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【人】 美術 エノ海の見える場所で。 そのアナウンスを聞いていた。 あぁ、良かった。 これで君が死なずに済むよ、という思いと。 あぁ、やっぱり。 俺が殺さなければ、君は生きられたのに、という思いと。 色々な気持ちが渦巻いて、ただ俯くばかりだった。 「……裁判場に行かないとな。」 飲み物を用意してくれるって、言ってたもんな。 (0) 2022/03/07(Mon) 23:18:18 |
エノは、親指で君の手を撫でてみたり、ちょっと寒くて、繋いだ手ごと、自分のポケットに入れてみたり (a0) 2022/03/08(Tue) 1:40:35 |
エノは、手が湿る様子に、「苦手だった?」と少し眉を下げて、首を傾げて聞いてみたり。 (a1) 2022/03/08(Tue) 1:41:25 |
エノは、「ちょっぴり田舎の方だ」なんて、揶揄ってみたり。 (a2) 2022/03/08(Tue) 1:42:11 |
エノは、そうして、二人一緒に、会場の扉を開けて、隣同士着席するのだろう。 (a3) 2022/03/08(Tue) 1:42:51 |
エノは、アクタが隣で通話相手に滅茶苦茶怒鳴ってる………と思った。 (a16) 2022/03/08(Tue) 18:31:45 |
【神】 美術 エノきっと用意されているオレンジジュースをちゅるちゅると飲んで。 最初に自分を理解しようとしてくれた人に向き直る。 「うん、仲良くなれたよ。」 「まぁ、罪の清算は、するけれど。」 「……俺、カミクズ君にも言ったけれど。」 「最初はね、1でいいと思ってたんだ。でも。」 「数が増えると、それが減るのは悲しいなって思う。」 「そんな事も昨日まで分からなかったな。」 「フカワくん。」 「俺が昨日言ったこと覚えてる?」 「俺の事、嫌いになっちゃったのかな。」 「距離を置いて、逃げようとしてる気がする。」 「生きるなら生きるし。」 「生きないなら、生きないよ。」 「覚えておいてね。」 茜色の瞳はただ真っすぐ、君を見ていた。 (G2) 2022/03/08(Tue) 18:38:18 |
【神】 美術 エノ>>G6 君の言葉を聞いて。 青年はやはり、眉は下げてしまって。 だって、君は多分。 どっちを選ぶか、うっすらもう決まってて。 それは多分、俺の嬉しくない方で。 そっと一度、隣に寄り添ってくれる君の手を柔く解いて。 正面に立つ君を、叶うなら、ぎゅぅと抱きしめる。 「大切だよ。」 耳元で囁いて。 すん、と鼻をすする音もきっと、よく聞こえてしまう。 「死なないで。」 わがままばかりを告げてしまう。 小刻みに震える体は、今は自分だけじゃなく、他者の死にも怯えていて。 「おいてかないで、フカワくん」 懇願するように、肩に頭を擦り付けて。 抱きしめる力を強くして。 ただ、ただ、自分の中で1の存在である人が。 0にはなって欲しくなくて、それだけしか考えられなくて。 (G7) 2022/03/09(Wed) 7:08:23 |
エノは、アクタの腕の中に収まっている。 (a19) 2022/03/09(Wed) 11:21:56 |
エノは、フカワの言葉を聴いて、それ以上引き止めることはせず、見送った。 (a33) 2022/03/12(Sat) 13:41:41 |
エノは、アクタと体を離して、「清算してくるね」と告げた。 (a34) 2022/03/12(Sat) 13:42:17 |
【人】 美術 エノ>>ALL 『薬局には近づかないで。』 裁判所から出たのち、全員に向けてそれだけ通達して。 自らは薬局の中へと入る。 自身の名字がでかでかと書かれた看板が目に入る。 自分が倒した商品棚を見る。 かつて、自分が殺してしまった人がいた場所を見る。 「まぁ、ここだよね。」 罪の清算をするなら、ここしかないよね。 (18) 2022/03/12(Sat) 16:25:09 |
【人】 美術 エノ少し開けたスペースに、イーゼルを立てて。 そこに一際大きなキャンパスを立てかけて。 ふぅ、と一息。 端末を見る。 合議の参加者、未だ生存してる8人。 それぞれのマーカーの位置を確認して、 薬局には1つ分しかいないことを確認する。 汗が出てくる。 手が震えてくる。 せめて、清算をする前に少し、落ち着きたくて。 オレンジジュースを飲もうと、出そうとして。 ………少し迷ってから、レモンティーにした。 喉を潤す。 1度飲んだだけのレモンティーは、再現するのが大変で。 随分無駄なデータ容量を使ってしまったけれど。 「………美味しい。」 でも、心は落ち着いた。 よし、とパレットと筆に手をかける。 (19) 2022/03/12(Sat) 16:30:19 |
