われなければ、何事も起きていないものとして現状維持を続けるだけなのだ。 それこそが彼の望みだから。>>2 共通の友の話題は、この先出ることがあるかもしれない。 が、仮に彼女と友の邂逅を知ったとしても、その思い出は二人のもの。楓が細かく聞き漁ることはないだろう。 楓だって一度、友の元へ赴いている。そのときのことを楓から詳細に語ることはないのと同じように。 互いの時間のずれを確かめることなどできはしないだろう。仮に椿が友の解呪を語ったとして、楓は友の近況を事細かに知るわけではない──むしろほとんど何も知らない。ゆえに知らぬ間の出来事と思うにすぎないだろうから] (-132) 2023/03/02(Thu) 8:31:02 |
【秘】 一匹狼 “楓” → 片連理 “椿”[彼は内心で、気取られぬことを強く祈った。 彼女のマントにじっと視線を送ってしまったのが、それが彼女の亡骸を連想させてのことだったのも。 悪戯めかして微笑む彼女の唇に、どうしようもなく惹きつけられて必死に視線を逸らしたのも>>205] (-133) 2023/03/02(Thu) 8:31:53 |
【人】 片連理 “椿” そうね……、そうかもしれません。 人間にしては、ちょっと変わっているでしょう? あ、バター取ってくださる? お砂糖は……こっちにあるわね。 [切ってもらった人参を小鍋に入れながら、まるで世間話のような口調で呟く。小さなキッチンは二人で立つには随分と狭い。聞き慣れた彼の声は耳に心地よく、椿は歌い出しそうな上機嫌で、手際よく料理を進めていく。 フライパンに蓋をして、火が通るのを待つ。その間にまな板と包丁を片付けて、皿を用意する。肉が焼けたら皿に移して、同じフライパンで簡単にソースをつくる。そんな日常の光景に、およそ日常とはかけ離れた会話が挟まって、奇妙な緊張感が漂う。] (227) 2023/03/02(Thu) 11:34:51 |
【人】 片連理 “椿”[人間ではないような。実際、その通りだ。初めから、人間と呼んでいいようなものではなかった。 椿はバターで煮た人参も皿に乗せ、肉にソースをかけた。それを、側の小さな丸テーブルに乗せて、カトラリを用意する。カウンターに用意されていた小さな丸いパンの入った籠はテーブルの中央へ。] (228) 2023/03/02(Thu) 11:36:14 |
【人】 片連理 “椿” いただきましょう。 ええ、とても人間的な食事だわ。 [これくらいの人間のふりならいつでもできる。 多分、できるはず。] そう思いませんか、楓様? [やや自嘲気味に、椿はそう口にする。 それが、彼の耳にどう響くかはわからないけれど。]** (229) 2023/03/02(Thu) 11:36:50 |
【秘】 一匹狼 “楓” → 片連理 “椿”[室内に改めて目を向ける。 広い、数人向けの小屋。寝泊まりだけでなく悠々とした時間が過ごせる、快適な余暇のための場所。 そう思えるからこそ、一人でここに泊まろうと思うことなど絶対に無いと思えた。 いつもの旅の途中>>68、夢の中にでも彷徨い込んだのだろう>>118。 彼は次第に現状をそう解釈するようになり始めたが……。 だからといって飢餓感の軽視だけはする気になれなかった。 なぜなら、彼が最も頻繁に人を殺すのは夢の中だからだ。 そして夢の中といえど、仲間と認める人を自ら傷つけ害する光景など見たくなかった。それが彼があの夜に夢見た地獄の一片なのだから] (-149) 2023/03/02(Thu) 12:55:40 |
【秘】 一匹狼 “楓” → 片連理 “椿”[そのまま食べ続けようかと思ったところで、どうしても彼の手は止まる] 『人間的でない食事』って、例えば何だ? [テーブルの上に並ぶのは、確かに人間的な食事だろう。 それなら、そうでないものとして彼女が思い浮かべるのは何か? それを問いたい気持ちに駆られ、抑えることができなかったのだ。 なぜなら、かつてあの気高き友に問いかけた言葉が脳裏に蘇ったから。 《人間向けの食事で、足りているか?》 ──彼が逃れたい、それでいて必ず対処しなければならない飢餓。彼が思う『人間的でない食事』とは、そのまま“人狼”のそれである>>59] (-150) 2023/03/02(Thu) 12:56:33 |
【秘】 一匹狼 “楓” → 片連理 “椿”[彼女の声音をすんなり自嘲と解釈したのは、きっと似た思いが彼の中にもあるせいだろう。 人間のふりをして、人間の暮らしを続けている。 人間だった頃の生活にしがみつき、必死に維持し続けている。 その維持のために、人間ならざる道を歩み続けて。 ──もう、人間でなどありえないのだ。 人間でないものになったと感じた後、元に戻ろうなんて彼が考えたことは一度も無かった。戻れる余地を──戻ってもいいと彼が思える理由を、自ら断つしかなかったのだから]** (-151) 2023/03/02(Thu) 12:56:53 |
