【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → 花で語るは ソニー/* 幹部なもので客は多いかも知れませんが静かな時間もあると思います。一番泣きそうで離れなさそうな部下も、おおよそ其方が始末して下さっているので大丈夫でしょう。 病院でソニーという名を名乗った男は通すように話は通して降りますので、気にせず入ってきて下さい。 あまりノッテファミリーと顔を合わせないように心がけて下さるとヴェネリオも浮かばれます。 連絡ありがとうございました、事故で死にました。 (-70) 2022/08/20(Sat) 22:40:23 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → Niente ラウラ互いに目を開けたのはどちらが先だったか。 香る珈琲に意識を奪われ向かえば一つの無人のバールがそこにあった。 景色はいいかもしれないし、真っ白かもしれない はて、死んだはずだが。 悲観的になるわけでもなく、かといって歓ぶわけでもなく。 奇妙な気分になりながら呼ばれるように席に着く。 次第に望む人も現れそうだ。 「上司だから許されるだろう」 死んでから、漸く。 ほんとうに久し振りに肩の力を抜いて、豆の香りに目を閉じた。 (-73) 2022/08/20(Sat) 22:46:09 |
【秘】 花で語るは ソニー → デッド・ベッド ヴェネリオ/* 了解しました。 すみません、感情がメチャクチャの男を全力で寄りかからせていて…… 改めて面会ロールの方は秘話にてお送りさせていただきます。 他の方の白茶・秘話での面会とは齟齬のないように致しますので、 ゆっくりにはなるかと思いますがお付き合いいただければ幸いです。 ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。 (-81) 2022/08/20(Sat) 23:14:16 |
【秘】 Niente ラウラ → デッド・ベッド ヴェネリオ目を覚ますのはきっと、貴方が先だ。 目を開けて直ぐ、珈琲の香りに自然と辺りを見回して。 知らない場所に僅かに警戒しながらも、死んだはずだと小首を傾げる。 死に先があるなんて、どうにもおかしな話だ。 もしかすると、最期のお願いが叶ったのだろうか。 そんな訳もない。都合が、よすぎる……とは思うが。 考えたところで仕方がないので、バールに向かいその中を覗いた。 …何やら見知った姿があるような。 「ヴェネリオ、様?」 思わず、名前を呼んでしまう。 間違っていたらどうしようだとか、そうしたことは特に思わない。 ただここにいるなら、どうして。と疑問を抱くくらいで。 (-92) 2022/08/20(Sat) 23:45:31 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → Niente ラウラ「やあ、可愛いお嬢さん。 誰かが夢を見せでもしてるかな。 情報屋か……? 」誰かにとっての都合のいい夢だ、どうだっていい。 もしかしたらほしい言葉が帰ってくるのかもしれないし、 知らない人間をなぞるだけの時間かもしれないのだ。 「俺はお前たちの最期こそ見てないが、 きっといなくなると思って思い残すことも少なくて死んだよ。 つもり積もったものが俺にバカな真似をさせた」 「もし時間があるのなら 待ち合わせの時間 まで、付き合ってくれないか。敬語も態度も、なんなら質問も無礼講でかまわない」 そうして目の前に現れるのは、一杯の紅茶。 男の向かいに立ついい香りは、この男の部下のお気に入りだった。 (-97) 2022/08/21(Sun) 0:50:01 |
【秘】 Niente ラウラ → デッド・ベッド ヴェネリオ慣れない呼び方にぱちぱちと、目を瞬かせる。 本当に己の知るあのお方だろうかと考えて……どちらでも構わないかと、足を動かす。 「………ラウラで、よろしければ」 貴方の最期を女は知らない。貴方がこちらの最期を知らないように。 一体何をしたのだろうかと考えもするが、今はこれも置いておこう。 紅茶が冷めてしまう前に、席へとついて。 ついて……流石に無礼講をすぐに始められる性格でもない。 何を問おうか。まずはどうしよう。敬語や態度を崩すのは難しい。 折角の機会なのに、思案してばかりで進まない。 であればと、悩むように口を開いて最初の質問は。 「………ヴェネリオ様は、…キャンディが お好きなのですか?」 とあまりにも緩すぎるものから。 これならば何のお菓子が好きか、と問いかける方がマシかもしれない。 (-103) 2022/08/21(Sun) 1:15:41 |
【秘】 鳥葬 コルヴォ → デッド・ベッド ヴェネリオ「Dannazione. どうせ死ぬなら黙って死ねってんだ、クソ上司」 あなたが最後に残した言葉に、 掃除屋がそう口汚く零したのはいつの事だったか。 何れにしても、それをあなたが聞く必要は無い。 果たされない約束も、遺して来た者のこれからも、その後も 何もかも、もう関わりの無い事でしかない。 全ての責務から解放され、そんな生者の雑音に煩わされる事無く ただ安らかに眠ることこそ死者の権利というものだろう。 それに対して恨み言を吐く事もまた、生者の権利というだけで。 「待つわけないだろ、先に行った奴の事なんか」 「俺はあんた達の望む所には行かないよ」 (-109) 2022/08/21(Sun) 1:30:17 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → Niente ラウラ「ああ、あのキャンディは通りの――」 若い娘がやってる店の手製の飴で、祭りの屋台でも盛況していた一品。普段はフルーツのフレーバーを中心としているが、しばらくは変わり種も多かったのだと語る。 「大分昔…週に3,4つネズミを処理しなくちゃならん酷い抗争れがあったんだ。"それ"をはじめてから甘いもんしか旨く感じなくてなー。舌も馬鹿になってた。疲れてたんかねー?歳だなあ」 しみじみとしているが、何かあったのかかなり心を病んでいたらしい。 話口調からして、情や倫理よりも人を殺すことに躊躇がなくなっている気分の方で、だ。 「それもやっと解放された。 お前さんのことは、まあ随分意思が希薄で。 俺とリックが"覗いて"どれだけハラハラさせられたか。 ……頑張ってくれたよな、勿論怒りなんかしない。 上に見つかると危なかっただけだ、それに―― 誰より俺はアルバの幹部と接触してたからな。 簡単に咎めらんよ」とてもよくない上司がここで知れてしまう。何か考えてのことではあったのだろうが……。 (-124) 2022/08/21(Sun) 8:58:27 |