【人】 美術 エノ───薬局が僅かに揺れる。 データの海から絵具を作り出して、パレットに絞り出す。 そうして、真っ白なキャンパスに筆を入れていく。 まずは、この周りの風景を。 人工物と薬で囲まれた無機質なこの店内を。 棚の一つ、商品の一つまで丁寧に描いていく。 ───薬局が僅かに揺れる。 データの海から新たな絵具を取り出しては、絞る。 2回の合議への参加で知ったことだが。 この世界では、一人が作り出せる物には上限があるらしい。 あまり負荷をかけて、不用意なエラーを引き起こさないためだろうか。 凡そ自由に好き勝手作ったとしても上限には至らないくらいの余裕はあるが。 でも確かに、上限は存在する。 ───薬局が僅かに揺れる。 この薬局なんかは、品数から何から、薬の一粒、成分、パッケージに至るまでを精密に再現したものだから。 見た目よりはるかに多いデータ量を持っていて。 (20) 2022/03/12(Sat) 16:39:03 |
【人】 美術 エノ───薬局が揺れる。 では上限に達したらもう何も作れないのか、というと そう言うわけでもなく。 どうやら最初に作り出した物を消去して、容量を確保するらしい。 もしかしたら実際には全然違うシステムなのかもしれないが。 青年はそのように認識し、そして、実際にそのように見える挙動が行われている。 ───薬局が揺れる。 絵具を出す。データの海から、望む色を生み出しては、 それを筆に付け、キャンパスを彩っていく。 汚れた筆を洗う時間も惜しくて、新たな筆を作り出す。 息が切れる。汗が止まらない。 絵を描くことに疲れてるわけじゃない。 それは例えば、苦手な発表を目前にしてる時のような。 どうしようもない緊張と、そして…… …………恐怖。 (21) 2022/03/12(Sat) 16:45:03 |
【人】 美術 エノ───ガシャンッ!と、 薬局の入り口が崩れて埋まった。 絵を描く、描き続ける。 ようやく無機質な風景を描き終えて。 汗を拭って、また違う色を出す。 ガララッ 新たに絵具を出すたび、筆を出すたび、 その容量を補填するように、何かが消えていく。 この薬局を作った時、最初に生み出したのは、 この建物そのものだ。 最初に作ったものから消えていく。 徐々に、徐々に。 建物が自分を支えきれなくなっても、構わずに。 きっと本来なら、危険だと警告が出たり。 あるいは、先に既存のデータを消すよう促されたりするのだろう。 だが青年はそれらをすべて無視して、ここに立っている。 自信を死に導くことが、罪の清算だと信じているから。 (22) 2022/03/12(Sat) 16:57:46 |
【人】 美術 エノガララララ!と薬局が徐々に崩れていく。 青年は一心不乱に絵を描く。 無機質な風景に、人間を描いていく。 それはもう何度も描いた、この世界での自分の姿。 震える手でぐにゃぐにゃになりながら、描いていく。 「……ひっ…!」 ガン!とほど近くの天井が崩れ落ちた事に、声を上げてしまう。 そこかしこで何かが崩れ落ちる音がする。 商品棚がひしゃげる音がする。 重くけたたましい落下音が聞こえてくる。 それでも、筆を止めずに。 酷く不格好な自分を描き終えて、いつもならそれで完成。 ……の所に、また新たな色を出す。 色を出すたびに建物は崩れていく。 それでも描かねば、描かねばならない。 ───隣にいると言ってくれた、あの子の色を出す。 (23) 2022/03/12(Sat) 17:04:42 |
【人】 美術 エノそうして、自らの絵の隣に、その子の絵を。 寄り添い、手を繋ぐように。 自らの未来を望んでくれたその姿を。 出来るだけ丁寧に、でも、どうしたって崩れる絵で。 描いて。 「………かん、せ………っ」 ちょうど描き終えた所で。 そのキャンパスを潰すように、目の前に瓦礫が落ちる。 驚きと恐怖で尻餅をつき、腰が抜ける。 もう立てなくて、仮に立っても、出られる場所もなくて。 仰向けに、転がるしかなかった。 天井では、自分の名字がでかでかと書かれた看板が。 それが吊るされてる天井ごと、自分を潰さんと揺れている。 支えのほとんどを失った建物は。 もう何をせずとも、いずれは全てが崩れ落ちる。 ───あぁ、良かったな、と思った。 (24) 2022/03/12(Sat) 17:11:00 |
