21:48:20

人狼物語 三日月国


167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】

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【秘】 天使の子供 ソニー → 鳥葬 コルヴォ

やっと語った言葉は結局、己の話だった。けれども説明と言うには端的に過ぎて。
指折り数えて階段を昇るような調子だ。身の回りから、多くが居なくなる。それをカウントする。
薄っすらと思い出されるのは、昨日言葉を交わした人間のこと。けれど、されど。

「どうする? アンタなら。
 オレは、こうすることにした。
 けれどもどんどん取り落としていくだけだった。
 どうする? 何一つ変わるわけじゃなかったなら」

質問は、少なくとも形だけの投げかけではなかった、どうしたらいい、とジェイドの目が訴えていた。
されど答えを貴方から得るよりも前に、男はベルトに手を掛けた。
ジャケットを脱いだ下に纏った服装と装備は、割りかしわかりやすいものだった。
貴方の仕事着が重たいのとおんなじ理由が、そこにはあった。
答えを知りたいのに、なぜ待たないのか。理由は簡単なものだ。もう止まり方さえわからないからだ。

「いつかは気が晴れると思っていた。もうそいつは居ないってのは頭じゃわかってるしさ。
 やりきれない思いが解消されるまでのつもりだった。けど、いつまでも消えないんだよ」

銃口が向けられる。掌に収まるくらいの素朴なデリンジャー。
真正面に向けられたなら避けるのは容易くも思えるし、狙いを定めた威圧感もありはするだろう。
此処で男が貴方を殺さなければならない理由なんてのは無い。無いんだ。けれど。
理由と理屈があれば止められるのだったら、きっともっと早くに誰かの言葉を聞けていた。

(-122) 2022/08/29(Mon) 1:58:39

【秘】 天使の子供 ソニー → 鳥葬 コルヴォ

「怖いんだ、誰かが死なないと止められないんだ。
 もうそれが誰で、何であったなら満足するかも自分じゃわからないのに。
 誰も教えてくれないんだ。
 助けてよ、
パスカル――


目の前の男は掃除屋の烏Corvo Rossoだとわかっているのに、男は教えられた仮の名前を呼んだ。
最初に出会った男の名を、互いを知らないうちに巡り合った人間の名を。
多少の探り合いはあったとしたって、未だ気軽に仲良くなるつもりだった時の貴方を。
助けを求める相手は、仕事人としての人間ではなかったから。
意思を聞きたいのは、答えを求める相手は敵としての貴方ではない、つもりだったから。

誰でもいいのに、誰かでなければいけない。
そんな矛盾を口にしたところで誰も真面には受け取らない。
己の中では確かなのに、己の中でさえ確からしいものはない。

貴方が答えを口にするにしろ、しないにしろ。動くにしろそうしないにしろ。
男は違えなく、迷いなく。烏に向かって、引き金を引いた。
(-123) 2022/08/29(Mon) 1:59:03

【秘】 鳥葬 コルヴォ → 天使の子供 ソニー


相手の全てなど、語られざる事など、他者に判るはずもなく。
失ったものを数えても、それが掌の中に戻る事は無い。
そしておそらく、今はもう、それらを知った所で手遅れだった。
つまるところ、全てはきっと、何ら意味の無い事で。

けれどこうして何かを選ぶことに、
僅かばかりであったとしても、意味らしきものがあったなら。
そんな届かぬ祈りじみた考えがあったのかも、最早定かではなく。

今はただ、何も言わず、あなたに干渉もしない事だけが確かな事。
軈て亡骸が形を失っても、やはり烏にはあなたに問う罪なんて一つも無かった。
結局の所は、何もかも全ては自己満足であって。
あなたを罪に問うた所で、烏は到底自分が納得できるとは思えなかった。



ああ、そう。
そうして首を振った後の返答に、ただそれだけを返して。
開いたままのバックドアの内側、火葬炉の手前。
その僅かなスペースに遺灰の納められた容れ物を一度置いて。

がつ、ごつ、重たい足音は対照的に。
あなたが訥々と言葉を語る間にも、何歩か火葬車から離れて行く。
掃除屋の仕事着が重たい理由は、数多の死を吸ったから。
そんなフィクションのような理由でなんか、あるわけもなく。
(-126) 2022/08/29(Mon) 4:46:02

