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【秘】 花で語るは ソニー → 害のない毒 マキアート「優しいからカフェのことは好きだよ」 本心ではない軽口も、相手がそれを気軽なものだと理解してくれるからこそ言える。 相場として問題ない程度の金は支払っているといったって、この時間は自分のために使わされる。 ひょっとしたら同じだけの時間で想定以上の稼ぎを得られるのかもしれないのだから、 我侭を聞いてもらっている分は相応に報いなくてはならない。 衣服越しの陽物を擦られれば、布越しの刺激にじんわりと集中が向く。 意識を向け、与えられるものに集中する。ァ、と吐息混じりの声を漏らした。 尻肉の圧に押し潰された足の付根の間へ押し付けられるように、 血の集まり始めた肉が詰まって、巡る欲の温度を伝える。 「いいよ、不用意に"手"は出さない。ぜんぶカフェに任せる。 いつものお礼だと思ってさ、オレのことめちゃくちゃにしてよ」 両腕は後ろ手に、己の手首を掴まえるように固められる。いつまで耐えられるだろうな。 そうは言ったけど、まったく大人しくしているとも言った覚えはない。 背の高い背中を見上げる視線は、膝の高さも相まって平行には通わない。 ほんのりとある恨めしさと肌の暖かさへの嬉しさを込めた目は、ぱちぱちと瞬きをして。 際から見える肌を啄むように口付け、唇でインナーを引っ張る。 密着した股に押し付けられ、相手の動きに合わせて身動ぐ尻の刺激に耐えかねるように、 時折目を閉じてふうと息を吐いた。 焦らされる仔犬がもっと、とねだるように上体を背中に押し付けて、 もっと多くの刺激を欲しがるように前髪を首筋に擦り付けて、喉の上側で切なく鳴いた。 (-32) 2022/08/12(Fri) 15:59:15 |
【人】 花で語るは ソニー>>1:81 ヴィオレッタ 「そう? 嬉しいな。オレは結構自分の仕事に誇りを持ってるつもりだから。 誰かから見た時にそう見えているのは、うれしい」 部下というには年も近く、位に厳密なそれ以上の違いが大きくあるわけではない。 目下、というのがやっと正しさを帯びるだろうくらいの相手に、ぱっと笑いかける。 他人から見て尊敬できる人間であるというのは、世辞でも嬉しい。 そんなこんなと会話しているうちに、グラスの中身はあと二口、三口。 それをぐぅっと飲み干すと、自分のぶんの支払いに相手の一杯ぶんくらいの色を付けて、 カウンターの奥側へと軽めに投げ出した。そんなに大した金額でもない。 問答が始まってしまう前に、ガタガタと椅子から下りて少ない荷物を背負う。 「けれどそろそろ、オレもヴィオレッタのことを独占してちゃ大変だ。 バー中のひとたちから非難の目を受けてボコボコにされちまう。 今度会う時は賭場でね。オレも給料握りしめて会いに行くから!」 さながら傍から見たなら、高嶺の花と不相応なファンといった佇まいで締める。 帰りがてらの短い道で何度も何度も手を振りながら、店の出口を潜る。 本当に顔を合わすのは、賭博場ではなくアジトになったけれど、それは今はわからない話。 (5) 2022/08/12(Fri) 17:19:06 |
【秘】 花で語るは ソニー → デッドヘッド ヴェネリオ今までにこうしたことはあったのかどうか。 ひょっとしたらこれまでの二十年近くを我慢していられたから、 こうして簡単に貴方の懐に踏み込めたのかもしれないし、 或いは幾度となくこうして、腕の中に滑り込んでいたのかもしれないし。 どちらにしたって、返答があれば何ともまっすぐに過ぎる喜びに目元を緩ませた。 貴方がどう扱ったとしても、さほど気のない一手で簡単にこういう表情が引き出されてしまう。 それが慈愛にせよ謀略にせよ、貴方にとっては簡単に突き崩せてしまうように、見える。 