【秘】 Niente ラウラ → デッド・ベッド ヴェネリオ語られたものに幾度か頷いて、そうしたものがあったのかと記憶を辿る。 ただ、思い出せやしないけど。祭りを"たのし"んでもいないので。 「……そう、だったのですね。…お疲れ様 です」 甘いものしか旨く感じないというのは本当にかなり疲れていたのか。 その心を知らないから、そう考えるだけで終わってしまう。 今こうして解放されたなら、それでいいだろうとも思うし。 続く言葉に瞬きを繰り返し、僅かに首が傾いた。 何かを考えての事だとしても、裏でそんなことがあったなんて。 「……ですが、もしかすると 気付かれていたのかも、しれません。 ラウラの死の理由、……裏切り者 と判断されて、ですから」 リカルド様には悪いことをしてしまった。 ラウラの約束、叶わないと知って尚受けてしまったから。 それに、あの人を連れ戻すと声をくれたのに。 結局会えないまま、伝えたいことも伝えれず。 せめてひとつは、メモに残せてよかった。 見つかるかどうかは知らないけれど。死者には知る由もない。 「…役に、立てるだけで良かったんです。 それで、……いつかに死ねたなら、それでいい と」 マウロ様は 怒る だろうか。悲しむ だろうか。…あの人は本当はとても優しいのに、とても不器用だから。 (-125) 2022/08/21(Sun) 9:43:41 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → Niente ラウラ「裏切り者は"ノッテには"いないっていったのに、あいつは」 誰かが心当たりがあるかのように語るが特段諌めるつもりがなさそう。密会を裏切りととらえられればここの連中の半分も殺られるし、部下ですら連れさらわれてしまう。 「最後までわからんやつばっかだったなあ。 まあ他人で出来た家族ぐらいでここの空気はいいんだろうよ」 「お前さんは役に立って死にたかったのか? ただの死にたがりよりは死ぬ理由もなかったように見えたがね。 マウロに就いてたのはよかったなぁ、人を見る目がある。 リカルドやツィオより素直で、よそ見をしない」 昔の俺みたいだとからから笑ってまた一杯の珈琲すする。 その味は感じられてるのか不明だ。 「やり残したことも妙にありそうだな。 やっぱりもう一度一目会いたかったか」 (-130) 2022/08/21(Sun) 10:18:33 |
【秘】 Niente ラウラ → デッド・ベッド ヴェネリオ「お仕事、ですから。…仕方の無いことです」 そう割り切っていなければ、後悔というものに苛まれそうだ。 猫に刃を向けたとて、きっといつかに死んでいた。 「……そう、ですね。分からないから、見ていたかった」 貴方の言うように女の意思は希薄で。 その理由としてはかつて自らでパズルのピースを捨てたから。 "感情"という名のパズルのピース。欠けたままでは、完成しない。 結局、取り戻せずにいたものの方が多い。…それを知ることは無いが。 でもそれでも、心のどこかではもっと知れたらと願って。探して。 "たのしさ"だって、掴めると思っていた。…ずっと。 「…はい。一番は、……マウロ様のために。 ラウラは知っていますから、あの方が不器用でお優しいこと。 いつだってラウラを道具のようにと振る舞いながら、その実 気にかけてくださっていたこと」 無いものが多いなりに、見ていたんですよ? 伝わらないだろうけれど、伝えなかったけれど。 「……………会いたかった、です」 零した言葉は小さくて、弱々しくて。 素直に零したのは、死ぬ直前に彼の名を呼んでしまったからかもしれない。 (-134) 2022/08/21(Sun) 10:38:17 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → 名もなき医者 リカルド―――……ック…… ―――…い、リック……!! 「起きろ馬鹿野郎、あんなけ言って死んでんじゃねえか」 「だらしないやつめ。 どんな色っぽいことに逢わされたんだか」 確かに聞こえる聞きなれた声。 あなたが目が覚めると隣には足を組んでる上司がいる。 心地よい静かな揺れで、しっかりしたソファー。 高級車のような空間に二人はいた。冷蔵庫とドルチェにお酒まで備え付けられており、とんだ霊柩車もあったものである。 「目覚めの気分は如何だ? 俺はもう最高だぞ、反吐が出るほどにな」 (-140) 2022/08/21(Sun) 13:31:54 |
【墓】 デッド・ベッド ヴェネリオ>>1 【ヴェネリオの部屋】 戸を開けて見えたのは、がらんとした冷めた家具の色。 何度か人の立ち入りが伺えるその部屋では、ポットとドリッパー、甘い香りが客を出迎える。 クローゼットの中身も二枚のコートに並んだスーツ。几帳面にしわは伸ばされていて埃取りの予備のストックが連なって床に並んでいた。 棚の上にはまだ飾られて新しいカランコエの鉢植えが。主がいないその部屋で、もうすでに乾いた土が転がっている。 他にも電源がつくことなく中身も削除されたパソコン、あからさまに棚から抜かれていった書籍の穴。 死者は何も語らず、語りもしなかった。 『その身なりのままだとファミリーで浮きすぎる。 狙われてる身であると同時に人が減ってるんだ、 郷に入っては郷に従えよ兄弟』 結局そのスーツをこしらえたのはその故人だった。 一張羅は高級ブランドの箱に入って机の上に鎮座している。 なぜかその箱の中には港の五番倉庫の地下にある秘密裏に設置された医療施設の詳細が書いてある文書があるのだが、一体なんの意図かは読み取れないかもしれない。ただ部下からもらってしまった、使う機会のなくなった遺留品を入れておいたのだ。 『孤児院の引き継ぎはフィオレロとマウロにでもやりたかったんだ。 あいつらなら向いてるだろ? 子供に情を持たないで、最後まで駒として扱って管理できる人間。 しかもまめに、丁寧にだ。惜しいやつらを持ってかれた』 『リックはだめだ、きっと早くに俺が地獄につれてく。 余所に捨てようとしたら離れなかったのは誤算だった、お前みたいにな』 テンゴの背丈に合わせられたスーツは気味が悪いほどにフィットし、靴まで添えられているかとおもえば店の名刺まである。 こうして小言が聞こえてきそうな余計なお節介を遺して、この男は友のもとから去っていったのだ。 (+9) 2022/08/21(Sun) 13:53:12 |
【秘】 名もなき医者 リカルド → デッド・ベッド ヴェネリオ何か、名前を呼ばれている気がする。 とても聞き慣れている、心地よくも有無を言わさぬ強さで――― 「…………はっ!?」 意識が覚醒し、周りを見渡せば。 何故か己は高級車の中にいる。 寝かされていたソファーはしっかりとしながらもふかふかで、とても寝心地が良かったように思う、のだが。 「…………、ヴェネリオ、さん?」 何故、貴方が今ここに。という言葉が出て来ない。 いやまてよ。 確か俺は、ソニーと話をつけるためにクラブに行って、 何でも受け止めるといえば薬を強制的に飲まされて、 散々ヤられた挙げ句、俺が売った銃で殺され…………殺…… 「いやっ、ちょっと待ってください。 百歩譲ってここが死後の世界とやらで、高級車に乗せてもらってるのは無理やり理解するとしても……、どうして貴方までここに居るんですか。……幻?」 そんなまさか、なんて思いながら、おそるおそると触れられるのかと手を伸ばしてみた。 (-144) 2022/08/21(Sun) 16:06:48 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → 名もなき医者 リカルドもし事情を知れば酷い死に様だなと笑っていただろうか。 触れられたかもしれないその体に、生きていた頃の熱はもうない。 「幻かもな、だけど俺は死んだ。 大通りで銃撃戦があって打ち所が悪かったんだ」 「そういうことになってる」 視線を向けた男はいつのまにか煙草を咥えている。 そして、一本あなたに差し出した。 (-145) 2022/08/21(Sun) 17:05:04 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → 花で語るは ソニー/* 特に問題はありません! ヴェネリオ自身もあの日追うべきだったか今でも悩んでおりました、素晴らしいやりとりをくださりありがとうございます。 RPも楽しく遊ばせていただいております。おそらくPC等による面会予定も問題ないので、そちらの都合に合わせていただいてゆっくり無理なく過ごしてください。 (-146) 2022/08/21(Sun) 17:15:13 |
