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【秘】 愚者 フィオレロ → ”復讐の刃” テンゴ「昼行灯の火が消えた時、あなたがどうなるか。 ……心配だなぁ。 燃え続けている間はいいんですよ。 異国人なのに実力主義のノッテの顧問まで 上り詰めたあなたの実力を疑っているわけではないんです」 「そのあとの話で。でも、テンゴさんは」 "そのあと"なんてどうでもいいと思ってるんだろうなぁ。 そう呟いて困った人だとばかりに笑った。 (-5) 2022/08/23(Tue) 22:40:59 |
【秘】 愚者 フィオレロ → Niente ラウラ死んだと自覚するまでに、数刻かそれ以上に遥かに長い時間か。 2人程の死者と正者の手を借りて理解した後、 即座に消える身でもなく、地上で言葉を交わした事のあるファミリーの死を知れば、その姿を探して軽く歩く。 その間にもさらに死者や記憶違いでの正者が増えているかもしれないが、さてこの奇妙な空間内では今どの時空でもおかしくはないだろう。 「やあラウラくん。機会が再びできてしまった事を喜べばいいのか悲しめばいいのか。……一般的には後者かなぁ」 その姿が何処かしらに存在して認識できたのなら声を掛けるだろう。 己の目覚めた時は酷い精神状態だったから、いささか慎重すぎるくらいに潜めた声で。 「時間がないかもしれないから、聞きたい事を先に聞いてしまおうかな。あの後何か見つけることはできたかな?」 (-8) 2022/08/23(Tue) 23:01:04 |
【秘】 愚者 フィオレロ → デッド・ベッド ヴェネリオ「あーあ。ヴェネリオさん、本当に死んじゃったんですねぇ。 悲しむ人も多かったでしょうに。相変わらず罪な人だ」 死んだと自覚するまでに、数刻かそれ以上に遥かに長い時間か。 2人程の死者と正者の手を借りてフィオレロがそれを理解した後、 即座に消える身でもなく、地上で言葉を交わした事のあるファミリーの死を知れば、その姿を探して軽く歩く。 見つかればその背にすぐに声を掛けた。 「孤児院、どうなりましたか?」 と、真っ先に聞きたかったそれを最初に伝える。 (-9) 2022/08/23(Tue) 23:05:14 |
【秘】 愚者 フィオレロ → ”復讐の刃” テンゴ「やめてくださいよ縁起でもない。 俺は置いて行かれることが何より嫌いなんです。 そんな事されるくらいならいっそ先に置いていきますから」 「……。ああ、わからないですか?そうですねぇ……」 どうしてそんな事を聞くんだろう。 とばかりに真顔の瞬きを数回し終えて、顎に手を当てながら指でトントン弾くように叩きながら思案した後に、秘密だとばかりに声を潜めて。 「じゃあ、」 「思い出話にしましょう」 「"そのあと"を語れる機会が訪れた時に、ね」 そんな日は訪れることはなかったのだけれど。 起きる事のない事を、秘めた思いごとこの日の記憶と共にしまい込んだままに。 これでよかったのだ。そう自分に今は無理やり言い聞かせた。 (-12) 2022/08/23(Tue) 23:15:29 |
【秘】 愚者 フィオレロ → Niente ラウラ元気?と問いかける男の顔こそやや疲労の色が見えるものの、貴方の返答を聞くと最初こそ驚いたように目を瞠って。 どこかやり場に困ったような視線から貴方に視線を戻した。 だからきっとあなたが目を開いた時に見たものは、 「そう。後悔は、していない?」 憐憫でも喜びでもない。希望と絶望でもない。 笑顔ではなく微笑みを返して、"そう"なのかと頷く目は、同じ気持ちを抱いてしまった貴方をほんの僅かに心配するもの。 それはまるで、男は一度そう思ってしまったことがあることのよう。 「君が得た答えが不幸なものではなかったのなら、 見つかったそれを、最後に聞いてみたいな」 (-28) 2022/08/24(Wed) 3:17:17 |
【秘】 愚者 フィオレロ → 家族愛 サルヴァトーレ島の中の花屋を巡る。 これは男がまだ生前の話。 男は"あえて"ノッテの領土ではなく、島にある花屋を美術館でも除くように見て回るのが好きだった。 例えそれがアルバの息がかかった場所ででも、だ。 己が見極められる程度はさすがに遠慮するも、 そうでないなら知らなかったと答える気しかない。 どんな花屋でも、全ての花を仕入れられはしない。 だからこそ巡っている最中── 好きな花を見かけると、思わず声を掛けずにはいられなかった。 「──オキシペタルム」 花屋の前の貴方が持つ花に思わず声が漏れてしまい。 おっと、と気づいてからは誤魔化すようにはにかんでから、 「いや、失礼。随分と好みが似ていたもので。 結婚式かお祝い事ですか?」 なんて、世間話とばかりに臆さずに話題を振ってきた。 (-29) 2022/08/24(Wed) 3:25:35 |