【人】 美術 エノ「……ったく、ない………」 死を間際にして、冷静になって。 絵を完成させて、すっきりして。 死で罪が洗われる事に、喜びを感じて。 「しに、たくっない…………!」 死を両手を広げて受け入れられて。 死に何の恐怖も感じなくて。 生きたいと思ったあれは、ただのその場の雰囲気に 流されてしまっただけで。 「───死にたくない!!!」 とか、じゃなくて。 死はただただ怖くて。 なにをしたってそれを受け入れることなんてできなくて。 逃げたくて、泣いて、喚いて、怒鳴って。 気持ち悪くて、吐きそうになって。 これ以上ないほどに生きることを望んで、心の底からそう願って。 あぁ、俺。 ……本当に、本当に、死にたくなかったんだって。 未来に、希望を抱いていたんだってわかって、良かった。 「嫌だ!!死にたくないよ!だれかっ」 たすけ──── (25) 2022/03/12(Sat) 17:18:47 |
エノは、薬局から鳴り響いていた音は、やがて止む。見に行けばそこにあるのは、ただの瓦礫の山だけ。 (a35) 2022/03/12(Sat) 17:19:55 |
エノは、そこにあるのは、『何もかもが終わった跡』だけだった。 (a36) 2022/03/12(Sat) 17:20:52 |
【秘】 演者 アクタ → 美術 エノいつかと同じように、君の姿を探して。 「………エノっ、」 重い瓦礫をも掻き分けて。 「エノ……!」 例え爪が割れても。 例え喉が枯れても。 ……奇跡を諦めない。 「エノッ!!」 この声は、君に届くだろうか。 君の姿を見つけることは、出来るだろうか。 (-149) 2022/03/12(Sat) 20:12:07 |
【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ声が返ってくることはない。 瓦礫は重くて、敷地一面を埋めている。 奇跡なんて起きるはずもなく。 演劇のような美しい物語があるわけもなく。 絵に描いたような世界はそこにはなく。 あるのはただ重くて、君の指を傷つける現実だけで。 どかしてもどかしても、地面すら碌に見えてこない。 血のにじむ手はそのうち感覚がなくなるかもしれない。 未だに音一つ聞こえてはこない。 瓦礫をどかしきった頃、そこにあるのは、 最早形も分からない肉片かもしれない。 喉が枯れてしまっても、この光景を見ても。 君はまだ奇跡を信じるのだろうか。 諦めてしまった方が、きっと楽だ。 君はとってもいい子だから。 たとえここで一人になっても、きっと。 いずれは大切な人が出来て、その人と手を繋いで。 夢に描いたような未来を歩むことはできるはずで。 そんな未来を歩むためにも。 早めに、諦めてしまった方がいいはずで。 それでもまだ、奇跡を願い続けるのだろうか。 (-155) 2022/03/12(Sat) 21:13:52 |
エノは、奇跡なんて起きない。こんな瓦礫の山の下で、助かるなど物語の中だけだ。 (a41) 2022/03/12(Sat) 21:15:13 |
エノは、物語の中だったら助かったのかもしれない。例えば、何かの拍子に抜け出せたとか (a42) 2022/03/12(Sat) 21:15:56 |
エノは、例えば、ヒーローが来て救いだしてくれたとか (a43) 2022/03/12(Sat) 21:16:20 |
エノは、例えば、下に穴が開いて地下の空間に落ちたとか (a44) 2022/03/12(Sat) 21:17:31 |
エノは、例えば、………………例えば。 (a45) 2022/03/12(Sat) 21:17:51 |
エノは、───レモンティー一杯分の隙間に、運良く挟まったとか。 (a46) 2022/03/12(Sat) 21:18:46 |
【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ>1度飲んだだけのレモンティーは、再現するのが大変で。 >随分無駄なデータ容量を使ってしまったけれど。 「……………ぅ………」 ほんのわずかな、音がした。 (-156) 2022/03/12(Sat) 21:21:24 |
【秘】 演者 アクタ → 美術 エノ「っ、ぅ、う………!」 嫌だ。 ばくばくと心臓が鳴る。 人の死を想像するのは、これで2度目。 それでもこの恐怖にはどうしても慣れない。 瓦礫を退ける。──が、散らばるのはその限りではない。 キャンパスの木片や窓のガラス片があれば容赦なく手指を裂くし、 鉄筋ならば動かす事も容易ではないだろう。 「ッ、痛……」 それでも、やめない。 この障害物を退けた先。 ───誰のものか判別も付かない肉があるのか。 ───大切な人の笑顔があるのか。 幸福でも、後悔でも、 目を逸らしたくはないから。 「……………エノっ!」 ▽ (-169) 2022/03/13(Sun) 1:35:25 |