【秘】 名もなき医者 リカルド → デッド・ベッド ヴェネリオ「そういう事、って……」 「ヴェネリオさんが死んでどうするんですか……。 ボスの死以降、貴方がいなければノッテが纏まらない状態だったのはわかっていたでしょう。 俺は貴方に、次のボスになってほしかったんですよ」 だから俺は、命を懸けたのに。 その隣に居ることができなくても、お役に立てればそれでよかった、のに。 あの男に何かが響いたかは今となってはわからないが、それでも憂いを晴らす努力はしたのだ。 「……、いただきます」 死後の世界とはやはり幻みたいなものなのだろうか。 煙草まで吸えるとはなんとも高待遇なものだな、と。 小さく苦笑して、その煙草を受け取った。 「火、おつけしましょうか」 いつのまにか、手の中には大事なジッポが握られている。 (-159) 2022/08/21(Sun) 18:57:42 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → ”復讐の刃” テンゴ20年前―― 昔、顔を会わせたのはそれぞれがソルジャーにあがり立てだった頃。 とある組織に二人で侵入をすることになった、取引現場の証拠さえ掴めばあとは幹部とボスが押さえてくれる。 体よく言っているが、顔が知られていないうちの捨てゴマのような役割だったのかもしれない。 それでも無傷で、やりきったのは 二人の相性が 最高 だったから。「なんだお前は…… 東の国のかぶれものか? そんなのでよくノッテを歩けるな」 勿論第一印象は、余所者だ。 (-161) 2022/08/21(Sun) 19:47:27 |
【秘】 ”復讐の刃” テンゴ → デッド・ベッド ヴェネリオ異国の衣装に、装備… 肌の色だって違う。 当然余所者として見られるのは分かり切っていて。 けれど当時は、抜き身の刃のように危うかった。 「刀も着物も知らんのか。頭が切れ者だと思えば、下はとんだ阿呆の集まりと見える。」 故に、第一印象は、物を知らない奴だと思った。 それ以上に他人を信じられなくなっていたのかもしれない。 「言っておくが、俺の邪魔をしたら斬るぞ。」 復讐を遂げる為だけに入った、そんな変わり者。 それがテンゴという男だった。 (-165) 2022/08/21(Sun) 19:57:27 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → 名もなき医者 リカルド「……俺がボスだ? 寝言は寝てから言え。 俺はツィオかお前にやらせるつもりだったぞ」 「火は貰うか、これもどうせ夢だ」 いつ醒めるかわからない、おかしな夢。 二度と起きるはずのない、幻の世界。 「……本気でやり残したことなくなっちまった。 ビックリするほど、未練がねえ。これって冷たいのか? おいていけて精々してるんだぜ、もっと見ていたくはあったけどな」 (-166) 2022/08/21(Sun) 20:19:24 |
ヴェネリオは、次期ボスの椅子だ? お前は見る目はないなと笑う。 (c20) 2022/08/21(Sun) 20:27:50 |
ヴェネリオは、パンドラの箱を最期まで手放せない。 (c21) 2022/08/21(Sun) 20:29:53 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → Niente ラウラ「わからないから見ていたかった、か」 一瞬後悔なんてなにもないと思っていた男の心が揺れた。 ああ、本当にそうだ。 家族達のことは、いくら見てても飽きなかった。 情緒の勉強には些か適した場所ではないが、 酷く、色々なものを学ぶのには"楽しい"場所だった。 俺だってこのファミリーに来た皆に "それ"を教えられると思っていた。 「まったくその通りだ。 話もしたかった、お前に、お前達に沢山教えてやりたかった」 「会いたかったな。もういまのうちに、 やりたかったことや知りたかったことでもぶちまけとけ、 届くかもしれないし、後悔も未練も ――悪いもんじゃねえって知れるかも知れないぞ」 手を伸ばして、ぽんとその頭を撫でてやる。 あまりやってこなかった仕草だが、今だけは周りが子供のよ宇に思えている。 (-183) 2022/08/21(Sun) 22:56:03 |
【秘】 名もなき医者 リカルド → デッド・ベッド ヴェネリオジッポの火をつけ、貴方の煙草に火をともしてから、自分が咥えた煙草にも火をつける。 二本の紫煙がゆらりと揺らめいて、まるで現実のようだな、と不思議そうに眺めた。 「俺もツィオもボスっていうガラじゃないでしょうに。 俺は貴方の右腕でいられれば、それでよかった」 ツィオにも、マウロにももう触れることも、声をかけることも出来ないのだと悟ったばかりだというのに。 不思議な夢もあるものだ。 それでも、これが最期の夢ならば、貴方と共に在れるのは嬉しいことだと思う。 「……俺は悔いだらけですよ。 ソニーにももう少し言い方があったのではないかとか…… マウロには辛い生を歩んでもらうことになってしまったなとか…… ツィオともう少し話がしたかったとか、色々考えますからね」 (-189) 2022/08/21(Sun) 23:42:45 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → ”復讐の刃” テンゴ「邪魔をするな?……それはこっちの台詞だ」 「お前みたいな奴が、 短絡的に頭に血が上って手が付けられなくなるから 余計な人間が死ぬんだ 」ふい、と顔をそらして。刀がなんだ、着物がなんだ。 合わないと思った、そんな余所者がこのファミリーには。 「……しらないわけじゃない。 そんなもの、建物の中で振り回したらその内に撃たれる。 薄い布も簡単に貫通する、これでも着てろ」 目立ちすぎるんだよ、と、投げつけたのは自分のスーツのジャケット。 当時はつけていたベスト姿は、白いシャツがよく目立った。 「戦うことになったら、俺が前に出る。 その後、後ろから切りつけろ。 合図がなくてもそれぐらい出来るだろ」 (-192) 2022/08/21(Sun) 23:55:32 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → 名もなき医者 リカルド「やるときになったらやれるんだよお前達は……あ?」 「お前、ソニーと何があった。 俺のお気に入りだ、傷つけてるんじゃねえぞ。 大体暗いんだよお前は。 それぐらい、生きて居るあいつらが頑張って解決するだろ。 死んでからしてやれることはない。 生き返る機会が来るまで無駄な事考えてないで切り替えろ」 "ソニー"が暴挙に出た大半の理由を背負っている自覚のある男は、どうも 身内贔屓 だった。"彼"にはあまりみせてこなかったのが、少し名残惜しい。 無駄なことと切り捨てるのも、それ以上悲しんで欲しくないからだ。自分を追い詰めて欲しくない。だが、あえてきになることと言えば―― 「そーだ。お前等……俺の何処が好きなんだ?」 そんな戯言を煙と一緒にはき出した。 (-198) 2022/08/22(Mon) 0:35:18 |
