04:23:36

人狼物語 三日月国


169 舞姫ゲンチアナの花咲み

情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


ウユニ ソーネチカ

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   「ウユニさん。

      僕は…貴女を愛しています。
      今度は…僕が貴女を救いたい。」



(-0) 2022/08/22(Mon) 23:29:31

【雲】 ウユニ



   指先に込められた力が私の問いへの答え。
   貴方に導かれるように丘を目指して。

        
いいえ、導いていたのは…。


   あの日もこんな静かな風が吹いていた。
   揺られた花は花弁を散らして。

       
まるで運命に泣いているみたい。


 
(D5) 2022/08/23(Tue) 0:48:34

【雲】 ウユニ



    「えぇ、なつかしいわ。

     突拍子もない私の提案をのむ人が
     いるなんて……、思ってもみなかったもの。

 
     
まさか、
竜胆
に一目惚れする人に

     
出会えるなんて、ね。」


 
(D6) 2022/08/23(Tue) 0:49:44

【雲】 ウユニ



   思い出話をしに来ただけ、
ならよかったのに。

   仮面を外した貴方の顔を見れば
   そうじゃないことくらい、わかってしまう。

   哀しそうで、それでいて……。

 
(D7) 2022/08/23(Tue) 0:50:13

【秘】 ウユニ → サルコシパラ



   置いて逝かないで。
   そう願う少年のような、愛情に満ちた顔。


   そんな顔で、告げられた貴方の願いは>>-0
   痛いほどに伝わってきて。


  
(-1) 2022/08/23(Tue) 0:51:35

【雲】 ウユニ

   

   きっと逆の立場なら
   私もそうしようとしたでしょう。

   今まで、貴方に病気のことを隠して
   嘘をついて、騙してきた私に
   貴方を非難する資格なんて
   本当は何処にだってないのに。

   頭では、貴方の選択も
   間違いじゃないとわかっていても
   
やめて、やめて
と心が貴方の選択を拒む。


   
(D8) 2022/08/23(Tue) 0:52:48

【雲】 ウユニ



   間違ってなんていないけれど
   きっと正解だってない。
   
   貴方の願いは私を悲哀へと突き落とし
   私の望みは貴方を悲哀に晒すことになる。


       どちらをとっても幸せなんてない。
              
だから、私は……。


 
(D9) 2022/08/23(Tue) 0:53:26

【秘】 ウユニ → サルコシパラ



    
「貴方に救われたことはあっても

     
貴方を救ったことなんて、ないわ。


          やめて、そんなこと…
          私は、望んでいない。」


  
(-2) 2022/08/23(Tue) 0:54:05

【雲】 ウユニ



   1歩、1歩と後ずさって
   貴方から距離を取ろうとして。
   何かに躓いて私は尻餅をついてしまう。


    「
貴方も
、私を裏切るの……?
     独りにしない、のは
だったの?>>1:D55

             そんなの、
……。


  
(D10) 2022/08/23(Tue) 0:55:00

【秘】 ウユニ → サルコシパラ



    
あの人たち家族だった人たちと同じよ……。」



  
(-3) 2022/08/23(Tue) 0:58:17

【雲】 ウユニ



   貴方を見上げて吐き捨てるように呟くと。
   自分自身の都合の良さに嫌気がさして
   吐き気すら覚えてしまうの。
   貴方の気持ちを裏切って出て行こうとか
   貴方に嘘を散々ついていた私が、
   今更何を言うのか、と。


   立ち上がることも出来ないまま
   貴方の瞳を見つめて。
  
 
(D11) 2022/08/23(Tue) 0:58:53

【雲】 ウユニ



   「貴方がしようとしていることは
    私の救いになんてならない。

    そんな形で助かっても…
    生きていても、意味なんてないわ……。

    貴方が傍にいない時間を
    独りで過ごすことなんて、耐えられない。

          寂しさを受け入れるなんて
             私には出来ない……。」


 
(D12) 2022/08/23(Tue) 1:01:12

【雲】 ウユニ



   病気を引き受ければ
   当然、引き受けた人は助からない。
   貴方がそれを選ぶことは、
   私が残されることと同じで。


   はらはら、ひらひらと。
   
花弁
が風に乗って空へとのぼっていく。

 
(D13) 2022/08/23(Tue) 1:02:25

【秘】 ウユニ → サルコシパラ

   

