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【秘】 鳥葬 コルヴォ → 天使の子供 ソニーその間にも、つたない問いがただ流れていく。 それを聞いていないわけじゃない。確かに聞いているからこそ。 結句気休めでしかなくとも、仕事の場からは離れる必要があった。 両親、仲間、友達、奪われたものを奪い返すべき相手。 その内の幾許かは、或いは、あなたの手によって。 名もなき烏はおおよそあなたと同じようなものを失って来た。 けれどそれが等価であるとは思わない。 その重みは人によって異なるような、似ているだけで違うもの。 何れにしても、手の届く限りの殆どのものを失ってしまった時。 後に残された者のやりきれなさというものは、 いったい何をどうすれば納得が、満足がいくものだろう。 「本当はもう、答えは出てるんだろう。 何も変わらない。あんたの空虚は、永遠に満たされる事は無い」 少なくとも、それを埋めてやれる人間は居なくなってしまった。 「あんたは、あんたが死ぬまでそのままだ」 生きている限り、この耐え難い苦しみは和らぐ事無く続く。 その言葉を否定できる人間も、今この場には居ない。 続いた先に、たった一握りさえも希望を信じられなかった人間が 生きていれば、いつかは、ひょっとしたら、なんて。 そんな何処までも無責任な希望を他者に語れるはずもない。 (-127) 2022/08/29(Mon) 4:47:26 |
【秘】 鳥葬 コルヴォ → 天使の子供 ソニーだからただの一人の死にたがりからあなたに差し出すものは、 終わった先の安息の示唆と、それに行き着く手段だけ。 喪服の懐から音も無く拳銃が抜き出され、銃口をあなたへ向けて、 「楽になりたいなら、あんたは早く死ぬべきだったのさ」 「──Addio. ソニー・アモリーノ」 同じく自らに向けられたそれに構わず、引き金を引く。簡単な事。 殺すつもりはあったけれど、生きるつもりがあるでもなかった。 名もなき烏にも、或いはそれ以外の誰かにも ここであなたを殺さなければならない理由は無かった。 死にたい人間は、死ぬしかない人間は、死ぬべきだ。 そうでないなら、せいぜい生きていればいい。 このような行動に出た理由なんてのは、そんな思想だけで。 乾いた銃声が鳴り響いたなら、それは幾つだっただろう。 がらんどうの倉庫が誰かの棺となったなら、それは誰だっただろう。 誰に何処までの言葉が届いたかも定かではない。一つ確かな事と言えば、 夜が明ける頃には何れの姿もそこには無いという事。 願わくばどうか、殺すなら上手に殺してくれ。 もしもあんたがしくじった時は、俺もそうする事にしよう。 そんな思いがあったかは、やはり誰も知らぬこと。 何せそれを語る者は、結局は何処にも居やしないのだから。 (-128) 2022/08/29(Mon) 4:50:38 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → 天使の子供 ソニー「なっ、お前」 花を与えることなんてしなければ。そんなこと、渡してやった花束をいちいち見せに来るその姿ですべてお釣りが帰ってきた。 お前ってやつはと頭を抱えてこずいたこの気持ちは 思惑通りとうとう永遠に知られないままになる。 親にもなれない、友にもなれない、恋人にもなれない、こんな中途半端な男の気持ちなんて伝わない方が幸せだと思い込んでいた。結ばれもしない、共に過ごすこともできない仲なんてすぐにその傷は癒えてしまうと信じつつも、苦い甘さを残し続けた。 「いいか、ソニー」 俺はお前の親でも何でもないし、 教鞭を振るう教師でもない。 それでもお前のことを心配している、ただの 「…… 似合ってる。 だからもう見せるな。 大人は頭が固いんだ」落ち着かない、甘い香りがいつのまにかひとつの印象しか与えなくなる頃には、脳が誰かを訴えることをやめない。 とっくにこれ以上上回ることのないお前への心が、態度が。 「歳を食っても変われない俺なんて気にせず。 バレないように、黙って好きなことしていろ」 怒気と呆れを含んだような声色は出せていたか。 視線をそらして見つめた先には白い花が置かれていて。 逃げ道がすくないその空間で人差し指を口許に当てて考え込む仕草をする。噛み跡がついておらずとも、そこにはすでにあなたを感じていた。 可愛げもない、素直でもない態度で吸い込むのはアーモンドの香り。そうして甘味で満たされた腹をどうしてやろうかとため息をついた。 (-129) 2022/08/29(Mon) 4:50:50 |
