【人】 XI『正義』 マドカ[歴代の『正義』は、決して長生きではなかった。 それは例えば事故死だったり。 あるいは病死だったり。 若しくは……自死だったり。 記録上はなんであれ、 どうしても、長生きできない。 濁りひとつない澄んだ水に、 魚が生きていられないように。 彼らの抱く『正義』は、 いつも命に優しくなかった。 ……まぁ、そんなこと、 僕は 当然知らない のだけれど。] (152) 2022/12/14(Wed) 19:58:49 |
【人】 XI『正義』 マドカ[洋館に招かれて7年。 僕より先に洋館に居た者も勿論いるが、 僕が招かれてからやってきた者たちも多い。 むしろ、この数年で急にバタバタと集まった、 そんな印象すらある。 基本的に僕は、年下の子達を可愛がった。 年上の人たちには、 特別甘えることこそなかったけれど、 極々年相応に接したと思う。 もしかしたら、相手によっては年上でも 可愛がっていたかも。 僕は、まるで当たり前の『人間』のように 育てられたから。 そう言う振る舞いを、 基本的には身につけていた。 けれど時折、うまく行かないことがある。] (153) 2022/12/14(Wed) 19:59:18 |
【人】 XI『正義』 マドカダメだよ、それじゃぁ。 幸福 ばかりを積み重ねたら、きっといつか、均衡が崩れる。 そうしたら、それ以上の 不幸 が訪れる。ひとりだけが、 幸 せなのもいけない。皆、同じように 不幸 を背負わなくちゃ、だって、そうじゃなきゃ、 不公平 ってものでしょう?そう言うものなんだ、この世界は。 どんなものでも、 精巧なバランスの上に成り立ってるんだから。 (154) 2022/12/14(Wed) 20:00:57 |
【人】 XI『正義』 マドカ[既に傷を持つ者には、見せることのない妄執。 逆に、『正義』の認める傷を持たぬ者へ、 それは牙を剥いた。 『証』をその身に刻みながら、 誰からも疎まれず、平穏に過ごして来た者がいるなら。 その過去に傷がないことを知ってしまったなら、 きっと一度は詰め寄ったことだろう。 どうして君は、『人間』の子供みたいな 生き方をしてきたの? 魂に刻まれた『罪』を償わなくては、 別の誰かがその代償を支払うことになるのに。 運命から逃げることは、許されないのに。] (155) 2022/12/14(Wed) 20:01:26 |
【教】 XI『正義』 マドカ[あの子が、幸運と不運を繰り返す存在なら、 僕は、幸福と不幸を裏表にさせる存在だった。 それら二つは常に釣り合っていなければならない。 誰かの 幸福 と、別の誰かの幸福 もまた、釣り合わなければならない。 均衡が崩れることが、どうしても赦せなかった。 22人でバランスよく保たれていたはずの均衡が、 一人を欠いて崩れ始めた時、 僕は『正義』を 喪 った。] (/1) 2022/12/14(Wed) 20:01:52 |
【教】 XI『正義』 マドカ[例えば球体を作ろうとした時。 粘土や張子で作るなら、 足りない部分を補えば良い。 けれど、例えば木片から削り出した球が、 凹んで欠けて、歪になってしまったら? 足すものも存在しなかったなら? 反対側を、削るしかない。 そうして反対側を削ったならば、 歪になった球体が、 余計に歪さを増すだけだとしても。 そうして、かつて、『正義』は────、] (/2) 2022/12/14(Wed) 20:02:09 |
【教】 XI『正義』 マドカ[もしも、『正義』が『運命の輪』のように、 変化を受け入れることができたなら、 もしかしたら、『正義』は────、 なんて、 そんなたらればは、何の意味もない。 その不寛容さこそが、 『正義』に与えられた性質のひとつだったのだから。 『正義』はかつて、 均衡が崩されることを、ひどく嫌悪し…… 恐 れていた。] (/3) 2022/12/14(Wed) 20:02:26 |
【人】 XI『正義』 マドカ[パーティの翌朝のこと。 僕は、割といつものように、後片付けをしていた。 用意したプレゼントは、ちゃんと完成して、 アリスはそれを喜んでくれた。 他にも同じような張子を プレゼントしたことがある相手はいたけれど、 デザインは毎度異なる。 21人も揃えば、 毎月誰かしらの誕生日はあるのだから、 そろそろプレゼントにも悩むなぁ、なんて、 そんなことを、のほほんと考えていた。] (156) 2022/12/14(Wed) 20:02:42 |
【人】 XI『正義』 マドカ[楽しいことがあった翌日、 決まって目覚めた僕の枕には赤いシミがある。 無意識に、口の中を歯で傷つけてしまうのだ。 なんて地味な、自傷行為。 治療も求めなければ、薬も求めない、 だからもしかしたら、誰も知らない。 気づいている人も、いるのかもだけど。 ] (157) 2022/12/14(Wed) 20:02:56 |
