吐かれたものがだなんて、
　　最初から分かってた。　］
　

　
［　唐突に、鋭い刃を向けられたような心地。>>1:84
　　ヒリつく空気に、伸ばしかけた手が一度止まる。
　　
　　途端に湧き上がる強い、感情。




　　は、っと息を漏らして、口角を下げる。
　　聞かせたこともないだろう
　　低い声が室内を這った。　］
　

　
　

　　
［　静かに1度、目を伏せて、開いて。
　　つかえに触るよう喉元を抑え、呼吸をした。


　　
　　続けて。　］
　

　　　もし俺に荷が重いと言われたらやめるのか
　　　上手く出来なくなってきたらやめるのか？

　　　はいそうですかってやめられないだろ。
　　　そうなりたくて君はなったんだろ。
　　　じゃなくて、
　　　誰のものだってそうだ、


　　　わかってくれないか……なあ、ユミちゃん。
　　　俺は"最初から"、君と話を、してる。
　
　

［　ガリガリと頭を引っ掻いて
　　椅子に深く腰掛けた。

　　怒るだろうか、黙って聞いてくれたとして
　　この辺りが限度ではないかと思うけど。


　

　　　…俺はユミちゃんの嘘を咎めたいんじゃない。
　　　エデンで得られる幸せに浸かり過ぎれば
　　　いずれ心が現実に帰ってこられなくなる。



　　　それだけはユミちゃんがなんて言っても、
　　　俺は看過できない。だから聞いてるんだよ、



　

　　　反論する元気があるなら良かったよ


［　生気の宿った瞳にくすりと微笑みを向けて
　　一息つこうと落ちたペンを拾い上げる。
　　焦げ付きも少しはマシになったか、
　　肺に取り込まれる空気は先程より吸いやすい。
　　明らかに反論への返事でないそれは
　　船越真結実を守るための逸らし。



　　向けられた怒り >>13
　　けれどどうしてかな、
　　咎める気にもなれなかったのは。
　　

　

　

　　　
　　　　……あぁ、それは、そうだね。


［　出来すぎている。>>16 >>17
　　専門でもないのに知りすぎだと言われれば
　　まずは頷くしかなかった。

　　やられたな、と
　　斜め上に目を逸らす。

　　ただの医者と患者なら、絶対にしない話だ。

　　
　　そんな考えも浮かんだけれど、
　　直ぐに首を振った。　］
　

　　　確信はなかったよ、ただ…
　　　気づいていないかもしれないけど、
　　　入ってきた時から時々、手が何か探してる
　　　
　　　スマホかな
　　　OS…オーバーライドシンドロームに
　　　かかった人から媒体を
　　　取り上げた時に現れる症状と似てたから。

　　　よく知ってるよ、…


［　「理由はそんな所、」と
　　区切りを入れるも、その後は言葉が続かず。
　　

　　
　　俺からはそれで終わりだと言うように
　　視線を戻せばいい加減、診察に入ろうか。　］
　

　　　精神は俺の専門じゃないことは知ってるね？

　　　身体の体調不良は診れるけど、
　　　もし精神の病院に行く気があるなら
　　　薬はそっちで貰った方がいい。

　　　ただ、現在OSに有効な治療薬はない
　　　治療には疑似体験に頼らないで
　　　幸福を得る必要がある。

　　　一病院の多くを抱えてる医師が
　　　そこまで寄り添ってくれるかって言えば、
　　　限度はあるだろうね


［　どちらを選ぶかは任せる、と前置きした上で。　］
　

　　　俺はユミちゃんに幸せになって欲しいよ、
　　　マユちゃんにも、ね。






　　話しにくいことだから
　　全てでなくていいとも加えて。　］
　

　
［　診察も一段落した頃、
　　思い出したようにバッグから
　　取り出されたのは見覚えのある封筒で >>19

　　一人だけ誘う友達、まぁ、確かに難しいか
　　女の子ってグループで居がちだもんなと
　　勝手に納得して勝手に申し訳なく思いつつ。

　　返されると言うならまた別の人を探すかと
　　考えていたんだったな　］


　　　　……



　　
　　…と一瞬法令が頭を過ぎる。大丈夫か。

　　
　　行く人が居ないと言うだけで
　　行く暇がないわけじゃない。
　　息抜きついでにいいきっかけにもなるだろうか。　］
　

　　　　こんなおっさんの休日に
　　　　付き合ってくれるなら、喜んで。

　　　　後で連絡頂戴、


［　差し出された封筒を受け取り
　　中身を1枚だけ抜くと、
　　封筒にメッセージアプリのIDを追記して返し。


　　日水の休診日と都合が合うなら
　　実現するのはそう遠くはなかっただろう。　］**