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【墓】 こどもの アルレシャアルレシャが最後に目撃されたのは、スピカと別れた直後。窓から飛び出した絨毯と女の子を、庭師が見ていました。 けれども、それからアルレシャを見た人はいません。 もしかすると、遠くまで探しに行ったのかもしれません。 こっそり帰って来ている……なんてことは絶対にないでしょう。 だって、スピカと約束をしました。アルレシャは絶対に約束を破りません。 ……小さな『ただいま』を、まだ誰も聞いていないのです。 つまり、アルレシャはまだ帰って来ていないのでした。 (+0) 2022/01/22(Sat) 21:24:58 |
【秘】 こどもの アルレシャ → 彷徨民 ウミ「もくもく……タバコっていうんだっけ。タバコのひとと、かくれんぼしてるのかなぁ」 アルレシャは悪意というものを知りません。ですからミズガネが犯人なのではなく、共にかくれんぼをしているのかと考えました。 「あれ、でもそうしたらアマノもかくれんぼしてるのかな……。 おとなは、かくれんぼしないってきいたことあるけど……」 首を傾げました。 「きいてみる? もくもくのひとに」 (-1) 2022/01/22(Sat) 21:48:08 |
【秘】 灯された星 スピカ → こどもの アルレシャ「そうね。私じゃなくてもいいの。でも、私でもいいの。 そうやって見て見ぬふりをするほうが私にとっては嫌なのよ」 するりと重なってきた手をまじまじと見つめる。それから、言い聞かせるように、或いは親に何かを報告するように。 ゆっくりと声を紡ぐ。 「ありがとう、アル。私は未だ自分の子供なんていないけれど、でも保護者よ。 苦しむだけじゃないって、楽しいことがあるって、教えてくれた人がいるから。 ――ええ、頑張れるわ」 (-10) 2022/01/23(Sun) 12:26:04 |
【秘】 こどもの アルレシャ → 灯された星 スピカその言葉を聞いて、僅かな寂しさが瞳に滲みました。瞼に覆われたその眼差しは、アルレシャにだって見えません。 どうして寂しく思うのか、アルレシャにも説明ができないのですから。 「…………すてきよ、スピカ。 きっとママだってそういうわ」 アルレシャが、大人に酷いことをされた経験を持っていれば抱く想いは違っていたのでしょう。 しかし不理解と嫌悪はイコールではなく、時に敬意とも結び付きます。 伏せた目を開けると、そこにはもう幼い子供の姿がありました。ソファーから飛び降りると、ベッドへ一直線。 「じゃあねぇ、きょうはれんしゅーさせたげる! いつかスピカにこどもができたときの、ね!」 子供を産まない選択をする夫婦だって、勿論います。 それでも絵本に出てくる夫婦は大抵子供を作りますから……当然のように、スピカが子を産む前提で話を進めます。 (-13) 2022/01/23(Sun) 15:51:06 |
【秘】 灯された星 スピカ → こどもの アルレシャ寂しさが滲む瞳とかちあって、眉が少しだけ下がる。 それでも決断は変えられない。自分は神でもなく、アルレシャの母でもなく、ただの非力な人間だ。その腕で救えるものなどあまりにも少ない。 「子供………………ええ、そうね」 もしかしたらきっと、似たようなものだっただろう。 女の瞳にも寂しさの色が滲む。 「いつかできたら、ね」 結婚してから四年、役割を殉じるだけの女には子供を産まない選択肢なんてなかった。 それでも未だ、子供はいない。 どれだけ努力しても、出来やしなかった。 (-14) 2022/01/23(Sun) 16:09:42 |
【秘】 こどもの アルレシャ → 灯された星 スピカ子供の憂いと大人の憂い。違うはずなのに何故か似ているふたつは、今だけ同じ時を過ごしています。 ベッドに小さな枕と大きな枕が並べられました。 「あしたもでぐちさがすから、アルはやおきするよ! スピカがねぼうしても、おこしちゃうんだから」 悪戯っぽく笑い、毛布を被ります。 添い寝をするならその晩……とはいえ、常に晩ですが。 アルレシャは、いつもより寝付くのが遅かったでしょう。ちゃんとスピカが寝ているのか気になって、何度も薄目を開けますから。 (-15) 2022/01/23(Sun) 17:18:28 |
【秘】 灯された星 スピカ → こどもの アルレシャ並んだサイズの異なる並んだ枕。仲のいい親子のよう。 本来なら元の世界でも見るべきだったそれは、結局一度も見たことがなくて。 こんな不思議な場所に来て見ることになるとは思いもよらず、少し自虐的な笑みが溢れた。 「ありがとう、アル。私も負けていられないわね」 そう告げて、共に布団を被る。 あまり寝付きはよくないほうだ、もしかすると何度も寝返りを打つのが分かったかもしれない。 (-16) 2022/01/23(Sun) 17:57:48 |