【秘】 愚者 フィオレロ → 家族愛 サルヴァトーレCiao、とあいさつ代わりに返答しながら、 「そりゃぁ、おめでたい。 "家族"が増えると言うのは喜ばしいですね。 私は家族に憧れてそう短いですが、 知り合いの子に花を授けるくらい愛されているのは羨ましい。 そんな人なら、その花を選んだ理由が何か他にも?」 小さくどこか儚げな美しさのそれを綺麗だけで選ぶのも 何一つおかしな事ではないけれど、この伊達男めいて見える 彼なら他に考えでもあるのかと興味をつい抱いてしまう。 (-38) 2022/08/24(Wed) 14:02:54 |
【秘】 愚者 フィオレロ → Niente ラウラ「そうか。ここまで来てそう思えるなら本物だね」 零れた彼女の呟きに答える術を持たない男は、 何も肯定も否定もせず、ただ一度だけ相槌のように頷いた。 もしその言葉に反応できる人がいたとして。 それはきっと自分ではない。そう思ったから。 「……だと思うよ。欲望が、自分には過ぎたものだとか、 思われる価値がないとか考えた先の自我の芽生えなら── ある意味、聖書などに謳われる"人間"にようやくなれたのかもしれない」 あなたの視線につられたのか、感傷が勝ったのか。 空に見えるそれを見上げて、その相手が誰だったのならと少し無粋な思案を仕掛けたのを止めた。 「"何か"でよかった。死を望むほどでなくて」 (-56) 2022/08/24(Wed) 18:44:34 |
【秘】 愚者 フィオレロ → デッド・ベッド ヴェネリオ「……ああ、そうなんですか。テンゴさんが。 最初からテンゴさんに任せていればよかったのでは?」 シノギみたいなものなら猶更と。 最も生きていた頃だと余りいい顔のしなかった提案だ。 なんせ、そちらの世話を比較的楽しそうに焼いていたの だからその機会が減るのは目に見えていたので。 「残念です。ご愁傷さまです。 いやあ、なんだか死に血肉沸き立つみたいな心地で 当時も会話されていた気がしましたので。 俺も死ぬつもりはなかったですよ本当に。 ……まあ、許されなかったって事ですかね」 せめて継げていればな、と未練だけを零す。 (-58) 2022/08/24(Wed) 18:50:02 |
【秘】 愚者 フィオレロ → デッド・ベッド ヴェネリオ「まあ、それはもう。考えてみたら…… それこそ俺が更なる交代先探す羽目になってましたね。 その癖、あの人だけ生き残ってるんですよ。 あれだけ覚悟もできてるのに理不尽なんだかなんなんだか。 せめてどっちも死ぬか、どっちも生きるにしておいてください」 この発言こそ理不尽の極みである。 あなたほど彼に詳しいわけではないけれど、それでもあなたと彼の親しさは当然のように知っている。 だからその言葉に不満もなければ、乗っかるくらいである。 「やんちゃですねぇ。 後悔がないって言いきれる人が多いの本当に不思議ですよ。 俺なんて後悔の塊なのに。 ……まあ。ノッテの家族がそう思う人たち ばかりなのは俺にとっても幸福なんでしょう」 前向きにとらえるか、後ろ向きにとらえるかの差だろうか。 こんな場所に来て男は議論する気もないため苦笑でとどめたが。 「……一年前のアルバとの件が気に食わない、 幹部の誰かと思っていましたが。その様子ですと違いましたか」 (-63) 2022/08/24(Wed) 19:07:36 |
【秘】 愚者 フィオレロ → 家族愛 サルヴァトーレ「孤児だったものですから。 その上で幸せな"家族"を見てしまうと憧れませんか」 よくある話だろうとばかりに。もうひとつ、あなたはどうですか?を込めた笑みが貴方を見やる。 こんな花屋の店先で出す単語でも返す話題でもないにも拘らず、 気にしていないのか、あるいはそう見せているだけか。 何の躊躇もなく会話のパスを返す。 「はは、いやまあ」 最初のワードで"結婚式"を単語にも出していた時点で、元々知っていたことは明白だろう。 隠しもしない緩い笑いから、小首を傾げて貴方の目を見つめる。 貴方が変えた姿勢に無意識に敵意はないとばかりにそれとなく腕で覆っていた姿勢を、開けたものに変える。 「あなた自身にもご家族がいるように見受けましたが。さて。 それに、好きな花 についての話は幾らでも聞きたくて。 特に品のある貴婦人ならよく見かけるんですが……情に厚そうなお兄さんが知っているのを見ると、つい尋ねたくなったんですよ」 (-71) 2022/08/24(Wed) 19:40:31 |