「嬉しい。……ありがとうね。 オレ、車回してくるから! あとでお店教えて、すぐにそこまで迎えに行く!」 ぱっと離れて配達車のほうへ駆けていく。 約束をしたそれが守られる筈のものであり、そのまますっぽかされるとは思いもしない。 ――どこまで見たままの無垢と信頼であるかを考察するのは自由。 結局は敵対するファミリーの人間なのだと、いつでも手を離す権利が貴方にはあるのだ。 「……オレ、聞いちゃったからね。今晩は付き合ってくれるって」 得意げにちょっと笑って、運転席へ身を滑らせる。間もなく車は発進するだろう。 その後、連絡を入れてきちんと待ち合わせに応じるにしても、 このまま何も言わずに別れてしまうのも。 決定権は、貴方の手の内に。 (-41) 2022/08/12(Fri) 17:47:45 |
【神】 花で語るは ソニー【アルバアジト】 「スナイパーライフルのようなもの、ね」 巡り巡った些末な継ぎ接ぎは、その内に確かな情報源を得て。 信頼性のあるものと成ってからようやく、アジトの中へと持ち込まれた。 人気のない路地。場所がわかったなら、入射角度や何からポジションは割り出せる。 が、普通はイベントのような目立つ場所や、常駐している場所を狙うものだ。 相手が特定の個人である以上、本来であればそれに追従するように配置するのが正しい。 「誘い込んで手引きした人間がいるのか、武装が誤認させるに相応しいものだったか。 やたらに疑うのもな。可能性だけは残して、前者と見て動くべきだろう。 弾道だけを偽装したって、傷口周辺の熱や破砕された片まで再現することはできない。 頭は丸みがある。それに案外撃ち抜いても死亡に至らない……時間が間に合えばね。 "生きている"という事実上の報告だけして、植物状態のボスを玉座に座らせたまま、 組織の機能が解体されるまでの時間を引き伸ばされる事態を防ぐためなんだろう。 確実に死んでもらわないといけなかった、と見える」 つまるところ、おおよそそれそのものとしていい情報、その筈だ。 現場や遺体を見た、直属だろう人間の見立てがよほど下手を打っていなければ、だが。 その場に集まった人間はどれくらい居たものか。昨日の限りじゃ、そう多くもない。 それでも熱心に顔を突き合わせに来た人間には、軽口程度に話はしておくだろう。 「可能な限り簡単に他人に連絡する用意だけはしとくべきだな。 上層部一人ひとりにアップルウォッチでも着けさせる?」 (G7) 2022/08/12(Fri) 18:15:44 |
【秘】 花で語るは ソニー → 風任せ マウロ【街中】 それは貴方が祭りの風景を横目に歩いていたときか、 それとも喧騒を避けてひとつ逸れた道を歩いていたときか。 どちらにせよ全く外の街路を歩かない、なんてことはないだろうから、 只々貴方にとっては運の悪いタイミングだった、というだけの話。 騒ぎ言葉を交わし合う人々の戯れの中からひとつあぶれて飛び出してきたものが、 瓶ビールを両手に持って、ひょいと貴方の前を横切りかけた。 それに対して警戒を向けるも、考えに耽りそれどころではないも、貴方の状況次第だろう。 けれど、 「おっとごめんよ! お兄さんも楽しんでる? そんなに渋い顔してないでさ、楽しもうよ! もうすぐレースが始まるって!」 明るく声を掛け、飛び出してきたそのままの勢いで絡む顔は陽気に笑っている。 男がアルバの傘下にあると知っているものはそうそういない。 その上で、貴方が目敏く耳聡いならばその情報が入っているかもしれない。 とにかく言えるのは、この場では両手さえも塞がっている男は、 ただ貴方を遊びに誘いたがっている、そう見えなくもない、それだけ。 (-50) 2022/08/12(Fri) 20:34:28 |
