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【神】 アンネロズ[ 記憶の中では貴方が隣にいるはずの場所へ 今は誰もいない、ただの空間へ手を伸ばす。 ] エド、ごめんなさい…。 大事なことを隠したままで。 私の事、嫌いになったかな。 私の事、忘れてしまうのかな。 貴方は今、どんな顔、してるのかな。 もし泣いているのなら、私と同じね。 (G22) 2022/02/16(Wed) 14:08:48 |
【神】 アンネロズ ねぇ、エド。 前みたいに、お話してくれる? 私の事、嫌いにならないでいてくれる? アンネ、って。 いつもみたいに、呼んでくれる……? (G23) 2022/02/16(Wed) 14:10:58 |
【神】 アンネロズ[ 記憶の中の貴方に聞いても 貴方はいつも笑ってるんだもの。 ずるいわ、私は涙が止まらないのに。 ねぇ、その笑顔をもう一度見たいの。 ] あいたいの……。 [ 届くはずのない想いを、いつまでも零していた。 ]** (G24) 2022/02/16(Wed) 14:11:28 |
【人】 イングラハム朝、私が目を覚ましたのは自室のソファー。 時刻は朝の4時とかなり早く 深いため息と共にグアテマラの煮汁を 乱暴に喉に流し込むと窓の外に映る朝日を眺めていた。 今日は自身のピアノ教室の教え子の発表会で その分私の仕事も多いということで こんな時間に目を覚ましているというわけだ。 (4) 2022/02/16(Wed) 22:12:52 |
【人】 イングラハムあの日をきっかけに 私はピアノというものが嫌いになった。 絶対に傷をつけないと誓った指先は 今となっては誇りなき傷にまみれて カッターの切り痕や何かを殴り抉れた 指の甲を隠すために常に手袋をしている。 公演やコンサートでピアノを弾くことも 誰かの前で演奏を披露することも 今に至るまでもう二度と、ない。 (5) 2022/02/16(Wed) 22:13:46 |
【人】 イングラハム学校を卒業してからというものの 私はこの街を離れるつもりでいた。 海も、ピアノも、その残骸を全て捨てて。 しかし数奇な運命は突如として 私に演奏を教わりたいとわざわざ隣の街から やってきた子どもによってもたらされた。 「私は誰かの前では絶対に演奏しない」 そう突き放すように私が吐き捨てても それでもと食い下がる子どもに 私はとうとう白旗をあげることとなる。 (6) 2022/02/16(Wed) 22:14:43 |
【人】 イングラハム子どもに白旗をあげてから数年。 私は今年で二十五の歳を迎える。 ちょうど昔の痛みも折り合いがついてきた頃で 今はこの教え子の面倒を見ることで なんとか生き長らえることが出来ていた。 (7) 2022/02/16(Wed) 22:15:37 |
【秘】 イングラハム → アンネロズ君のことを忘れたことなんてない。 それでも、「そんなこととあったね」と 平気なフリして誤魔化していたのは 君を思い出してしまうことが、辛いからだ。 (-4) 2022/02/16(Wed) 22:17:41 |
【人】 イングラハム覚醒した頭を働かせて 独り言を呟くと私は机に向かう。 ピアノを教える傍ら、作曲という 新しい日銭稼ぎに辿り着いた私は 日銭の素を紙面へと混ぜ込んでいった。 そうだ。私にとってはもう こんな物は食い扶持を探すための 方法の一つでしかないのだ。 (9) 2022/02/16(Wed) 22:21:06 |
【秘】 イングラハム → アンネロズ君を救うことが出来なかったこの指先も 君を癒すことが出来なかった音楽も 全て、等しく、無価値なんだよ。 ** (-5) 2022/02/16(Wed) 22:22:50 |
【独】 アンネロズ/* なんかもう書き始めてて思うんだけどアンネがやべー奴になってる気がしてやばい。 でも数年間ずっと誰もいない空間で彷徨ってたらおかしくもなるよね????大丈夫だよね????? (-7) 2022/02/16(Wed) 23:20:43 |