【秘】 愚者 フィオレロ → デッド・ベッド ヴェネリオ「そうですよねぇ。まあ十中八九……でも気にしないでください。そもそも俺からすれば、そう言って貰えるだけで十分ですから」 言葉通り、誤解なんて一言で済ませられる問題でもない。 何より前ボスの判断だってあってこそだ。 己は一切の噓を語ったつもりはなくとも、こうして肩を持ってくれる人の存在がどれだけ大切だったかは理解している。続けて頭を下げた。 「いつか、かぁ。いつになりますかねぇ。 極東のハチコウとやらにならなきゃやってられないくらい待たされる気がしてなりませんよ俺は。そういうペースの人ですもん」 「若いですよ。なんたって享年23です。 若さを求められてもいましたし、それで許され……」 ません?と言い切る前に、突然流れとして出るには不自然すぎる単語を聞いて、おう。うん。とばかりに頷いた。 そも、先に単語を出したのはこの男なんだがそれはそれ。 「…………死後一番驚いたかもしれませんね。 覚えていらしたとは。てっきり俺がしくじった時点でゴミ箱に投げ込まれていたと思っていたので、今結構に動揺していますね」 していますね、と言っている顔が無表情なのが動揺に拍車をかけているのはとっくに知られていることかもしれない。 「甘やかす……甘やかされる……」と譫言のように呟いてるのは、逆に言えばこんな行動を録に起こした事がなかったのだろう。 (-73) 2022/08/24(Wed) 19:47:24 |
【秘】 愚者 フィオレロ → Niente ラウラ「……そっか。 何もかもが過去形にばかりなったこの空間で、 一番聞けて嬉しい "だった" かもしれない、な」 果たして、例え話の人間になる事が幸せなのか。 死後にその欲望を知ってしまったが故に後悔を経験した己には、 終ぞ最後まで答えを出すことができなかったが。 「ラウラくん。君が人となったこともあるけど、それ以上に。 その答えを選んだ上で俺と違う道を歩んでくれた事が 俺が理由を言う何よりの一番の理由だ」 本当は、それこそを一番望んでいたのかもしれない。 なんて恩着せがましい言葉はそっと胸の内にしまって。 「……こちらこそありがとう。 その結末を見せてくれて」 貴方が知れた答えに、昔は祈りだったから今度は祝福を。 それから空の色を見て、何かを思案するようにして、 「夜が来る前に帰らなければならない時間だが、さて。 ──それじゃ、"また機会があったら飲もう"、か」 これからの有無を聞くよりも、きっとこの方が自分達らしくていい。 (-80) 2022/08/24(Wed) 20:03:07 |
【秘】 愚者 フィオレロ → 鳥葬 コルヴォ長い長い沈黙の後、この手が貴方を基軸とした何もかもにも触れられる事は永遠に無いと知った。気付いた。 「…………そうか」 その上で、零れた言葉はそれ一つ。 薄々こうなる事をわかっていたのか、感傷が全てを塞き止めたか。 「振られに振られてここまで来たな」 「他人に何かをしてやるなんて事は烏滸がましいと理解していたが──それでも、何か一つでいいから、」 "お前の手助けがしたかったよ" なんて、幼少期からずっと押し付け続けていた余計なお世話も、これで全部終わりだ。終わるからには立ち去らねばならない。 ああ、格好悪いしみっともないったらありゃしない。 結局己は不用意に労って、逆に昔馴染みを傷つけ続けただけだ。 『stronzo!!』なんて叫んでやりたくすらなるも、最後の最期だ。どうせなら嫌がらせの限りを尽くしてやろうとして、 「うまく死ねよ。そうでないと、」 「次に会うときは本当のfratelloになるよう願ってる俺の願いが叶うぜ。──じゃあな」 一番最初、本当に出会ったあの日に貴方に望んで。 再開した後の貴方をみて、遂に望みを言葉にできなかった"迷惑"を全部ぶち撒けてから──永遠にその場から跡形もなく、男は消え失せた。 (-93) 2022/08/24(Wed) 20:59:18 |
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