    「貴方がそれを選ぶなら……。

        私は今、この場所で終わることを選ぶ。」


  
(-4) 2022/08/23(Tue) 1:03:11

【雲】 ウユニ



   涙で滲む視界の中、
   口にしたのは、決意であり、脅し文句だった。

   貴方の気持ちは尊重したい。
   でも、それだけは。
   犠牲だけは、受け入れられなかったから。*


  
(D14) 2022/08/23(Tue) 1:03:36

【秘】 サルコシパラ → ウユニ




   「けれど僕はそんな人間であることを

             誇りに思っている。」




(-5) 2022/08/24(Wed) 21:37:25

【秘】 サルコシパラ → ウユニ




「さぁ……怖がらないで。」




(-6) 2022/08/24(Wed) 21:40:21

【雲】 ウユニ



   貴方を傷つけてでも
   貴方がしていることを止めようと思ったのに。
   貴方を傷つけるような言葉を選んだのは>>D17
   そのため、だったのに。


 
(D22) 2022/08/24(Wed) 23:17:42

【雲】 ウユニ



   貴方の問いかけには何も返せず。
   黙しているのは肯定と同じだった。
   そう、私達がしようとしているのは同じことで。

   私達は変わらない。
   愛した人を守りたいと願って
   でも、相手を傷つけずに守る術を知らないの。
   
   たとえ傷つけてでも、自分の望みが叶うのなら
   そうしようとする、自分勝手な、人間。


       
そんな自分がたまらなく嫌いなのに。


 
(D23) 2022/08/24(Wed) 23:19:01

【秘】 ウユニ → サルコシパラ



   「どう、して……
 
        どうして、そんな、……。」



   貴方の言葉に、ほら、また。>>-5
   救われるべきじゃないのに、救われて。


 
(-7) 2022/08/24(Wed) 23:19:32

【雲】 ウユニ



   手を取られても振り払えないのは
   その寂し気な笑みを見てしまったから。>>D20
 
   どうして、貴方はそんな顔、するの……。
   本当に、ほんとうにそうするつもりだったのに。


     
     
「いや、いやよ。こんな、ことっ……。」



   駄々をこねる子供のように言ったところで、
   もう、貴方の意志が揺らがないのは
   今までの言動から、明らかで、
   それでもささやかすぎる抵抗をして。
 
 
(D24) 2022/08/24(Wed) 23:21:17

【雲】 ウユニ



   でも、その抵抗も
   指輪を見て、少しの間止まる。

   あの時、聞かなかった箱の中身は
   なんとなく、予想はついていた。
   貴方が言ってくれていたから。>>0:-111

   
 
