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【秘】 Ninna nanna ビアンカ → プレイスユアベット ヴィオレッタ↓ 「お願いね。 ……ヴィー。 ……ふふ 、……ふふふ、あはは、…は、は、は はっ!! 」名前と視線が、酒精の熱に溶けていく。 あなたの目をじい、っと見つめ返して── ビアンカはいきなり、甲高く鳴り響くクラッカーみたいに笑いだした。 涙まで浮かべて、グラスに僅かに残ったワインを揺らして。 「やっぱ今日デートってことにしない?」 少し身を乗り出して、にんまり、笑った。 [2/2] (-22) 2022/08/25(Thu) 20:29:41 |
【秘】 Ninna nanna ビアンカ → 家族愛 サルヴァトーレ「――うそばー…っか」 最後に君が見たのは、そういってにんまりと、笑う。 まぶしくて、さびしげで、 どこか誇らしげな、ひとりの娼婦の笑顔だった。 (-23) 2022/08/25(Thu) 20:33:30 |
【人】 銀の弾丸 リカルド【路地の店】>>11>>12 ストレガ 「……それは、そいつは大層泣きわめいたことだろうな」 それは大体の男は震えあげる話だった。 言葉通りに受け取って、それを想像してみれば痛いどころの話ではなく、いっそ死にたいくらいの絶望だろうなと理解した。 「時計塔まで吹き飛ばしてきたのか。その荷物は引っ越し道具か? ……まぁ、いい。今の話で件の経緯はだいたい予想はついた。 この家は好きに使うと良い。 ……下手人は、トスキファミリーの者かどうかだけ教えてくれ」 これが今ここにいる本来の仕事のため、確認を取り。 内容を聞き出せれば、助かったと礼を言う。 避けられ断られとするだろうから、然程気にはしてない様子だが、あなたの言葉には「わかったわかった」と返している事だろう。 「ヤクについてはしばらく後遺症が残るかもしれん。 とはいえそれでお前に迷惑をかけるつもりはないから安心しろ。 ……まぁ、お前がそれを残したいというのであれば無理強いはしないさ」 この傷は、お互いにきっと、一生残る。 大きさや酷さの話ではない。 強い願いを成す傷とは、案外消えずに残るものなのだ。 その傷を持つものが、忘れない限りは、ずっと。 ▼ (13) 2022/08/25(Thu) 20:43:43 |
【人】 銀の弾丸 リカルド【路地の店】>>13 ストレガ 「あぁ、手当はともかく見舞いには行くと良い。 あの人も話し相手が出来れば喜ぶだろうからな」 ただの昼行灯ではないと、ちゃんとわかっている人間がここにもひとりいる。 それはとても良いことだ。 あの人がどう思おうと、まだまだ彼には現役で居てもらわなくてはならない。 「あの時の件については是非内密にしていてもらいたいものだが……、 状況が許してくれるようになれば、その時はゆっくり休ませてもらうことにしよう」 随分心配をしてもらえたものだなと、小さく笑った。 ……俺が、ツィオが、マウロが。そして貴方も。 それぞれ力をつけて立てる日が来るまで、あの人達にはずっと見ていてほしいと、そう思うのだった。 (14) 2022/08/25(Thu) 20:44:44 |
【人】 孤独では死なない兎 ツィオ>>5 >>6 負け犬 猫被り 【ノッテアジト廊下】 はぁ、と嘆息して、 マウロの横でそのザマを見る。 なんともまあ……締まらない。 それくらいが、自分たちには似合いなのかもしれないが。 「噛まれたらコトだから、 手出さない方がいいんじゃないかな。 もしかしたら野良犬かもしれないしな」 拾ってくれる優しい飼い主がいたら、 今度こそ首輪の一つでもつけてもらいたいものだ。 マウロの後ろから、近寄っていく。 (15) 2022/08/25(Thu) 21:17:12 |
【秘】 陽炎 アベラルド → 家族愛 サルヴァトーレ「そうだけど。あ〜あ、羨ましいこったな……」 こう言っている本人の普段の立ち振る舞いこそ呑気に見えそうなものだが。その実ずっと気を張っていることは、本人だって自覚していないかもしれなかった。 『やる気のある期待できる人間』だと思われたくない男は、いつもやる気のない振りをする。 改めて人気のない事を確認する。 夏の夜闇が重たく漂っているこの場所には、やはり、どうやら自分達しかいない。 「……お前は昔から冗談がうまいな。サヴィ」 「別に苦しませたい訳でもない。お前の綺麗な顔が歪むのを見るのもまた良いかもしれないが」 一歩、近づく。 すいと伸ばされた手が、貴方の首を指でつう、となぞる。 「そんな趣味も無い」 そのままもう片方の手で撫でるように首を包む。 貴方がいつかこの男にそうやって触れたように、優しく。 力は籠められないまま。 「……死ぬのは怖いか?」 きっと変わらない表情を浮かべているのだろう貴方に。 ふと聞いた。 (-24) 2022/08/25(Thu) 21:50:04 |