【秘】 天使の子供 ソニー → デッド・ベッド ヴェネリオ呆れを頭に受けていっときは唇を尖らせて不満を訴え、すぐに得意げな顔でしてやったりと笑う。 ほんのわずか、小さく鼓膜をくすぐる声を耳聡く聞き入れはするくせに、深くは考えない。 誉められたように捉えられなくもない叱咤だけを都合よく受け取ったなら、目を輝かせた。 深く透き通ったジェイドの色は幼い頃から翳りもせずに変わらない色をしている。 何も変わらずにあったなら幸せな終わりがあったか、なんて。想像こそすれど不確定なものでしかない。 「はぁ〜い、へへ…… 食べよ、もう厳しいこと言いっこなし! 先生のタルトタタンが一番美味しいんだよなあ」 食事を作るのは環境だ。いつだって貴方が傍に居たからにこそ、舌の上の甘味は幸福になった。 食い気が勝って人並みよりも若干食べ汚かった振る舞いは、いつしか完璧なものになってしまって。 貴方と貴方が仕掛けたものの思惑通りに、振る舞いと作用は完璧な刃へと育っていった。 貴方はそれを、喜ばしく思ってくれる? 2月、花祭りの名残のある日和。窓の外には白い小花があちらこちらに散って見える。 いつかの日。遠く過ぎ去った春の日。 ソファの隣に寄せた体温は触れ合わずとも暖かく、降り注ぐ視線はわざと突き放すものもなかった。 輝かしい未来を暗示するものでなくたって、青年は幸福だった。指に触れる温度が変わるまで。 8月の夜気が責め立てるような熱を肌身に迫らせる。 明かり取りの窓から差し込む月の光が、左手の薬指に嵌ったジェイドとアーモンドと<kanaとをきらきらと輝かせた。 あの安置室で共に、なんて身勝手な真似をしなかったのは、貴方が最後に見る己の顔が綺麗なままであるように。 己が最後に見る貴方の姿を己の血で汚してしまうことのないように。 誓われない指輪を揃いに嵌めていくくせに、慾するほどに共に傍に在ろうとするわけでもない。 奪うほどに己に正直だったなら、最後の瞬間くらいは一緒にいられたのかもしれない。 一滴、半滴でさえも、貴方の存在は天使の子供を救っただろう。 告げられることのなかった秘蹟は、遠く希望を繋ぐように口の中だけで唱えられた。 (-130) 2022/08/29(Mon) 10:06:26 |
ソニーは、ヴェネリオを、 愛している。 (a5) 2022/08/29(Mon) 10:07:10 |
【秘】 愚者 フィオレロ → 家族愛 サルヴァトーレ「答えを持っていそうな風格はありますけどね。いえ、単純に貴方の答えを聞いてみたいと思っただけなので、気楽に……、……」 彼の言葉の紡ぎ方がほんの僅かに違ったから、一瞬これはさすがに不躾な質問すぎたかと過ぎり、解答を聞いてすぐに思い直す。その答えの精細さが違う事にむしろ安堵したような気がして、笑い交じりに言葉を返す。 「全部って滅茶苦茶な無茶を言いますね。いや、」 「……それくらい、必要だったのかな」 それを望むのならそのくらいの覚悟と責務が、なんて思いはしたけれど、貴方の思惑通りこれは独り言のようで貴方に更に詳しく問いかける事はない。ただ、この答えがこの男が考えていた何かを呼び起こさせた事は事実だった。 「──確かに」 「俺じゃ思い浮かばないくらい情熱的だ」 改めて、随分と面倒見のいい人だなと感じる。それは聞く態度や姿勢、言葉の受け取り方も勿論入るし、投げている自分が言うのもなんだがこの手の話題を突然振られても引いた様子一つ見せる事がないところもだ。 実際にどう思っているかはさておき、見た目に出ないのではなく出さないようにしている在り方は見習いたいと話題の隅で強く思う。それこそ、向いてそうだと思ったのは秘密だ。実際は向いているどころか遥かに上の立場の人だったのだが……それを知る日もついぞこなかった。 それから、唐突に「付き合わせてしまったお礼にお礼でもと思ったんですが、……折角の花ですから引き留めるのもよくない。だからまた、機会があればその時はお礼をさせて下さい」 なんて一方的に告げて、唐突に声を掛けた時と同じように貴方に答えて貰った花を機嫌よさげに買って帰ったのだろう。その"機会"も結局は来なかったのだが──とある無人の空き家に、燃える鮮やかな赤の花が贈られる事になる。 (-131) 2022/08/29(Mon) 13:38:26 |