【秘】 演者 アクタ → 美術 エノ──それからは、無中だった。 「エノ!エノっ……!!」 もうちょっと、筋トレとかしておくべきだったな、とか考えて。 こんなVR空間じゃ関係ないか、なんて考えて。 ペットボトルひとつ分の小さな隙間に腕を突っ込んで。 絞り出すような呻き声を頼りに、君を薬局の残骸から探していく。 手指の感覚なんて無い。 じくじくするけど、 これをW痛いWと認識するのは、もう少し先の話。 ──顔を見つければ。 ──胴を掻き分ければ。 ──手足を掘り起こせば。 「ば、ば………バカ! しっ、心配ばっかかけやがって……!」 砂埃を頬にくっ付けて、ぼとぼと涙を零しながら 宝物にそうするように、優しく君の体を抱きしめるだろう。 (-170) 2022/03/13(Sun) 1:38:26 |
【秘】 美術 エノ → 演者 アクタきっと、それがオレンジジュースではダメだったのだ。 慣れ親しんだ、いつもの飲み物は。 作るのに慣れてるから、最小限のデータで作れるから。 レモンティーは、慣れてなかった。 だから作るのに、不必要なデータ量を使った。 その分削れた、瓦礫の隙間。 そこに、奇跡的に体が挟まってる。 それが、オレンジジュースではダメだった。 あの日、あの時、君がレモンティーを飲ませてくれたから。 それが、とても美味しく感じたから。 君があの時、ずっと傍に居たいと言ってくれたから。 最期の時は、君を思い出せる物を飲もうと思ったから。 君が。 青年を。 愛してくれたから。 だから、その体は、まだ暖かかった。 (-184) 2022/03/13(Sun) 6:59:59 |
【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ「……アク、タくん…………」 抱きしめられる。 多少なりの怪我はしたけれど。 今は痛いと感じない。 また空が見えたことが、君の顔が見れたことが。 酷く現実感のないことに思えて。 もしかしたら、走馬灯なのかもしれないと思って。 でも、君が抱きしめてくれるなら。 その温かさが、それを現実だと教えてくれて。 「………………俺…………」 抱きしめ返す力もなくて、ただ身を預けて。 ぽろぽろと、涙だけがこぼれ落ちる。 怖かったんだ。 死にたくなかったんだ。 助けて欲しかったんだ。 生きたかったんだ。 ただそれらを、たどたどしく口に出して。 「…………生きてて……いいのかな……ぁ…………」 一緒に帰って、いいのかな。 震える体を君に押し付けながら、ただ、その許しを乞った。 (-186) 2022/03/13(Sun) 7:05:54 |
【秘】 演者 アクタ → 美術 エノ「良い、」 刹那。 間髪入れずに、声が出た。 「良いよ……ッ! わがままぐらい、言えよ! いくらでも、僕が聞いてやるからさ……、」 レモンティ一本分の奇跡。 君と積み重ねた時間が、それを掴み取らせてくれた。 君への想いが、正しく通じたような気がして───僅かな呼吸に、温度に、安堵を漏らす。 「……し、死んじゃっ、た、かと お、おもっ……た…… ………よかった、エノ……、」 ──怖いなら、隣に居て。 ──死にたくないなら、肯定して。 ──助けて欲しいなら、駆け付けるから。 ──生きる希望を、捨てないで。 ▽ (-192) 2022/03/13(Sun) 12:49:46 |
【秘】 演者 アクタ → 美術 エノ「し、し……死なないで、 生きてよ、隣に居てよっ、エノ……!」 君との距離が、少しでももどかしくて やっぱり君の傷なんてお構いなしに、 小動物みたいに鼓動を震わせる君を、強く抱きしめてやった。 「も、もう、やだよ、 こんな思い、もう、したくないよ……!」 3度目は、訪れないで欲しい。 大切な人を失いそうになる思いは、 身を裂かれるように悲しくて寂しいと、嫌なくらい知ったから。 「……一緒に、背負うから………。」 ぼと、ぼと。 君の生み出した瓦礫に、君と二人、涙を落として。 それを拭うこともせずに、ただ、距離を埋めていた。 (-193) 2022/03/13(Sun) 12:50:42 |
