情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新
[|<] [<<] [<] [1] [>] [>>] [>|]
【秘】 彷徨民 ウミ → こどもの アルレシャウミはぬいぐるみをじぃと見つめ返し、あなたたちが去っていくまで見送ったでしょう。 その姿に、敵意などありませんでした。 ――『鯨』は『金魚』と共に悪戯する権利を貰いましたが、傷つけたり命を取ったり、そういった事をしようと思っているわけではないのです。 力加減などを間違えれば命取りになるでしょうが、少なくともウミはそのつもりでした。 『あれ?』 あなた達の姿が少し、朧げになりました。 いつもならこんな風に掻き消えそうなほど見えなくなる距離ではないはずですが。 『……ラサルハグたちも、こうなったのかな?』 だとしたら、意外と近くにいるのかもしれません。 ――けれど、まずはあなたとお話した通り、ミズガネに話を聞かなければ。 ウミもあなたを追うようにその場から離れようとして……絨毯をそのままにしている事を思い出しました。 置いていったら、後で拾うのが大変でしょう。 ウミはあなたの絨毯を拾ってくるくると巻くと、今度こそその場から離れました。 (-2) 2022/01/24(Mon) 21:23:37 |
【秘】 灯された星 スピカ → こどもの アルレシャもし子供の元に手紙が届いたのなら。 綺麗に整った字が便箋に並んでいるのが分かるだろう。 『アルへ ずっとふたりをさがしてくれてありがとう。 アマノには会えたの。それから、おしろのひみつもちょっとだけ聞いたわ。 アルはきっと、おしろのまほうにかかって人から見えなくなるようになっちゃったのかもしれないわね。 でも、わたしが、わたしたちおとなが、がんばるから。少しさびしいかもしれないけれど、どうか待っていてね。 会えたらまたお話しましょう。 あなたをちゃんと、守るから スピカ』 (-31) 2022/01/26(Wed) 16:06:41 |
【墓】 こどもの アルレシャ>>17 スピカが封を閉じると、何者かが軽く手紙を咥えるような感覚がしました。手を離せば手紙は宙に浮いたまま動き出します。四つ足の何かが、手紙を咥えて運んでいるかのように。 手紙が動く度に、かろん、かろん、とベルの音が鳴りました。細い糸もその後を追います。 暫くして、階段の踊り場で手紙は止まりました。糸もその場に留まります。 ひとりでに手紙の封が開きました。途端に手紙は姿を消し、括り付けられていた糸が床に落ちてゆきます。 (+6) 2022/01/26(Wed) 19:16:39 |
【秘】 こどもの アルレシャ → 灯された星 スピカ踊り場に足を投げ出し、階段に腰掛けていたアルレシャはベルの音色に顔を上げました。 山羊の郵便屋さんが、アルレシャ宛の手紙を持って来てくれたのです。糸が括り付けられている理由はわかりませんが、そっと手紙を受け取ります。 「……スピカ!」 封筒を見て直ぐ、差出人に思い当たりました。 糸がはらりと床に落ちます。意にも介さず手紙を取り出しました。 ――――わたしが、わたしたちおとなが、がんばるから。 ――――少しさびしいかもしれないけれど、どうか待っていてね。 ――――あなたをちゃんと、守るから 「…………」 視界が霞み、涙が頬を伝います。瞳から溢れ落ちた雫は、手紙をすり抜けて床を濡らしました。 (-32) 2022/01/26(Wed) 19:18:29 |
【秘】 こどもの アルレシャ → 灯された星 スピカ「……スピカ」 名前を呼びます。透明な声では届かないと、知っていながら。 「……スピカ」 何年も、何年も、何年も前から探し求めていた 何か が、見えた気がしました。知らない筈の感傷に、ただの文字が染み渡るのです。訳もわからず、背中を丸め泣きました。 「スピカぁ……!」 アルレシャは、待ち続けます。 再びみんなと、話せる刻を。 (-33) 2022/01/26(Wed) 19:19:00 |
[|<] [<<] [<] [1] [>] [>>] [>|]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新