【秘】 鳥葬 コルヴォ → 天使の子供 ソニー


その間にも、つたない問いがただ流れていく。
それを聞いていないわけじゃない。確かに聞いているからこそ。
結句気休めでしかなくとも、仕事の場からは離れる必要があった。

両親、仲間、友達、奪われたものを奪い返すべき相手。

その内の幾許かは、或いは、あなたの手によって。

名もなき烏はおおよそあなたと同じようなものを失って来た。
けれどそれが等価であるとは思わない。
その重みは人によって異なるような、似ているだけで違うもの。

何れにしても、手の届く限りの殆どのものを失ってしまった時。
後に残された者のやりきれなさというものは、
いったい何をどうすれば納得が、満足がいくものだろう。

「本当はもう、答えは出てるんだろう。
 何も変わらない。あんたの空虚は、永遠に満たされる事は無い」

少なくとも、それを埋めてやれる人間は居なくなってしまった。

「あんたは、あんたが死ぬまでそのままだ・・・・・・・・・・・・・

生きている限り、この耐え難い苦しみは和らぐ事無く続く。

その言葉を否定できる人間も、今この場には居ない。
続いた先に、たった一握りさえも希望を信じられなかった人間が
生きていれば、いつかは、ひょっとしたら、なんて。
そんな何処までも無責任な希望を他者に語れるはずもない。
(-127) 2022/08/29(Mon) 4:47:26

【秘】 鳥葬 コルヴォ → 天使の子供 ソニー


だからただの一人の死にたがり パスカル・ロマーノ からあなたに差し出すものは、
終わった先の安息の示唆と、それに行き着く手段だけ。
喪服の懐から音も無く拳銃が抜き出され、銃口をあなたへ向けて、

「楽になりたいなら、あんたは早く死ぬべきだったのさ・・・・・・・・・・・・・・・

「──Addio. ソニー・アモリーノ 天使の子供 

同じく自らに向けられたそれに構わず、引き金を引く。簡単な事。

殺すつもりはあったけれど、生きるつもりがあるでもなかった。
名もなき烏にも、或いはそれ以外の誰かにも
ここであなたを殺さなければならない理由は無かった。

死にたい人間は、死ぬしかない人間は、死ぬべきだ。
そうでないなら、せいぜい生きていればいい。
このような行動に出た理由なんてのは、そんな思想だけで。

乾いた銃声が鳴り響いたなら、それは幾つだっただろう。
がらんどうの倉庫が誰かの棺となったなら、それは誰だっただろう。
誰に何処までの言葉が届いたかも定かではない。一つ確かな事と言えば、
夜が明ける頃には何れの姿もそこには無いという事。


願わくばどうか、殺すなら上手に殺してくれ。
もしもあんたがしくじった時は、俺もそうする事にしよう。
そんな思いがあったかは、やはり誰も知らぬこと。
何せそれを語る者は、結局は何処にも居やしないのだから。
(-128) 2022/08/29(Mon) 4:50:38

【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → 天使の子供 ソニー

「なっ、お前」

花を与えることなんてしなければ。そんなこと、渡してやった花束をいちいち見せに来るその姿ですべてお釣りが帰ってきた。

お前ってやつはと頭を抱えてこずいたこの気持ちは
思惑通りとうとう永遠に知られないままになる。

親にもなれない、友にもなれない、恋人にもなれない、こんな中途半端な男の気持ちなんて伝わない方が幸せだと思い込んでいた。結ばれもしない、共に過ごすこともできない仲なんてすぐにその傷は癒えてしまうと信じつつも、苦い甘さを残し続けた。


「いいか、ソニー」

俺はお前の親でも何でもないし、
教鞭を振るう教師でもない。
それでもお前のことを心配している、ただの  


「……
似合ってる。

 
だからもう見せるな。
大人は頭が固いんだ」

落ち着かない、甘い香りがいつのまにかひとつの印象しか与えなくなる頃には、脳が誰かを訴えることをやめない。
とっくにこれ以上上回ることのないお前への心が、態度が。

「歳を食っても変われない俺なんて気にせず。
 バレないように、黙って好きなことしていろ」

怒気と呆れを含んだような声色は出せていたか。
視線をそらして見つめた先には白い花が置かれていて。
逃げ道がすくないその空間で人差し指を口許に当てて考え込む仕草をする。噛み跡がついておらずとも、そこにはすでにあなたを感じていた。