【秘】 名もなき医者 リカルド → デッド・ベッド ヴェネリオ「ソニーはただの取引相手でした。 油断ならないから、俺が必ず直接対応するようにしてた男で」 「それだけ、だったんですけどね」 2人並んで、タバコを吹かしながら。 ぽつりぽつりと会話を重ねる。 あの日あった事は、死に際で報告もできてなかったから、今、初めて話すことだ。 「あれにしてみたら、俺は一番排除したい人間だったでしょう。 何せ大好きな貴方の右腕だったんですから」 「俺は別に、アレに好かれようと思ってたわけじゃないですし。 ただ……私怨も想いも全部受け止めるから、八つ当たりは俺までにしろと言ったんです」 「貴方や、マウロやツィオに、これ以上被害がでなければ死んでも構わないと思ってましたからね」 まぁ、結果このようになってしまったんですけどね、と苦笑する。 マウロならちゃんとわかっているだろうけれど。 マウロ殺しの汚名を押し付けられて、死んだのだ。 「他のものはどうかしりませんが。 俺は、貴方にはどこか人を引き付ける魅力があると思いますよ。 言うことは無茶苦茶でズボラでも、大事な時は守ってくださる。 ずいぶん可愛がられたと思っていますが……、違いましたか?」 (-201) 2022/08/22(Mon) 0:52:09 |
【秘】 ”復讐の刃” テンゴ → デッド・ベッド ヴェネリオ「貴様……誰にものを言っている。俺が短絡的だと?馬鹿にするのも程々にしておけ。」 刀をただの刃物と思っちゃあいないか、と。 カラス面は僅かに怒気を滲ませた。 投げられたジャケットは受け取るのだが、投げて捨て。 「見くびるなよ?立ち回りは慣れている。そちらこそ、下手に撃って漏らすんじゃあないぞ。」 任務は任務だ。嫌でも合わせるつもりではある。 だが、何故かこの時は同期である貴方に指図をされることが我慢ならなかった。意地か、プライドだったかもしれない。 (-202) 2022/08/22(Mon) 1:04:43 |
【秘】 Niente ラウラ → デッド・ベッド ヴェネリオ拾われたあの日、今よりももっと感情は欠落して。 頷くだけで、考えることもせずにいた。それでも少しずつ、少しずつ拾い集めて。 ──それが、今に繋がるのだから きっと、いつかは。 「……ラウラは、皆様の笑顔が 好きでした。 これがきっと"好き"というものだと、思えたのです」 見ている中で、聞いている中で。 こんな世界だとしても、笑っている貴方達が。 女の心を揺らし、作る……そんな、優しい場所だった。 頭を撫でられるその心地にゆったりと目を細めて。 「そう、ですね。…いまのうちに、全てを」 そのまま、細めた目を閉じる。そうして浮かぶその姿に語りかけるように。ぽつ、ぽつ と。 「マウロ様に、お会いしたかった。…伝えたかった。 お慕いしておりますと、気づいたあの日からずっと……ずっと」 「…不器用な貴方が、心配なこと。優しい貴方が、好きなこと。 あの手紙に残したかったもの全てを、知りたかった」 「ラウラを お傍に置いてくださったことへの感謝も。 ……全部、全部…………叶えたかった」 声に震えはないだろう。それはいつも通りに。 ただ、…ただ 何も思わないはずが、ない。 閉じた目を開けて、遠くを見つめた先に映るのは──もう1人の、不器用なあの人の姿。 (-205) 2022/08/22(Mon) 1:54:58 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → ”復讐の刃” テンゴ「やっぱりお前は 拳銃を知らないんだな 」「動いてるやつには当たらないのが拳銃だ。 確実に止まってるやつを狙う。」 二人きりの空間。 照準を合わせる振りをして、貴方のこめかみへと銃口を向ける。 「お前の実力は信じていないが 敵がお前の刃に引っかかる悪運は信用できる」 引き金に指を起きつつ、子供に言い聞かせるように皮肉った。 「俺の悪い勘は当たるんだ。 これも覚えとけ」 (-251) 2022/08/22(Mon) 13:28:16 |
【秘】 名もなき医者 リカルド → デッド・ベッド ヴェネリオ/* RP中に相談にあがりました、もったいないおばけです。 この度匿名魔女お嬢様より、蘇生の連絡が入りまして……(まじかよ) 蘇生が成功しましたら、臨死体験だったってことにして送り出していただけますでしょうか……! どうぞご一考のほどよろしくお願いいたします。 (-254) 2022/08/22(Mon) 14:08:03 |
【秘】 ”復讐の刃” テンゴ → デッド・ベッド ヴェネリオ「貴様こそ、知らんのだろう?刀の真価を。」 「間合いに入れば銃の引き金を引くより早く、この刃は獲物を斬り捨てる。何、無様に散る真似だけはせんよ。」 「俺には為すべきことがあるからな。」 こめかみに当てられても、怯む様子もなく。 此方も腰に隠していた刀を持ち上げ、鞘から引き抜いて貴方の首筋へ刃を向ける。 当然、動かせば切れるが、引く様子はない。 そして勘、と口にした貴方を鼻で笑う。 そんなものがあって溜まるか、と言わんばかり。 「ふん、勘か。」 「俺も貴様の腕なぞ端から当てにしてはいないが、その勘とやら、当たるか楽しみにしているとしよう。」 兎に角、剣呑だった。 だけれど、お互いに実力や素性は知らないまでも、雑兵だとは思えない何かを感じたのかもしれない。 テンゴは目の前の男に、興味を抱いていた。 (-258) 2022/08/22(Mon) 14:27:42 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → 名もなき医者 リカルド「ソニーが油断がない……?そうなのか」 そうか……? 思い出せばマフィアらしい彼の姿を見ていなかったと思う。否、あまり見ないようにしていたの間違いだが。 十分ファミリーに所属できている分の覚悟や実力はあったのだろう。だから、気付くことに酷く遅れてしまった。 「排除だ云々…そんなわけ。 右腕だからって恋敵でもあるまいし、 現にあいつと俺はそんな関係じゃ――……ないからな」 まさかその男に殺されようとしていたとは口が滑っても言えない。惚れた弱みとは言わずとも、完全に人生の楔のように思っていたことに他ならないのだから。 気になっていたことを聞いたが、大体想像はついていた分の返答が返ってきて苦笑いをする、魅力というよりそれはファミリーへの忠誠の果てであると思うがね。 個人をしっかりみていたかと問われれば、素直に頷けないからだ。 「成程なあ、可愛がってはいたけど俺達は悪人だぞ? そんな高められるような事はしてない。 俺の役に立つように、俺の言うことを何でも聞くように。 誰にも渡すつもりもない"大事な部下"を作ってただけだ。 俺の家族を大事に扱うのは当然だろ、物持ちはいいんだよ」 「……ああ、でもそうだな。 あんまり褒めてやっはなかったかもな。おら、ちょっと来い」 ネクタイを掴んでそのまま引き寄せてやる。 体を倒してやれば無理矢理己の膝に頭を押しつけてやった。 「ちょおっと目を瞑ってろ、お前も撫でてやる」 (-281) 2022/08/22(Mon) 18:55:15 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → 名もなき医者 リカルド/* かしこまりました、 それはよかったですね! 頑張って生き返って業を背負って下さいね、愛しの部下様。 その際こちらの記憶は無い雰囲気で行かせようと思いますが、もったいないおばけ様の自由で構いません。 大変お疲れ様です、引き続きお付合い下さると幸いです。 (-283) 2022/08/22(Mon) 19:00:12 |