【秘】 花で語るは ソニー → 鳥葬 コルヴォ【港の埠頭】 「お兄さんも、釣り? って感じじゃあないか」 果たして貴方に話しかける声があったのは、誰某れと言葉をかわした後か。 どちらにせよ日の傾き始めた港はすっかり漁師以外は上がり、人の影は見込めまい。 とはいえ声までは届かずとも大きな動きがあれば目に留まる。 それくらいの人目、人の在り具合だ。 「オレのほうは仕事帰り! 漁師のおっさんから聞いたんだけどさ、このくらいの時間って朝と同じくらい釣れるらしいよ。 回遊魚が集会してくる時間がちょうど朝と、夕のこれくらいなんだって。 この時間荷運び手伝うと、ちょっといいやつ食わせてくれんの」 へへ、と笑う顔を向ける男が裏社会を歩く人間であることは、 その中でも余程に目鼻の利く者しか知らない話。相手がそのどちらかは、知らないが。 おそらくは少し場違いに見える姿が気になって話しかけたのだろう、 そういうふうにも見える。実情はどうだろうな。 (-55) 2022/08/12(Fri) 21:32:15 |
【秘】 鳥葬 コルヴォ → 花で語るは ソニー「死んじまった奴を悼んでたのさ」 徐々に鷗達の鳴く声も過ぎつつある港の埠頭。 返る言葉は、あなたと対照的に陰のあるもの。 夏らしくラフな格好であるとはいえど、 喪服じみた上下黒の装いには、随分妥当なように見えるだろう。 「この時期は、どうにも水難で行っちまう奴が多いでしょう。 釣りが趣味の知り合いは居るが、 俺はどうにも海で息抜きって気にはなれないな。とはいえ」 「辛気臭い面があって悪い事をしましたね、あんたには」 自分はそうでないだけで、人のそれを否定するつもりは無い。 はきはきと言葉を連ね、人懐こく笑顔を向けるあなたの方へ 徐に振り向いて、あまり重みのない詫びをひとつ述べた。 あなたの方が歳は上であるという事は、知る由も無い事だ。 そして、その笑顔が真であっても、偽であっても。 あなたが誰であろうと、今はどうでも良い事だ。 ここで海の死者を悼むというのは、もっともらしく思えるだろう。 何処ぞのボスの死を悼んでいるというよりは、よっぽど。 言葉に嘘の気配は無い。事実嘘は言っていない。 陰のある男は、少々変わり者のように見えるだろうけれど。 全てを疑ってかかっていてはきりがないだろう。誰だって。 あなたが詮索をしないなら、こちらにも詮索する理由は無い。 これはきっと、たったそれだけの話だろう。 (-61) 2022/08/12(Fri) 22:21:40 |
【秘】 花で語るは ソニー → 鳥葬 コルヴォ「ああ……? それは、ご愁傷さま。気の毒なことだね」 虚を突かれたように目を瞬かせるも、見ず知らずの人間の死には哀悼を示そう。 今はまだ、相手が何者だか知らないつもり。もしくは本当にまだ知らないか。 それは相手が裏社会でどういう人間であるかに委ねられてしまうのだろう。 名さえ聞いたなら噂は聞いたことはあれど、個を持たない彼のことまでは知らないかもしれない。 かりそめの事情を聞いたなら、見上げる視線には同情めいたものが乗る。 実際にどれだけ情が乗っていようが、他人のそれは他人のそれ。 肩口ほどから見上げる表情は幼さもあり、時折見せる表情はハイティーンのようですらある。 この場で年上ぶろうってつもりもないらしいので、認識は年下に向けるそれで十分だろう。 「いいよ、憂いてる人の顔は切なくて好きだ。 けれどそうだな、オレもお兄さんの笑っている顔は見たいし、 見送られる人だって、最後にきれいなものが見たいんじゃない?」 口説き文句混じりの励ましがどれだけ受け止められるものやら。 なんの目的で声を掛けてきたのか、軽口を軽薄な笑顔が飾る。 気楽に振る舞うように足元にしゃがんで空を見上げ、 膝くらいの高さから相手に向かって話しかける。に、と満面の笑顔つき。 篭絡しにでも来たんだろうか。 (-63) 2022/08/12(Fri) 22:56:08 |