【秘】 プレイスユアベット ヴィオレッタ → 郵便切手 フラン>>フラン 「えぇ、その時は」 微笑ってみせる。 本音かブラフかを隠した顔で。 今、賭け金もなく、配当もないのなら、 これはただのカード遊び。 弱っていても、それくらいには応じることができる。 温かなミルクが、あなたとの他愛の無い話が、沈み切った心を それができるくらいに引き上げてくれたから。 空になった皿にフォークを置く。 「美味しかったです。 フランはよくこの店に来るのですか?」 軽く店内を見回しながら、尋ねる。 店に入った時は、そんな余裕すらなかった。 ……そういえば、今日は何も口にしていなかったな、 なんて今更思い出しながら。 (-25) 2022/08/25(Thu) 22:09:10 |
【秘】 プレイスユアベット ヴィオレッタ → Ninna nanna ビアンカ>> ビアンカ 微笑いながら眺める視線に、 今度はこちらが唇を尖らせる番のようだ。 けれど、目が合えば。 ついくすくすと笑いが零れる。 もうそんな歳じゃないというのに なんて思いながら。 「残してあげる気だったのですね」 今までは黙って聞いているだけだったそれを、指摘する。 理由なんて、分からない。気が付いたら口に出していた。 回ったワインの所為かもしれないし、 今日は素直なあなたが口を滑らせるのを 期待してかもしれない。 ……あるいは、どこかで何かの予感を。 別れの予感を感じていたのかもしれない。 約束を結んだばかりだというのに。 [1/2] (-26) 2022/08/25(Thu) 23:05:38 |
【秘】 プレイスユアベット ヴィオレッタ → Ninna nanna ビアンカ突然笑いだすあなたに瞬きをひとつ、ふたつ。 それから、溜息をひとつ。 「……。……遠慮しておきます。 こんな酔ってばかりで、甘さの欠片もないデートなんて」 呆れの色も隠さずに、そんな事を言う。 本当は酔うのは嫌いじゃない。 酒に酔うのも、夢に酔うのも、楽しいから。 けれど、それは―― 「それに私はただの飲み会が良いんですよ」 あなたと、ですから。 男たちなんかじゃなくて、 友達 とだからこそ過ごせるひと時でしょう?そんな贅沢は、口にした途端消えてしまいそうで。 だから、ただ笑みを。 鏡映しの笑みを、あなたに返す。 [2/2] (-27) 2022/08/25(Thu) 23:07:05 |
【秘】 天使の子供 ソニー → 風は吹く マウロ「ん、」 きゅ、と眉根が寄せられる。抗議のようにも性感に落ち着かなさを覚えているようにも見える。 全てが演技なわけじゃない、得られた快楽を普段よりも深く受け取って、わざと弱気を曝け出している。 こんなところに連れ込んで、強気に出たところでそそらせることは出来ない、から。 自分から仕掛けたくせに文句の一つでも言いたそうな顔をして、深く深く息を吐く。 手先に誘導されて顎を上げ、絡み合う舌は相手に任せながらに時折顎の裏側をなぞった。 息の苦しいのをごまかすように、時折顎を引いて短い言葉を交わす。 「それ、好き、かも。もっと触って、マウロ」 甘えたように懇願して、時々額をこつりとぶつけた。堪らないものを伝えて、せがむよう。 布越しに擦れ合う陽物はだんだんと芯を持ち始めて、下着を引っ張る形の先に体液が滲む。 手の内で質量を増すごとにふ、ふ、と息が弾む。爪先が凹凸をなぞるとぞわりと背を震わせた。 恥じて怖気突いて、興が冷めてしまう前にと自分が先に下着の中から腫れた肉を取り出した。 充血して、亀頭は滴った先走りでじわりと濡れていて。望みを伝えるようにコツコツと腰を合わせる。 交差するように合わさった陰茎を片手で包む。筋張った指がふたつ、包み込んで擦りあげる。 互いの熱が混じっていくごとに、抑えが利かないみたいに腹筋に力が入った。 互いの頭のコントロールをすっかり相手に任せて、片手の指先を唾液ですっかりと濡らした。 片手は相手のベルトを緩めながらボトムの裾に入りこんで、さして自由の利かない空間の中で動く。 街路からのかすかな喧騒から隠れるように、ほとんど体勢は変えないまま。 そのくせこれからどうしたいか、表すように指は段々と裾から中へ、尻肉の間に入っていく。 尾骶骨を指が押し上げて、その下に捩じ込むように入り込んで。隠れた窄まりに、触れる。 長く、息を吐いた。 「……片足、ちょっと開いて」 (-28) 2022/08/25(Thu) 23:07:20 |