【秘】 名もなき医者 リカルド → デッド・ベッド ヴェネリオ「少なくともマフィアとしてのソニーは、油断も隙もない男でしたよ」 結果マウロ殺しの銃の件など、まんまとしてやられたわけでと肩をすくめる。 「恋敵と似たようなものだったのではないでしょうか。 情も深ければ恋愛とさして変わりないものになりますからね」 幼馴染3人の執着も、貴方とソニーの関係も、きっと同じことだ。 自分とソニーの関係は取引をしていた相手でしかないはずだが、それでも気のおけない好敵手のようになっていたのは確かであり……、随分と重く複雑に絡み合っていたのだなと、今更ながらに自覚した。 ――少なくとも。 俺の忠誠心は、ファミリーそのものやボスへのものよりも、貴方個人へのそれの方が確実に大きく、重いものだ。 ひどく振る舞っているように見えて、手の届く相手への情は厚い。 突き放しているように見えて、ちゃんと手綱を握りしっかりと見ていてくれる。 アメとムチの使い方が上手いとくれば、恩義も更に強く強固なものになったとしても何もおかしくはないだろう。 「貴方がそうだから、俺も安心して貴方の物でいられたということですよ」 「え。……ちょ、わっ、な、撫で?」 力の抜けていた身体は、ネクタイを引っ張られるとそのまま貴方の方へと身体が傾く。 温かさなどわからないのに、頭を膝に預ければ何故か、懐かしい上司の香りがした。 (-294) 2022/08/22(Mon) 20:24:35 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → Niente ラウラ「神なんてものが、俺たちについてるとは思わんが。 聞き届けてくださってるよ」 人なんて信じない。 神なんて信じない。 奇跡なんて信じない。 未来なんて信じてない。 それでも守ろうとした家族の嘆きを、聞きおさめるのが上司の最期のつとめだろう。これも都合のいい妄想かもしれないが。 「それに、あいつは」 「気付くだろうよ、遅くとも全部が終わったあとにでも。 俺に似てるんだ、後悔して嘆いて喚いてた頃に。 そしてお前を愛してたって気付いて、 ――届かないものに焦がれて、どうしようもないものに囚われる」 「それは悪いことじゃない、何故なら 俺たちは悪者 だからだ。お前たちはノッテファミリーの一員だ。 疵になることを恐れず、そして忘れるな」 「ああ、そうだ」 男は手に持っていたカップを落として、嗤った。 (-301) 2022/08/22(Mon) 21:08:34 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → Niente ラウラ割れた破片は二人の足元に飛び散り、 なんともないようにひとつ落とした張本人の手に取られた。 その破片で 親指 を切り裂けば、そこには血 が浮かぶ。現実味を帯びない冷めた熱はゆっくりと溢れだし貴方に向けられた。 「Laura・Liberatore. Venerio・Firmaniが立ち会おう。」 「永劫、我らが家族であれるように」 メイドマン以上でしか行われていない掟を、今ここに。 お前の愛しの存在よりも一歩先に。 待とうではないか、彼らがいつか訪れることを同じ立場で。 (-302) 2022/08/22(Mon) 21:16:11 |
【秘】 Niente ラウラ → デッド・ベッド ヴェネリオ神というものは、信じない。 何故ならば、いつだって約束や願いが叶わないから。 神がいるのなら、きっともう少し なんて。 「……………"愛"、ですか」 それは、どちらに対してだろうか。 なんて、女には上手く汲み取れないから 首を傾げる。 会いたい気持ちはどちらも同じで。 "好き"の形も………同じ、だろうか。…………………。 けれど軟派な彼と貴方が似ている、というのは想像し難い。 それではつまり、己の上司が? 考えるように、視線が下に向かう。 "愛してた"なんて、そんなことを考えるようには思えないのだ。 多分、きっと。……焦がれて囚われるのも、思い付かない。 ただ、部下を思う気持ちは確かで……。 確かで…………と、思案の先で何かが割れる音が響いた。 ▽ (-352) 2022/08/22(Mon) 23:58:02 |
【秘】 Niente ラウラ → デッド・ベッド ヴェネリオ視線は既に下を向いていた。 だから破片が散らばるこの状況は瞬時に理解して。 目をぱちぱちと瞬かせていれば── 赤 が見えた。「………………………え、」 零した声は、きっと間抜けだった。 流石に驚きは浮かびでるものだ。それは二つの意味でも。 「………あ、……っ、……………………はい、」 ずっと、ずっと己が己を駒として見てきたから。 家族になんて、なれるはずも無いと。 これ以上は望むまいと、諦めていた。 だから今この場で落とされる誓いの色に。動揺せずにいられるはずもなく。 それでも、気づいたその瞬間に動き出していたはずだ。 同じように破片を拾い、親指を切り裂いて 赤 を浮かばせ。──向けられたその色に、己のものを交わらせた。 ここで何か言葉を返せたのなら格好もついたのかもしれないが。 慣れないそれに、返事をすることが精一杯だった。 何とも不思議な話だ。上司よりも1歩先に。 そして、残りの2人と同じ立場に並び立つ。 あの3人がどのような表情を見せるのだろうと、少しだけ笑みが零れた。 (-354) 2022/08/22(Mon) 23:59:18 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → Niente ラウラ何度かすり合わせるように交わった指。 即答で返ってきた答えは 確かに生きていた しばらく合わせていれば、ゆっくりと離して。 手持ち無沙汰になってしまったその指を舐めながら、もう片方の手で再び頭を粗雑に髪をわしゃわしゃと乱してやる。 まったく、この笑顔をどうしてかわいがれないだろうか。 「――地獄の入り口へようこそ。 これでお前も死ぬまで俺達の家族だ。 裏切ろうものなら命は無いと思え。 俺達はな――嘘はつかないんだ」 ラウラは此処にむいている、物を感情を知らないのがなんだ。 ついてくる決意さえあれば、何処までも道連れにしてやろう。 実際の本物のボスの血ではないが、その席に近い故役職としては十分だろう。 (-362) 2022/08/23(Tue) 0:51:11 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → Niente ラウラ「こんなに素直で優秀なんだから、 さっさとマウロごと俺の部下にしておけば良かったな」 ツィオは嫌いだから放置だ。あいつは一人でなんでもする。 「部下になったらお前達を守るのは俺の役目になる。 無茶さえしなかったら自由にしていい。 普段はリックが出した指示をお前達に流して、 無傷で終わったら俺が褒めるんだ。 金の稼ぎ方まだ詳しくはしらないな? もう少しまともな仕事を斡旋してやる。 それで出来たお小遣いでお前は好きな物を買う練習をするんだ」 つらつらと告げるのはもう無い未来。 そうであっただろう不明確な夢は信じるも信じないも自由だ。 「時間が余れば、こうして茶や菓子を嗜んで――。 無いなら趣味でもストレス発散の方法でも、探すのを手伝ってやる。俺は時間があるときは暇だからな」 趣味は<kana 監視>覗き<kana>。ストレス発散に菓子を作ることを勧める程巫山戯てはいないが、きっと目の前のあなたなら何でも吸収するのだろうと思って、誰かの叱る声を脳裏に思い浮かべていた。 (-367) 2022/08/23(Tue) 1:15:42 |
