【独】 XI『正義』 マドカ/* 縁故メモ フォルス:初対面で顔見て吐く シャボン玉の思い出(あの子と遊んだ) チェレスタ:旅芸人のルーツが島群ならきっと芸に覚えがあるでしょう>>42歌参加する? シャルレ―ヌ:>>42参加するなら一緒になる シン:オートで負縁故対象 平穏に生きてきた人は戒めないと アリア:>>42参加するならここも一緒 女の子ばっかりかぁ シトラ:>>42参加するならry 女の子ばっかりだな、歌はあきらめよう ユグ:オートで慈愛の対象 過去が壮絶 (-48) 2022/12/12(Mon) 0:20:24 |
【人】 XI『正義』 マドカ── 3年前 ── [抱きしめた子供は、 『会いたかった』とまた泣いた。>>205] うん。……うん。 僕も、僕も君に逢いたかった。 [腕の中に収まった身体は、暖かい。 傷を負っていても、暖かかった。 返されぬ抱擁が、君のこれまでを物語る。 縋り付くことさえできぬその指先は、 きっと誰の袖を掴むことすら、 許されなかったのだろう。 『人間』の子供なら、 幼い時分に必ず親から学ぶようなことなのに。] (330) 2022/12/12(Mon) 19:51:02 |
【人】 XI『正義』 マドカ[寒い夜、温もりを求めて手を伸ばせば、 掬い上げるように抱き上げられたことも。 暗い夜道で心細さに指を伸ばしたら、 その小さな手を包むように握られたことも。 きっと、暖かい布団に包まって、 優しい子守唄で微睡に誘われたことも。 ひとつとして、経験がないのだ。 求めれば与えられる、無償の愛など、 思いつきもしないのだ。 嗚呼本当に。 君はどこまでも可哀想で、 可愛い子だった。] (331) 2022/12/12(Mon) 19:51:18 |
【人】 XI『正義』 マドカ 一緒に帰ろう。 君と僕の、いるべきところに。 [僕は、小柄な君を抱き上げた。 君くらいの歳の子なら、 子供扱いを嫌がられるのが普通だ。 けれど僕は、どうしても君に、 そうしてあげたかった。 僕がかつて家族から受け取っていたものを、 君にもあげたかった。 だって、僕だけが享受するなんてそんなの、 平等じゃないでしょう?] (332) 2022/12/12(Mon) 19:51:42 |
【人】 XI『正義』 マドカ 暖かいお家があるよ。 お布団もあるよ。 おいしいご飯もあるよ。 誰も君を殴ったりしないよ。 怪我の治療をしよう。 一人じゃないよ。 僕たちは…… 証を持つ僕たちは。 みんなでひと所に集うべきなんだ。 [僕の言葉に君は、どんな顔をしたろうか。 君の表情が一つでも変わったならば、 僕はそれを嬉しく思ったことだろう。 そして洋館へとたどり着いた後、 止まることなくくるくると変化する君を、 僕はきっと愛してやまない。*] (333) 2022/12/12(Mon) 19:51:59 |
【人】 XI『正義』 マドカ── 現在 ── [廊下から、楽しげな声がする。 あの子の誕生日まで、あと1週間。 あの子も、可哀想な過去を持つ子だった。] ならば、お誕生日くらい、 楽しんでもいいでしょう? [何事にも、バランスが重要だ。 不幸を積み重ねてきたならば、 同じだけの幸せを。 幸せだけではいけない。 でも、不幸だけでもいけない。] (334) 2022/12/12(Mon) 19:52:29 |
【人】 XI『正義』 マドカあの子は、喜んでくれるだろうか? [机の上に置かれた、彩色前の張子を眺める。 故郷では、子供のおもちゃといえば、 こういった張子のものが多く、 年下の子供達のために、 しばしばこの手で作ってやったものだった。 作業自体は、慣れて仕舞えばそう難しくない。 けれど手製の張子には、 お守りのような意味があるらしい。 そうでなくても、子供というのは 小さくて鮮やかなものが好きだ…たぶん。] (335) 2022/12/12(Mon) 19:52:57 |
【人】 XI『正義』 マドカはぁ……行かなきゃなぁ…… [まだ真っ白な張子の人形を眺めて、 深い深いため息ひとつ。 どういった流通経路を持っているのか。 あの人は、頼めば大体のものを入手してくれる。 例えば、島郡の伝統的な塗料とかも。 しゃぼん玉があるんだ、きっとそう 頼んでおいた癖、僕は彼の売店へ 受け取りに行くのに、どうにも気が進まない。] (336) 2022/12/12(Mon) 19:53:26 |
【人】 XI『正義』 マドカ── 7年前 ── [結論から言うと、僕は彼の姿を見て最初に、 盛大に嘔吐した。 失礼極まりない。 今思うと本当に申し訳なさしかないのだけれど、 とにかく顔を合わせる度に、 具合が悪くなった。 吐いたのは、初対面の時だけだ。 ]念のため。 (337) 2022/12/12(Mon) 19:53:51 |