【秘】 翠眼の少年 ヴェルデ → 家族愛 サルヴァトーレ二つと聞けば、「そんなに食べられない」と。 三つと聞けば、「なんで増やすんだ」なんて。 そんなことを言って、少年はかすかに笑う。 早く決めてしまおうと目についたものにしようとすれば、他のものを示されたりして。 それはきっと、慌てなくていいことの裏返し。 あなたは少年が選ぶまで待っていてくれるし、きちんと選べば何も言わない。 「……ん。じゃあ、これ」 そうしてたっぷり迷って選ぶのは、紫色のぶどう味。 結局また支払いはさせてもらえないから、困ったような、呆れたような顔で。 なんでもない普通の親子のような、或いは兄弟のような気安い距離で。 ひんやりと甘いジェラートを食べ、祭りの喧騒を楽しんだ。 迷子の仔猫みたいに所在なく立ち尽くしていた少年は、確かに。 あなたに誘われて、この騒がしさを楽しむことができたのだ。 (-132) 2022/08/29(Mon) 13:54:19 |
【秘】 風は吹く マウロ → ”再び灯された昼行灯” テンゴ「せざるを得ないってところだろうよ、シマを荒らしにきた馬鹿どもに報復するにも数が減りすぎた」 このまま一つずつ潰される可能性もある。故に止むを得ずといったところだろう。いずれ、離反者が出る可能性は捨てきれないが。 「おう。……幸い、俺たち3人が残ってる。 どうにだってしてみせるさ。こんなとこで躓くようなら、どこにも行けやしねえだろ」 得意げに笑ってみせる。しょぼくれた顔は姿を消し、希望を取り戻したような。 前に進もうとするものの顔だ。 「あん?なんか言ったか?」 (-133) 2022/08/29(Mon) 15:27:43 |
【秘】 ”再び灯された昼行灯” テンゴ → 風は吹く マウロ「少し見ない間に随分と頼もしくなったものだな。」 つい最近までは子猫のようだったのに、と零しつつ。 内心はその成長に舌を巻いているのだ。 「全く持ってその通りだ。まあ体は動かせんが、まだ俺も現役だ。折れそうになったならば、その時は手を貸してやろう。」 その為にきっと自分は生かされた。 未来を見届ける為に。 「ふ、いや何、ひと段落したら、お前さんにわが親友が大事にしていた孤児院でも譲ろうかと思っているんだ。」 勿論受け取ってくれるよな、という言い方をする。 しかし、それを受け取るかは貴方次第だ。 (-134) 2022/08/29(Mon) 15:50:13 |
【秘】 愚者 フィオレロ → デッド・ベッド ヴェネリオ「そうですね。でも、それ以外の大切なものも沢山貰いましたから。確かに喜ばせる事が下手ですけど、救うのは上手でしたよ。 俺が、そうでしたから」 こうは言っても、半分も伝わりやしないのだろう。 どうしてあの花を贈ったのか。 貴方に何の幸福を見出していたのか。 それを直接語ったことは、ついぞないまま。 貴方は、あの花を見ただけで理解したのかもしれませんが。 救われたと、こうして言葉にできたのだから、もうそれで構わない。 「……地図でも書いてもらった気分ですね。 大丈夫です。そこだけは最後まで守り抜きましたから。 そうしてお墨付きをもらえたなら、もう迷いはしません」 例え記憶が失われて、別の家族を知っても。 その人格が別になるほどに、この男の"家族"はノッテだけだった。 「さようなら、カランコエを贈った 貴方。 もう、この鐘の音も──」 ずっと聞こえていた。 死後、この不安定な空間でずっと聞こえていた過去の象徴の音が。 生前、貴方がその印象を変えてくれたように、死後でもそれは変わらない。 だから、もう少しだけ待ちたい人を待てる気がする。 この後、終ぞ役に立てなかったと思っていたことすらも、 言葉を交わした少女によって教えられた男は、二度と迷子にならないまま。 どんな結果であれ、その日を待ち続ける事となった。 (-135) 2022/08/29(Mon) 18:29:54 |
【独】 Ninna nanna ビアンカ――――― AM03:22 ――――― 「――………ヴェル、 デ?」 自らの瞼の隙間に浮かぶ、涙の重さで目が覚めた。 ノイズまみれのように暈ける視界、肘や腰に残る鈍い痛み。 低く呻きながら体をよじろうとして、両手が頭の上で何かに引っかかったように動かないことにようやく、気付く。 ――気が付いてしまえば、あとは一瞬だ。 ノイズが補正されるように、周囲の様子が視界へと入ってくる。 「………は。 最悪」 恐らくは、ワンボックスカーの車内。窓は完全に目張りされていて外の様子は分からない。 自分は両手をダクトテープで拘束されている。 周囲には5人──いや、運転席含め6人の男性。 白人。武装はそれぞれが銃、あるいはナイフ。 顔は隠していない。 「………」 その状況を確認した時、 ああ、私は死ぬんだな、 と思った。 顔を隠す必要がないのだ、こいつらは。 (-136) 2022/08/29(Mon) 18:46:14 |
