19:19:07

人狼物語 三日月国


187 『Ambivalence』

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【秘】 入江 修 → 浅見 律



    空っぽの俺達には戻る場所は無い。
    わかっていても受け入れ難い事実は
    巡り巡って引き合い合うものだ。

    浅見のいなくなった資料室で
    独り電子タバコを吸い込むと

    俺は汗や体液の異臭がまだ残る椅子に佇み
    疲れたようにため息をついた。


(-49) 2022/12/17(Sat) 23:52:31

【赤】 入江 修



    「はぁ、また一から探し直しか。」


(*21) 2022/12/17(Sat) 23:53:11

【赤】 入江 修



    女というのは難しいしめんどくさい。
    前に辞めた生徒…名前は、椎名だったかな。
    あいつはもう飽きたから関係を切ろうとしたら
    すげーヒステリックを起こしたっけ。

    それに比べりゃ浅見は利口なんだろうが
    それでもめんどくさいことには変わらない。



(*22) 2022/12/17(Sat) 23:53:41

【赤】 入江 修



    どうせ耐えきれずに帰ってくるのに
    どうもあいつは無駄な事が好きらしい。

    俺はあいつがこの先向けてくる
    大きすぎる感情を、侮っていたんだ。**



(*23) 2022/12/17(Sat) 23:54:16

【赤】 入江 修



    資料室に浅見を呼ぶのをやめて数日
    俺達の秘め事は外には漏れていないらしい。
    流石というかなんというか。
    本当に期待を裏切らないやつだと思う。

    ただ一つ予想を裏切られたと言えば
    ごく一般的な教師と生徒を演じながら
    ひびだらけの平穏を営む内に
    浅見が時折姿を消す日があったことだ。


(*24) 2022/12/17(Sat) 23:54:51

【赤】 入江 修



    まともに交流しようともしない。
    そんな浅見の行方なんて誰も知らない。
    浅見はどうしたと聞いても
    クラスの奴らは揃って首を傾げていた。

    娘さんが学校に来ていません。
    そんな連絡をしてみても親は知らんの一点張り。
    最初こそ連絡をするようにしていたが
    次第にそれも形式的なものに成り下がり
    浅見を想う意義もなくなっていく。



(*25) 2022/12/17(Sat) 23:55:35

【赤】 入江 修




    誰も知るわけが無い。
    堕ちるとこまで堕ちた女の行末なんて。

    俺の思惑にハマり、
    俺がかけた首輪を外せずに藻掻く有様も
    その結果地獄の釜の底に立ったことも

    まさか思うまい。
    とんだくだらない逆恨み同然の憎悪の感情が
    まさか教壇越しに俺に向けられているなんて。




(*26) 2022/12/17(Sat) 23:55:52

【赤】 入江 修



    浅見との密会がなくなってからしばらく
    先にその切れた糸を辿ってきたのは
    俺ではなくやっぱり浅見の方。

    想像した通りに事が進むと
    警戒心が薄くなるのが人間の性。


    何の変哲もない日常に擬態するように
    互いにしか分からない暗号を口にされれば
    その本当の意味を理解しているのは俺だけだ。


(*27) 2022/12/17(Sat) 23:56:19

【秘】 入江 修 → 浅見 律



    「あぁいいよ。どのへん?」


(-50) 2022/12/17(Sat) 23:57:02

【秘】 入江 修 → 浅見 律



    参考書を覗き込むふりをして
    俺はそのメッセージを読み取る。

    ほらな、俺の言った通りになっただろ?
    …今にして思えば俺も滑稽だな。



(-51) 2022/12/17(Sat) 23:57:34

【赤】 入江 修



    この資料室に来るのも久しぶりな気がする。
    ネットでなんでも書籍を引っ張れる昨今、
    浅見の相手をする以外でこんな場所使いやしない。

    資料室に入ると珍しく俺より先に来ていた浅見が
    矢継ぎ早に本題を切り出すと
    浅見の悪意に気づきもしない俺は
    ソファーに腰かけながら笑って


    「おいおい、俺にして貰えなくて
     そんなに寂しかったのか?」


    と浅見を煽る。
    これからまた前のように俺の声で
    また秘め事に耽ることになるのだと。


(*28) 2022/12/17(Sat) 23:58:10

【赤】 入江 修



      そう思っていたのに。



(*29) 2022/12/17(Sat) 23:58:38

【赤】 入江 修



    「んん……って、おい、がっつきすぎ…、っ!?」



    強引に唇を奪われると
    流石に俺も驚いて離れようとするが
    いくら男女の体格差があろうとも
    上を取られると押し退けるのは簡単じゃない。

    いままでの比じゃない程の激しいキスに
    俺が違和感を感じ始めた時には
    何か塊が押し込まれて
    無理矢理喉奥に流し込まれてしまっていた。


(*30) 2022/12/17(Sat) 23:59:58

【赤】 入江 修



    「
けほっ…
おま、なに、やって……。」


(*31) 2022/12/18(Sun) 0:00:30

【赤】 入江 修



    俺は思わず浅見を睨む。

    けどその先の事が記憶にはない。
    当然だ。だって俺は──────。**



(*32) 2022/12/18(Sun) 0:00:44

【秘】 浅見 律 → 入江 修



  あなたの教える科目で質問なんて
  本当は何もない。
  だって、読めばわかりますから。
  せいぜい、もらいそびれたプリントを貰って
  テストの範囲を言ってたのならそれを聞いて?