【人】 風は吹く マウロ>>16 悪ガキ達 【ノッテアジト廊下】 「どの面で"無理するな"なんて言ってんだかな」 「人に説教する前に、自分を鏡で見てみろよ。箱入りの室内犬でももう少し自分の世話が出来るんじゃないのか?」 人に見せられないような顔で出歩くなんて本当にらしくない。 本来ならもう少し手心を加えてやるところだが。 なにしろ、君には言いたいことが沢山沢山あるのだ。 「とりあえず座れる場所に行こうぜ、会議の疲れもあるしな」 「"リック"の部屋でいいだろ、五体満足なんだから荷物くらい持ってやれよ ツィオ」 いつからか呼ばなくなった愛称を口にして。 先に部屋の方へ向かって歩き出すのだろう。 (17) 2022/08/25(Thu) 23:12:36 |
【秘】 鳥葬 コルヴォ → 天使の子供 ソニー音も無く、幽鬼じみた影が一歩、また一歩と近付いて。 それが発する声は、やはり随分と生気の削げたように聞こえる。 柔くも鋭くもなく、ただどこかうつろに底冷えしたその音を 対話とその他のどちらともつかない距離で聞いて、息を吐く。 「烏は選り好みをしない。 仕事とあらば何だってやりましょうとも。けどね、 身内の死体をどうにかしてやろうってのは、結構なことですが」 見せたくない、ではなく、見せてやりたくない。 敢えてそのような言い回しを選ぶ事から、身内のものと推測した。 それを選ぶ人間は、世に居ないわけではないけれど。 「掃除屋に処分を頼むって事が、どういう事なのか。 あんたもわかってないわけじゃないだろうに……」 掃除屋に処分される。人によっては、それそのものが冒涜になる。 持ち込まれた遺体はバラバラに切り刻まれて、炉で焼かれる。 キリスト教圏では土葬が主流で、その理由を思えば、尚の事。 「……まあ、いいさ。 それがこっちに一つとして利の無い仕事だったとしても。 死んだ奴にだって、見るに堪えない姿を晒さない権利はある」 「お時間頂けりゃ結構。どうせ後は時間潰しだ」 どこか冷めた声色は、あなたのそれとはまた異なるもの。 何ら信の置けるでもない相手からの、大した益も無い仕事。 それでも理由はどうあれ了承を返して、何処へも足は向けない。 一度相手の言葉を待つ。用事のある者は何処に、と問うように。 (-29) 2022/08/25(Thu) 23:33:58 |
【人】 孤独では死なない兎 ツィオ>>17 >>16 腐れすぎ縁 【ノッテアジト廊下】 「見てみなよリック、 俺たちの愛息子はこんなに立派に育ってるのに、 ベビーシッターのお前がそのザマじゃ笑いが出るな」 やれやれ、世話の焼けるやつらだと肩を竦めて。 生憎、女性以外の荷物を持つように、 俺の肩は出来てないんだけどなと言いながら荷物を持つ。 肩に荷物を抱えたまま。二人の前を行き、振り返る。 「まあ、病み上がり二人抱えて、 こんな場所でダンスを踊るつもりはないから安心しなよ。 たださ、キミら俺に何か言うべきことあるんじゃない? なあ、マウロ、リック」 そろそろ俺も――"おかえり"が言いたいんだが。 それは言葉にせずに、たった四文字だけ相手に求めて。 右手をマウロのために、左手をリカルドのために。 すれ違いざまにそれが出来るように、顔の横で相手に向けて開いた。 (18) 2022/08/25(Thu) 23:43:14 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → ザ・フォーホースメン マキアート少なくとも男にとって、君はいつだって可愛い家族だ。心配こそすれ疑うことなんて何もない。もしかしたら騙されていたって気にしなかったのかもしれない────それは少し、顧問として頂けない態度ではあるけれど。 でも今だって、瞳の色をころころ変える様子は素直そのもので。 だからこそ言うのだ、偉いね、と。素直な君にその仕事は負担ではないかと。信じていないわけではないけれど、心配になるのは親心。 「そう。そうか」 「温かみ、ね。それはいい。非情が悪いとは言い切れないけど、そうじゃない方が喜びは多いもの」 (-30) 2022/08/25(Thu) 23:49:05 |
