【墓】 どこにも行けない ヴェルデ本名:アンジェロ・ヴィットーリ(Angelo Vittori) 死因:片目を撃ち抜かれたことによる脳挫傷、及び失血死 発見場所・遺体の様子: 路地裏にて発見される。外傷は眼窩の銃創のみ。 そばには同様の傷を負った死体がもうひとつ、転がっていた。 そちらはアルバ・ファミリーの構成員のようだ。 (+2) 2022/08/17(Wed) 22:37:00 |
【秘】 どこにも行けない ヴェルデ → 小夜啼鳥 ビアンカ「知らない」 対照的に、少年は眉根を寄せた。 「あんただってゴミみたいなおれを拾ったろうが」 「ばかだから上手くいかないけど、」 「金返すだけじゃなくてもっと何かできたらって、思わないわけじゃない」 少年は確かに、あなたに恩を感じているから。 「それは大切とは違うのかよ」 その唇からこぼれる香りはよく知っている。 あの女からも似た香りがしたから。 けれどあの女よりも、あなたの方が、余程。 「十年先のあんたが、あんたにとってゴミでも」 「おれにとってゴミかどうかは、おれが決めることだ」 少年は、死にたくないとは思わなかった。 まだ死んではいけないだろうと思うだけ。 けれど、あなたが死にたくないと言うなら。 そんな心配をしなくてよくなれば、と、願うくらいは。 「生きてたってそんなによくはなくても、」 「それでも、死にたくはないんだろ」 (-83) 2022/08/18(Thu) 0:38:38 |
【墓】 どこにも行けない ヴェルデ【ビアンカの部屋】 少年はその部屋の隅を間借りしていた。 いつもちいさく丸くなって眠る寝床は、出かける前に丁寧に毛布が畳まれる。 その上に、幾らかの絵本が積まれていた。 古びたものがほとんどの中、真新しいものも少し。 一番最近増えたのは、『シンドバッドの冒険』だった。 まだ、ほんの数ページしか読めていない。 これから先、読まれることはもうない。 結局のところ、あなたの言う通りになった。 男は女を置いていく。 少年は戻らない。 少年はどこにも行けない。 (+4) 2022/08/18(Thu) 0:50:21 |
【秘】 どこにも行けない ヴェルデ → 家族愛 サルヴァトーレ/* お疲れさまです!ご連絡ありがとうございます〜! 窓会話にお付き合いくださり、本当にありがとうございます。 おからだだいじに……。 秘話での続き、ぜひよろしくお願いいたします。 先に落ちたらそのようにお願いしようかと思っていたら、まさかの同時落ちでした。なかよし。 (-96) 2022/08/18(Thu) 2:08:14 |
どこにも行けない ヴェルデ(匿名)は、メモを貼った。 2022/08/18(Thu) 2:08:45 |
どこにも行けない ヴェルデ(匿名)は、メモを貼った。 2022/08/18(Thu) 2:09:41 |
どこにも行けない ヴェルデ(匿名)は、メモを貼った。 2022/08/18(Thu) 2:10:55 |
【秘】 どこにも行けない ヴェルデ → 暗殺屋 レヴィア痛くされるのは『苦しい』だろうか、と、ついよぎる。 ああ、でも、それはよくないんだったな。 仕事中に殴られたり首を絞められたりしたって、相応に痛みを感じはしてもそれだけで。 だから、たぶん、ここで試す意味もない。 薄い瞼を伏せる。 「届かないよ」 そのヒトは血縁でも何でもなくて。 ただ、部屋の隅を間借りしているだけの。 ただ、借りた金があるだけの。 それでも、少年にとって『家族』に一番近いのは、彼女かもしれなかった。 ……尤も、相手は嫌な顔をしそうだけれど。 「……どうせ、死んだらわからないだろうし」 「言うだけ言ったってことで、いいよ」 それだけ。 最後にそう呟いて、少年はもう一度、あなたを見た。 向けられる銃口を見た。 それが最期だった。 痩せた頼りないからだが頽れる。 (-105) 2022/08/18(Thu) 9:16:34 |
【秘】 どこにも行けない ヴェルデ → 小夜啼鳥 ビアンカ不機嫌な顔なら見慣れている。 それなのに、どうしてそんな顔をするのだろう。 「知らない、ガキだから」 どうしてそんな風に触れるのだろう。 「おれは言われないとわかんないし、」 「あんたも言えなかったら、ずっと何もわからない」 ▼ (-111) 2022/08/18(Thu) 11:15:03 |
ヴェルデは、あの日、開いた口から——「ッ、この強情女」 (c4) 2022/08/18(Thu) 11:15:20 |
【秘】 どこにも行けない ヴェルデ → 小夜啼鳥 ビアンカそんな風に悪態をつくのも、初めてのことだ。 ハイヒールに踏み付けられた足が痛む。 それは或いは、姉弟喧嘩にも似ていた。 溜息ひとつ。 お望み通りに手を離し、絵本を拾った。 いつか、あなたが投げて寄越したものだ。 古びたそれは、必要がなくなって手放されたのだろうけれど。 少年にとっては、大切なものだったから。 (-112) 2022/08/18(Thu) 11:16:02 |
【秘】 どこにも行けない ヴェルデ → 銀の弾丸 リカルド「そ。おれずっと、クローゼットの中に入れられてたからさ」 「今、こうやって好きに出歩ける方が、ヘンな感じ」 声は変わらず平坦に。本当にただ、不思議そうに。 感覚が麻痺している。 或いは、元より欠如している。 けれど満たされたことがなければ、欠落を認識することはむずかしい。 「……ん。それも、覚えとく」 心配してくれている、のだろう。 それを理解して、それでも、その真心の受け取り方がよく、わからないから。 できるのはいつも、惑うように曖昧に笑うことだけ。 どうやらあなたの夢はまだ、叶わないままであるらしい。 もう永遠に叶うことがないのだとは、その口振りからは窺い知れない。 「そっか、……大人になっても難しいんだな、世界って」 こんな会話の中からも、少年は世界の広さを知り、人間に近付く。 (-145) 2022/08/18(Thu) 18:27:47 |