【秘】 鳥葬 コルヴォ → 花で語るは ソニー「どうも。あいつらも少しは浮かばれる事でしょう」 他人の死に態々哀悼や同情を表す様子には、お優しい事だと笑う。 あどけない律儀さに嫌悪は無く、けれど少しの呆れはあって。 その態度が形ばかりの可能性があるなんてのは、互いに同じ事で。 随分前の事だったのか、声色もどこかあっけらかんとしたものだ。 単純に既に割り切っている事であって、やはり嘘の色は無い。 掃除屋コルヴォ・ロッソは、弔われない死体を始末するものだ。 故に花屋に知り合いもありはしない。 敵であろうと生者に関心は無く、 つまりはあなたの裏の顔など知る由も無い事だ。 そしてあなたも、この男が人知れず行う仕事を知らない。 たとえ建前であっても、その均衡を保ち続ける限りは。 今この場で事を構えたいわけではないのは、きっと互いに同じ事。 そうであるなら、話す内容は何処までも他愛無い雑談でしかない。 (-74) 2022/08/13(Sat) 0:16:44 |
【秘】 鳥葬 コルヴォ → 花で語るは ソニー「そりゃいいね。俺としても、 陰気臭いだの文句を言われるよりはそれがいい。 とはいえ、死んだ奴にくれてやるのは──」 一度言葉を切って、足元にしゃがむ青年を見遣る。 見下ろす笑みは変わらず陰気なものだけれど、 これはあなたの望みに適っただろうか。きっとそんな事は無い。 何せ誰の為でもないのだから。 軽口を、励ましを、間に受けてはいない。 ただ調子を合わせて、その場限りの他愛無い話をするだけ。 事実ここまでの言葉は実に心にも無い事だけど。 きっとあなたは気にしないだろう。気にするなら、少し意外だ。 「墓石と、手向けの花だけで十分だ。それと」 「パスカル。その呼び方は、どうにもこそばゆくて仕方ない。 随分口の上手いあんたの名前も、良けりゃお聞きしたいもんだ」 当然偽名だ。名もなき掃除屋には、本名なんてものは無い。 掃除屋のコルヴォ・ロッソではない、ただの一般人としての名だ。 あなたがこの男をただのパスカルとして扱う限り、 この日以降も、その場限りの実に他愛無い話は続く事だろう。 (-75) 2022/08/13(Sat) 0:17:20 |
【秘】 風任せ マウロ → 花で語るは ソニー【街中】 であれば、この青年は丁度愛車を降りたところ。 いつものように世話になっているバーへ向かっているところだったのだろう。 吸ってこそいないものの、煙草の匂いを纏わせて道を歩いていた。 何かが目の前を横切ろうとしたのが視界の端に映ったのなら、たたらを踏んで ぶつかるのを避けたことだろう。 それから、君の持つビール瓶を見てその選択が正解だったことを悟った。 そして、眉間に皺を寄せた。まさに君が言った通りの渋い顔。 「ああ…? レースなんか興味ねえよ、もっと祭りに乗り気な奴いるだろ」 例えば、古馴染みのナンパ男だとか。 言ったところで相手の知っている人間ではないだろうから、口には出さないのだが。 そして、青年自身も情報には疎い。 君のことは今ここでたまたま出会った者同士だ。 一緒にいても楽しませられるような人間でないことは見ての通りだ。 青年はそのまま断ってバーに行こうと、君を迂回してバーへ向かおうとするのだろうが。 声を掛ければまだ引き留める事は出来そうだ。 幸い、君の手には彼の求めているアルコールもある。 (-78) 2022/08/13(Sat) 0:53:22 |