ヴェネリオは、" "を重ね、誓いを交わした。 (c27) 2022/08/23(Tue) 1:17:40 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → ”復讐の刃” テンゴ「奇遇だな」 「俺は 為すべきこと なんて、生きることしかない」その熱を納めろと、アッシュグレーの瞳は冷ややかに見つめて踵を返した。何度もその瞳を見ることになるだろう、何度もその刃を傍に感じるのだろう。 そんな"嫌な予感"がしていて、口には出さなかった。 「早死にするなよ、俺たちボスのためにだ」 その後順当にメイドマンに上がっていったヴェネリオとは違ってコンシリエーレになったときはどうしようかと思った。 ファミリーではなくお前が幹部と相容れないのだろうと文句をいいながら酒を交わしたのはもう10年以上も前の話だ。 「テンゴォ、 お前のパートナーどんなやつだったんだ 」次第に丸くなって見えてきたその性格を、逆立てるのも煽るのも大体が俺のせいになったのも居心地は悪くないものだった。 (-382) 2022/08/23(Tue) 7:52:47 |
【秘】 ”復讐の刃” テンゴ → デッド・ベッド ヴェネリオ「……無論だ。俺たちはあの方の為にあるのだから。」 東洋人特有の漆黒の瞳が、アッシュグレーの瞳を追い、そして刃は下げられ、鞘に収まった。 その意見だけは、一致していた。 ボスの為に自分たちは居て、その為に身を粉にするのだと。 ただ。 早死にしないなんて、そう簡単に言えなかった。 自分は余所者だ。貴方と違っていつ殺されてもおかしくはない。ボスの目が黒いうちは、大丈夫だろうが。 その考えは変わらない。昔も、今も。 コンシリエーレになったのは何かの間違いかと思った。 余所者の自分がどうして、あの幹部連中に話を通せようか。 頭を抱えて、友人の文句を聞きながら酒を交わしたのは懐かしい思い出だ。 「なんだ、藪から棒に。そりゃあ、いい女だったさ。濡羽色の髪が綺麗で、花が良く似合う凛とした女だったよ。」 「そういうお前さんこそ、どうなんだ。女の一人や二人、居てもおかしくはないと思っていたがな。」 お互いに丸くなって、だる絡みや昼行灯を気取っても変わらない関係は、心地良かったし、嫌いではなかった。 (-383) 2022/08/23(Tue) 8:39:55 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → 名もなき医者 リカルド「子供は撫でるとすぐ機嫌をよくして泣き止む」 「素直であればあるだけ、俺のそばにはそんなやつらばっかだった。 ノッテは――わけのわからんやつらばかりだったのに、全員素直で。びっくりするほどだったな」 ぽつ、ぽつと呟かれる低い声と共に落ちてくる熱のない手。 あなたを眠りに誘うように、優しく慈しむように一定のテンポで撫でられ続ける。 「ツィオもマウロも、行動と言動が合わない分わかりやすい。 顔を変えられる分ツィオの方が昇進が早かった、気に入らなかったがな」 バラバラなくせに息のあった三人を見ていた。同じ孤児院から出たなりの絆はそこそこに固かったようで。 そのなかでも真っ先に俺を目をつけたお前を引き抜いた。今となっては一気に三人引き抜けばよかったよ。 「レヴィアとストレガはワンマンに見えて自分の実力を確実にボスに提供していた。ありゃ一人軍隊だよな、女の戦い方は違うぜ」 実力者であれば性別なんて関係ない、それを体現した彼女たちは常に気持ちがいいほどの一言で会議を鎮めてくれた。あいつらがいればこのファミリーは安泰だ、あれを越えられない男はここでやっていけない。 「テンゴは、昔は血の気が激しくてな俺が丸くしてやった。 フィオレロが来てからは懐かれて落ち着いたが今はもうまた復讐の鬼だ。 あの男はマフィアに馴染まないな、せいぜいかわいいワンコに癒されていればよかったんだ。さっさといなくなっちまってよ、せっかく俺の孤児院任せるつもりだったのに」 親友を想い、想う。なんだこの感情は。 そろそろ寂しくなってきてるんだろうか。弱音とは思っていなかったが、ここには好きなやつらが多すぎた。 一緒に生きていきたいとおもった、家族が多すぎたんだ。 男はもっぱら甘い男であったので。 (-388) 2022/08/23(Tue) 11:02:16 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → 名もなき医者 リカルド「そうだ、ラウラは――俺が家族にして連れていく。 死んだやつの人間のことは疵でのこしても、もう惜しむな。 生きている人間たちの幸せを祈れ」 過去を思い返していたぼやきを流すように、一人のアソシエーテだった女の名前を告げる。 一度手を止めれば深く息を吐いた。 「リック、お前は優秀で最高の男だ。 よく俺を、友を、家族を守り抜いた」 「お前のことは信じていなかったが、 俺や家族のことを好きな感情だけは信じていた。 だから信頼できたんだ。 マフィアは嘘をつかない、有言実行が幹部の鉄則だ。 お前は大きくなれるよ」 「返事はするな、これはでかい独り言だ。 頑張った子供は早く疲れて寝ちまえばいいんだ」 (-389) 2022/08/23(Tue) 11:07:01 |
【秘】 名もなき医者 リカルド → デッド・ベッド ヴェネリオ――それはまるで子守唄のような優しい声で、 「……っなんで、そんな」 思い出話はわかる。もう手を伸ばせない者たちを懐かしむのは、仕方のないことだ。 だけどこのどうしようもない焦燥感はなんだろう。 いやだ。 いやだ、嫌だ、何処にも行かないで欲しい。 「どうして、ラウラだけ連れていくとか、言う、んですか」 「俺も着いていきますよ、どこまでだって……っ」 置いていかないで。 置いていかれたら、俺は、ずっと主をまち続ける犬にしか、なれない。 「何も、出来てないです。 俺は、あなたの家族を、止められていない……どうして、」 今、こんな自分を褒めたりなんてするんですか。言葉が続かない。 撫でつけられる手で、強制的に睡魔を呼び起こされている気がする。 寝たくなんてないのに。 まだ、傍に居たいのに。 同じ場所から、幼なじみたちを見守っていたいのに。 あぁ、でも。 もうまぶたが重い。 (-396) 2022/08/23(Tue) 11:50:39 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → ”復讐の刃” テンゴ「気になったもので。 俺は――料理好きのおてんば女がな。 親から言いつけられた許嫁だった。 それでもまあ愛着はわいててな、お嫁さんになって娘を生むんだだとかずいぶんな夢を持ってたよ。 まあ結婚する前に両親共々殺されたんだけどな」 あとで調べたら親が厄介な産業スパイだった。 相当な被害を食らわせられたマフィアからの報復、 男ははそこにたまたま居合わせなかったガキだった。 「お前はいいな復讐する気力があって。 俺の方は抜け殻みたいになっちまったよ。二度は起こしたくねえ」 (-424) 2022/08/23(Tue) 18:04:25 |
【秘】 ”復讐の刃” テンゴ → デッド・ベッド ヴェネリオ「ほう、そりゃあかわいげのある女だな。しかし、そうか。お前さんもだったのか。」 「元気なものか。それしかもう縋るものがなかったんだ。後を追う事も出来ない。彼女にしてやれるのはそれだけだと。それに、なぁ…俺は母国ではイタコって奴の家系でね。」 「いわゆる、死者をその身に呼んで会話するって言う役割を担う一族だった。だからか、死んだその時の情念を拾ってしまう事がある。その時も、彼女の無念が聞こえた。」 「なら応えてやるしかないだろう?幸運にも、俺は剣を嗜んだことがあった。流石に真剣を握ったことはなかったが、ノッテに頼れば御覧の通りだ。」 (-429) 2022/08/23(Tue) 18:16:49 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → 名もなき医者 リカルド「寂しそうだったからに決まってるだろ。 立派な俺たちの家族を放っておけるか」 「面倒を見てくれるやつもいなくなるし」 お前たちがおいていった宝だぞ。 他のファミリーに持っていかれたらどうする。 「それに逆だ、お前が待つんじゃない。 俺が待っててやるから、行ってこいっていってるんだ」 聞こえもしない叫びに返しながら優しく撫で続ける。 やっぱり素直なくせにこういうときは駄々っ子だったなお前は。 「今から聞かせる子守唄はねえが、贈り物をしてやる」 (-432) 2022/08/23(Tue) 18:53:28 |