【神】 アンネロズ[ あの日からずっと。 私はこの世界を彷徨っている。 貴方への強い未練という名の鎖が 此処へと私を縛り付けている気がするの。 諦められるわけないじゃない。 死んでも良かったわけ、ないもの。 此処はどれだけ歩いても疲れないし 喉の渇きも飢えも感じないから 私は至る所を見て回った。 そして、街の何処にも人が居ないと 確信してしまってからは 私は病院から離れることはなくなったの。 ] (G25) 2022/02/16(Wed) 23:38:07 |
【神】 アンネロズ[ 病院が一番、貴方との思い出が詰まった場所だから。 貴方との思い出をなぞるだけの虚ろな時間を 何度も何度も繰り返しているの。 ] (G26) 2022/02/16(Wed) 23:39:08 |
【神】 アンネロズ[ そんな空っぽの私は、 いつものように中庭へと来ていた。 そしていつものように、ベンチへと座ろうとして。 ふと、声が聞こえた気がしたの。 大好きな、貴方の声が。 貴方の事、何度も思い返しているから それはきっとただの幻聴。 ] (G29) 2022/02/16(Wed) 23:41:41 |
【神】 アンネロズ[ でもね。幻聴だったとしても 私はそれに反応してしまうの。 茜色の空の下。 びゅう、と風が吹いてスカートがはためいた。 ] (G30) 2022/02/16(Wed) 23:42:10 |
【人】 グレイス逢魔が時。 昼から夜へと移りゆく狭間の時間。 普段なら、起こり得ない何かが起こり 重なるはずのない二つの世界が重なる時間。 彼女の呼び声が彼に届く瞬間が 確かに、訪れるのです。 それは届かないはずの想いが 世界を越えて届くとき。 散ったはずの 蕐 の香りが漂えばそれは蝶を惑わせ、引き込みますから。 (10) 2022/02/16(Wed) 23:43:27 |
【人】 グレイスその声に気づいてしまったのなら。 何処か、懐かしくも感じる声に振り返ったのなら。 その時がきっと、 始まりの時。 あぁ、でも…………。 空間が重なることがあっても。 生と死の事実が覆ることはないですから。 逢瀬は一体何をもたらすのでしょうか。 二人の行く末は 追憶 の先に。 (11) 2022/02/16(Wed) 23:48:03 |
【神】 アンネロズ[ 何処か、懐かしい気配を感じた気がした。 気のせい。そのはずなのに心がざわつく。 私は、記憶の中のアンネを演じるのをやめて ただのアンネロズとして。 貴方の名前を、呼んだの。 ]* (G32) 2022/02/16(Wed) 23:48:55 |
【人】 イングラハム日銭の素が黒に彩られれば 私は万年筆を戻して一息をつく。 時刻は朝の8時 発表会まではまだ十分に時間があった。 上着を羽織ると私は外へと足を進め 刻と共に段々と変わりゆく街並みに その身を投じることにする。 そして向かう先は病院。 今はあそこに私の母親がいるのだ。 (12) 2022/02/17(Thu) 14:47:12 |
【人】 イングラハム彼女を思い出したくない 思い出したくないと願うのは 彼女を忘れられない何よりの証拠。 私にとって病院という居場所は そういう感傷に浸る場所でしかなかった。 生憎と五体満足健康な私が病院の世話に なるなんてことも有り得ず。 病院からコンサートを 依頼された時には全てその場で断っていたからだ。 (13) 2022/02/17(Thu) 14:47:56 |
【人】 イングラハムだが、そこはもはや想い出の地ではなく 時を重ねて変わり果てたただの病院。 時が過ぎれば否が応でも訪れる機会が来て 私は陰鬱な気持ちを隠しきれないまま なんの縁もない病室に顔を出すことになる。 母が交通事故で入院することになって 息子としてその見舞いに訪れる、ただそれだけ。 どうせあと一ヶ月くらいで退院するような話、 死にはしないと言うのに、大袈裟もいいところだ。 (14) 2022/02/17(Thu) 14:49:42 |
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