【秘】 デッドヘッド ヴェネリオ → 花で語るは ソニー「やれやれ……一体誰がこんな風に育てたんだか」 我慢させていた分、甘やかしてやりたいの感情は確かにあった。 如何せんこの時勢だ、裏切りが許されない世界に身を置いている時点でこの縛られた振る舞い方をわかっていたのに。 どうしてここまで迷わなくちゃならないんだ。 ここで約束を破り捨て何も瑕は残らない。 鈍い思い出として花弁に乗せれば風に吹き飛ばしてしまえばそれでいい。 「お人好しな野郎だぜ」 この手でその首を手折る自分を幻視した。 ナイフで刺した返り血が手にこびり付いていた。 煙のにおいに混ざって鉄さびが鼻についていた。 死神が笑って手招きをしているのを。 容易に想像ができてしまった。 『今夜は行けなくなった』 Kalanchoe、Daisy、Lisianthus、Stargazer、Iris、…… -Ti auguro tanta felicità.- 待ち合わせを約束した店には、差出人の無い季節の花束が一つ置き去りにされていた。その日は一日中ヴェネリオが現れることはなく、貴方は待ちぼうけを食らってしまったかも知れない。 もし不運なことが起きて再び出遭ってしまうことがあれば、そのときは――。 無神経な連絡を届けたその端末は、電源が落とされ暫くの間繋がることはなかっただろう。 (-93) 2022/08/13(Sat) 5:58:08 |
【秘】 花で語るは ソニー → 銀の弾丸 リカルド男が相手の姿を見つけたのはまだ興奮冷めやらない表通りの只中、 あるいはタイミングによってはバーで誰かと話したあとのことだったかもしれない。 どちらにせよ宵の口の、昼間の太陽を人工の明かりが肩代わりし始めた頃。 遠景の暗さは仕方ないにしても、手元の明るさにはそう変化はない。 人混みは点在し、行き交う人々もそれなりに。 そうっと近づくことは出来ても、無計画で散発的には不用意なことは出来まい。 あれだけ漂っていた煙草の匂いは今じゃそう深くはない。 立場上、いつも特徴的な匂いをさせているわけではないのだろう。 男の呑んでいる煙草自体も、シガリロとしては珍しい品物ではない。 少なくとも不自然に気配を消しもせず、控えめな足音があり。 人が近づいてきていることは、感知出来るくらいのものではあったんじゃないか。 「お兄さん! ああよかった、いつも栄養剤取り寄せてくれるお兄さんだよね、植物の。 こんなところにいることもあるんだ、お兄さんも祭りを楽しみに? ダメだよそんな堅苦しい格好しちゃあ、ね、今時間あるの?」 ぶつかるみたいに話しかけてきた顔は、"花屋のソニー"のほう。 見上げる表情は、取引の場とは別人のような人懐っこい微笑み。 顔はほんのり赤らんで、呼気には酒気も混じっている。 相手を見つけるや否や声をかけると、ぱ、と手を広げて喧騒の方へと誘い込んだ。 (-96) 2022/08/13(Sat) 8:51:17 |
【秘】 花で語るは ソニー → 鳥葬 コルヴォ喩い上っ面ばかりの言葉であったとして、それさえ繕わない言葉を吐く必要もない。 男は組織で得た役割上、他者に融和して協調性を示し、良き隣人として振る舞うに長けていた。 他人と社会に望まれる態度を振る舞うことの出来ない人間に裏稼業なんてのは出来ない。 人間誰しも己の思考は外に出す時に糊塗するもの。その裏を探り、突く方が野暮だ。 街の潮風に簡単にかき消される程度の、生花のみずみずしさを伴った香り。 身振り手振りの多い話しぶりのたびに、季節を思わせる蜜の匂いが柔らかく風に乗った。 蹴り転がされても海に落ちないくらいの位置では在りつつ、海面を見下ろして眺むる姿は、 素性はどうあれ男が普段何と戯れているかを思わせるには、十分だった。 見上げた先の表情に曲がりなりにも変化があったなら、 男はそれが形ばかりのものであるにも関わらず、満足そうに笑って返した。 こちらは目を細めいっぱいに口を引き伸ばし、文字通りの満面の笑みだ。 「それなら、多少はご用向も聞けるかもね。オレは表の通りで花屋をやってるんだ。 