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【見】 郵便切手 フラン【バー:アマラント】 「ぐぅ……」 満腹にアルコールが入り眠気を誘ったのか、 隅っこのテーブルで突っ伏して寝ている。 何とも無防備で仕方がないが、 幸い貴重品を盗られることなく放置されていた。 器用に帽子だけは落とさず眠りこける青年を横に、 店の主が空いたグラスを片付けたりしていただろう。 (@0) 2022/08/12(Fri) 11:40:29 |
【見】 郵便切手 フラン>>14 ヴィオレッタ 【バー:アマラント】 「………ぅ。 ね、寝てません社長」 目を閉じたまま間の抜けた返事がされる。 揺さぶるとやっと瞼が上がり、のそりと身体を起こした。 血色の悪いところはなく、"顔色"に聡いディーラーであれば単純に寝ていたと判るかもしれないし、人の体調云々に関しては専門外かもしれない。 鮮やかさの違う緑の視線が交われば、やっと思考も覚めてくる。 「人違いでした……」 全く見知らぬ誰かであったことに少なからず焦燥を見せて、帽子を身体の前に構えてどこか落ち着きなく目が泳ぐ。 逸らした視線。 その先のカウンターを見れば、 入店時には見なかった客が会計を済ませているところだった。 随分な間席を占領していたらしい。 それから漸く荷物の安否に思い至り、何事もないことを確かめて胸を撫で下ろす。 更にそれから、声を掛けてくれた女性を放ったままという事に気づいて、また遠慮がちに明るい緑を視界に映す。 「……その。 起こしてくださってありがとうございます」 (@1) 2022/08/12(Fri) 21:11:12 |
【秘】 郵便切手 フラン → プレイスユアベット ヴィオレッタ帽子を口元に添えて伝えられたのは、ささやかな提案。 「注文がまだでしたら……いえ、あなたさえ良ければ、なんですが。 お詫びに一杯だけ、奢らせていただけませんか」 律儀な青年は手間を取らせた埋め合わせをしたいだけだ。 断るのも、受け入れるのも。 一杯を貰った後に帰らせて、 一人の時間を選ぶのだって自由だろう。 どの選択をしても、あなたの意思を邪魔することはない。 (-82) 2022/08/13(Sat) 1:42:47 |
【秘】 郵便切手 フラン → プレイスユアベット ヴィオレッタ「え。」 思わぬ形で提案を受け入れられて、伏し目がちな瞳が瞬く。 「此方こそ、お時間を頂いてしまって良いんでしょうか。 ……いえ、とても有り難いです」 奢ると申し出たのは自分であるが、普段は仕事柄長く人と話さないせいか、少なからず緊張する。 この前の屋台の店主は被り物をしていたおかげで気楽に話せたのだけれど、人は被り物をしていない場合が殆どだ。 「……よろしくお願いします。 疲れが見えるのは……祭りのおかげか仕事が繁盛しているので、それが原因だとは思いますが」 堅苦しい挨拶が返された。 青年は会話のお供にスプモーニを頼む。 きらびやかな赤で満たされたグラスの上を、白い泡が覆っている一品。 あなたも好きなものが注文できるだろう。 (-104) 2022/08/13(Sat) 12:18:59 |
【秘】 郵便切手 フラン → プレイスユアベット ヴィオレッタ「お花に話しかけるなら、できる気がします。 ええと、お名前を伺っても。 自分はフランといいます」 あなたが花のように笑うから、とは言えなかった。 それでも名前を尋ねられる程度に 少しずつ緊張は解けてきているようだ。 届いたグラスを両手で包み、話を続ける。 「仕事は配達員です……。 普段はこの辺りの家や店を回ってますが 最近はお祭り関連の依頼が多いかも」 大きな会社ではないが、活動地域が三日月島周辺だ。 この辺りで配達を頼めば自然と彼らに会う機会はあるだろう。 手広く仕事を請け負っているため、 あなたの職場に訪れたこともあるかもしれない。 「……お酒、お強いんですね」 かなりきつい酒の筈だ。 感心や驚嘆を滲ませてカクテルを見る。 表情こそ薄いものの、そこに現れる感情は手に取るようだ。 (-106) 2022/08/13(Sat) 14:04:38 |