ヴェネリオは、" "に" "を落とした。 (c32) 2022/08/23(Tue) 18:54:51 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → 名もなき医者 リカルド「隣にいてくれてありがとう、あえてよかったRicardo。 欲しかったら俺の姓でも偽名に使っていい。 Venerio Firmaniが信頼した一番の部下、 ゆっくり待っててやるから、地獄の底までついてこいよ」 信じてるぞ、そう最後につぶやいて。 俺の 悪い勘 が当たらなければいいな、と、貴方の前髪をあげて額に顔を近づけ冷たい熱を触れさせた。 (-433) 2022/08/23(Tue) 18:55:45 |
【独】 デッド・ベッド ヴェネリオ/* ここで、テンゴ。まさかの 骨噛み くん!?そんな、そんなことがここでわかることはあるか? きかね〜〜〜わこんなこと。だからロッシから情報もらってたんかお前!! (-435) 2022/08/23(Tue) 19:01:43 |
【独】 デッド・ベッド ヴェネリオ/* ヴェネリオとロッシとは実質マブ。(半分妄想) いやまじでなんか、サービスの秘話もらっちゃったよな。 お問い合わせはして、仲良くてもいいって聞いてたけど。 あれCVついてたよ。CVついてた〜〜。勘違いオタクしちゃお。イメージカクテルつくって飲んでるやつ。 いや、あれなかなかやばいやつだったな。 (-436) 2022/08/23(Tue) 19:04:10 |
【秘】 花で語るは ソニー → デッド・ベッド ヴェネリオ非常灯だけが病室を照らす、深夜を回って明星さえ落ちてしまった宵の内。 足音を立てずに歩くのも、人のいない間を縫って歩くのも得意だった。 けれども朝になってしまえば、何かがあったというのは知られてしまうのだろう。 何処かで誰かと交戦をして、手傷を負った体からは長い間隔で血が滴っている。 死ぬことは出来なかった。死ねないだろうとは思っていた。 それでもどうしても今、此処に来なければならないと決めて、足を踏み入れた。 既に冷たくなって久しい体は、生きて笑っていた時とは同じようにも違うようにも見えた。 乏しい明かりの中に横たわる貴方の傍に立って、見下ろして。何も言えずに佇んでいた。 もうあと一歩もない場所に貴方が居る。だのに突き放しさえ、してくれやしない。 自分以外に動くもののない部屋の中で、しばらく自分の心臓の音だけが聴こえた。 幾許か振動にも似た音の鳴った頃にやっと動いた手が、かすかに貴方の指先に触れた。 熱のない感触をたしかめた瞬間、肘を伝って肩まで震えた。ひどく、恐ろしかった。 死んだ人間に触れるのだなんて初めてでもなんでもないのに。 「、ふ」 少し喉が動いただけ。ちょっと呼吸をしただけだったのにも関わらず、たったそれだけで、 それまで抱えていた何もかもが崩れ去ってしまったかのように、瞼の内から涙が零れた。 痕跡を残すヒットマンだなんて、その有り様としては失格だ。 誰にも知られず、悟られずにこの場を後にすべきだった。そのはずだった。 けれども溢れて顎まで伝う涙を拭うことさえ忘れたように、寝台に手をついて。 まだ夏の気温の下、死体の置かれた部屋はもっとずっと管理されているだろうか。 どちらにせよまだ死後硬直の緩解しない指先を握る。蝋のような感触だった。 「先生、」 → (-442) 2022/08/23(Tue) 19:48:34 |
【秘】 天使の子供 ソニー → デッド・ベッド ヴェネリオ喉から溢れ出した音は涙声のせいで不鮮明だった。耳のある者が居たとて、聞き取れやしなかったろう。 ほとんど崩れ落ちるように、白いシーツを握り込む手に体重が掛かった。小さく寝台が揺れる。 行き場を失くした涙が落ちて、床に僅かな血が溜まり始めてそれでも尚、何も起こらない。 動くものはない。誰一人。自分以外は、何も。 堰を切ったように泣きじゃくる顔はひどいものだったろう。息をするのも苦しいほどだ。 泣いて、泣いて。そのせいでやっと、凍りついた喉が開いた。吐いた息は全て嗚咽に替わった。 「……先生、なんで、……置いていかないでよ、頼むよ…… オレを傍において、連れて行ってよ。どうしたら、よかったんだ……」 あの日、貴方に最後に会った日。本当は貴方を殺すつもりだった。又は、殺されるつもりだった。 貴方が最後に見るものが自分であればいいと思ったから、もしくは、逆ならばいいと思ったから。 幼稚で独りよがりで、相手の都合など何も考えてやしないろくでもない考えだ。 けれども本気でそう考えるほどには、誰が死ぬかもわからない状況下で追い詰められていた。 耐えられなかった。ほかの誰か、何かに貴方を奪われてしまうことが。居なくなることが。 固まったままの指を何度も握り直して、手を添える。いつか握り返されたときのように。 そうすれば、熱を移せばまた動き出すのじゃないかと試すように何度も、何度も。 手の中でろくに動きもしない関節を包み込んで、頬を寄せて。指先に口付けた。 思慮深い頭の働きなど、もうほとんどしてやいないのだろう。泣いて酸欠の頭では手一杯だった。 ただ、目の前の貴方がもう二度と動かないことを受け入れられないように触れ続けた。 それだって稚拙で弱々しく、自分のことばかり考えているのがわかるような行動だ。 けれどもそれ以上の何にも踏み出せない、馬鹿馬鹿しいほど些細なものだ。 「何も、手に入らなくったって、いい。もう望んだりや、しないから。 生きて、あってくれるだけで、……それとも、オレが、殺せなかったから?」 結局は貴方にとって満足の行く終わり方だったのだとしても、男には伝わらなかったから。 ただ勝手にこうして己の不足を責めて、苦しんで。動かない体に、瞼に唇を寄せて。 生きている間に伝えられなかったものを今更に語るように、乾いた唇にも、同じようにした。 (-443) 2022/08/23(Tue) 19:50:22 |
【秘】 Niente ラウラ → デッド・ベッド ヴェネリオ交わる指を見つめ、小さく吐息を零す。 それに含まれた感情の名前はまだ見つからない。 ……それでも、今はそれでいいのだろう。 離れていく指のその全てを見届けて。 乱される髪に温かな感情を抱く。 「──…この命、家族のために。 裏切ることは、ありません」 いつものように真っ直ぐに見つめるのは。 感情が薄いなりの表現だ。 心からそう思っていることを、伝えるための。 拾われたあの日から、道連れになる覚悟は出来ている。 例えあの日にただ頷くだけの子供だったとしても。 心のどこかで、そう考えていたはずだから。 ▽ (-448) 2022/08/23(Tue) 20:10:14 |