【独】 Ninna nanna ビアンカ>>-136 「起きたな」 男のうちひとりが、声をかけてくる。 それすらもおっくうに感じながら顔をあげつつも、 ばらばらになった記憶のピースをめくらのままにはめ込んでいく。 伝手をいくつかたどり、次の情報屋のところで向かおうと外出。 その途中、海岸公園の近くでタイヤが路面を擦る音。 咄嗟に振り向くと、無灯火の車が突っ込んできて、 衝撃、 …… そこまで。 多分、私は車ではね飛ばされて、朦朧としている間に拉致されたのだ。 そう現状を仮に理解しながら、なるべく声にベッドの中のような平静さを装って答える。 「はい、起きました。あの、服、自分で脱ぎましょうか…?」 お気に入りのフリルワンピースは、路面に擦れて裾の一部が破れている。 そんなこと気にしている場合では、もちろんない。 両足を僅かに組み替えて、スカートを自分で捲る。 太腿を見せつけるように、なるべく淫猥に、けれど下品で滑稽になりすぎないよう腰を上げて。 (-137) 2022/08/29(Mon) 18:47:03 |
【独】 Ninna nanna ビアンカ>>-136 >>-137 「……ッ」 「いた、…ちょ、…」 左右に控えていた男たちが何にも答えず、肩を掴み押し倒してきた。 金属の音。 ざぐざぐと。 ワンピースが乱暴に切り裂かれ、ガキに与えたクリスマスの梱包みたいにはぎとられていく。 「ゃ、脱ぎます、自分でやりま、すから…っいっ」 肌のあちこちをナイフの刃先が霞めて、喉がきゅうとしまって声が漏れる。 ――そんなことで怯えている場合ではないのに。 「抵抗なんてしません、しませんから」 「殴らないでください」 「立場はわかってます」 「口でも、解いてもらえば手でも」 「もちろん下も、ただ、準備してからのほうがもっと…具合がいいと思うので……」 震える唇をあえて噛み殺さず、ただ声だけはしっかりと届くように懇願する。 レイプされるなら、まだいい。 この場で即座に殺される可能性だってあるし、 なんなら殺してからの方が使いやすいと思っている可能性もある。 抗争下で、ファミリーはいつもよりあちこちに目を光らせている。 時間を稼げば、もしかしたら助かるかもしれない。 ないだろうけどさ。 意地を張って反感を買う必要なんて何もない。 (-138) 2022/08/29(Mon) 18:48:02 |
【独】 Ninna nanna ビアンカ>>-136 >>-137 >>-138 どんなふうにされたって、死ぬよりはずっといい。 くわえたナニを噛み千切るなんて、そうそうできるはずもない。 ただ、私は生きる。 生き延びることだけが、今できる抗いだ。 男たちの態度を見る限り、やっぱり私をばらして捨てるのが目的だったのだろう。 ただ、痛めつけたり、辱めたりすることも求められていたようだ。 一発適当に犯して、あとは殺しておしまい。――そんな判断をされては困る。 私は美人だ。少なくとも顔の作りはいいほうだし、外出するときはメイクを怠らないし、 魅力的に、蠱惑的に自分を見せる仕草くらいは心得ている。 「なあ」 「早めにな」 それでも、リーダー格らしい男に何人かの視線が向いて。 そいつが銃を下ろしたのを見て、安堵の溜息をつかずにはいられなかった。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ (-139) 2022/08/29(Mon) 18:49:07 |
【独】 Ninna nanna ビアンカ>>-136 >>-137 >>-138 >>-139 「んぶ、……っ、ぁぅ、…はぁ、……っ」 5人目の男が、覆いかぶさるようにして乱暴に腰を振っている。 顔が近かったので自分から唇を押し付けて、舌を絡めた。 そうしたら更に乱暴になる。体の中が押しつぶされそうになって思わず声が漏れて、けれど喘ぐようにその息を整える。 「ぁ、はぁぁ、…ああー………」 ときたま声を跳ねさせて、腕をばたばたと振って車体を叩いた。 男たちを警戒させない程度に、何度も何度も嬌声と物音を立てる。 多少は疑われているかもしれない、が。大体の男は、腰を振るたび上がる声にプライドを煽り立てられる。 「ふあ、…あ、あー……っ、……」 …こいつは他のやつより大きくて、かさがごりごりと中をこする。 粘膜のかさなりを何度も何度も引きずられて、奥底までを埋められて。 戦いで流した血のように溢れた蜜が、それすらも奪い去るようかきだされていく。 乳房を掴む手は不潔で、痛みだけがときたまはしって、 それでもそれら全てが性感にみえるよう演技する。 いつものことだ。 いつものこと。 お前たちが命を懸け札に食い扶持を稼いできたのなら。 私は、女と体を切り売りして生きてきた。 (-140) 2022/08/29(Mon) 18:49:54 |