【人】 XI『正義』 マドカ[初めに起こったのは、激情。 ほとんど殺意に近いものだった。 次に起こったのは悔恨。 まるで心臓が凍りつくかのようなそれ。 ほとんど同時に怨嗟。 心臓の半分が、灼熱の炎に包まれた。 それから…それから。 それら全てが最終的に、自己嫌悪に終着する。 その間わずか0.2秒。] う……ぇ、 [瞬間的に湧き上がった感情が、 まるで滝壺に叩き落とされたような衝撃を伴って 一挙に襲いかかったのだ。 いくら証持つ僕らが『人間』より 多少丈夫とはいえ、ひとたまりもない。] (338) 2022/12/12(Mon) 19:54:11 |
【人】 XI『正義』 マドカ── 現在 ── [それから7年、 どのような付き合いをしてきたか。 避け続けるわけにも行かない。 ここには僕らだけではない。 あらゆる感情をひとつひとつ殺して、 そうして理性で縛って己の足を叱咤して、 3年前にクロを連れてきてから特にそう、 クロが彼に懐いていることもあり、 少しずつ、少しずつ、 己の身体を劇物に慣らすような心持ちで、 近づく己の姿は一体、 彼の目にどんなふうに映ってるんだろうか?] (339) 2022/12/12(Mon) 19:54:26 |
【人】 XI『正義』 マドカ[彼に用があるのなら、とりあえずは売店へ。 ここで暮らしていれば常識みたいなものだった。 だから、僕が向かったのは売店。 果たしてそこに彼はいただろうか? あるいは別のところで出会うかもしれない。 不意打ちだけはやめてほしい。 心の準備をさせてくれ。**] (340) 2022/12/12(Mon) 19:54:39 |
XI『正義』 マドカは、メモを貼った。 (a56) 2022/12/12(Mon) 19:56:48 |
【人】 XI『正義』 マドカ── 僕の知らない彼らについて ── [『正義』と『力』は 殺し合いの末、相討ちとなった。 『正義』にとって『力』とは、 尊敬に値する人物であり、 同時に最高の好敵手だった。 間違っても、敵ではなかった。 交わす刃が互いを切り裂き、 振り切った刃の先から鮮血が散る、 それまで何度も交わしてきた、 刃のない刀の記憶が、 互いに太刀筋を覚えさせた。 けれど刃の狭間に見えるのは…… 覚えのない、殺意。] (592) 2022/12/13(Tue) 20:08:26 |
【人】 XI『正義』 マドカ[彼らが最期、何を想ったのか。 それは経典のどこにも明言されていない。 それはそうだ、語る口は既に閉ざされていた。 綴られる言葉があったとして、 それら総ては赤の他人の憶測に過ぎぬ。 彼らの想いは、彼らの胸の内にのみあって、 彼らと共に終えたもの。 誰にだって、分かるはずが、ないのだ。 ────勿論、僕にだって。 ] (593) 2022/12/13(Tue) 20:08:44 |
【人】 XI『正義』 マドカ── 7年前『力』 ── [売店がある、と僕に教えたのは、 多分『世界』だった。 もしかしたら違うかも。 そうだとしても、誰かから聞いた。 その頃僕はまだ、洋館に招かれたばかりだった。 例えば、僕が故郷を失う前だったなら、 例えば、もう少し時間が経っていたなら。 僕はあの時、 もう少し違う反応ができたのだろうか。 魂が覚えている感情というものを知っていたなら、 もう少し……もう少し。 自らの手で何かを買う、と言う発想が、 元々あまりない僕だったけれど、 教えられたからには一眼見ておこうと。 思ってしまったのが、 そもそもの間違いだったかもしれない。] (594) 2022/12/13(Tue) 20:09:28 |
【人】 XI『正義』 マドカ[えずきながら廊下にうずくまった僕の頭に、 氷よりも冷たい二音が突き刺さる。 心臓を、 鋭い刃が貫いたような痛みが走り抜けた。 何故だかその痛みに、安堵する。 ]か……は、 [息が止まりそうな錯覚を覚えて、 喉奥に溜まりかけた、 苦味を帯びた酸味を吐き出す。 頭がクラクラする。 通り過ぎて行く気配に身を強張らせ、 けれど何も言われないのに、ほっとして。 なのに彼は、その青年は、 何を思ったか、 踵を返して隣にしゃがみ込むものだから。] (595) 2022/12/13(Tue) 20:09:54 |
【人】 XI『正義』 マドカぁ……ぅ、 [ありがとうとか、なんとか言えんのかと。 自分で自分を殴りたい気分だ。 それでも僕の口からは、 ありがとう、も、 ごめん、も こぼれ落ちることなく。 言いたかった、伝えたかった。 なのにどうしても、言葉が喉から出てこない。 汚物は垂れ流すくせして、 本当に必要な言葉ひとつ、生み出せない。 僕は結局何も言わず、 ただ、示された扉を見やり、 ふらりと立ち上がった。] (596) 2022/12/13(Tue) 20:10:23 |