【人】 銀の弾丸 リカルド【ノッテアジト廊下】>>17>>18 どうしようもない奴ら 「随分良いように言ってくれるじゃないか。 散々面倒をかけてくれるのはいつもお前たちだというのにな」 荷物を奪われ、少しだけ慌てたように「それは大事なものだから、丁重に扱え」と指示をして、前を歩くツィオの後に続く。 慎重に歩かねばならないのはマウロと同じだから、ゆっくりとした足取りだ。 ふらふらした様子を見せないのは、気を張っているからだろう。 それでも、ツィオがこちらを向いて手を掲げれば、 貴方達にしか見せない顔が、ここに確かにあって。 本当に泣きそうな、それでいて安堵したかのような。そんなくしゃり、とした笑みを浮かべて手を伸ばす。 「――ただいま、兄弟」 こつん。 本当に軽く、拳を手のひらに当て、 その開かれた左手にそっと手のひらを重ねた。 (19) 2022/08/26(Fri) 0:17:24 |
【秘】 天使の子供 ソニー → 銀の弾丸 リカルドたいそう大事にされていたのだろう男は、けれども背中に隠されていた時間が長すぎて。 大事にされていたのだということそのものが見えなくなって、離れて遠くなりすぎた。 分かる筈もない。随分と遠ざけられて、すり減って。そうして在るのが、今此処の彼岸だ。 薬というのは、弱いものほどセッティングが大事だ。集中できる環境が無ければ悪酔いするだけ。 そして強度が違えど機序は、通る神経は同じだ。薬効の危ういほど、対外的な補助は不要になる。 場が整えば、神経を走る感覚と融合すればするほど。一層脳が蕩けだす。 鼓動が打つほどにきっと、血の廻るように楽園が血管を流れるのは、最悪の気分だろうな。 口を開いて乾けば、唾液腺からつうと水気が溢れる。それを舌に伝わらせ、潤すように。 尻肉の間に鼻先を埋めるようにして、丹念に穴に舌を這わせて、馴染ませて。 そう簡単に熟れてくれるものじゃない体も、薬のおかげで真っ更よりかは扱いやすい。 しつこいくらいに舐めていればどうしたって何もしないよりかは受け入れやすくなるはずだ。 相手の声の調子が随分と変わってくるくらいになると口を放して、膝をの間に足を割り込ませる。 着衣のままの男は、ポケットからプラスチックの瓶を取り出した。手先に中身を出して、少し温めて。 粘度の高い温感ローションに塗れた指を、今しがた舐め解していた穴に擦り付ける。 少量から、量を増やして。門渡りに垂れるくらいには、いくらか指先をねじこんで。 「……ね、気持ちいい? ケツの穴舐められて、ほじくられてさ。 イヤそうにするわりには随分よく鳴くよね。興奮してるワケ? コールガールにでもいじらせてた? ああでも女避けがちなんだっけね」 相手の事は相応に調べていた。普段のスケジューリング、弱み、嗜好や交友関係に至るまで。 一端のソルジャーよりも余程重要な立場だからこそ、噂は立ってしまうものだ。 だからこうやって揚げ足取りのように論う材料には、事欠かない。 言い返す元気はまだあるかな。ゆるゆるとかったるく動く指は優しいのに、口先は下品なものだ。 (-31) 2022/08/26(Fri) 0:24:59 |
【秘】 天使の子供 ソニー → デッド・ベッド ヴェネリオ「はあい……オレに出来っこないよそんなの。先生くらい背が高けりゃな。 でも先生も着こなすって感じじゃあないよ。たまにシワ取りきれてないじゃん」 返事はするけれど、やはり青年はいわゆる優秀な子供ではなかった。手先は器用だが、頭は並だ。 荒事ばかりが運ぶわけではない世界に混ぜ込むための人材を作る施設の中では、評価は良くも悪くも。 身体能力では劣っていても頭の良さで青年を上回って見込まれた人間のほうが、それなりに多かった。 だから、望まれるような一人前の姿は……ちょっとだけ、自信がない。 「……いじわる」 説教じみて耳に痛い言葉から逃れるように、低い位置にある頭は貴方の肩に埋もれた。 肩口というにはもうちょっと内側、胸板につながる辺りのところに、少し固めの髪がうずくまるよう。 子供じみた仕草をするにはもう大人に過ぎる。昔から、怒られるとよくこうしていたのだろう。 いつまでも子供のつもりで居る、わけではない。自分の年齢に相応しい振る舞いを弁えてないわけじゃない。 甘やかされるのを期待しているのが半分。甘えてもいい相手だと思っているのが、半分。 