【独】 Ninna nanna ビアンカ>>-140 周囲には四人目までが、腰を下ろして、持ち込んだ酒瓶を開けている。 散らばった私のワンピースの端切れで精液と体液を拭う姿を見て、タオルくらい持ってきやがれと心の中で悪態をつく。 どろどろと汚れていくお気に入りの服は、それでもまだ赤く染まっていない。 私は生きている。 私は生きてやる。 強く熱く犯されるたび、下腹部に力を込めてきちり、と男を締め上げる。 高揚も喜びも、幸福も何もない。 ただ、頭の芯がひんやりと冷えていて、脳の表面はアドレナリンで燃えていて。 「ゃあ、……あぁぁ、…っ」 一分でも長く、一秒でも長く。 ――そうしていれば、男のうめき声とともに、また中で吐き出される。 ずるりと引き出される感覚のあと、どっと疲労が全身を襲う。 それでも次。次、を待ち望むように顔をあげようとしたら、 「いっ、…」 ずきりとこめかみが痛む。思わず声と涙が漏れた。 髪を掴まれ、座ったままのリーダー格の男のところに引きずられる。 そいつはこちらに視線すら向けずに、端末でどこかに通話を始めた。 (-141) 2022/08/29(Mon) 18:50:29 |
【独】 Ninna nanna ビアンカ>>-141 「そっちはどうだ。……ああ、おう」 世界共通語ではなく、イタリア語。 僅かに北部の方の訛り、がある気がする。 男は電話先の――多分男――に横柄な口調で指示をしながら、 どこかどうでもよさそうにズボンをずらして、汚らしいナニを眼前に押し付けてきた。 大してやりたくもねえけど、他のやつらの手前やっておくか、みたいな態度。 「………」 それでもにこりと、あからさまに媚びる。 男の腿のうえに投げ出されるような恰好で、顔を寄せて、男性器を舐め上げる。 ちらちらと顔をうかがいながら、含んで、咥えて、犬のように奉仕して。 「ああ、ひとりでいい。連れ出してさらえ」 ――電話口から微かに聞こえる声に、目を見開いた。 微かに聞こえてきたのは、ジュリアの声。眠たげな口調だけど、ちゃんと私の教育通りにお客様を通そうとしてる。 こいつの電話口の先、多分手下がいるのは、 「Pollo Nero」。 私の店だ。 (-142) 2022/08/29(Mon) 18:51:46 |
【独】 Ninna nanna ビアンカ>>-142 ――――― AM06:29 ――――― 男はたんたんと、私の店の娼婦をひとりさらう命令を下していた。 そんな男のものを、私はまるで恋人のそれであるかのように口で慰めている。 「……もうすぐもうひとりくる。 そうしたら、逃がしてやるよ」 リーダー格の男が電話をきるなり、私を見下ろして口をゆがめた。 もうひとり来たら、そのまま殺されるのだろう。 目許だけにあいまいな笑顔を浮かべて返しながら、ぐちゅ、と唾液の音を響かせる。 「もうそろそろ朝じゃねえか。 まあ、俺も一発――」 男の中で、私はもう死体に見えているのだろう。 殺すことが決まって、注意をはらうこともなくどう扱ってもいい道具だ。 奉仕を続ける私の肩を掴んで引きはがし、硬くて痛い車内に転がして覆いかぶさってきて。 (-143) 2022/08/29(Mon) 18:52:33 |
【独】 Ninna nanna ビアンカ>>-143 「兄貴、今……」 「あ?」 運転席の男が、端末を手に声をかけてくる。 「ダニオのやつ、店の前で捕まったって…」 「……」 ぷは 、と。思わず、笑いが漏れた。不覚だけど、もうどうでもいい。 あいつら、うまくやったのだ。 じゃあもう、私は無理だ。 「おい」 「っぁぐ」 噴き出した私のこめかみを、男の靴が踏みつける。 苛立っただろう、そうだろう。 けど、もういいのだ。 あの子たちがうまくやったのだから、私は腹いせに殺される。 あーあ、もう無理だ。そう思うと、さっきまで、 「あんたのちんこを舐めてたの、ばからしくなってき」 がん 、と。顔面に叩き込まれた爪先に、言葉と息が飛ぶ。 火花がばぢばぢと目の奥底で飛び散って、叩きつけられた背中がとにかく痛い。 (-144) 2022/08/29(Mon) 18:53:51 |