可愛げもない、素直でもない態度で吸い込むのはアーモンドの香り。そうして甘味で満たされた腹をどうしてやろうかとため息をついた。
(-129) 2022/08/29(Mon) 4:50:50

【秘】 天使の子供 ソニー → デッド・ベッド ヴェネリオ

呆れを頭に受けていっときは唇を尖らせて不満を訴え、すぐに得意げな顔でしてやったりと笑う。
ほんのわずか、小さく鼓膜をくすぐる声を耳聡く聞き入れはするくせに、深くは考えない。
誉められたように捉えられなくもない叱咤だけを都合よく受け取ったなら、目を輝かせた。
深く透き通ったジェイドの色は幼い頃から翳りもせずに変わらない色をしている。
何も変わらずにあったなら幸せな終わりがあったか、なんて。想像こそすれど不確定なものでしかない。

「はぁ〜い、へへ……
 食べよ、もう厳しいこと言いっこなし! 先生のタルトタタンが一番美味しいんだよなあ」

食事を作るのは環境だ。いつだって貴方が傍に居たからにこそ、舌の上の甘味は幸福になった。
食い気が勝って人並みよりも若干食べ汚かった振る舞いは、いつしか完璧なものになってしまって。
貴方と貴方が仕掛けたものの思惑通りに、振る舞いと作用は完璧な刃へと育っていった。
貴方はそれを、喜ばしく思ってくれる?

2月、花祭りの名残のある日和。窓の外には白い小花があちらこちらに散って見える。
いつかの日。遠く過ぎ去った春の日。

ソファの隣に寄せた体温は触れ合わずとも暖かく、降り注ぐ視線はわざと突き放すものもなかった。
輝かしい未来を暗示するものでなくたって、青年は幸福だった。指に触れる温度が変わるまで。

8月の夜気が責め立てるような熱を肌身に迫らせる。
明かり取りの窓から差し込む月の光が、左手の薬指に嵌ったジェイド幸福アーモンド希望と<kanaとをきらきらと輝かせた。
あの安置室で共に、なんて身勝手な真似をしなかったのは、貴方が最後に見る己の顔が綺麗なままであるように。
己が最後に見る貴方の姿を己の血で汚してしまうことのないように。
誓われない指輪を揃いに嵌めていくくせに、慾するほどに共に傍に在ろうとするわけでもない。
奪うほどに己に正直だったなら、最後の瞬間くらいは一緒にいられたのかもしれない。

一滴、半滴でさえも、貴方の存在は天使の子供を救っただろう。
告げられることのなかった秘蹟は、遠く希望を繋ぐように口の中だけで唱えられた。
(-130) 2022/08/29(Mon) 10:06:26
ソニーは、ヴェネリオを、
愛している。
(a5) 2022/08/29(Mon) 10:07:10

【秘】 天使の子供 ソニー → 鳥葬 コルヴォ

互いに失ったものを比較するほど愚かしいこともない。されど二つは似通っていた。
決定的にそれ以外は何もかも違えていても、尚取りこぼしたものの多さは近しかった。
失い続けた結果、更に失い続けることは無いだなんて空論を誰が信じることができる?
希望が重たかった。期待が重たかった。一笑して否定されたことでようやく足元が見えた気がした。
失った時点で死ぬべきだったのかもしれない。他を失わせるくらいなら、確かにそうだろう。
影法師のような男の姿をサイト越しに見据えて、微かに溜息を溢す。

「……ああ、そう。
 よくわかってくれるじゃんか。オレはもう、一歩も動けやしないよ・・・・・・・・・・・・・・・・

ひどく熱のない声は、何もかもが腑に落ちてしまったからだった。
惑う脚も誰にも伝わらない恐慌も、全てがどこに向かわせればいいものなのかを理解してしまった。
貴方の言う通り最初から答えは己の中にあって、それを肯定することが今、出来てしまったから。