心臓の音と体温を感じて、うまく詰めきれない距離をどうにかしてしまおうとしているのが、ほんの僅か。 「オレも先生といっしょがよかったな。また会いづらくなる…… 先生のお菓子だって最近食べてない気がする。味忘れちゃうよ。なんかない?」 言葉にしてみると思い出したように、ぐうと腹が鳴った。条件反射が早すぎる。 これだけ寄り添っていたくせに現金な目は急にきょろきょろと部屋の中を見回す。 わがまま放題に振る舞うのは、貴方に随分甘やかされて育ってしまったからなんだろう。 同じような季節の、木に成る花に近しいようで違う独特の甘い香りのせいかもしれない。 この時期、一部の観光地や街路樹には、机に今転がされているのと同じアーモンドの花が咲き誇っていた。 花祭りの季節、別にそれを目にするのは珍しいことでもなんでもなかった。 (-32) 2022/08/26(Fri) 0:47:38 |
【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ>>13 >>14 リカルド 「そりゃね。玉と棒に1本ずつ、合計3本釘打ったからね」 女性にはその痛み、想像し辛いという。 恐らく9割方の男性は、或いはあのツィオや、 下手をすればコルヴォでさえ、 この話を聞けば顔を引きつらせるかもしれない。 「荷物はそんなとこ。ああ、トスキの屑だったよ。 立場は知らないけど、末端のカスにあの子が やられるとは思わないからそこそこの立場じゃない?」 「ま、ダクトテープと布切れよりはガーゼの方がいい。 その内行っとくよ。今は優先事項があるんでね。 精々内密にして貰えるように振舞いな」 「んじゃ、あたいは店ん中に用があるから。 この辺一帯も改造しなきゃな。ソルジャーも配置して……」 結局。魔女は、魔女のまま。 なんだかんだと先を見て、自分のことを優先して。 好きなように、生きていく。 チリン、と鳴るドアベルが、或いは猫の鈴のようだった。 (20) 2022/08/26(Fri) 0:58:42 |
【秘】 銀の弾丸 リカルド → 天使の子供 ソニー体を触られ始めて、どれくらいの時間がたっただろうか。 実際にはそんなに経ってなかったとしても、自分には永遠にも長い時間が経過しているように感じられて、危険だ。 「――――――ふ、うっ」 最後に残った羞恥心が、クッションを噛むようにして声を殺した。 もう十分に回ってしまった強い酒と薬が混ざり合って、身体の中で暴れていて、熱い。 喉はからからと乾いているくせに、湿らされた下の方ばかりが熱を求めて震えている。 頭の中では警笛が鳴り響き続けているけれど、それに従う理性はもう欠片も残っていない。 ただただどうにもならない飢えが、叫びだしているかのようにその舌を、指を受け入れてしまっていて、 とろりとしたローションにまみれてしまう頃には、空気を求め浮いた口から甘くなった吐息が漏れ出た。 「そ……な、こと、した―――ことな、っ、あ、あぁ」 決して女のようには柔らかくないそこが、男根を受け入れるための受け皿になっていく。 熱があるかのように火照ったそこだけは潤んで、身体がどんどん作り変えられていくかのようだ。 どんなに言い返して見せたって、その顔はもう、生真面目な幹部候補のそれではなかった。 (-33) 2022/08/26(Fri) 1:46:49 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 陽炎 アベラルド男はよく君を褒めた。 例えば仕事を終えた時。例えば一緒に飲む際の夜食を作った時。例えば店で依頼通りのチョコラータを見繕った時。男は必ずさすがだとかすごいだとか言って、それからありがとうと笑うのだ。 それだってある種の期待ではあったのだろう。のしかかる重い期待ではなく、信頼する人間を自然と信じる程度の期待。それを男は君にかけていた。 「冗談だなんて。信じてくれないの? 悲しいなあ」 軽く揶揄う言葉を吐く。本心だよ、なんて蛇足を付け足したりはしない。君がどう思おうと、自分がそう感じていることに変わりはないのだ。だから大抵の事は、それでよかった。 首を撫ぜれば、擽ったいのか喉が震えたのがわかる。実際男はそのまま、くすぐったいと小さく声にして笑った。君が触れやすいように顎をあげれば、やや見下すような目付きになってしまうのは仕方がないことだろう。 「どうだろう」 「考えたことなかったな……」 落ち着いた声は酷く能天気だ。 「君にこうされてるっていうのは不思議な気分だね。そう、今から死ぬのか」 「なんとなく自分はずっと死なないような気がしてたんだけど、そうもいかないみたいだ」 「家族に二度と会えないのは寂しいけれど……」 「君がどうしてもって言うなら、仕方ない」 (-34) 2022/08/26(Fri) 4:48:43 |