(D25) 2022/08/24(Wed) 23:22:02

【秘】 ウユニ → サルコシパラ



     「お願い、サルコシパラ……

              やめて……。」


 
(-8) 2022/08/24(Wed) 23:26:12

【雲】 ウユニ



   抱きとめられて、逃れようと身をよじれば
   袖口から隠していた
が覗く。
   それでも、覆せない力の差を、
運命を、

   私は身をもって思い知ることになるの。

 
(D26) 2022/08/24(Wed) 23:27:01

【独】 ウユニ



   心が嫌だと拒んでも、
   生きたい、そんな本能に体は忠実で。
   貴方からすれば心からの抵抗には
   思えなかったかも、しれないわね。


  
(-9) 2022/08/24(Wed) 23:27:30

【雲】 ウユニ



   左目の花に噛みつかれて、
   力が抜けたように私達は倒れ込んで。


 
(D27) 2022/08/24(Wed) 23:29:27

【雲】 ウユニ



      ぽ
      ろ
      り
      と。



             倒れ込んだ拍子に
             袖口から、花が落ちた。


  
(D28) 2022/08/24(Wed) 23:30:54

【雲】 ウユニ



   それが合図だったかのように
   今まで私を蝕んでいた花たちが
   私の身体から落ちていく。

   病気に打ち勝った証でもあり、
   この身をめぐる毒が
   貴方へとわたってしまった、証。


  
(D29) 2022/08/24(Wed) 23:31:36

【雲】 ウユニ



   治った、なんて喜べるわけもない。
   あるのは、深い後悔と、絶望。

   あの時、私がW治療法Wなんて口にしたから。
   あの時、私が病について明かしてしまったから。

   貴方と出会ったあの日、>>0:67
   貴方に悪魔のような提案をしたから。


   私が、貴方にこんな選択をさせてしまった。
   全て、私のせい。


  
(D30) 2022/08/24(Wed) 23:32:26

【秘】 ウユニ → サルコシパラ



   昨夜、口にしてしまった言葉が頭をよぎる。
   治ったら、ウエディングドレスを着たい、なんて。
   治るはずもないと思いながら言った言葉だったのに。


   
言わなければよかったと思っても、
い。


  
(-10) 2022/08/24(Wed) 23:33:46

【雲】 ウユニ



   私は誰とも一緒にいるべきじゃなかった。
   独りで生きて、独りで終わるべきだった。


   この身が周りを不幸にする。
   そして、誰かに関われば、自分自身が傷つくと。
   知っていた、はずなのに。

   あぁ、それでも
   貴方に出会わなければよかったなんて
   それこそ、死んだって言えるはずもないの。


   
誰よりも、貴方を愛しているから。


  
(D31) 2022/08/24(Wed) 23:34:39

【雲】 ウユニ



   貴方の深い愛情が、
   痛くて痛くて、堪らない。
   ぽろぽろと、耐えかねたように
   涙がこぼれおちて。  
 

    「私の家族には…
     裏切り者しか、いないのね……。」



   
ひどい、ひどいわ、
と同じ言葉を繰り返しながら
   少女のように泣きじゃくっていた。*

  
(D32) 2022/08/24(Wed) 23:35:11

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   あぁ…どうか…赦してほしい。

   その言葉を吐く権利なんてないと分かっているのに。



(-11) 2022/08/26(Fri) 0:01:49

【雲】 ウユニ




   「私のせい、なの……

        私なんて、いなければ、……。」


  
(D39) 2022/08/26(Fri) 13:47:17

【雲】 ウユニ



   責めないで、と言われても
   その言葉が私を守ることは出来なくて。

   守りたいと願ってくれるのなら
   こんなこと、しないでほしかった。

   そんな恨み言は辛うじて声に出さなかったけれど
   貴方への恨み言を抑えれば、
   抑えた分、後悔も何もかも、自分へと向く。

   
私のせいでなくて、誰のせいだというの?

   
きっと誰だって、そう言うに決まってる。


  
(D40) 2022/08/26(Fri) 13:48:28

【雲】 ウユニ

   
   
    「でも……、
     いま、さいてなく、ても……。」



   涙を流したまま、促されるままに貴方を見て>>D36
   症状が出ていないことを確認すると
   ほんの少しだけ安堵して
   でも貴方の未来を思って目を伏せた。

 
(D41) 2022/08/26(Fri) 13:49:08

【雲】 ウユニ



    「そんな、ことない……。
     貴方は、何も、わかってない……。」



   安いものだ、と言って私を宥めてくれても
   荒ぶ心は落ち着くどころか>>D37
   ますます、荒れていく。

   花咲病が甘い病気じゃない、なんて
   私が一番よく、わかってるから。
   幸せを感じた次の日には、
   それを嘲笑うように花が命を脅かしていく、
   そんな、苦悩に満ちた病。


 
(D42) 2022/08/26(Fri) 13:50:22

【雲】 ウユニ

   

    「傍に、いて……。
         ずっと、ずっと……。」

   
   泣き顔を隠すように
   ぎゅう、と貴方に抱きついて
   
叶わない
願いを、口にして。
   貴方に、貴方の言葉に、縋るの。>>D20

   もう、独りになりたくない。
   私にとって、たった一人の家族を
   失ってしまったら、
私は、もう……。


  
(D43) 2022/08/26(Fri) 13:51:19

【独】 ウユニ



生きる意味なんて、見いだせない。  
 
(-12) 2022/08/26(Fri) 13:53:10

【雲】 ウユニ



   瞳を覗かれて、視線が交わる。
   吸い込まれるように、見つめていると
   貴方に一つの提案をされて。


    「贈り物……?
     でも、それなら……、
     二人で帰ればいいのに、どうして……?」



   どのみち、行きたい場所は此処が最後のはずで。
   取りに戻るくらいなら、
   
貴方を一人にするくらいなら、

   一緒に居たかったから、当然渋った。

  
(D44) 2022/08/26(Fri) 13:53:56

【雲】 ウユニ



   渋っていたけれど、
   貴方に理由を言われてしまえば
   私はそれに納得してしまうの。

   まだ、発症していない。
   そう信じていたかったから。


   貴方を悩ませるくらいなら、
   そう遠くもない家まで取りに戻るくらい
   なんでもないはずだ、と。
   自分自身に言い聞かせて、
   貴方の願いを聞くことにしたの。
   