銃口は相手の眉間に向けられた。己が推理したアウグストの死因と同じく、頭骨を効率よく貫いて。
交わされた相手の銃弾は腕が跳ねたせいで致命の一撃を外してしまった。肩の骨が砕け鉛が減り込む。
利き腕の神経を元に戻すにはどれだけの賭けをせねばならないだろうか。その時点で暗殺者は死んだ。
それ以外の生き方もできないのに、ヒットマンでさえあれないならその価値と意義は一切を失われたのだ。

相手の姿がぐらつくのを見て照準を下げる。もう一発は胸元へと。心臓が傷付けば血が溢れる。
確実に殺すための二発。省みる必要が無いが故の二発。己の姿を隠す必要はもう無いのだから。
血の流れる腕は相手の体が痙攣を止めるまで向けられていて、呼吸の音が途絶えてやっと下された。
銃を握ったままの影法師を、銃を握ったままに見下ろしている。

「──Addio. コルヴォ・ロッソ血染めの烏
(-155) 2022/08/29(Mon) 19:52:32

【秘】 天使の子供 ソニー → 鳥葬 コルヴォ

それから先は、どうしたっけな。

死体から服を剥ぐのも億劫なくらい片腕が重くて、そのままフルタングナイフの刃を入れた。
関節に刃を差し込み、ナイフのハンドルを足で抑えて軟骨を寸断してようやく死体を小さくしてやった。
それを、先程まで動いていた火葬車の中に寝かせた。入れ替わり、立ち代わり。

ここへ連れてきた彼女の灰を退かして、見様見真似に
異端者の地獄
へと押し込んだ。
誰が来るのかもわからないのに、扉の向こうで燃える様子を眺めている。
いくらかに分けて、ひどく手間と時間を掛けて。ひとつ、ふたつ。全て灰になるまで。
途方もない時間は、宵の口の空をすっかりと昏れきった星色に変えてしまった。

そんなことをする義理なんてなかったし、望んでいるかどうかもわからないのに、
勝手にこんなことをしたところで文句を言う人間だって居やしないのだ。
自己満足、或いは酷く曲がりくねった感謝のつもりだったのかもしれない。
貴方の言葉と弾丸は、男をもう行き先の決まりきった道に押し込んだのだから。

最後のひとかけを押し込んで火を入れてから、腕の痺れが酷くなった頃に漸く離れた。
きっと用意周到な彼のことだから、あとのことを自分で何とかする手筈なんてのは済んでるんだろう。
遠くの街は祭りの最中とは言えすっかり静まっていて、そこから聴こえる音なんてのもなかった。
夏の気配だけが、なんでもなかった一週間を見下ろしてそこに或る。

血の滴る腕はそのままに、配達車へと戻っていく。片手には、娼婦の片割れであった灰。
焼け付いた死の匂いだけが、男の背中を押している。
エンジン音を最後に、廃倉庫からは誰一人いなくなってしまった。
もう、だれも。
(-156) 2022/08/29(Mon) 19:54:56

【独】 天使の子供 ソニー

対向車線にさえ誰も通るもののいない僻地から伸びる道を、白いバンが駆けていく。
片手でハンドルを回し、助手席には女の焼けた灰を乗せて。
ハイビームが照らす道は、星明かりのために思いの外明るく感じられた。

「……なあ、ビアンカ。オレさ、お前のことお前んとこの子らに渡せる自信ないよ。
 ヴェルデが持ってかれたところ聞いてたら、撒いてでもやれたのにな。
 でももう誰にも会うつもり無いんだ。だから、書き置きだけで済ましちまうけど、ごめんな」

配達車は、花屋の倉庫へと押し込まれた。ドアの継ぎ目からは、溜まった血が滴っていた。
だから朝になれば店主が見に来て、中にあるものには気づく筈だ。誰に渡すべきかの意志も。
この花屋は唯の表稼業ばかりじゃなくて、みかじめ料の受付だったり資金洗浄の窓口だ。
ファミリーの息の掛かったきちんと託すに値する人々であり、野放図に投げ出したわけではない。