【秘】 天使の子供 ソニー → ザ・フォーホースメン マキアート小さな椅子の基部とクッションとが、重みで引っ張られて軋んだ。よく働いてくれるものだ。 きし、きしと小さく耳に立つ音に合わせるように、喉奥から弾む息が漏れる。 呑み込まれる感覚にひく、と眉を動かし、喘鳴のような声が絡むように混じった。 直接的な快ではなくとも、額に柔らかな感触を受けると幸福感で腹筋に力を入れる。 「んァ、やば……も、出しちゃいそう。 もちっと、格好つけさして、よっ」 相手が貴方とあっては、自分のペースに合わせて余裕綽々にとはいられない。 すねたような文句を飛ばしつつ、腰に巻き付けた腕を引き寄せてホールドする。 辛うじて伸ばした爪先を起点に、自分の体を持ち上げるようにして下から突き上げる。 締め上げられるたびに耐え難いものに縋るように引きつった声を上げ、上がってくる何かを塞き止めた。 汗の絡んで柔くなった髪が、互いの体が跳ねる度にくしゃくしゃになって揺れる。 「すっげぇ、気持ちい。死んじゃうかも」 今の状況にあっちゃ縁起でも無い言葉だ。 自分で言ってしまってから自覚したのか、なんだかやけに可笑しくて笑ってしまった。 椅子の軋む音がどれだけ続いたか自分自身ももうじきの限界を感じ始める。 左の下腕で抱いた腰の重心を任せ、顎で胸板を押すようにちょっとだけ隙間を作る。 腰の動きだけでぐ、と神経の先に感じるとっかかりを引っ掛けるように刺激し続けながら、 余らせた手で相手の性器を包み、追い詰めるように扱き上げる。 息が弾む。まだイカされないうちにと、自分に相手を追いつかせるように前後から責めたてて、それで。 (-35) 2022/08/26(Fri) 6:43:46 |
【秘】 郵便切手 フラン → プレイスユアベット ヴィオレッタ「……そうですか。……そうなるといいな」 気の利いたことがいつも言えるわけではない青年は、それだけを返した。 本音や建前を気にしない信頼が生まれる頃にも、互いに息をしているといい。 これからがあるかはあなた次第なんだろうけれど。 「……ええ。落ち着く場所なので」 ふくよかな中年女性が切り盛りしている個人経営のカフェは、洒落た印象よりは家庭的な雰囲気を感じさせる。 店内を見回せば他にも仕事終わりに立ち寄ったような客がいるだろうか。 入店時に『デートかい』、なんて聞かれてあたふたと否定する姿があったのを思い出すかもしれない。 会計用の伝票は青年の手元にある。 付き合わせたのは自分だから、それくらいは持つつもりだ。 傷だらけの心が、せめてひと時でも安らぎを得たことを願うばかりだった。 (-36) 2022/08/26(Fri) 7:19:11 |
【秘】 天使の子供 ソニー → 鳥葬 コルヴォ「……半分は、もう見つかってるから」 人の魂はどこに宿るのだとか、怒られるかも知れないだとか。考えないわけじゃない。 けれどもうまく答えが出なかった。相手からしてみれば呆れるようなものかもしれないな。 死んだ人間の処分に困る、なんてことは今までなかったのだ。困るほど選択肢に迷いがなかったから。 「望まないかも知れない、けど、これでいい。もう充分辱めを受けた、だから。 これ以上きれいにしてやれないなら、もうこれで、いい」 滔々と流れるような言葉はテープレコードのような無機質を孕んでさえいる。 拙い頭を動かしはして、考えるだけはして、その結果だ。他に思い浮かばなかった。 わかっている。わからないわけじゃない。貴方が本来敵対する人間なのも。 狭き門を潜る門を閉ざす行いだということだって、ちゃんとわかっていて、それでも。 暗がりの向こうを指差す。そこには白いバンの輪郭が浮かんでいた。時折街を走る、花屋の配達車だ。 こんな場所、こんな用事にも関わらず乗り合わせてくるなんてのは見るからに冷静じゃない。 どんなに頭を巡らせたところで、とうに錯乱し切って頭は壊れているのかも知れないな。 貴方がついて歩いてくるなら男はバンの扉を開いた。後部座席、小さな花びらが点々と散るその中に、 男物のジャケットを着せられた、女の上半身がやわらかいブランケットの上に寝かせられていた。 