でも、離れがたくて、時間を稼ぐように


 
(D45) 2022/08/26(Fri) 13:55:08

【雲】 ウユニ




    
「ねぇ、サルコシパラ……。」



  
(D46) 2022/08/26(Fri) 13:55:36

【秘】 ウユニ → サルコシパラ



    
「私は、いつまでも貴方を愛しているわ。」



   貴方を見つめて、愛を囁くと。
   柔らかな口付けを、貴方に贈った。


  
(-13) 2022/08/26(Fri) 13:56:17

【雲】 ウユニ



   永遠の様な一瞬の後、
   立ち上がって、哀しそうに笑うと。
   私は一旦その場を後にするの。**

 
(D47) 2022/08/26(Fri) 13:56:48

【雲】 ウユニ



   丘から家まで、数十分。
   急ぎ足で戻って、貴方の部屋まで向かう。

   机の上にあったのは、一通の手紙。
   
手に取った瞬間、嫌な予感がした。


   わざわざ私一人に取ってきて欲しいと
   頼むようなものではないような、気がして。
   そもそも、理由がどうあれ、
   取りに戻らせるのは不自然だったのに、私は……。


 
(D48) 2022/08/26(Fri) 13:57:46

【雲】 ウユニ



   
さぁっと血の気が引いていく。


   手紙を読みもせず、手に持ったまま
   私は丘の上へ戻ろうと走り出した。

   急いでいた拍子に花瓶を落としてしまって
   ガシャン、と大きな音が響いたけれど、
   今の私には気に留める余裕もなく。


  
(D49) 2022/08/26(Fri) 13:58:30

【雲】 ウユニ



   走って、走って、走り続けて。
   息せき切って、たどり着いた丘の上で、
   
           私が見たのは―――――。*

  
(D50) 2022/08/26(Fri) 13:59:01

【雲】 ウユニ



   目に映るのは、
   木にもたれかかるように咲いた竜胆や薔薇。>>D58
   最愛の人の姿は、そこには、なかった。

   貴方がいなくて、
   さっきはなかったはずの花が咲いている。
   その意味なんて、一つしかなくて。


 
(D59) 2022/08/27(Sat) 17:13:29

【雲】 ウユニ




「いやああああああっ!」



 
(D60) 2022/08/27(Sat) 17:15:34

【雲】 ウユニ



   縋るように駆け寄って何度見ても
   貴方の姿は、ない。
   足に力が入らなくなって
   がくり、とその場に座り込んでしまった。


   
   なんでなんでなんで、
   どうして、さっきはなにもさいてなかったのに
   
             どうして―――――。


 
(D61) 2022/08/27(Sat) 17:15:57

【雲】 ウユニ


  

   脳裏によみがえるのはさっきまでの貴方の姿。
   泣きじゃくる私を優しく撫でてくれて。
   私から初めて言葉で伝えた愛情を返すように
   誓うように、口づけを交わして―――――。

  

           
そっか、わたし、が……。
 


 
(D62) 2022/08/27(Sat) 17:16:39

【雲】 ウユニ




    
私が、貴方を殺したのね。



  
(D63) 2022/08/27(Sat) 17:18:44

【雲】 ウユニ



   貴方が私を思ってついた嘘は、>>-14>>-18
   私を救いはしなかった。


           生半可な言葉では語れない
           絶望へと、私を誘うだけで。


        
(D64) 2022/08/27(Sat) 17:19:43

【独】 ウユニ




   
私の想いが、貴方の命を散らしたんだ。

   それが私をどんな気持ちにしたかなんて、
   きっと貴方は永遠に、知らないままでしょう。



  
(-19) 2022/08/27(Sat) 17:21:40

【雲】 ウユニ



   自身の病が悪化したことを悟った時だって
   貴方に病が感染ったことを知った時だって
   確かに絶望を味わったはずなのに。

   絶望には底なんてない、と。
   私は、思い知ってしまう。


         
知りたくもなかった、そんなこと。


   
(D65) 2022/08/27(Sat) 17:22:14

【秘】 ウユニ → サルコシパラ



   いかないで、独りにしないで。
   そばにいるって、死なないって言ったのに。

   うそつき、わたしもつれていって。


  
(-20) 2022/08/27(Sat) 17:23:09

【雲】 ウユニ

 