【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ「……っぅ……ぅぅ…………」 「……ぁぁぁ…………!ぅ、ぁぁぁぁ…………」 「うわぁぁぁぁぁ…………!ひぐっぅぅぅ…………ぁぁぁ……!」 君の肩で、ただ、泣き声を上げた。 いつまでも、いつまでも。 喉が枯れてしまうまで。 (-211) 2022/03/13(Sun) 15:50:02 |
エノは、きっとそれは、産声だった。 (a67) 2022/03/13(Sun) 15:51:41 |
エノは、絵乃という男は今日…………やっと、生まれたのだった。 (a68) 2022/03/13(Sun) 15:52:10 |
【秘】 美術 エノ → 演者 アクタそうして、何もかもを涙で洗い流して。 自分で自分を縛り付けていた罪の鎖も。 体を押し潰してしまいそうだった大きな苗字も。 誰かに理解されたいという歪な願いも。 すべて、全てを洗い流して。 最後に残ったものは。 「…………帰りたい…………」 「……アクタくんと、一緒に…………」 「生きたいよ…………」 そんな、子供みたいな純粋な願いだけ。 それはただの自己満足な、殺された側の人の意見など 何ひとつも聞いていない、身勝手な精算だったけれど。 でも確かに、確実に。 君と二人で歩く未来に目を向ける、きっかけにはなって。 「…………帰ったら………………」 「……そっちに、いくからね……」 お願いだから、待っててね、と。 少し、顔をずらして。 その頬に、唇を軽く触れさせて。 そうして。 未来を得るために、帰り支度をするのだろう。 (-213) 2022/03/13(Sun) 15:58:53 |
【秘】 演者 アクタ → 美術 エノ君を抱きしめて、 腕中の君の、生まれ変わりに立ち会った。 「……うん……、」 涙の雨に、傘をさすことは出来ないけど 一緒に濡れてやることは出来るから。 「僕も、……エノと、生きたい。」 きっと遠くない未来で 君と寄り添って、ささやかな幸せを積み上げて 隣で笑い合って生きていけたら、 他に望むものなんて無い。 友達が出来て、大切な君が前を向いてくれたから 少しくらいは、ロッタリー制度も悪く無いな、なんて、今だから思えてしまった。 「うん、待っ───……」 自分はまだ高校生。経済的にも社会的にも自立しているとは言い難い立場。 だから、待っている、と答えかけて、 ▽ (-250) 2022/03/13(Sun) 19:57:28 |
【秘】 演者 アクタ → 美術 エノ──これは所謂、口付け。 頬にだけど。 「ッ、あ、あ…………!?」 男は、経験に乏しかった。 だから、こんな場面でも、酷く動揺した。 君を抱きしめている腕から力が抜けて、 取り落とすまい、と、再び力の入ったその腕は なんだか頼りなく震えているし、手汗はびっしょり。 「ま、まっ、……ま、待って、る。」 ひとつ、深呼吸。 もうひとつ、深く吸って吐いて。 君の唇に、そっと口付けを落とす。 (-251) 2022/03/13(Sun) 19:58:30 |
エノは、きっとレモンティーの味を唇越しに君に伝えた。 (a79) 2022/03/13(Sun) 20:03:13 |
エノは、愛とか恋とか、そう言うのはまだ分からない。君を好きな気持ちが、そうであるかは分からない。 (a80) 2022/03/13(Sun) 20:03:42 |
エノは、でも、君にレモンティーの味を移した時、確かに嬉しい気持ちになった。 (a83) 2022/03/13(Sun) 20:04:11 |
エノは、いつか君のことが理解できればいいなと思った。 (a84) 2022/03/13(Sun) 20:04:52 |
エノは、君が抱く気持ちを理解して、同じものを抱ければいいなと思った。 (a85) 2022/03/13(Sun) 20:05:13 |
エノは、そう遠くない未来に────きっと理解ができる。 (a86) 2022/03/13(Sun) 20:05:46 |
エノは、でも、今はまだ分からないから。唇に指を添えて。少し止まって (a87) 2022/03/13(Sun) 20:09:35 |
エノは、それから、ぺろり、と舌で唇を舐めて、「ありがとう」と微笑んで (a88) 2022/03/13(Sun) 20:10:48 |
エノは、そうして、二人、帰っていくのだろう。 (a89) 2022/03/13(Sun) 20:11:06 |
エノは、「帰ったら一緒にあんなことがしたいな」なんて───穏健なる提案をしながら。 (a90) 2022/03/13(Sun) 20:12:24 |
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