【人】 XI『正義』 マドカ[7年前、君が僕を迎えにきた時、 僕は初め、君に酷い態度を取った。 焼けた島の真ん中で、 嫌だここから動かない、と駄々を捏ね、 それから彼らの墓を作ると言って聞かず、 焼け落ちた家の名残から、宝物を探すと言い張って、 何もかもが燃え尽きていることを確かめて、 泣きじゃくった。 君はそんな僕に根気よく付き合ってくれて、 最終的には、僕は君に手を引かれるようにして、 洋館までたどり着いたんだ。 洋館に辿り着いてからも僕は、 『証』を持つ者としては自分が 何となく不出来な気がしていて、 しばらく君にくっついて回ったっけ。 それも、君が姿を消すまでのことだけど。 おかげで僕は、いやがおうにもここ洋館に 馴染むしかなくて、 時折問題は起こすものの、 自分的には 些細なもので、まるで空気みたいに、そこに居るのが当たり前って そんな存在に、なりつつあった。] (159) 2022/12/14(Wed) 20:03:43 |
【人】 XI『正義』 マドカ[普段の僕は、明るく朗らか。 誰に対しても基本的に穏やかで、 人当たりも良い。 大して誰の印象にも残らずに、 人畜無害を形作っている。 時々目の色が変わっちゃうのは、 まぁ、ご愛嬌ってことで。 帰ってこないヴェルトは、 僕の知らないどこかでどうにかなっちゃったんだと、 言葉にしなくても、半ば諦めていた。 それなのに、君は。 帰ってきてくれたなら。 言いたかったんだ。伝えたかったんだ。 ねぇ、僕、ここでちゃんとやってるよって。 泣きじゃくる僕の頭を撫でてくれた君に。 ずっと。] (160) 2022/12/14(Wed) 20:04:06 |
【人】 XI『正義』 マドカ……ヴェルト? [君の姿を一目見て僕は、どこか呆然と呟いた。 君は、きみじゃなかった。 幸福は、不幸と共にやってくる。 ] (162) 2022/12/14(Wed) 20:04:46 |
【人】 XI『正義』 マドカ[とっさに僕は、感情を殺した。 僕は、僕たちは、 『彼』の言葉を聞かなければならなかった。 だって、知っているのだ。 理解っているのだ。 あの人が、僕たちを心の底から愛していること。 一度疑ったとして、 目の前にしてみれば、それこそが真実でしかない。 彼の人が愛するのは、 『人間』ではなく、『証』持つ存在なのだと。 魂が覚えている。 彼こそが、僕たちを絶対的に愛してくれる、 親なのだと。] (163) 2022/12/14(Wed) 20:05:01 |
【人】 XI『正義』 マドカ[間違えた子供を赦し、 やり直しのチャンスを与えるのは。 親だからこそできる、 無償の愛の証明だろう。 『正義』にとって、『神』は絶対だった。 『ヴェルト』が消え、『神』が帰還した。 果たしてどちらが幸福で、どちらが不幸なのか? ……切り分けることに、意味などない。] (164) 2022/12/14(Wed) 20:05:16 |
【人】 XI『正義』 マドカ[また、完璧な箱庭を。 今度は、誰一人欠けることなく。 『神』の提案には、悩む余地がなかった。 そもそもこの世界には、不平等が多すぎる。 誰かが理不尽な死を迎えるのなら。 いっそ。>>0:201>>0:202 考えることは、7年前から変わらない。 そんなことを思っていたから、 きっと僕が『世界』に向けていた眼差しは、 いっそ陶酔に近いものだったかもしれない。 けれど間近から、よく知った声に呼ばれ>>132、 ハッとしたように見下ろした。 座り込む彼の隣に自然としゃがみ込み、 視線を合わせる。] (165) 2022/12/14(Wed) 20:05:30 |
【人】 XI『正義』 マドカどうしたの、クロ。 大丈夫……落ち着いて? [クロが洋館に来て3年。 頻度が減ったとは言え、そっとくっついてくれば、 その度に何かをしていてもちょっと手を止めて、 向き合ってきた。 勿論、クロに対してだけじゃない。 他の子が僕に何かを求めるならば、 僕はその度にきちんと向き合ってきたつもりだ。 ……基本的には。 今だって、クロの不安に気づいたならば、 僕は君の頬を両手で包むようにして、撫でる。 もういつかみたいに抱き上げることこそないけれど、 人の温もりというのは心を宥めるものなのだ。**] (166) 2022/12/14(Wed) 20:05:49 |
【独】 XI『正義』 マドカ/* 表690pt、窓148pt。合計900弱。 ほとんどソロルで何やってんの? いいえ猛者たちほどではありません。 どこに絡んで良いかよくわからないから誘い受けしてて良いですか……(雑魚(誰も釣れない、知ってる ところでクロが可愛すぎてどこにもお嫁に出したくありません(正気に返って あとは、まぁ、フォルスがさぁ……なんかもう流石なんだよね……追っかけしたい(殺意が磨けない不具合 (-46) 2022/12/14(Wed) 20:10:47 |
XI『正義』 マドカは、メモを貼った。 (a24) 2022/12/14(Wed) 20:16:24 |