ああもちろんオレの店じゃないよ、従業員ってこと。 ソニーだよ。ソニー・アモリーノ。名前教えてくれて嬉しいな。お近づきになりたかったから。 賑やかな時でも厳かな時でも、いつでもウチの店にご用命ください!」 相手の素性は明確に知っているわけではない。 影のある振る舞いから、市井や祭りに足を運ぶような人間ではなさそうだとはわかるかもしれないが。 それでも、構わない。今出会った、今目の前にあるものを踊りに誘うように。 立ち上がり、握手を求める手はやっぱり、生花の濡れた匂いがする。 (-107) 2022/08/13(Sat) 14:30:00 |
【秘】 花で語るは ソニー → 風任せ マウロ少し眠たそうな垂れ目は相手の顔を見て、二、三秒。 まるでさも、相手の面相に目を瞠ったみたいにいっそうに愛想をよくする。 それこそ改めて見初めたみたいに、ニコニコと笑いながら言葉を続ける。 「そう? 結構面白いと思うけどな。ルール無用の競馬レースだって。 十頭が一度に並んで、騎手への妨害もアリの一斉競争、 前回は騎手が落馬したまま一位を勝ち取ったチームがあったらしいよ」 実際の年の頃自体は相手とそう大きく変わるわけではないが、表情の幼さは一層男を若く見せた。 光の当たり具合によってはハイティーンと見込んでしまうくらいには、あどけない。 悪く言えばつまるところ、落ち着いたところが少しもないように見えるということだが。 さっさと先を急ぐ相手を追うように、背の低い男は後に追い縋る。脚の長さの違いを埋めるのは大変だ。 「ちょうど誘ってた相手にフラれてすっぽかされたところでさ。 お兄さんさえ良ければ付き合ってほしいんだけど、どう、ダメ? ノッてくれるんだったら今晩呑んだぶんは全部奢っちゃってもいいけどな〜」 ダメでもともと、あれこれとオトクな情報を絡めて隣に並ぼうとする。 撒こうとすれば撒けてしまえそうにも思えるが、あともうちょっとだけは食い下がりたいようだ。 (-108) 2022/08/13(Sat) 14:53:53 |
【秘】 花で語るは ソニー → デッドヘッド ヴェネリオ――……結局その日の夜に店の前を訪れた男は、 花束を握りしめ、店の扉を何人もが出入りをして、 店の明かりが消え、店員が片付けも済ませて、 追い払われて尚、扉の横に座り続けて、街の明かりが一つずつ消える。 日が暮れても尾を引いていた祭りの気配が、月の落ちるごとに薄くなって、 朝日が地平線の底に見え始め、空がうっすらと白んでくるまで。 ずっと、ずっと。誰かを待っていた。 街の半分を敷く顔役、彼が舞台から降ろされてしまって、 今や誰に次の銃口が向くかもわからなくなった、ある日のことだった。 (-110) 2022/08/13(Sat) 15:51:41 |
【秘】 花で語るは ソニー → デッドヘッド ヴェネリオ/* 強い筋肉の描き方です。 一応ご確認したいのですが、今後別日にてヴェネリオさんに会いに行くこと自体は、 キャラクターおよびプレイヤーとして問題のないものでしょうか? 何かしらの懸念であったりご都合よろしくないようであれば、 こちらあまりしつこく話しかけるのは控えようかと考えております! あまり無理せず、正直ベースでご回答いただければ幸いです……! (-111) 2022/08/13(Sat) 15:53:47 |