【秘】 片連理 “椿” → 一匹狼 “楓” 『食べる』ということは、生きることと同義です。 [カトラリを皿の上に置いて、椿は言った。] 生きている限り、人は食べなければなりません。 だから、たとえそれがビタミンの錠剤でも、生きたままの魚であっても、あるいは何か、木の皮のようなものであったとしても、それが人間らしくない、とは、言えないでしょうね。 [言葉を選びあぐねて、椿は皿の上に目を落とす。 はじめの頃、彼女は腹が減れば当たり前のようにヒトを喰らった。 それは羊や豚を食べることと何も違いはないと、そう思っていた。 いや、それは今でも変わらない。ただ、その度に片割れが悲しい顔をするから、やめてみようと思ったのだ。それができれば、この世界に自分が生きていても良いのかもしれないと、そう思って] (-161) 2023/03/02(Thu) 16:09:28 |
【秘】 片連理 “椿” → 一匹狼 “楓” たとえば、たとえばですけれど。 お友達の可愛がっている犬を食べては、いけないのでしょう? [拗ねるような口調になったことには、自分では気づかなかった。 それがなぜいけないのかは、椿には良くわからない。今の言葉は、それを暗に示していた。 それがわからないから、やはり自分はヒトではなくて、ここにいてはいけないものなのだと、それだけがわかる。それが悲しくて、それを悲しむことすらもきっといけないことで、考え始めると出口のない迷路に迷い込んだような感覚に陥ってしまう。 彼はどうなのだろう。あのとき聞こえた“内緒話”で、彼らも自分と似た存在なのだと知った。 そう、思い出した。だから、逢いたいと思ったのだ。 人間ではない彼らがどうやって生きているのかを知りたくて。] (-162) 2023/03/02(Thu) 16:11:16 |
【人】 片連理 “椿” 美味しい。 [小さく切った肉を口に入れる。 さほど料理の腕がいい方ではない椿ではあったが、素材が良いものだったのだろう。シンプルに焼いただけの肉は素直に美味いと感じた。]** (250) 2023/03/02(Thu) 16:26:43 |
【秘】 片連理 “椿” → 一匹狼 “楓”[おかしな話だ、とも思う。 自分の命はもうじき尽きる。 それだというのに、なぜ今更生きていい理由を探しているのか。]** (-166) 2023/03/02(Thu) 16:58:35 |
【秘】 一匹狼 “楓” → 片連理 “椿”[生きるために何かの命を犠牲にしても構わない──それは楓も同意するところだった。 だから彼も自分の意志で人間を食べている。 “人間を食べてはいけない”のは人間社会のルール。 人間でなくなったからには、従わなくとも罪ではない。 楓の考えはそうだった。 そして、それゆえに自分を人間とは言えない存在だとも信じ込んでいる。 人間は“同族食い”を禁忌とする生き物。 躊躇わず人間を食う存在は、いかに見た目が人間に近かろうとも異端と見做され、排除される。 そのことはよく、わかっていた。過去の自分自身の感覚として] (-170) 2023/03/02(Thu) 17:23:10 |
【秘】 一匹狼 “楓” → 片連理 “椿”[けれど彼女の拗ねるような問いかけを聞くと、反発する思いが浮かんだ。 彼が必死に避けていることと通じる部分のある例だったから。 同時に悲しみを感じた。 彼女はそれがわからないのだと、その問いで感じてしまったから。 そして、それを悪怯れずにいるとは思えなかったから] 椿……。 [平然とその感覚を受け入れているのなら、拗ねるような声など出まい。 彼女にとっては理解したくてもできない感覚なのだ──そこまで感じ取ってしまって、楓は彼女に右手を伸ばした。触れようとしたのだ、今はカトラリを持たぬ彼女の手に。 本当は、彼女を抱き締めたい思いに駆られていた。 けれどそれは躊躇った] (-171) 2023/03/02(Thu) 17:24:09 |
【秘】 一匹狼 “楓” → 片連理 “椿”食べたら殺してしまう。 殺した命は、帰ってこない。 そうしたら友達の心を傷つける。 人は、大切な命には生きていてほしいと願うものだ。 [言っていて反吐が出る思いだった。 それを理解する彼自身は人間だと主張するかのようで。 それを理解しているから何だというのだ? 理解しながらやり続けるほうが、理解できずに行うよりよほど罪深いのではないか。 遠くに旅立ち、何らかの罪で誰かから死を望まれている人間を探し出し、喰らう。 それが楓が日常を保ちながら生きるために選んだ道ではあったが──罪人だって誰かの大切な人には相違ない。 楓は人間を踏み躙り人間の敵に回るようなことをしながら、人間の中で人間として生きていくことを望んでいる。 どれだけ矛盾したことか理解していても、他に方法が見つけられなかったのだ] (-172) 2023/03/02(Thu) 17:24:49 |