【秘】 Niente ラウラ → デッド・ベッド ヴェネリオ貴方の言葉は、夢物語だ。ない未来が描かれている。 それでも、どこかそれを現であればと願うのだ。 叶わないと知っていて。 それでも約束や願いを止められない。 だから。……だから。 ゆったりと頷いて、その夢物語を想像しよう。 信じるには難しく それでいて、優しい夢を──…。 「……趣味、は………分かりません。ですから、ヴェネリオ様と。 …………一緒に、探したいです ね」 貴方の趣味を知っても目を瞬かせるだけ。 それから、どんなものを見ているのか問いかけてみたり。 お菓子は頼まれれば作ろう。 上手く出来たら皆で分けて、そんな様子を眺めて。 叱る声に笑って、"たのしい"その日々を 過ごしていこう。 その夢に切なさを抱き、温かさを得ながら。 交じりあった熱を握りしめ また小さく吐息を零した。 (-449) 2022/08/23(Tue) 20:10:53 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → 天使の子供 ソニー同じ景色を見られないならば。 隣にいることが許されないのならば。 昔の馴染みに託されたその命を守ることが生き甲斐だった。 顔は綺麗なまま、男は終わっている。 しっかりと調べると死ぬ直前に薬物を服用していた痕が見られたが、死因に変わりはない。 ファミリーに嘘をついてまで貴方を守ってやりたかった。 一人でも生きていけるとその小さな背中に期待をかけすぎて、 もうその心が擦りきれてるなんて思いもしなかったんだ。 「 」 死人は何も語らない。 静寂が部屋を包み込み、墓場のような冷え冷えとした気温はあなたの熱を奪っていく。 その心は俺だけのものに出来なかっただろう? 若くもない、力に歯向かえない家族一番の男が。 たった一人ですら手に入れやしない。 あいつには、家族も友達も子供たちも仕事もあって その生活が、合ってるんだと思い込むしかなかった。 男は酷く狡い賭けをしていたのだ。 食事のあとは家にでも招いてやろうかと思い、貴方が寝床で背を見せたならその背中に銃を向けるつもりで。 しかしあの日もし本当に共にありたいと願われたのなら、命ごと全部やろうと。生きるか死ぬかすら委ねてやろうと。 本当に、愚かな賭けの向こうでこんなことになるなんて思っていなかった。奇跡はどこかに転がっていたのかもしれない、しかし、そうじゃなかったのがこの世界だ。 (-453) 2022/08/23(Tue) 20:32:37 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → 天使の子供 ソニーこんなに小さな手も握り返せない。 こんなに小さな体も抱き返せない。 それは男にとって無念であったが、 その体は語らず沈黙をしている。 もし辺りを見る余裕があったのなら、サイドテーブルにくしゃくしゃの紙が広げておいてある。 そこには"何か"を予約している領収書があり、 孤児院の住所、あなたの誕生日とされている日付の羅列が向こう20年分記載されていて、それは遠い各国の"店"から届くようになっていた。 あなたへの遺書も愛の言葉ひとつ送らなかった男は 未来の花に全ての想いを込めて眠りについていた。 (-454) 2022/08/23(Tue) 20:33:53 |
【秘】 名もなき医者 リカルド → デッド・ベッド ヴェネリオ当たり前じゃないですか。 寂しいですよ。 そう言いたいのに、うつら、うつらと目が細まる。 まだ眠りたくない、まだ、離れたくない。 襲い来る睡魔と戦いながら、その話を聞いているだろうか。 「待ってて……くださる、ん、ですか」 自然と目が閉じられて、開く時間が少なくなった。 低い声が耳の奥に響いて、なぜだか無性に泣きたくなる。 「はい。必ず――……必ず、貴方を追いかけます、から、 だから……俺をお側に――――――」 額に何かが触れた気がする。 柔らかくて、優しく甘い何かが。 だけどもう、何も返すことが出来そうもない。 どうやら俺の居場所は、ここではないらしい。 貴方はきっと、それを知っていたからこそ送り出してくれたんだろう。 あぁ、なんて最後まで甘い人なのだ。 ――――ありがとうございます。 そんな貴方だからこそ、俺は、貴方が好きでした。 (-455) 2022/08/23(Tue) 20:35:09 |
【秘】 天使の子供 ソニー → デッド・ベッド ヴェネリオ胸に灯った火がいつからそこにあったのかはわからない。初めは見えないほど小さな星火だった。 けれどもこの瞬間に至るまで、その命の尽きるまで、ずっと男の心は貴方のものだった。 貴方だけのものだった。絶えず、揺れることさえなく。ひとつきりの持ち物だった。 だからきっと、そこに違えがあったのだとするのならば。それは隠し続けた青年のせいだったのだろう。 交わした口付けはほとんど触れるだけのものだった。それで精一杯だった。 或いはあの日手を引かれていたのならば、重ね合う熱はもっと暖かなものだったかもしれない。 涙が皺に滲みてうっすらと水気を増す。それも僅かな隙間に吸い込まれて、失くなってしまった。 ほんの小さな現象でさえも、まるで二度と青年が貴方に与えられるものなど無いことを示すようで。 唇を重ね、指を触れればそうするほどに、もう異にされた幽明境を感じられるようだった。 もっと移り気で、気軽で、只々の別れとして思えるくらいのものであれば良かったのだろうか。 そうであればこんなふうに貴方を心配させ、呆れさせてしまいそうな別れをせずに済んだのか。 ぎゅうと、最後に指を握り込む。もう血の通わない指の肉が、少し潰れて痕がついた。 「……、こんなことしたら、怒るかな……」 ぼんやりと、浮かされたように曖昧な言葉が唇から出る。涙を吸って、息がし辛い。 懐から取り出したのは、いつか街中で誰かと交わした話題の中にあったもの。 アーモンドの花の枝を象った、プラチナの指輪だった。 小さく散りばめられたジェイドは己の瞳の色。それもまた、独善的で幼稚なものだ。 貴方の指にそれがあったなら、いつでも貴方を感じられるかもしれないと、そう思っていたのだ。 少し、貴方の指にはほんの少しだけ小さな指輪。きっと合わないと、買った時は思い返していて。 やっぱり上手くはまらないそれを無理やり、左手の薬指へと添えた。 誓い合わずに一方的に押し付けられたものに、どんな価値があるというのだろう。 (-464) 2022/08/23(Tue) 20:50:38 |
【秘】 天使の子供 ソニー → デッド・ベッド ヴェネリオ部屋の中の僅かな光が、貴方の薬指で輝くほんの小さな色を照らしてキラキラとしていた。 それで、何か区切りがついたように、終わりを見出したかのように。 指輪に、唇に。もう二度と開かない瞼にもう一度ずつだけキスをして。 去り際に見たのは、サイドテーブルの書き置きだった。 小さく、けれど長く、今までの多くが書き綴られていたのだろうくしゃくしゃの紙を手に取る。 「……知ってたよ。遠い国から、あんなに正確にこの国の季節の花がわかるわけないんだ。 花屋の店主さんがさ、そう言っていたから。そう、教えてくれたんだ」 貴方から託されたものは、本当は気付いていたはずなのに。 この結果はいずれ伝えるべきものを先延ばしにしていた罰なのだろう。 見下ろした表情に、最後に一度だけなんとか笑い返そうとして、うまく笑えなかった。 「さようなら、……先生。オレの、ヴェネリオ」 最後まで果たして、青年の声は大気を震わせられただろうか。 自分じゃ聞けなかった、わからなかった。貴方が教えてくれたならばいいのに。 もう叶わないことを思い浮かべて、貴方の部屋を後にした。 (-466) 2022/08/23(Tue) 20:55:11 |
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