【独】 Ninna nanna ビアンカ>>-144 「……っ、ぐ、……ぇほ……」 「死にてえのか」 「……」 どうせ殺すつもりじゃん。 「………どうせ、銃隠して店に入ったんでしょ? しかもあんたの手下、はじめましてでしょ…? あのね、一応、あんな場所で営業してんの。 ファミリーの関係者の顔くらい抑えてんの……」 そう、ジュリアは良くやった。 今日のカウンターは誰だっけ? ロメオだっけ? あいつも気が利くようになったなあ。 ただやられるだけじゃ、だめだよ。 教えたでしょ。うまくできたじゃん。 もう、私いなくてもいいよね。 ごめんね。 男が途中から、私の言葉なんて聞かず、車内に転がっていた鉄パイプを掴むのを見て。 ――私が残すひとたちに、喉の奥で謝りながら。 私は今度こそ、死ぬんだなあ、と思った。 (-145) 2022/08/29(Mon) 18:54:28 |
【独】 Ninna nanna ビアンカ>>-145 「――…………ざま、……み、ろ」 命乞いと嘆願の末。 その口許は、自らの身内が最後に残した勝利に、笑顔のように歪んでいた。 ――――― AM06:35 ――――― 「ぁが」 がづん 、と。肉を叩くとは思えないほどの硬い音が、また響く。 頭をかばうようにかかげた腕にぶちあたった鉄パイプが、骨を叩いてびりびりと震えている。 がづん。 「ぎぁ」 狭い車内では、振りかぶるにも限度がある。 それでも喧嘩に慣れている者には、いかに人を壊せるようにぶん殴ればいいかの知識がある。 がづん。 「げぁ、…っっは」 がづん。 「……っ」 がづん。 (-146) 2022/08/29(Mon) 18:55:36 |
【独】 Ninna nanna ビアンカ>>-146 がづん。 「ぎゃ、…ぁぁ、……ぁぁう…」 鳥が絞められるような、気持ち悪い声。 それが自分の喉から出ているとはいまだに信じられない。 既に視界はぼんやりと暈けていて、右のほうなんて精いっぱいひらいても半分くらいが真っ暗だ。 がづん。 「……、……っ」 どろり、と何かが零れたような気がした。 鉄パイプの先端が頭をかすめて、出血した――んだと思う。 脳みそくらい零れているかもしれないけど、だとしたらこうして考えている今はなんなのだろう。 ちがうのかな。ちがうんだろう。 なにが? ちが がづん。 「ぇげ、…ひ、……っひ、……は、…」 いびつなかたちにまとまりかけた思考が、衝撃でまた霧散する。 血反吐と歯の欠片を吐き出しながら転がって、もう痛みすら鈍り始めて、それでもただ苦しくてたまらない。 (-147) 2022/08/29(Mon) 18:56:33 |
【独】 Ninna nanna ビアンカ>>-147 「たす、……たすけ、……」 がづん。 「……」 ソニー。 用意してもらったのにね。ごめんね。 私が逃げればよかった。わかってる。 わかってるよぉ。ごめんね。あなたをもういちど、抱いてあげたかった。 トトー。 こんなになっても私のこと、綺麗っていってくれるかなあ。 ねえ、助けてよ。ねえ。何死んでんの? バカ。 きてよ。助けてよ。 がづん。 「たす、……や、…めぇ、てぇ…」 ルチア。お店行けなくてごめんね。 ジェラートおいしくて、…あなたのところでは私、なんだか素直になれて。 ああ、いきたい。いきたいよ。今度はモカ。エスプレッソ。 がづん。 「ごめ、なさ」 (-148) 2022/08/29(Mon) 18:59:00 |
【独】 Ninna nanna ビアンカ>>-148 ヴィー。ごめんね。あなたのお店にもういけなくて。 ヴィー、寂しかった。寂しかったの。あなただけが私のともだち。 あなたは助かって、あなただけは助かって。今どうしてる? ねえ、 がづん。 「ぇぇ、…ぅ、……ぅぇえ、……」 ヴェルデ。 愛してるよ。 愛してたよ。 私、あなたのためになれたかな。 私、あなたの、 がづん 。ごめ がづん 。 (-149) 2022/08/29(Mon) 19:00:43 |