【秘】 片連理 “椿” → 一匹狼 “楓” 生きて、ほしい…… [近づいてきた楓の手に、椿もまた手を伸ばす。 触れた掌が温かい。良く知っているあの手に似ている気がして、思わずじっと見つめた。 目の前で砂のように崩れて消えた片割れを思い出して、喉の奥に突き上げるような痛みを覚える。ならばこの感じが、“生きてほしい”だろうか? 否、彼が生きていた間にこんな痛みを感じることはなかった。彼はもういないのだから、これはただ彼の不在を寂しく思うだけのこと。 帰ってこないのはいけないことだろうか。どんなに願っても、いつかは必ずいなくなるのに。] (-204) 2023/03/02(Thu) 20:53:14 |
【秘】 片連理 “椿” → 一匹狼 “楓”[椿は少し困った顔をして、上目がちに楓を見た。 ——やはりわたくしは、ヒトではないようです。 わかってはいても、はっきり声にしてしまえばそれが本当のことになる気がして、躊躇われた。 だから代わりに、こう尋ねてみることにした。] (-205) 2023/03/02(Thu) 20:55:04 |
片連理 “椿”は、メモを貼った。 (a24) 2023/03/02(Thu) 20:58:01 |
【秘】 一匹狼 “楓” → 片連理 “椿” (-217) 2023/03/02(Thu) 21:25:54 |
【秘】 一匹狼 “楓” → 片連理 “椿”[死を悼む心はそのまま、誰かの生を望む心に繋がるものではないのだろうか。 それまで知らなかった痛みを覚えて、新たに心が変わることもあるのではないか。 それまで誰にも抱いたことがない思いでも、死別の痛みを知ってから、別の誰かの生を望むことだってあるのではないか。 どの命ともいずれ死に別れるのだとしても、それができるだけ遠くなってほしいと願うことが『生きてほしい』という思いなのではないだろうか] (-218) 2023/03/02(Thu) 21:26:13 |
【秘】 一匹狼 “楓” → 片連理 “椿”[困ったように見上げられて、問いかけを受ける。 彼は一瞬、答えに躊躇って視線を外した] ……オレは、 (-219) 2023/03/02(Thu) 21:26:34 |
【秘】 一匹狼 “楓” → 片連理 “椿”仲間や友達に……生きていてほしい。 ( 仲間や友達を……殺したくない。 ) おまえもだ、椿。 [視線を戻して告げる声は囁きのように静まり、 彼が握る手に籠もる力は僅かに強まった。 これは確かに彼が心から願うこと。 それを避けるためだけに罪を塗り重ねるほどに。 けれど、これを願っていい立場なのか、彼の胸の内には常に疑問がつきまとっていた。 自分こそが仲間や友の命を脅かす存在なのだから]** (-220) 2023/03/02(Thu) 21:26:52 |
【秘】 片連理 “椿” → 一匹狼 “楓” わたし。 [思ってもみなかった言葉に、呆けたような声が漏れた。 いてはいけないものに、生きていてほしいとはどういうことなのだろう。 重ねた手は大きく、温かい。はじめは全く違うと思ったのに、やはりどこか似ている、と、椿は思う。 また喉の奥に痺れるような痛みが走る。 それ以上は何も言えないまま、彼女はただ戸惑っていた。]** (-226) 2023/03/02(Thu) 22:22:48 |
【秘】 一匹狼 “楓” → 片連理 “椿”[戸惑う彼女に頷きを返す。 重ねた手は小さく、彼女が弱々しいものに思えた。よわく、護るべき存在に。 そんな考えは彼の傲慢かもしれないのだが] あれ以来、仲間だと思ったままだ。 ……ほんの一部分しか知らねェのにな。 [あの日々で彼が知ったのは彼女の一面でしかないのだろう。 彼女が知ったのが彼の一面でしかないのと同じように。 だというのに、彼の内に芽生えた仲間意識は消えないのだ。共通の友に対しても同様である] (-231) 2023/03/02(Thu) 22:39:22 |
【秘】 一匹狼 “楓” → 片連理 “椿”……椿は、そんなふうに思われるの嫌か? [戸惑う彼女にとっては意に沿わぬ言葉だったのだろうかと、彼は不安そうに問いかける。 手を振り払われないのなら不快ということではなさそうだと判断して、手には触れたままだ]** (-232) 2023/03/02(Thu) 22:40:05 |
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