【人】 XI『正義』 マドカ―― 回想:『悪魔』の君と ―― [僕は君のことを、 どこまで知っていたのだろうか。 君の出自を知っていたのなら、 僕は憐みのつもりは微塵もなかったけれど、 君の痛みに寄り添おうと試みたのかもしれない。 拒絶されたら深追いはしないけれど。 君が既に救われていることを知っていたのなら、 君の不幸と幸福は既に完成されている、 僕には何も言うことは無かったろう。 けれどもしも、僕が何も知らなかったのなら。 きっと、何もしなかった。 ただ、面白みのない善人面をしていたことだろう。] (237) 2022/12/14(Wed) 23:31:05 |
【人】 XI『正義』 マドカ[……まぁ、多分。 君は僕より後に洋館に来たから、 僕は何かしらほんのり察していたんじゃないかなぁ。 きっと、更なる不幸を強要することはない程度には。 それはそれとして、 *]フォルスと デート に出かけているのを見かけたならば、 僕は自然と君を避けていたかもしれないね。 (238) 2022/12/14(Wed) 23:31:29 |
【人】 XI『正義』 マドカ―― 回想:年下の少女 ―― [年下の子に対しては、大抵優しく接した。 特に、親の愛情を受けられなかった子供には、 代わりの愛情を与えたいと思った。 それはかつて、僕が受け取ったものだから。] 文字を覚えたいの? いいよ。 じゃあ、まずは本を読んであげよう。 [言葉を覚えたいのなら、文字を覚えたいのなら。 触れるのが一番だ。 そう考えた僕は、少女に最初、 本を読み聞かせた。 少しずつ触れさせて、少女が好むものを探る。 好きこそものの上手なれ。 僕の故郷の言葉だ。] (239) 2022/12/14(Wed) 23:31:50 |
【人】 XI『正義』 マドカはい。 これ、あげる。 [暫くして僕は、少女にノートと鉛筆を贈った。 少女の好みはまだそこまで分からなかったから、 やや子供じみたデザインだったかもしれない。 少女が、友人が来るかどうかを尋ねれば、 僕は笑って彼女の手を握る。] どうかな。 聞きに行ってみようか? [きっと、職員の誰かなら知っているだろうと、 僕らに比較的好意的な誰かを捕まえに、 少女を誘ったかもしれなかった。**] (240) 2022/12/14(Wed) 23:32:49 |
XI『正義』 マドカは、メモを貼った。 (a38) 2022/12/14(Wed) 23:42:14 |
【独】 XI『正義』 マドカ/* 夜のゴールデンタイムはやっぱり重くなるな… まとめて落とすならやっぱりシルバータイム…(何を言ってるんだ貴様は (-68) 2022/12/15(Thu) 8:24:20 |
【人】 XI『正義』 マドカ (369) 2022/12/15(Thu) 19:26:04 |
【人】 XI『正義』 マドカ[僕には、君の口にした『怖い』が分からなかった。 だから、笑顔の裏で本当は、 疑問符を浮かべていた。 世界が壊れちゃうから? 僕たちの『箱庭』があるのに? どうして怖いんだろう? 同時に、僕にとってはまだまだ子どものような 君の反応を、かわいらしく思った。 君が知ったら、その場違いさに驚いたかもしれない。 ] (370) 2022/12/15(Thu) 19:26:42 |
【人】 XI『正義』 マドカ[僕は今のところ、『証』持つ僕らと、『人間』を、 天秤の両翼に乗せるつもりはなかった。 いつの頃からか、僕にとっての『人間』は、 とてもよく似ているけれども僕らとは違う生物で、 だからそもそも同列に考えていない。 そして、『人間』は。 『人間』という生き物は、簡単に死んでしまう。 何の罪も咎もない『人間』でさえ、 理由もわからないままに命を奪われる。 ならば、『人間』の過ごす世界などいっそ、 まとめて滅びてしまった方が『平等』だ。 ────かつての、『箱庭』のように。 最後に一人も残らない物語なら、きっと、 誰も文句のない『平等』だ。] (371) 2022/12/15(Thu) 19:27:19 |
【人】 XI『正義』 マドカまた、22人揃った『箱庭』が生まれるなら、 僕は『うれしい』と思うよ。 [本当に、22人は揃っているのか。 ……それ以上掘り下げてはいけないと、 本能が強引に思考を止めた。 歯車が軋む音がする。] 世界が壊れちゃうのは……うぅん。 そういう運命だった、んじゃないかな。 [ひどく他人事な声色で、 笑みを浮かべたまま宣った。 幸か不幸か、僕にはこの洋館の外に、 **]未練など一つもなかった。 心寄せた『人間』は、既に一人残らず死んでいる。 それは、 幸 でもあり、不幸 でもあり。そして僕はそのことを、あまり自覚していない。 (372) 2022/12/15(Thu) 19:28:50 |
(a56) 2022/12/15(Thu) 19:30:33 |
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