   貴方に向かって何を言ったのか、
   もう、わからなくなるくらいに
   何度もなんども言葉にならない音をこぼして
   涙を流し続けて。


   手に持ったままだった手紙のことを 
   ようやく思い出したときには
   もうずいぶん長い時間が流れていて。
   震える手で、中身を取り出した。


 
(D66) 2022/08/27(Sat) 17:24:14

【雲】 ウユニ



   綴られていたのは、
   貴方が静かに固めていた
覚悟
>>L1
   私への、
想い。
>>L2>>L4

   そして、今の私には、
   あまりに酷な願いだった。>>L3


 
(D67) 2022/08/27(Sat) 17:27:10

【雲】 ウユニ



   貴方を失った私は
   今、死にたくて死にたくて仕方ないのに。


   好きなだけ生き抜けと言われたって
   隣にあなたがいない日々を過ごすと考えただけで
   辛くて、辛くて、幸せなんて見いだせないのに。


   貴方の命を奪った罪悪感が
   この身を蝕んでいるのに、それでも
   耐えて生きろ、と貴方は言うの……?


   ぽたっ、と手紙が涙にぬれていく。
   濡れる度に文字が滲んで、
   それでもあふれる涙は止まらない。


  
(D68) 2022/08/27(Sat) 17:29:11

【雲】 ウユニ


   
   風に吹かれて、何かが転がるような音が
   微かに聞こえてそちらに目をやれば
   貴方がいつも付けていた仮面を見つけた。

   
   
「……どうして、って聞けなかった。」



   仮面を拾い上げて、
   泣き腫らして酷い顔を貴方から隠すように
   それを身に着けると、貴方の方を見て。

  
(D69) 2022/08/27(Sat) 17:31:45

【雲】 ウユニ



   たった一輪、咲いていた勿忘草を


                 ―――――手折った。


 
(D70) 2022/08/27(Sat) 17:35:25

【雲】 ウユニ




   
私を忘れないで。


         
貴方が遺した想いをこの手に。**



 
(D71) 2022/08/27(Sat) 17:36:03

【雲】 ウユニ



   そのあとの記憶はおぼろげで
   どう家に帰ったのかすら、曖昧だった。
   思い出そうとしても、思い出せない。

  
   貴方がいない家に戻って
   私が割ってしまった花瓶の破片を見て。
   貴方が薔薇を可愛がっていた姿を思い出せば
   また、涙があふれていく。
   この先ずっと、こんな思いを抱えていくなんて
   到底耐えられない。


   貴方の言葉に背いて、死んでしまおう、と。
   破片を手に取り、腕を切ろうとして―――――。


 
(D72) 2022/08/27(Sat) 17:37:34

【雲】 ウユニ




    
「―――――。」



 
(D73) 2022/08/27(Sat) 17:40:43

【雲】 ウユニ



   誰かの声を、聴いた気がした。
   貴方の声だと最初は思って、辺りを見て。

   勿論、貴方がいるはずもなく。
   幻聴だったのかと、がっかりした。


   でも、貴方に引き止められたような気がしたから。
   その日は気絶するように眠った。


  
(D74) 2022/08/27(Sat) 17:42:59

【雲】 ウユニ



   次の日も、その次の日も。
   私は何もする気力も起きなくて
   ただただ、死ぬ方法ばかり考えていた。


   
家にいれば、貴方との思い出ばかり蘇って

   
そのたびに何度も泣いて

   心の痛みを誤魔化すように、
   自分の身体を傷つけ続けた。


   何かを食べても味がしないと気づいて
   食事も疎かになっていって。

   
それでも私は死なないように、生きていた。


   
死ねなかった原因は二つ。

  
  
