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【人】 愛智 哲弥…… たこ焼き買って、 あっちの方で、少し話そうか [ いくつもあるたこ焼きの屋台から、 一番近い場所に、君の手を引いて歩いていく。 六個入りに、たくさんの鰹節。 青のりとソースの匂いが食欲をそそる。 少し今の気持ちにそぐわないかもしれない。 それでも、お腹がすくと気分も落ち込むって、 そう聞いた覚えがあったから、ね] (102) 2023/02/18(Sat) 1:17:06 |
【人】 愛智 哲弥はい、まず…… 一つ食べようか [ つまようじで、一つ取り上げて、 君に差し出した。 受け取ってくれたなら、 自分も同じように一つとって、 ふぅ、ふぅ、と冷ましてから、口にした。] (103) 2023/02/18(Sat) 1:17:08 |
【人】 愛智 哲弥…… ん、美味しい [ はふはふと、まだ熱そうにしながら、 それでも口の中に広がる美味しいという感覚に、 ふふ、と嬉しそうに笑った。] 君と一緒に食べたかったんだ 前に食べたのより、美味しい気がする 君はどう? [ 美味しい?と、覗き込むように緩く首を傾ぐ。 それから、たこ焼きのなくなったつまようじを、 指先でコロコロと弄りながら、 先ほど言われた言葉を考える。] (104) 2023/02/18(Sat) 1:17:10 |
【人】 愛智 哲弥…… 桧垣さんの中には、 君と、桧垣さんの…… 二人がいて、 このままだと、桧垣さんが…… 消えてしまう 俺が選ばないと、消えてしまうって、 君の言い方からすると、そういうこと? [ 状況を整理するように、 訥々と、意味を飲み込もうと言葉にした。] (105) 2023/02/18(Sat) 1:17:12 |
【人】 愛智 哲弥もう、気付いているかもしれないけど、 俺は…… 桧垣さんが、 好きだよ 最初は一目惚れだったと思う でも会う度に、傍にいると楽しくて、嬉しくて 君のことを知る度に、もっと好きになった…… (106) 2023/02/18(Sat) 1:17:14 |
【人】 愛智 哲弥多分、君である時も、桧垣さんの時も、 あったよね…… 違う一面だなって、 思った時があったし、抜けてる?って思ったのも、 多分……そういうことなんだよね [ 指先で弄んでいたつまようじを、 ぷす、と一つ、たこ焼きに刺して、 ひょい、と摘まみ上げる。] (107) 2023/02/18(Sat) 1:17:16 |
【人】 愛智 哲弥…… 昔、本で読んだことがあるんだけど、 一人の身体に、二つ分の人格や感情があると、 身体に、脳に、すごく負担がかかるから そのままだと、二人とも死んでしまう だから、どちらかが消えなければいけない そういう話があったんだけど、 君たちの身体に起きてるのって、 そういうことなのかな…… (108) 2023/02/18(Sat) 1:17:26 |
【人】 愛智 哲弥[ お腹が空くと、悪いことばかり考えてしまう。 そんな風に嘆いていた妹のことが、 一瞬だけ浮かんで、ぱくり、と、 摘まんだそれを、口に運んで。 話した内容を咀嚼するように、 柔らかい生地とソース、こりっとした蛸を、 喉の奥へと噛んでは、喉の奥へと流し込んで] 君が言う、私を選んだら、 君の方が消えてしまうんじゃない? 二人一緒では、生きていけないのかな? [ 隣にいる君を見つめる。 ほんの少しだけ、縋るような色を揺らした。] (109) 2023/02/18(Sat) 1:17:30 |
【人】 桧垣 やよい[ 愛智くんがやよい≠好いてくれているなら わたしの話は悪い話ではないんじゃないかって、 身勝手にそう思っていた。 それなのに、その顔は晴れだけにはならなかった。 それでも優しく髪を撫でてくれたから …… わたしは一層、彼にならお願いできると思った。 ] う、うん。 [ 促されるままに屋台へ向かい、 湯気立つたこ焼きに何度も息を吹きかけてから 慎重に口へと運んだ。 熱々でトロトロの生地にソースの香りが 口の中と心を満たしてくれる。 ] (111) 2023/02/18(Sat) 2:41:35 |
【人】 桧垣 やよいありがとう。すごく美味しい。 誰かと一緒に食べるって、いいよね。 [ わたしたちは独りじゃなかったけれど、 家での食事はいつだって一人だったから。 学校のお昼休みとはまた違う、特別。 ふと、クッキーを一緒に食べた彼の顔が、浮かんだ ] (112) 2023/02/18(Sat) 2:41:41 |
【人】 桧垣 やよいえ …… ?? え、えっと …… [ ひとつ目のたこ焼きを飲み込んだ頃、 愛智くんからは思いもよらない返事が返ってきた。 ] …………………… [ 核心を突いた言葉に、黙り込む。 こんな返事を待っていたんじゃなかった。 ] (113) 2023/02/18(Sat) 2:41:44 |
【人】 桧垣 やよい[ 次のたこ焼きには手を伸ばせないまま、 しばらく俯いて、それから顔を上げて、 もう一度、真っすぐに視線を合わせる。 頭の良い彼だから、これ以上誤魔化すことはできない。 ] (117) 2023/02/18(Sat) 2:42:34 |
【人】 桧垣 やよい[ 本当は、わたしだってそうしていたかった。 きっと、やよいちゃんも同じ気持ちだと思う。 わたしたちはずっと、二人で生きてきたから お互いにとってお互いが必要で大切な存在だった。 ずっとこのままじゃいられないって分かっていても ずっとこのままいたいって願うしかなかった。 ] (120) 2023/02/18(Sat) 2:43:48 |
【人】 桧垣 やよいやよいちゃんは…… わたしを救ってくれた、大切な人なの。 彼女がいたから、わたしは頑張ってこれたの。 やよいちゃんはきっと、怒るんじゃないかなって思うよ。 やよいちゃんだって、寂しいんじゃないかなって思うよ。 それでもわたしは、 やよいちゃんのいない世界でなんて、生きられない。 そして何より、やよいちゃんに生きてほしい。 桧垣やよい≠ニして、幸せになってほしい。 (121) 2023/02/18(Sat) 2:45:56 |
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