【秘】 銀の弾丸 リカルド → 花で語るは ソニーそれは、バーを出て歩いていた時だっただろう。 不意に後ろから近づいてくる気配を感じて振り返った。 殺意などは何もなく、特別な気配みたいなものもなかったから誰かと思ったが、顔が見えればそれがすぐに誰かなんていうのはわかるもので。 ――これは、花屋の方か。 花屋の貴方が気さくな少年のような男であることは調べてわかっているが、実際に見るとまた趣が違う。 普段の、マフィアとしての顔しか実際には見たことがなかったから、違和感がすごいのだ。 「な……っ、あぁ。君は、花屋の…… このあたりに来たのは初めてなんだが……思った以上に賑わっていて驚いた」 とっさのことではあるが、若干の苦笑いで応対し、貴方の出方をじっくりと見ている。 何せここには第三者の人間は周りに大勢いるとはいえ、部下を連れ歩いていないのだから。 「時間は……まぁ、なくもないが……?」 吉と出るか凶と出るか。 それでもきっと、こうして互いに顔を合わせに来たということは何かあるのだ。 そんな風に察すれば、行くしかない。 ふぅ、と一つ息を吐いて、それから困ったなと苦笑いのまま、あなたの後を着いていくだろう。 (-116) 2022/08/13(Sat) 17:22:16 |
【秘】 デッドヘッド ヴェネリオ → 花で語るは ソニー/* 連絡ありがとうございます! 別日に会いに来るのロールはキャラクター、PL共に問題ありません。 また役職は確定した死を取り扱うものでもなく、これから行う不穏は全てRPの要素になります。 この先、流れにもよりますが幹部として武器を向けるロールをする可能性があります。 PLは死亡または負傷目的ではありませんが、キャラクターは害意を持つRPを致します。確定の回避ロール及び対処は幾らでも可能ですので何か不都合がありましたら避けるか、連絡をしてくださると幸いです。 (-119) 2022/08/13(Sat) 17:35:11 |
【秘】 花で語るは ソニー → 銀の弾丸 リカルド振り返った際に垣間見えた動揺を見てとれば、少しだけ可笑しそうにした気配もあった。 けれどそれだって不自然なものじゃない、取り繕うさまを至って自然に見て取った感想。 まるで市井の人間と同じ目線に立ったことがないかのようだ。 「初めて地上に下りてきた? 下界を案内しましょうか、御使様。 なんてね、普段だったらもう……小指の先ぶんくらいは穏やかだよ。 今は祭りだから安全な範囲が広がってる、ようにみえるんじゃないかな」 やや末尾に含みをもたせるのは、自分たちにとってはそうではないことをお互いわかっているから。 件の下手人についてお互いどれだけ掴んでいるかはまだわからないつもりでも、 "彼"の逝去が自分たちのみならず、民間をどれだけ危険に晒すものかも理解しているからだろう。 本当は安全な場所なんてない、いつもよりも、ずっと。 「だったらさ、オレがちょっと見繕ってあげようか。 人の波にしっかり紛れられる服装、知っておきたいんじゃない? もう祭りの様子は見に来ないってなら関係ないかもしれないけどさ」 発した物言いそのものは、突拍子なく感じたかもしれない。 男の方だって相手が今まであちこちで言われた言葉を聞いたわけではなく、 ただただ今見た所感だけの話だったはずだ。或いはどこか遠くから姿だけ見かけたのかもしれないけれど。 とにかく言葉巧みに言いくるめて、貴方が普段入るよりかは品格もずいぶん違う紳士服の店に入る。 もう閉まりかけの店は多少顔なじみなのか、ちょっと小言を言う以上には止めはしなかった。 「急にラフな格好しろって言われたって無理でしょ。 でも人目に一番つく上だけでもカジュアルに替えたら、ずいぶん印象変わると思うよ。 そのジャケットを羽織ってもいいような色だと、白とか浅めの色のポロシャツとかどう?」 (-132) 2022/08/13(Sat) 19:04:00 |
【秘】 花で語るは ソニー → デッドヘッド ヴェネリオ/* 了解しました! ご説明いただいた事項について、こちらは一切問題ありません。 こちら割と押せ押せで運ばせていただいていたので、 一度確認したほうがいいかな……と思いご連絡したものとなります。 お時間・お手間いただきましたが、改めてよろしくお願いいたします。 (-133) 2022/08/13(Sat) 19:06:56 |