【人】 XI『正義』 マドカ[ちらりと振り返った先、 彼は僕の吐き出した汚物を片付けているようで、 初対面の相手に、後始末をさせることを、 ひどく申し訳なく思ったものだった。*] (597) 2022/12/13(Tue) 20:10:39 |
【人】 XI『正義』 マドカ── 面白くもない過去の話 ── [今世の僕は、大陸よりも東の海の上、 浮かぶ島の一つに生まれ落ちた。 幸か不幸か、会場に並ぶ島々の中でも さらに小さな島に生まれたものだから、 『証』を持って生まれた僕に対しても、 普通の『人間』の子供のように、 両親はもちろん、島民も接した。 そもそも、大陸で信じられている件の『宗教』 そのものに興味があまりなかったのかもしれない。 僕は、『証』を持っていたくせに、 『証』がない者のように扱われた。 それが非常に稀有なことであったと、 幼い頃僕は知らずに呑気に笑っていたのだ。] (598) 2022/12/13(Tue) 20:10:53 |
【人】 XI『正義』 マドカ[僕が平和な日常を過ごしていた時、 『証』を持つ誰かはその存在を否定され、 あるいは石を投げられて、 親にすらその生を否定され、 けれど殺すこともできない、 ……と腫物のように扱われ、 もしかしたら厄介払いされ。 書物でそのことを知った、8つの頃、 僕は両親に尋ねたことがある。 僕は、ここにいて良いの?と。 両親は驚き、それから悲しみ、僕を叱った。 たった一つの痣があったからと言って、 そんなものは、何の理由にもならない。 持って生まれた痣でなくとも、 生涯消えることのない印など、いくらでもあるのだと。 僕はその時………… 妙な心持がした。] (599) 2022/12/13(Tue) 20:11:09 |
【人】 XI『正義』 マドカ[両親の言葉は、世の中一般の親としてみれば、 どこまでも善良で、親として正しい反応だ。 けれど、僕の胸の内はざわめいた。 だってこれは、『平等』じゃない。 他の『証』を持つ子供たちが苦しんでいる傍らで、 僕だけが、そうじゃない。 不安が心を占めるのに、そう時間はかからなかった。 それでも時間だけは、平穏に過ぎていく。 僕の生まれた家は、これまた幸運なことに、 はっきり言って裕福な方で、生活上の心配は まるで存在しなかった。 衣食住に困ることはなかったし、 多分欲しいといえば大概のものは 手に入っただろう。 僕が両親に何かを強請ったのは、 幼い時分だけだったけど。] (600) 2022/12/13(Tue) 20:11:23 |
【人】 XI『正義』 マドカ[15の夜、目が覚めると、 辺りは紅蓮に包まれていた。 島ひとつを燃やし尽くした炎は、 僕以外の全ての命を奪った。 僕と違ってただの『人間』だった、 幼い弟の命をも、容赦無く奪い去った。 僕はきちんと教育を受けていたけれど、 自身が『人間』より丈夫なことを知らなかったから、 炎からさえ守れば、 自身より低い位置に庇った子供は 助かると思い込んでいた。 彼は僕より少しの煙を吸い込んで、 そのまま息を止めた。 血の繋がりのない子供達も、 親を含む親戚も、隣人も、 ずっと僕にもよくしてくれた使用人の彼らも、 小さな島だ、 顔を知らぬものなど一人もいなかった。 皆みんな、死んでしまった。] (601) 2022/12/13(Tue) 20:11:37 |
【人】 XI『正義』 マドカ[手の中からこぼれ落ちていったものを、 惜しんで泣いた。 それが僕に与えられた罰だと知って、 首を垂れた。 僕は悲しかった。 けれど、同時に安堵した。 嗚呼、これで漸く…… 漸く僕も、他の『証』持つ者たちと、 並ぶことができる。] (602) 2022/12/13(Tue) 20:11:49 |
【人】 XI『正義』 マドカ── いつか、故郷の唄を ── [彼女が、僕の故郷の唄を歌えるらしいことに 気づいたのはいつだったろうか。 きっと、僕か彼女が口ずさんでいたのを、 どちらかが気づいたのに違いない。 年下の子供たちに、 子守唄を歌っていたのかもしれない。 僕の故郷の唄は、 どこか独特の節を持っていた。 もしかして、僕たちの故郷は近いのか、と、 期待したのも束の間。 僕の淡い期待が砕けるまで、 そう間は置かなかったろう。 僕は彼女に笑って問うた。] ねぇ。 君の故郷はどこ? 君はどこからきたの? 良かったら、教えてよ。** (605) 2022/12/13(Tue) 20:12:51 |
(a89) 2022/12/13(Tue) 20:15:05 |
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