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【雲】 三月ウサギ─── 相手選びを間違えていた。 否定することはできなかった。 これまで縁のなかった世界。 せめて少しでも知ってみようと、 覗き込むような真似はせず。 …… 元々見分不相応だったんだ。 ならば自身育ちにふさわしい 身の丈のあった生活をする。 それが「みんな」の為で。 好奇心に殺される猫のような真似をすべきではないと。 苦笑混じりの笑みに。 対するこちらも、きっと同じ顔をしていた。 (D6) 2021/07/10(Sat) 17:23:46 |
【雲】 三月ウサギそのような話題の運びを 繰り返していたものだから。 トトの提案には、驚いた。>>:D3 否応無しに、どきりと跳ねる心の臓。 …… だが直ぐにその意図に気付けたなら。 納得し、理解する。 嗚呼。なるほど、そういうことか。 (D8) 2021/07/10(Sat) 17:24:04 |
【雲】 三月ウサギ「 ─── いいよ。 」 …… つまりは、お試しのようなものだ。 擬似恋人か、擬似家族か、それ以外かはわからないけど。 誰かを必要とし、必要とされる、その練習。 それ以上でもそれ以下でもなく。 そしてそれは、俺にとっても望むところのはずで。 (D9) 2021/07/10(Sat) 17:24:35 |
【雲】 三月ウサギ「 ─── それは、この一夜限りのことだ。 夜が明けたなら、本来あるべき姿に。 他人同士に戻ろうか。 」 そこに条件を一つだけ加え、 彼女の案に同意する。 本来は、関わるはずのない俺と彼女の世界。 戯れにでも踏み込むなら、 線引きは必要だとばかりに。** (D11) 2021/07/10(Sat) 17:26:01 |
【雲】 三月ウサギ出会うべきではなかった。 ひとつの結論。 互いに異論はないはずなのに。 未だチェックアウトをせず。 背を向けることなく、 ここでこうしている意味。 ─── 単なる、未練か。それとも。 (D17) 2021/07/11(Sun) 19:45:10 |
【雲】 三月ウサギ「 こちらこそ。 忘れられない夜に ……… いや。 素晴らしい一夜になるよう努めよう 」 言い直しに、大した意味はないかもしれない。 しかしこの一夜の邂逅を記憶から忘却して、 ・・・・・・・・・ なかったことにする。 その権利は互いにあるのだと、念を押したなら。 俺達は存在しない契約書に、サインする。 (D18) 2021/07/11(Sun) 19:47:02 |
【雲】 三月ウサギ───── が、しかし。 「 …… 互いを必要とするというのは、 具体的にどういうことなんだ? 」 何をすればいいんだろう。 経験がない故に、欲した願望。 スマートにリードを取るなんて、残念だが幻想だ。 口元を覆うように手の甲を当て、眉を顰める。 (D19) 2021/07/11(Sun) 19:47:48 |
【雲】 三月ウサギちらりと様子を伺うように、トトへ視線を送れば。 ふぅわり。 視界に揺れる薄紫は、思いのほか近くにあって。 ほっそりとした指で引かれる袖もと。 見下ろす眸は、わずかに驚き宿す。 その指先の意図を探ろうと、しばし思考を働かせたが、 無粋だと気付けば、それ以上はせず。 そのまま眼差しをふっと柔げて。 「 ─── 喜んで、…… 愛 しい人。 」 (D20) 2021/07/11(Sun) 19:48:12 |
【雲】 三月ウサギさて、選択はこれで正しかったか。 家族愛がご所望なら、そちらでも構わないのだけど。 ・・・・・ とりあえず今は、大切な彼女の望みに沿うべく。 エスコートをしようと、片手を差し出せば、 …… 重なる感触は訪れたか。 どちらにせよ、誘われるまま、窓に近寄れば。 共に並び立ち、移りゆく空の色を仰ぎ。 一夜の始まりを、その視線に焼きつけた。** (D21) 2021/07/11(Sun) 19:50:56 |
【雲】 三月ウサギ「 ─── ぷっ 」 思わず唇と肩を震わせ、口元の空気を弾けさせる。 律儀に合わせようとしてくれたのだろう。 どこかしっくりしない様子で 同じ言葉を繰り返してくれたトトに対して ごめんごめんと、眸を細めながら苦笑を返す。 (D28) 2021/07/12(Mon) 21:02:37 |
【雲】 三月ウサギ「 ………… 俺も同じ。 何でもいいし、誰でもいい。 俺は家族に必要されたかったけれど。 あの中で、俺だけが家族ではなかった。 友人とも、金銭が絡む状況では常に施される側。 対等な関係を築けているなんていえやしない。 ] 違う世界の住人のはずのトト。 なのに重なり合う部分を見つける度に。 ひとつ、ひとつと、彼女を見つめる眼差しは 色が重なり、深まっていく。 (D29) 2021/07/12(Mon) 21:05:07 |
【雲】 三月ウサギ[ だから、焦らなくていいかな。 家族でも、友人でも、恋人でも、─── 共犯者でも。 …… 俺と君が何かしら見つけられたなら。 呼び名は自然と決まるだろうし。 」 逆もまた然りなのは、言うまでもないけど。 繋がる手のひらから。 二人の体温が、混ざり合い溶けていく。 今確かなのはこのぬくもりだけ。 …… なのに、それで十分な気がした。 (D30) 2021/07/12(Mon) 21:07:42 |
【雲】 三月ウサギ下界の喧騒は高層には届かない。 世界に二人しかいないかのような錯覚の中。 役目を終えたはずの指先を、何故か解けないまま。 陽の光はまだ遠い。 少しずつ色を変える淡い闇の下 街灯と星明かりの真ん中で。 これまで重ならなかった眸を真っ直ぐに合わせ、 俺はようやく。今、隣に立つ君を見た。 (D31) 2021/07/12(Mon) 21:08:50 |
【雲】 三月ウサギ「 あのさ、聞いてもいいかな? 家族はトトを必要としていないって。 どういうことだろう。 」 自分がそうであるように。 トトも何かしらの感情を抱えてここに来たのは これまでの会話から察せられた。 踏み込む事をしなかったのは、 彼女と自分が他人同士だから。 …… 今は違うというのは、 単なる詭弁なのかもしれないけど。** (D32) 2021/07/12(Mon) 21:11:06 |
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