【独】 Ninna nanna ビアンカ>>-149 ――――― AM06:50 ――――― ――男たちが何か話している。 ずきずきとした痛みはもう痛みなのかどうかもよくわからず、 ただ不可思議な電気信号として私の全身を焼いていた。 「もう死んだか?」 「生きてる。ほっときゃ死ぬだろ?」 「まあやっとくか」 おいおい。私の命だぞ。 そんな簡単に決めないで。 もう半分くらいになってしまった視界を動かす。 男たちが何かを手に、私の足を掴んで開かせていた。 まだやんのかな、と思う。 サービスはできないよ。勝手にやるなら、いいけど。 「おい、普通に」 「いや、これやったらどうなんのかって」 「どうなんだろうな」 捕まえた虫の羽をどうちぎるかみたいな会話。 まあ、今の自分の状況をもしみたら、きっととてもみっともない、潰れた蝶々みたいな有様なんだろうけど。 もういいよ、どうせ死ぬんだから。 さっさと―― (-150) 2022/08/29(Mon) 19:01:20 |
【秘】 陽炎 アベラルド → 家族愛 サルヴァトーレ折り畳み式のナイフなら、万一の際に備えていつも持ち歩いて居た。これで人を殺そうとするにはあまりにも心許なく、そういった用途で使われたことは一度も無いが、よく砥がれた刃は人の肉を裂く事なんか容易だ。 「…………ん、」 それをポケットから取り出す傍ら、ふと視界の端にネックレスが映った。最初は何かわからなかったが、すぐに貴方の持っていた物だと思い至る。どういった経緯で持ち歩いているのかは知らなかったが、手放すつもりはないらしいことは知っていた。 ……今ここで持ち去っていくのはこいつに悪いと思い、触れずにおく事にする。 だから、それはそのままだ。 地面に手を広げ、関節部分にナイフを当てがう。 刃を通せば薄い肉を断つ感触がした。流石に骨までは斬る事は出来ない。だから、体重をかける必要があって。 心の中で詫びながら柄に両手を添え、思い切り体重を乗せた。 ぱきゃ、と嫌に軽い音がした。 少し勿体ないと思った。仕方のない事だ。 ▼ (-152) 2022/08/29(Mon) 19:01:26 |
【独】 Ninna nanna ビアンカ>>-150 ずぐ、と。 そんなことを考えていたら、さんざんに痛めつけられた下腹部に、また別の痛みが走った。 「……っ、ぁ…」 「お、動いた」 「結構入るな」 最悪。最悪。最悪最悪。 多分こいつら、悪ふざけでものを突っ込んできた。 人の身体をおもちゃにする連中は、たいてい穴に何か突っ込みたがる。 ごつごつとして硬い何か。粘膜をがりがりと傷つけながら、ええと、これは、まあ、なんでもいいけどさ── 「ばん」 「ぇ」 Si Vis Pacem, Para Bellum。 がち、と撃鉄が落ちる音がして。 どうやら私の体内で、9x19mmパラベラム弾がはじけ飛んだ。 (-151) 2022/08/29(Mon) 19:01:58 |
【独】 Ninna nanna ビアンカ>>-151 ビアンカ・ロッカの体内で発砲された弾丸は腰骨を貫通し、脊髄を砕きながら体内を跳ねまわる。 骨に激突したことで弾頭が三つに砕け、それらが下腹部を中心に内蔵を著しく損傷させた。 「ぁ、あぁぁ、あぁ、ぁっぁあ、あ、あぁ、ぁぁあ、ぁ」 ビアンカはびくびくと痙攣するように、喉の奥から声のようなものをあげていた。 彼女の意識がその時あったかどうかは定かではない。 ただ体内で荒れ狂う銃弾が、その生命をずたずたに引き裂き、致命傷を与えたことは間違いが無かった。 「あ、……ぐぇ、ぇぼ、ぇお、……っっ」 「うわ」 「やべえ」 下腹部からの出血よりも早く。 びちゃびちゃと、その口からポンプのように鮮血が零れ落ちた。 ごとんと音がして頭部が傾いて、拘束されたままの腕と足がばたばたと跳ねて。 「……………ヴぇる、……でぇ………」 彼女の意識があったかどうかは、わからない。 多分、その場にいた誰も、意味のわからない名前をひとつ呼んで。 「……死んだな」 「すごかったな、カエルみてぇだった」 「じゃあ、書くか。書いたらバラして──…」 ビアンカ・ロッカは、死んだ。あとは、皆様の知るとおり。 (-153) 2022/08/29(Mon) 19:03:05 |