  だから、指差したのは参考書に挟んだ
  私からのメッセージで。

  
ほらね、私の思い通りになってくれたでしょう?


  
(-52) 2022/12/18(Sun) 1:40:33

【秘】 浅見 律 → 入江 修



   「安心してください。
    あなたにイイ思いさせてあげますから。」



         
あなたの人生が壊れるまで、ね。


  
(-53) 2022/12/18(Sun) 1:44:38

【赤】 入江 修



    淡々と微笑む目は

        俺の知る浅見の目じゃない。


(*48) 2022/12/19(Mon) 0:15:15

【赤】 入江 修



    失うものがなくなったやつの狂気は
    常人じゃ推し量ることさえできない。

    目を覚ますと俺はソファーに寝ていたが
    その違和感に気づいたのはすぐのことだ。

    両手と両足が、動かせない。
    よく見れば縄が俺の肉に食い込んでいた。
    もちろん犯人なんて一人しかいない。



(*49) 2022/12/19(Mon) 0:15:40

【秘】 入江 修 → 浅見 律



     「っおい、なんの真似だ…!」



(-54) 2022/12/19(Mon) 0:15:54

【赤】 入江 修



    目を覚ますと同時に俺は身を捩らせる。
    しかしそんな赤子のような抵抗は意味をなさずに
    浅見が膝の上に乗ってくればもう動くことも出来ず。

    まるで獣をしつけるような手つきで
    身につけていたスーツを剥がされていくと
    ひび割れた台詞に俺は寒気すら覚えてしまう。
    >>*44>>*45



    「お前……。
     そういうこと言うキャラじゃない、だろ…。」


    何かは分からない。
    でも何かを企んでいなければ
    浅見律という女はこんなことはやらない。

    しかもその何かを考える時間すら
    浅見は俺に与えるつもりじゃないらしい。



(*50) 2022/12/19(Mon) 0:19:18

【赤】 入江 修



    耳元で囁く姿はまるで悪魔だ。
    狩る側から狩られる側に落ちる恐怖を
    俺は今、もっとも最悪な形で味わっている。
    耳を嬲るなんて俺の教えていないことを
    慣れた手つきでやられてしまったのだから。



    「っはは、傑作だ…。
     さんざん仕込まれた腹いせか知らねぇけど
     この期に及んで新しい性癖開拓か?」



    俺が浅見に散々そうしてきたように
    その報復にも思えて仕方がない。

    しかし身体は正直なもので
    肌で感じた柔らかな感触が身体に熱を与えると
    ちょうど浅見の身体の下で
    ほのかに硬く主張をし始めてしまった。*

    
(*51) 2022/12/19(Mon) 0:20:09

【赤】 入江 修



    浅見の親に連絡をした時に
    親が俺に対して言ってきたのは
    うちのがすみませんという棘のある言葉だ。

    子、と呼ぶことすらしないのか。


    あの日から何度も続いた無断欠席も
    あの親は気にも止めやしない。

    携帯も持たない浅見は
    文字通り闇夜の中へと消えていった。



(*61) 2022/12/20(Tue) 17:50:34

【秘】 入江 修 → 浅見 律



    他人の手垢まみれの子犬が帰ってくりゃ
    その粗相にもあらかた目星がつく。



(-57) 2022/12/20(Tue) 17:51:30

【赤】 入江 修



    「はっ。他のオス共は
     リップサービスのやり方までは
     教えてくれなかったのか。」



    リップサービスは本来相手に悟らせないが
    半端な男じゃできるわけもない。

    俺以外に教えられるやつもいなくて
    極端に腕だけ磨かれたその醜態は
    人に恵まれなかったやつの哀れさそのものだ。


(*62) 2022/12/20(Tue) 17:52:48

【赤】 入江 修



   捨てられたと思った浅見は
   地べたを這いつくばりながら
   ゴミ捨て場に流れ着いて
   壊れたまま今此処に戻ってきている。

    言葉の裏は知らないくせに
    人間の裏側だけはよく知ったらしい。



    「喚かせられるぐらいやってから言えよ。」


   身体の主張とは裏腹に。
   見下ろす浅見に向かって吐き捨てると
   布越しに与えられる柔らかな感触に
   俺は思わず顔を顰めていた。


(*63) 2022/12/20(Tue) 17:53:40

【赤】 入江 修



    「そんな、わけ…ねぇだろ…」



   嘲笑う浅見を思わず睨んで。
   だが検めるような唇と
   弄ぶような指先に身体が震えてしまう。

   触れる髪先が
   女豹という嫌な意味で
   浅見をいい女に仕立て上げていた。



(*64) 2022/12/20(Tue) 17:54:30

【赤】 入江 修



    その言葉に説得力がないことは
    浅見も分かっているらしく。

    こっちが崩れるのを待ち侘びているのか、
    両手で包み込まれ舌先をあてる仕草を
    まるで見せつけるようにやってくる。

    自分の女としての良さを自覚してなきゃ
    できないやり方だ。
    手つきもそうだが、それ以上に
    立ち振る舞いや空気が変わっていた。



(*65) 2022/12/20(Tue) 17:55:34

【秘】 入江 修 → 浅見 律



    「良い女に、なっちまったなぁ。お前。」




(-58) 2022/12/20(Tue) 17:56:49

【赤】 入江 修



    どこか虚しさを感じて
    浅見の手の中でそそり立たせながら
    俺は小さくため息をついた。*


(*66) 2022/12/20(Tue) 17:57:50
 




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