【墓】 どこにも行けない ヴェルデ街娼がひとり殺されるぐらい、ごくありふれた出来事だ。 街灯に照らされる石畳を蹴り、夜を歩いて。 自ら暗がりへ手を引いてゆくのだから、どうしたって人目につきにくい。 行き過ぎた嗜虐性に嬲られることも。 或いはクスリを使われ躙られることも。 店に管理されていない分、危険はずっと多くある。 だからこんな風に綺麗な死に方をしたことの方が、きっと、ずっと珍しい。 それでも少年は街路に立つことを選んだし、多少の無茶は厭わなかった。 けれど、結局。苦しみを理解するには欠落が多すぎた。 その苦しみを解するまで、死んではいけないだろうと思っていた。 だから少年は、死にたくないと思ったことはなかった。 それなのに、最期のそのとき、確かに。 ――死にたくなかったな、と。 諦観の奥に、喪失の苦しみを抱いた。 (+8) 2022/08/18(Thu) 18:44:10 |
【秘】 どこにも行けない ヴェルデ → 暗殺屋 レヴィア (-151) 2022/08/18(Thu) 18:45:41 |
【秘】 どこにも行けない ヴェルデ → 小夜啼鳥 ビアンカあなたがどうして笑ったのかわからない。 それでも、立てつくような言葉を吐いてなお、そんなに悪い気分ではない。 拾った絵本を小脇に挟み、差し伸べられた手を握る。 少年の痩せた手は節くれ立って、二年前よりずっと、大きくなった。 「一回読んだぐらいじゃわからない」 「ばかだから」 そも、その一度読むという行為自体に時間がかかる。 知らない言葉が出てくれば、調べて理解しないと先へ進んだって意味がわからないままで。 ゆっくりと時間をかけて文字を辿り、何度も読み直して物語をなぞる。 そういうことが、必要なのだ。 ゆら、ゆら。繋いだ手が揺れる。 (-154) 2022/08/18(Thu) 19:02:24 |
【秘】 どこにも行けない ヴェルデ → 小夜啼鳥 ビアンカ時間があると思っていた。 根拠もなく。 こんなところでこんな生き方をしていて、それでも、明日が来ることを疑っていなかった。 ——或いは、失うことの恐怖を、苦痛を、まだ知らずにいた。 一歩、二歩。 歩幅を広げて、少年はあなたの隣を歩く。 雑踏に紛れてしまいそうな、不明瞭な声を拾う。 「……ビアンカ」 たよりない女の細腕は、あの日、確かに少年を拾い上げた。 生まれたとき天使だったはずの子供は、 碌に使えもしないこの子供を、あなたは何故か放り出さなかった。 恋の魔法が憎悪へ変わると共にゴミへと堕した。 苛つかせることも多かっただろうし、実際、何度も怒られただろう。 世界の歩き方さえ知らされないまま呪いを背負い、生きて、 けれどそれは、理不尽に当たるあの女の声とは違って。 「あんただって、たぶん、あんたが思うほどばかじゃない」 「だって、あんたのお陰でおれは生きてる」 少年は歩き方を知った。 まだ、あなたのように堂々とは歩けなくても。 少年は人間になった。 それは、あなたと出会ったからだ。 (-261) 2022/08/19(Fri) 12:55:09 |
【秘】 どこにも行けない ヴェルデ → 家族愛 サルヴァトーレ撫でられるとやはり、きゅっと目を瞑る。 何と答えればいいのかわからなくて、開いたり閉じたりする口は。 「……選り好みなんかしてられないだろ」 迷った末に、そんな生意気な言葉を吐く。 大人だなんて言われるのは、こども扱いされているからこそだろう。 その証拠に、すぐに取り上げられてしまうのだ。 翠の瞳が、じとりとあなたを見上げる。 「ああ、またそうやって――」 「これぐらい、べつにヘーキなのに」 なんて、文句を言ったって、もう遅い。 じきに焼き上がるそれを、店主から手渡されることだろう。 「……なんかしてもらうとさ、何も返せるものないのになって思う」 「それこそ仕事するぐらいしか」 (-381) 2022/08/20(Sat) 14:48:02 |
【秘】 どこにも行けない ヴェルデ → 銀の弾丸 リカルド少年は曖昧に笑った。 灰被りに、白雪姫、それから捨てられた兄妹。 母親に虐げられる童話は存外多い。 少年は、もう、それがふつうではないことを知っている。 けれど事実として、ずっとそれがふつうだったのだ。 そしてそれは、もう、なかったことにはならない。終わったことだから。 「……ん」 それでも、取り返しのつかないものばかりでもなかった。 あなたとの交わりの中で確かに欠落の一部を埋め、少年は人間になった。 人間として死ぬことができた。 それはきっと、幸いなことだった。 「ちゃんと読む」 「けど、わかんないことあったら。 ……また、教えて」 結局、根拠もなくそこにあると信じていた未来は失われてしまった。 この物語を最後まで読むことはできなかった。 あなたともう一度、言葉を交わすこともなかった。 だとしても。 (-404) 2022/08/20(Sat) 17:22:40 |
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