灰になった上半身がゆくべき先なんて、神の元へゆけないのだから他のどこともわからないのに。
誰か、何か。遺される人々の元へと渡るようにだけはきちんとしておこう。
(-160) 2022/08/29(Mon) 20:17:58

【秘】 紅烏 コルヴォ → 天使の子供 ソニー


返る言葉を聞いて、最後の一瞬。

ただ息を吐くような、音のない笑いが、銃声に呑まれて消えた。

何もかも、諦めのついたような笑みだった。




斯くして血染めの烏は地に落ちた。

或いはあなたの影法師であって、
或いはいつかあなたの行き着く姿であったかもしれないもの。
それと向き合って、それを認めてしまったから。
それがすっかり姿を消したって、もうきっとあなたの道は変わらない。

──曰く、ドッペルゲンガーを見る事は、死の前兆なのだと言う。
(-161) 2022/08/29(Mon) 20:33:12

【独】 天使の子供 ソニー

そして、彼の運び込まれた病院へと足を運んで。
残された先の20年を、託されたのだろう未来をふいにして。
代わりに貴方の薬指へと、ささやかな愛を贈る。プラチナに比べればチープで子供らしいものだ。
ジェイド幸福アーモンド希望は、けれども言葉通りの贈り物のつもりでさえないのだろう。
ロマンチックな誰かの決めた意味でない。どちらも、己自身。
神様の元へ貴方が行った時に、見下ろした風景の中に己の瞳と同じ色があったなら、
少しでも思い出してくれるかな、なんて。子供っぽくていじましい、自信のない誓いなのだ。
そこに、その位置に輝く煌めきに意味を見出すのだなんて、自分のほうだけだと思っていたから。

涙を拭った左手に、いくらか星の色がきらきらと反射した。
お別れだから、なんてはっきりとした意識のために涙が出たわけでもなかった。
ただ、貴方がもう名前を呼んでくれないこと、頭を撫でてくれないことがわかってしまったから。
もう随分と大人らしくごつごつとして、貴方の手でも包み込めやしない手も。
人を効率的に害する為だけを目的として鍛えた、随分と堅くなってしまった体も。
言葉ほどには厳しくない指先が触れてくれることはない。

貴方がいなければ幸せになれない、なんてことはない。それほどの己惚れは持ち合わせていない。
ただ貴方が願った自身の未来だとか、楽しく笑っていられるような世界だとか、
そういうものを託されて目指すには交わした言葉は少なすぎて、まだ話したいことがたくさんあって。
あとほんのちょっとだけ指を伸ばして、声を聞いて、ほんの些細な望みが叶えばよかったのに、
それさえ出来ないままに背を向けてしまった己を許すことが出来ないだけの話だった。

ねえ、オレはあんまり頭もよくないからさ。
ちゃんと教えてくれないと、わかんないよ。
教えてほしいことが、たくさんあったんだ。

家の鍵をかけ、廊下と隔てる鍵をかけ。バスルームに鍵をかけて、窓を閉める。
思い出の中のメロディは、時々貴方が歌ってくれたものだ。覚えているかな。

「……♪……♪……」
(-162) 2022/08/29(Mon) 20:34:09

【置】 天使の子供 ソニー

本名:ソニー・アモリーノ(Sonny Amorino)
死因:頭蓋部の損傷
発見場所:自宅バスルーム
遺体の様子:
頭部に二発、肩に一発銃撃の痕あり。頭部と肩からはそれぞれ別の口径の弾が摘出された。
一発目は喉から視床下部の下を通り後頭部へ抜け、貫通して後ろの壁に突き刺さっていた。
再度引き金を引いて、二発目は頭頂葉へ食い込み頭の中に弾丸が残っていた。
発見場所までの道は完全に施錠され、また荒らされた形跡もなかったことから、
拳銃は本人の所持物であり、自殺であると認定した。

器官のいくらかは壁にへばりつき、眼球からはすっかりと水分が抜けていた。
死亡から発見までは数日が経過しており、発見時には既に腐敗が進んでいた。

(L33) 2022/08/29(Mon) 20:44:09
公開: 2022/08/29(Mon) 20:45:00
 




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