【秘】 彷徨民 ウミ → こどもの アルレシャ『かくれんぼ』 ウミはまだミズガネを見ていません。 『金魚』が悪戯をしに行くと言っていたので、当たり前だと思ったのですが……。 ラサルハグとアマノとミズガネ。 三人も消えてしまうものなのでしょうか? もしかしたらまだどこかにいて、なにか知っているのかもしれません。 『うん。きいてみたい』 頷くウミは、あなたの絨毯の上。 足が着かない程度の位置にいます。 『でも、もしかくされていたら』 きっとウミは、聞けませんので。 → (-24) 2022/01/23(Sun) 21:23:10 |
【秘】 彷徨民 ウミ → こどもの アルレシャ『アルがきいてくれる?』 あなたと絨毯を、重い物が乗しかかるような感覚が襲います。 重力に従うなら、あなたたちは鬱蒼と広がる森に突っ込むように落下するでしょう。 (-25) 2022/01/23(Sun) 21:23:17 |
【秘】 こどもの アルレシャ → 彷徨民 ウミ「――――あれ?」 空がぐんと遠くなります。自身に何が起こったのか、よくわかりませんでした。 「…………!」 思わず、目をぎゅっときつく閉じました。 木々の枝を折りながら落下し、地面に叩き付けられる……直前で、柔らかい何かに受け止められます。 立ち上がれば木よりも大きい、クマのぬいぐるみのお腹でした。黒々としたボタンの双眸が二人をじっと見つめています。 伸びてきたふかふかの腕が、アルレシャを庇う様に抱きました。 急に沢山の力を使ったからでしょうか。アルレシャは目を閉じたままでした。 (-35) 2022/01/24(Mon) 10:24:44 |
【秘】 彷徨民 ウミ → こどもの アルレシャ叩きつけられる前に、止めるつもりでした。 しかしウミが止める前に、もふもふとしたものがふたりを受け止めます。 真っ黒な作り物の目を見つめ返します。 『くま』 元のウミと同じくらいありそうに見えました。 ウミは自身の正確な大きさを知らないので、思っただけでしたが。 『アルレシャ、ねちゃった?』 目を閉じただけでないのなら、気絶したの方が正しいのかもしれません。 ウミは絨毯から降りて、ふたりを見つめます。 ーー夢の中で、眠る事は。 寝ている本体に近付くという事でもあるでしょう。 本体が目覚めないのなら、ここから薄皮一枚隔てた場所へ到達するという事でもありましょう。 (-38) 2022/01/24(Mon) 12:55:27 |
【秘】 こどもの アルレシャ → 彷徨民 ウミぬいぐるみはウミを見つめ返します。敵意を測りかねているようです。 結局、アルレシャを抱えたぬいぐるみは、立ち上がって歩き出しました。その巨体では木々を薙ぎ倒してしまうでしょう。 しかし、木も、鳥も、全て彼らをすり抜けていきます。 まるで透明になったかのように。 向かう先は城です。ただいまを言う為に、帰ろうとしているようでした。 きっと、次に目覚めた時――――アルレシャの目には、今まで見えなかった景色が映る筈です。 誰かの景色から、消えることと引き換えに。 (-40) 2022/01/24(Mon) 13:14:34 |
【墓】 こどもの アルレシャ「ただいま! ねえ、ただいまったら!」 ふと目を覚ますと、大きなぬいぐるみに抱えられていました。城の近くでしたから、そのまま一時帰宅をしたのですが……どうも皆の様子がおかしいのです。 「ね〜え〜……そーいうのはよくないんだよっ、ママもいって、た、もん……?」 使用人に触れようとするも、その手は空を切ります。 どうやら、人に触れないようです。まるで透明になったかのよう。もしもそうだとするなら、皆が無視をすることにも繋がるでしょう。 慌ててぬいぐるみを呼び出します。 ……ぬいぐるみには触れました。 ぬいぐるみが人に触れます。 ……ぬいぐるみも触れられませんでした。 ぬいぐるみも透明になったかのように。 「…………」 じわ、と目に涙が浮かびます。溢れる前に袖口で拭い、広間へ駆け出しました。 もしかしたら、アマノやラサルハグがいなくなったのは、こういう理由だったのかもしれません。 誰かに伝えなきゃ。アルレシャは、そう思いました。 (+1) 2022/01/24(Mon) 18:23:28 |
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