夏の三日月島は穏やかだ。死臭が満ちて、水気を含んだそれは既に状態も悪くなり始めている。 貴方が今朝方のニュースをアジトで耳にしていたなら、アルバファミリーの庇護下にある女が一人、 抗争の混乱の中でひどい死に方をしたのだという話を聞いていたはずだろう。その、片割れ。 海の匂いのかすかに混じり、髪には真水で洗いきれなかった塩がほんの少し残っていて。 それでもなんとか小綺麗にまとめて、顔の化粧を薄くやり直してやって。裸の体を隠してやって。 今貴方に、彼女にとって縁のない人間に引き渡す直前までは、礼儀を尽くされていたのだろうそれは、 このまま警察に引き渡したならこの男が犯人だと断定されかねないくらいには手を加えられていた。 → (-37) 2022/08/26(Fri) 8:17:53 |
【秘】 天使の子供 ソニー → 鳥葬 コルヴォ胸元の皮膚を削ぎ取るように与えられた傷は、すっかり血が抜けてから出来たものなのだろう。 そこに何が刻まれていたのかだって、件の報せを聞いていたなら察しがつくはずだ。 可能な限りに整えて、与えられた侮辱を覆い隠して、あまりサイズの変わらない上着を着せられて。 それでも凄惨だ。耐え難く、おぞましい。人の悪意の残り香がある。 そういう、用事だ。 「見つかるなら、逆ならよかった。けれどそうならなかったなら、見せるべきじゃ、ない。 女たちに追い打ちをかけるわけにはいかないだろ? わざわざそんなこと、さ、 ……どうするの、移動したほうがいいの」 空笑いが声に混じった。努めてなんでもないと振る舞おうとしたのは、失敗した。 男女の情愛では無いこそすれ、目の前の彼女と男の間にはそれなりの心の通い愛があったのは、 ばかばかしいくらいきちんと整えられた彼女の有様を見れば、貴方にもなんとなくわかるだろう。 呆然と眺めるのをやめて、貴方に指示を仰ぐ。 (-38) 2022/08/26(Fri) 8:18:22 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → 天使の子供 ソニー小さな重さを受け止めつつ、一瞬上がった熱を感じながら深呼吸をした。 鼓動がいつもより早くなりそうで自分でも驚いた、油断すれば――その距離が0になってしまうのも時間の問題だったのだ。 一度過ちでも犯してしまった方が楽なのかと思考が走り、この子供が大人しくなる光景が浮かばない。与えるのは甘くて溶けるような、そんなドルチェだけでいい、そう繰り返してため息をついた。 「雇ってもらえただけありがたく思え。 そう簡単に選べる立場でもないだろお? もっとお前自身がしっかりして、 雇い先が潰れでもしたら次の仕事を斡旋してやるよ」 子猫のように部屋を見る貴方を暫く眺めていてもよかったが、小腹をすかせ過ぎるのも困り者だ。 懐から出すのは変哲もないキャンディで。 包装を外し、フルーツのフレーバーをした雫を人差し指と親指でつまめば餌を求める口元へと連れていってやった。 「もっと美味しいのは冷蔵庫だ、今はこれで我慢できるか?」 差し出しながら立ち上がり、座って待っていろと視線を他所へと向けた。 こんな四年後の男が見ても甘すぎる態度。今の男が四年後を見ても、触らなくなっただけじゃないかと乾いた笑いを溢す仕草。どうしようもないほど甘くて、他のもので中和するのに一苦労している。 薄く香る白い花も、二つ分の温度もこの家にはあまりに余分すぎる。祭りだからいいか、と納得付けるにもこの街では何度祭りが行われるかなんてわかりきっている頭では、いつまでたっても離れてくれないことを示していた。 貴方にとって我慢できない時間と、男にとって我慢できない時間が違いすぎる。わかっていて押し付けた関係、いつ殺されても仕方ないなと気付いていたのはこの頃からだっただろうか。 (-39) 2022/08/26(Fri) 11:55:14 |