(D75) 2022/08/27(Sat) 17:50:11

【雲】 ウユニ



   一つ目は、貴方が遺した手紙。
   
W数十年後にW
の一言は
   今、死んでも貴方にあえないんじゃないか、
   私にそう思わせたし、

   私が貴方の宝だという一言は
   この命を投げ捨てるのは、
   貴方の宝を投げ捨てるのと同じだと、
   私に思わせたから。

   死のうと体に傷をつけても
   躊躇うような傷で終わったのはそのせい。


          今まで散々貴方の気持ちを
          蔑ろにしてきたから。
          罪滅ぼしにもならないけれど
          それでも、……。


  
(D76) 2022/08/27(Sat) 17:51:05

【雲】 ウユニ



   二つ目は……
   あの日にきいた声。>>D73
   誰の声か分からない、貴方に似た声。
   その声を、何度か聞いたから。

  
   どうしてかしら。
   誰か分からないはずなのに

   
おしい、と思うの。



   引き止められるように、
   
誰かに生かされるかのように、
私は生きて。

   痛みから目を背けたくて、こう思うようになった。

  
(D77) 2022/08/27(Sat) 17:52:49

【人】 ウユニ



   
あぁ、私は……。


            
を、見ていたのね。


  
(0) 2022/08/27(Sat) 17:53:20

【人】 ウユニ



   家族に見捨てられた私を、優しく迎え入れて
   普通なら到底受け入れられない病を受け入れて
   私の事を、愛してくれる人と、過ごしていた。

   綺麗だ、と言ってくれたことも
   私の贈り物に喜んでくれたことも
   思い出をなぞるように湖で遊んだことも

   愛を誓いあったことさえも。
   すべて、ゆめだったの。


  
(1) 2022/08/27(Sat) 17:53:59

【人】 ウユニ




         
私の身に余るほどの幸せな、永い夢。

 
(2) 2022/08/27(Sat) 17:54:41

【人】 ウユニ




   いっそ忘れられたらいいのに、
   
手にした想い
のせいで、忘れることもかなわず
   夢をいつまでも忘れられなかった。


 
(3) 2022/08/27(Sat) 17:55:37

【人】 ウユニ



             ✽

             ✽

             ✽
 

  
 
(4) 2022/08/27(Sat) 18:00:45

【人】 ウユニ



    『―――さん。
     おかあさん……?どうしたの?』

  
(5) 2022/08/27(Sat) 18:02:04

【人】 ウユニ



   
―――――また、哀しい夢を見ていた気がする。


   呼ばれて、ふと、現へ意識が引き戻された。
   心配そうにこちらを見つめている子に
   私は優しく笑いかけて。

  
(6) 2022/08/27(Sat) 18:03:01

【人】 ウユニ



    「なんでもないの。
     ……ごめんね、ヴィオラ。
     起こしてしまったかしら。」
   

   まだ、陽が高くない時間、
   幼子が起きるには随分早かったから、
   まだ寝ていていいのよ、と頭をなでた。

  
(7) 2022/08/27(Sat) 18:03:56

【人】 ウユニ



    『ううん。
     もう、ねむくなくなっちゃった。

     おかあさんは……?
     ねてるときのおかあさん、
     ずっと、くるしそうだった。
     だいじょうぶ……?』

 
(8) 2022/08/27(Sat) 18:04:23

【人】 ウユニ



   眉下げて、此方を見つめる目元は
   愛しいあの人に、似ている。
 
   この子は……、ヴィオラは、
   最愛の人の忘れ形見。
   だから似ていて当然なのに、
   数年見続けてもまだ、はっとしてしまう。

   今でも、この子の存在は夢じゃないのか、と
   ヴィオラを見ては
   驚いてしまうことがあるくらいだから
   身籠っていると分かった当時は、
   本当に驚愕したし
   暫くは信じられなかった。


  
(9) 2022/08/27(Sat) 18:05:10

【人】 ウユニ



   でも、我が子の存在を知れば
   死ぬわけにも、この身を蔑ろにするわけにも
   いかなくなってしまって。
   裁縫で生計を立てる術はあったから。
   誰にも頼ることなく、私は子どもを産んだ。
 