【秘】 陽炎 アベラルド → 家族愛 サルヴァトーレ手を離せば小指はすっかり手から離れている。 心臓の止まった今、流れる血の勢いも鈍いのだろうか。 アベラルドはほう、と息を吐いてそれをつまんで持ち上げて、目の高さで眺めて見せた。 ……ああ、自分のやる事は終わったな、と心中独り言ちて。 清潔な藍のハンカチでそれを包んで──そういえばこれも貴方がくれたものだったか────上着のポケットに、そっと入れた。 命は貰い受けた。後は去るだけだ。 貴方のその整ったかんばせを見るのも、これで最後になるのだろう。 「……サヴィ。 またな 」「Sei nel mio cuore」 もう一度貴方の頭をゆったりと撫でて。 すっかり冷え切った唇に、もう一度キスをして。 「A presto」 それからは、何も言わずにこの路地を去る。 一人分の固い靴音が遠ざかっていく。 そしてここに残るのは安らかな骸と傍らのネックレスだけ。 貴方が誰かに見つかるまでの時間は、穏やかな眠りたり得るだろうか。 もはや、それは誰にもわからないのだろう。 (-154) 2022/08/29(Mon) 19:05:12 |
【秘】 天使の子供 ソニー → 鳥葬 コルヴォ互いに失ったものを比較するほど愚かしいこともない。されど二つは似通っていた。 決定的にそれ以外は何もかも違えていても、尚取りこぼしたものの多さは近しかった。 失い続けた結果、更に失い続けることは無いだなんて空論を誰が信じることができる? 希望が重たかった。期待が重たかった。一笑して否定されたことでようやく足元が見えた気がした。 失った時点で死ぬべきだったのかもしれない。他を失わせるくらいなら、確かにそうだろう。 影法師のような男の姿をサイト越しに見据えて、微かに溜息を溢す。 「……ああ、そう。 よくわかってくれるじゃんか。オレはもう、一歩も動けやしないよ」 ひどく熱のない声は、何もかもが腑に落ちてしまったからだった。 惑う脚も誰にも伝わらない恐慌も、全てがどこに向かわせればいいものなのかを理解してしまった。 貴方の言う通り最初から答えは己の中にあって、それを肯定することが今、出来てしまったから。 銃口は相手の眉間に向けられた。己が推理したアウグストの死因と同じく、頭骨を効率よく貫いて。 交わされた相手の銃弾は腕が跳ねたせいで致命の一撃を外してしまった。肩の骨が砕け鉛が減り込む。 利き腕の神経を元に戻すにはどれだけの賭けをせねばならないだろうか。その時点で暗殺者は死んだ。 それ以外の生き方もできないのに、ヒットマンでさえあれないならその価値と意義は一切を失われたのだ。 相手の姿がぐらつくのを見て照準を下げる。もう一発は胸元へと。心臓が傷付けば血が溢れる。 確実に殺すための二発。省みる必要が無いが故の二発。己の姿を隠す必要はもう無いのだから。 血の流れる腕は相手の体が痙攣を止めるまで向けられていて、呼吸の音が途絶えてやっと下された。 銃を握ったままの影法師を、銃を握ったままに見下ろしている。 「──Addio. コルヴォ・ロッソ」 (-155) 2022/08/29(Mon) 19:52:32 |
【秘】 天使の子供 ソニー → 鳥葬 コルヴォそれから先は、どうしたっけな。 死体から服を剥ぐのも億劫なくらい片腕が重くて、そのままフルタングナイフの刃を入れた。 関節に刃を差し込み、ナイフのハンドルを足で抑えて軟骨を寸断してようやく死体を小さくしてやった。 それを、先程まで動いていた火葬車の中に寝かせた。入れ替わり、立ち代わり。 ここへ連れてきた彼女の灰を退かして、見様見真似に 異端者の地獄 へと押し込んだ。誰が来るのかもわからないのに、扉の向こうで燃える様子を眺めている。 いくらかに分けて、ひどく手間と時間を掛けて。ひとつ、ふたつ。全て灰になるまで。 途方もない時間は、宵の口の空をすっかりと昏れきった星色に変えてしまった。 そんなことをする義理なんてなかったし、望んでいるかどうかもわからないのに、 勝手にこんなことをしたところで文句を言う人間だって居やしないのだ。 自己満足、或いは酷く曲がりくねった感謝のつもりだったのかもしれない。 貴方の言葉と弾丸は、男をもう行き先の決まりきった道に押し込んだのだから。 最後のひとかけを押し込んで火を入れてから、腕の痺れが酷くなった頃に漸く離れた。 きっと用意周到な彼のことだから、あとのことを自分で何とかする手筈なんてのは済んでるんだろう。 遠くの街は祭りの最中とは言えすっかり静まっていて、そこから聴こえる音なんてのもなかった。 夏の気配だけが、なんでもなかった一週間を見下ろしてそこに或る。 血の滴る腕はそのままに、配達車へと戻っていく。片手には、娼婦の片割れであった灰。 焼け付いた死の匂いだけが、男の背中を押している。 エンジン音を最後に、廃倉庫からは誰一人いなくなってしまった。 もう、だれも。 (-156) 2022/08/29(Mon) 19:54:56 |
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