【秘】 郵便切手 フラン → プレイスユアベット ヴィオレッタ「ヴィオレッタさん。良い名前、ですね」 やはり花の如き人なのだと思った。 親しみを込めた呼び掛けに、肩に入った力が抜けていく。 控えめな所作で杯を掲げてから一口、酒で唇を湿らせた。 同じ場所ですれ違ったことはあるかもしれないが、 初対面を通すのならば、きっと二人が互いを認識して言葉を交わすのはこれが初めてなのだろう。 「はい。仕事が増えるのは嬉しいことです。 ヴィオレッタさんはどんなお仕事を? お話し慣れされてますし、接客とか」 己が慌ただしくしていたときも落ち着いた対応をしていたから、慣れた人なのだろうと考えて。 揶揄う言葉にはまた視線を泳がせる。 「そんなつもりは……でも、あの。 ………………覚えておきます」 精一杯で絞り出した回答がこれ。 どこまでも真正直。 そんな気はない、と言い切ってしまうのもなんだか失礼な心地がして。 いつか来るかもわからない覚悟を記憶に留めた。 (-121) 2022/08/13(Sat) 17:41:39 |
【秘】 郵便切手 フラン → プレイスユアベット ヴィオレッタ「仕事しか取り柄がないだけで……。 でも、ありがとうございます」 褒める言葉には素直に応える。 はにかんだ様子で少し胸が温まった。 自分の言動で誰かが笑顔になる、というのは青年にとって随分稀有なことであったので。 「最近はマフィアの抗争がどう、なんて噂も立っているから、 万が一でも巻き込まれたくなくて手を引いた業者の分の仕事も回ってきているみたいです」 まさかあなたがマフィアの一員だなんて知らずに。 正解を貰えば『やっぱりそうでしたか』と納得した。 ギャンブルだと教えられていれば、きっとまた驚きを顕にしていただろう。 「愛想良く話せるのって憧れます。 会話の得手不得手は仕方ないって割り切ってるんですけど」 青年の話し方は洗練された振る舞いとは程遠い。 くすくすと笑う声に、漸く冗談だと確信する。 うう、と言葉にならない呻きを零し。 「揶揄わないでください……」 弱々しく呟きつつも、心底嫌ではなさそうだ。 (-192) 2022/08/14(Sun) 0:46:41 |
【秘】 郵便切手 フラン → プレイスユアベット ヴィオレッタ「ヴィオレッタさんも、用心してくださいね。 何があるか判りませんし」 自分よりずっと死と隣り合わせの日々を生きていることを知りはしないけれど、この辺りで生活しているなら危険は零ではないと考えて心配する言葉を掛けた。 「自分は楽しいですけど……そんな、つまらないなんて。 ヴィオレッタさんとのお話は楽しいです。 ただ自分の話に自信がなくて」 会話の楽しさは平等ではない。 一方だけが満足してもう一方が不満気であることは珍しくないことだ。 青年はそういった状況を危惧している。 視線を上げれば揺れる紫水晶が瞳に映った。 酒に浸ることで輝きを増し、誠実の名を冠して、誠実を着飾る女性の本質とは何なのだろう。 「……ありがとうございます」 奢り合いになってしまった、と内心で恐縮しつつ、厚意を断る理由もない。 グラスの残りを飲み下しながら、注文が届くのを待った。 (-235) 2022/08/14(Sun) 12:55:09 |
【秘】 郵便切手 フラン → プレイスユアベット ヴィオレッタ諭す言葉が、アルコールでふやけた心にかけられて。 それが全部溶けるのは難しいだろうが、 きっと心の奥に届く程度には沁み入った。 「ヴィオレッタさんが上手にお話してくれるからだと 自分は思うんですけど……。 でも……はい。 少しだけ前向きにはなれました」 仕事には誇りがある。 だからそれと同じだと言ってもらえることは、 青年にとって何より喜ばしいことだった。 目元が緩んで、纏った空気が和らぐ。 「甘いもの、好きです。 昼間も屋台で駄菓子を買ったりして……」 礼と共にミルクセーキを一口飲む。 炭酸とは違う、優しい口当たりにほっと息を吐いた。 ついでに『食べますか?』と小瓶に詰められた金平糖を取り出したりしただろう。 (-265) 2022/08/14(Sun) 20:04:13 |
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