  
(10) 2022/08/27(Sat) 18:05:41

【人】 ウユニ



   見とれていたせいで、
   咄嗟に言葉が出てこなくて。
   
大丈夫よ、
と続けようとすれば
   私の言葉にかぶせるように、
   
 
(11) 2022/08/27(Sat) 18:06:26

【人】 ウユニ



    『あのね、おかあさん。

             私は……。』

  
(12) 2022/08/27(Sat) 18:06:51

【人】 ウユニ




         
そばにいるよ



 
(13) 2022/08/27(Sat) 18:07:53

【人】 ウユニ



   優しく響く声が、
   あの時の声と、重なった気がして。>>D73>>D20


   それを聞いた瞬間、
   私の目からは、一筋の涙が零れ落ちた。
   
貴方だったのね。あの時私を引き止めたのは。


   ヴィオラが慌ててこちらを覗き込んで
   小さな手で頬を伝う涙を拭おうとする、
   その手を包み込んで、私は微笑った。

  
(14) 2022/08/27(Sat) 18:08:50

【人】 ウユニ



    「ありがとう。
     嬉しくてつい、泣いてしまったみたい。
     これは悲しいからじゃないのよ。

     だから、お母さんは、大丈夫。」


 
(15) 2022/08/27(Sat) 18:10:13

【人】 ウユニ



    「ねぇ、ヴィオラ。
     もう眠くないなら、
     朝ご飯にしましょうか。

     今日は、素敵な場所へ出かけましょう。」

  
(16) 2022/08/27(Sat) 18:10:32

【人】 ウユニ



   なおも心配そうなヴィオラの気をそらすように
   朝食を作って、食べさせて。

   視力を失った左目を隠すように眼帯をして、
   机に置いてあった仮面を一度、撫でた。
   ヴィオラが生まれてからは、付けていない仮面。
   それは埃一つ被らず綺麗なまま、置いてあった。


   身支度を済ませれば、
   ヴィオラの手を引いて、家を出る。

  
(17) 2022/08/27(Sat) 18:12:49

【人】 ウユニ



   目指すのは、あの日以来訪れていなかった丘。
   行けば、あまりにつらい出来事を
   思い出してしまいそうだったから、避けていた。

  
   久々に来た場所は、
   
花が増えていること以外は

   何も変わっていなかった。 
   吹き抜ける風の心地よさも、景色も。

 
(18) 2022/08/27(Sat) 18:17:56

【人】 ウユニ

   

    「ここはね。
     貴女のお父さんと出会った場所なの。

     
……久しぶりね。」


   
(19) 2022/08/27(Sat) 18:18:20

【人】 ウユニ



    
最後は語り掛けるように呟くと、

    蒼空を見上げて、
    天国そらにいる貴方へ笑いかける。
    つられた様にヴィオラも
    天を見上げて、笑って。

    つながれた小さな手の温もりを感じながら、
    私は密かに誓った。

 
(20) 2022/08/27(Sat) 18:19:35

【独】 ウユニ



    私がいなくなっても、
    この子が寂しくないと
    そう思えるような家族が出来るまでは
    まだ、生きていよう、と。


  
(-21) 2022/08/27(Sat) 18:19:58

【人】 ウユニ



    足元に咲く
竜胆

    母娘を優しく見守っていた。**

 
(21) 2022/08/27(Sat) 18:21:19

【雲】 ウユニ



   幾度も季節は巡って。

   一組の男女が夫婦になった日。
   祝福の鐘の音が鳴り響く。

   
   それを嬉しそうに、
眩しそうに

   見つめていた隻眼の女性がいた。

   彼女は柔らかく微笑むと、
   
夫婦に気づかれないように

   そっとその場を後にした。

  
(D78) 2022/08/27(Sat) 18:21:55

【雲】 ウユニ



   女性が向かったのは、街を見下ろせる丘。
   来るまでに着替えて来たのか、
   白いドレスを身にまとって
   白い薔薇の花束を手にした彼女は
   周りに花々が咲き誇る
   木の根元に
寄り添うように
腰を下ろして。

  
(D79) 2022/08/27(Sat) 18:23:00

【雲】 ウユニ



    「この身も、魂も。
     全て朽ち果てるその時まで……

        私は、貴方を愛しているわ。」


   
(D80) 2022/08/27(Sat) 18:23:42

【雲】 ウユニ



       誓いを風へと乗せた女性は、
            眠るように、目を閉じた。

  
(D81) 2022/08/27(Sat) 18:25:03

【雲】 ウユニ



   花咲み、運命に舞った姫は

         ただひたすらに愛し続ける。


  
(D82) 2022/08/27(Sat) 18:26:16