【秘】 愚者 フィオレロ → デッド・ベッド ヴェネリオ「犬扱いしているのを相手に真面目に考えるのやめません? ……冗談ですよ。この件は冗談じゃなかったですけどね」 冗談じゃなかったけれど。死んだ時点でなしと彼が口にした時点でもうそれ以上を口にすることはない。求めていたのは事実であっても、その最低条件を満たせないまま強引に口説く程のふてぶてしさは、生前には形成しきれず。 「人の真剣な願いをそうぽいぽい押し付けようとするのはどうかと思いますが、叶える為に一応手伝ってやろう……という善意は感じたのでそこはいいです。 コルヴォにはそれは求めてませんでしたよ。……俺より酷い状況のやつに何かを求めるには、俺は少し不要なものを知りすぎましたから」 リカルドさんもまさかこんなところで縁組の話が出てるなんて思いもしないだろうなあ、と死者はぼんやり空を仰ぎ見た。 「あと、テンゴさんは……っ、 わっわっ、……?」 隙だらけの油断野郎はそんな事された経験もないからそういう行動と言う気配にも気づかず、一瞬で終わった一瞬の夢の中の夢のような時間に、暫し何が起こったのだとばかりに適当な子供たちAは呆けるばかりで。 「……あー、喜ばせるの、下手ですねヴェネリオさん」 乱されて更に崩れた髪を撫でつけるように指で直しながら、喜ばないという意味じゃない。愛に飢えている相手にやっていたとしたなら、それは意味が大きく変わるというのを嫌でも理解していた。 「ほらー。やっぱり罪な男だ。俺じゃなければ別の未練を生ませてましたよ。でも俺は俺なんで、……誰の役にも立てないままでしたが。そのお言葉に甘えて最後以外の殆どの未練は、今ので切っちゃうことにしてやります」 随分えらそうな言い方。不躾気味ではあったもののこんな言い方は滅多にしなかったのだが、髪を直そうとしている腕が顔を隠す意図を考えれば察しはつくだろう。今更だから、逆に見せたくないのだってある。 「じゃ、引き留めてすみませんでした。余り貴方を拘束しているとどこからせっつかれるかわかったもんじゃないので。お元気で」 (-40) 2022/08/26(Fri) 14:34:10 |
【秘】 愚者 フィオレロ → 家族愛 サルヴァトーレ「──ああ、確かに。 "自分の事のように嬉しい"から、なんでもしてやれる、のか。 言われてみればそんな風に考えた時期もありました。 だとすれば……してやれる事ばかりではなく、 相手に求めるものが増えた場合、」 それは、本当に家族を求めているのか、と……」 「いかんせん経験が薄いもので、たまに心配になりますね」 アルバのサルヴァトーレと言えば、コンシリエーレと言う立場もあり名の知名度としてはノッテ側としても相当なものだ。 とは言え、立場の大きさと顔が明かされているかは完全に一致するわけではない。貴方が違和感なく溶け込んでいるのなら、こちらもそう易々と気づけはしないだろうが、さてどうだっただろう。 最も、この時の会話はあくまで"家族"を強く知る貴方に対して興味を持っているから、もしもそうだと知っていたとしても、それはもう一つの意味の"家族"を持っている人として認識が変わるだけなのだが。 「おや、そんなに宝物で溢れているのなら、 一度宝石箱を覗かせて貰いたいものですねぇ。 俺も花言葉に縛られてせっかくの美しさが憚られるのは残念だと、前々から思っていましたよ。 名や形式だけに捕らわれて目の前のものを見落とすのだけは避けたいもので」 透けて朧げな青が透ける様子に目を細める。 言葉はすべて本心で。貴方のような人が院長だったのなら今この場でこんな話はしなかったのだろうと、あらゆる意味で不相応な思考をしつつ、貴方の答え自体に感謝を込めた笑顔を返す。 「つまりは、とてもよくお似合いだと思いますよ。貴方が心から選んだ花ならきっと全てそうなると今感じました」 (-41) 2022/08/26(Fri) 16:22:58 |
【人】 誰も殺さなくていい レヴィア>>21 ストレガ 猫が好きだった。 死を悟り、誰もいない場所に消えるその生き物が好きだった。 死を見るのが嫌いだった。 どうしようもなく悲しくて、泣きそうになってしまうから。 だから、猫が好きだった。 猫のようになりたい、と誰かに言った。 死んだ時、どこへでも消えて、無くなって。 誰も悲しませないように、そんな生き物になりたかった。 女は、店の中にて。 2匹の猫を抱いたままの体勢で、そこに居た。 猫になれなかったのか、ならなかったのか。 烏はまだ来てないのか、置いてあるだけか。 何もかもわかることはないけれど、ただ。 女がそこに居る事だけが、確かだった。 店は散々な状況だった。 撃ち抜かれて止まる時計、割れたランプ。 壁も窓も、扉だって傷だらけ。 激しい戦闘が行われたのだろうことが分かる。 女は、無防備に眠るような顔で。 横たわっている。 (22) 2022/08/26(Fri) 17:38:52 |
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