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【雲】 宮崎暁[ 僕は幸阪結月を手折る。 待宵草の芳醇な香りに酔いしれ、 引き寄せられる獣のように。 他ならぬ君だからいいんだって。 他の誰かの物語では大団円になるはずの それでいて僕達二人にとって、 最も残酷な愛の調べを奏でながら。 ]** (D14) 2024/06/14(Fri) 22:39:21 |
【人】 宮崎暁[ 気づけばあっという間に冬になった。 あと数ヶ月もしたら 幸阪と出会って一年を迎える頃。 秋のまだ服装に迷う時期を超えて もうすっかりとコートまで羽織る季節。 僕はといえば いつものように幸阪に会えば ご機嫌な様子になるのは相変わらず。 ひとつ変わったことがあるとすれば 付き合い始めた頃より その距離がぐっと縮まったことくらい。 ] (1) 2024/06/14(Fri) 23:50:58 |
【雲】 宮崎暁[ 蝉が鳴く昼下がり 近くの小学校が午後の授業の予鈴を鳴らす中、 僕は彼女との秘め事に耽ける。 不安に思わせたくないと丁寧に愛でる傍らで 大切な人を乱してしまいたい願望に挟まれて 葛藤すればするほど、心地良かった。 お姫様みたいに抱き上げ ベッドに寝かせて、何度も口付けをするのは 溢れた愛情と独占欲の裏返しだ。 制服のリボンのフックを取り ひとつひとつボタンを外すと その度に真っ白な肌を覗かせる。 初めて見た女の子の身体は 言葉が出ないほど美しくて しかもその相手が結月なんだって思うと 僕はもう止まれなくなってしまった。 ] (D15) 2024/06/14(Fri) 23:51:47 |
【人】 宮崎暁おはよ、幸阪 [ 毎日のように交した挨拶 夏休み明け、僕は幸阪に言ったんだ。 幸阪の家に迎えに行くから よかったら毎朝一緒に学校に行こう。 僕がそうしたいんだ、って。 幸阪が僕のわがままを聞いてくれていたら 今日の挨拶はきっと彼女の家の前になるはずだ。 ] (2) 2024/06/14(Fri) 23:52:08 |
【雲】 宮崎暁[ 指先で、唇で、肌で、 感じるのはかけがえのない恋人の味。 まだ花開く前の美しい蕾 時間をかけて待宵草の花を開けば 頭がその香りに酔ってくらりとする。 すぐに自分の手で花弁を散らすのに まるで花の蜜を舐めるように 楽器を奏でるような烈愛は 結月を蕩けさせるまで続けて。 ] (D16) 2024/06/14(Fri) 23:55:40 |
【人】 宮崎暁[ いつもなら楽しい登校の時間 でも僕は彼女の前だというのに 浮かない顔をしてしまう。 これでは幸阪に気を遣わせてしまうかも。 でも、あの日の反省を踏まえて 幸阪にはハグ以上のことはしていないし 名前だって呼ばないように気をつけている。 だから、これは、言わなきゃいけないんだ。 ] (5) 2024/06/14(Fri) 23:57:58 |
【雲】 宮崎暁[ いつも寝るだけのベッドが 想いの丈を語るように大きく鳴く。 飲まれればもう引き返せない。 沼にハマっていくみたいに 奥底で彼女と繋がる度に 彼女の中に感情まで引っ張られそう。 シワになるのも構わず脱ぎ捨てられた夏服に、 すっかり汗をかいたコップは 中の氷が今にも消え入りそうで。 それでも僕は 結月を求めるのをやめない。 だって僕は結月のことを… ] (D17) 2024/06/14(Fri) 23:58:54 |
【雲】 幸阪結月[ 分かっていた。 私じゃなければだめなんだ、なんて謳って 本当は私じゃなくたってよかったことくらい。 たまたま出会ったのが私だっただけ。 たまたま私が受け入れたから成立しただけ。 そう、私じゃなくたってよかったのに。 私じゃなければいけなかったと 思いたくなってしまったんだ。 ] (D21) 2024/06/15(Sat) 2:03:49 |
【雲】 幸阪結月[ 君が私を大切にしてくれるたびに 少しずつ芽生えていく想いから目を逸らして これは恋人という役を演じてるだけだと ずっと、思い込んで、思い込もうとして。 ―――――………。 ] (D22) 2024/06/15(Sat) 2:04:12 |
【雲】 幸阪結月[ 逃げ道を作って、退路を断ってしまう。 嫌じゃないから、この先も大丈夫。 恋人ならみんなしてるでしょう、と。 この先にすることも全部、 役割の延長だから、気持ちに見ないふりできる ―――つもり、だった。 ] (D24) 2024/06/15(Sat) 2:05:31 |
【人】 幸阪結月[ 君と出会ってから季節がもうすぐ一巡りする頃。 コートにマフラーも欲しくなる季節。 いつものように朝からご機嫌な君に挨拶して 他愛ない話をする朝。 気づけば君がいるのが当たり前になっていた。 ] (8) 2024/06/15(Sat) 2:06:52 |
【人】 幸阪結月おはよ、今日も寒いね。 [ 夏休み明け、君からされた提案には いいよ、ってすぐ頷いたから 君といる時間は前より少し増えた。 だって、断る理由なんてなかったし 何より私だってそう言おうか迷ってたから。 ] (9) 2024/06/15(Sat) 2:07:07 |
【雲】 幸阪結月[ 外の音が微かに聞こえるほど静かな部屋の中 二人しか知らない甘い時間に浸る。 全く不安がなかったわけじゃない。 何もかも初めてなんだから。 それでも私がすべて受け入れられたのは 君が丁寧に大切に愛でてくれたから。 何度も唇が重なって、触れた場所から 君の気持ちが、欲が伝わってくる。 目を閉じて、君の想いをひたすらに受け止めて。 時折目が合えば、頬を染めたまま微笑んだ。 今、すごく幸せだよ、って。 明るい中で肌を晒すのは恥ずかしい。 その相手が暁なら、尚更。 日焼けしていない白い肌。 呼吸するたびに上下する柔らかな膨らみ。 全て晒されても隠さないけれど、 恥ずかしさから君を直視できなくなって ふっと目を逸らしてしまう。 でも、嫌じゃないのは伝えたかったから 君の手を取ると、胸元まで持っていった。 触って、ってお願いするみたいに。 ] (D26) 2024/06/15(Sat) 2:08:00 |
【雲】 幸阪結月[ 君が触れた場所全てから熱が広がっていくみたい。 愛でられた花は少しずつ色づいて、花開こうとする。 君に触れられて上気した身体が 色香を放っているのが自分でもわかる。 大切な人を惑わせて、誘って。 誰も触れたことのなかった花弁が蜜にぬれる感覚も 閉じていた蕾を花開かされる快感も 部屋に響く、甘くて切羽詰まったような声も。 全部、全部知らない。 君に初めて教えてもらった 君に初めて、見せた。 ] (D27) 2024/06/15(Sat) 2:09:49 |
【雲】 幸阪結月[ 乱れて濡れたシーツをぎゅっと握って 皴を増やしてしまいながら 奥深くまで、君のことを受け入れて。 慣れない刺激に戸惑うように零れる涙。 誤魔化すように、口付けを強請って 二人の息を混ぜ合えば、嬌声も君に呑まれていく。 いつの間にか倒れてしまった私の鞄 その中から覗く日記の事なんて 今の私は気にかけることも出来なくて。 求められるまま、応えて、こたえて。 ] (D28) 2024/06/15(Sat) 2:11:47 |
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