【秘】 花で語るは ソニー → 情報屋 ロッシ街行く人間、人混みですれ違うものの歩容。 ひとつひとつの中から、誰に目をつけるべきかを選別する。 されど相手がどんな人間であるのか、疑いだけで引き金を引くことは出来ない。 だから、狙いを定めるのはまずその人間がどういうことをする立場にあるのか、 己でも情報として確実に握れている相手だ。 本当は、探すべきはソレではないのを知っている。 自分が追いかけるべきは、仇か或いはそれを討った第三者であるのに。 何に対して解消されないわだかまりをぶつけるべきなのか、わからないでいる。 覚えた顔、覚えた声。歩む背中を追うように、彼の姿を追っていく。 /* お疲れ様です。樹木子です。 セットしている役職行動についての連絡に参りました。 2日目夜の監視対象に、『マウロ』をセットしております。 不都合等々ありましたらご連絡ください。 お手数ですが、よろしくお願いいたします。 (-135) 2022/08/13(Sat) 19:31:00 |
【秘】 鳥葬 コルヴォ → 花で語るは ソニー愛想のない男は、人様の為の言葉を持たない。 けれど、決して自分や所属の不利益になるような事はしない。 それさえ同じ相手となら、関係は少なくとも悪化する事は無い。 ぱたぱたと忙しなく動く手振りや表情を随分と下に見遣って、 花の綻ぶような笑顔にはやはり何処か荒んだ笑みを返した。 親切に視線を合わせる為に腰を折りこそしないが、 あなたが不用意な事さえしなければ、海に蹴り落とす事は無い。 陰気な男からは、今は不吉さを感じさせるような臭いはしない。 柔らかな生花と対照的な、何処か退廃的な煙草の臭いだけだ。 「ソニー・アモリーノ。良い名前ですね、花屋のソニー。」 「俺は死んだ奴を悼みはするが、花には疎くてね。 選ぶ時はいつも店員に任せきりだ。 あんたが今みたいに親切に対応してくれるんなら、 そのうち顔を出す事にしますよ。」 ただの花屋として握手を求めるなら、 それに応えないのは、それこそ無用な波風を立てるというもの。 けれど無闇矢鱈と勘繰るような事をしないだけであって、 その実まるきり信用し切る事もできはしないという事は 恐らくはきっと、お互い様というものだろう。 何処まで本気かわからない言葉を返し、こちらも手を差し出す。 黒くそれなりに厚みのある手袋に覆われた手は、 互いに害を及ぼさない距離を保った今の関係を表すようだった。 (-137) 2022/08/13(Sat) 20:23:21 |
【秘】 蜉蝣 アベラルド → 花で語るは ソニー貴方の勤める花屋の店先。 今日も変わらず、いつも通りの時間に来た男はショーウィンドウに並ぶ花々を眺めていた。 飽きもせずにこうやって足を運んで決まって一輪だけ買っていくなんて客、店員に顔を覚えられているに違いない。 勿論貴方はこの男を知っているだろうが、貴方が同じファミリーの人間でなかったとしても、きっとそうだ。 今この店内にあなたの姿はあるだろうか。 どうあれ、アベラルドは店員に──店員の姿は見えていないので、おそらく店員がいる方へ向けて──「すみません」、と声を掛ける。 目当ての花を見つけたようで、それを一輪、取ってもらおうと。 (-144) 2022/08/13(Sat) 21:02:30 |
【秘】 情報屋 ロッシ → 花で語るは ソニー/* 御機嫌よう、運営です! え? これ独り言ソロールとかに埋まっていていいやつじゃん。 秘話開いてびっくりしちゃったテンション上がる〜〜〜〜↑↑↑ 合理性だけで動けないよな人間。いとしいね…! 中身が出ていますがそれはさておきまして。 はいな確認しました、セット先問題ありません。 このまま日付変更をお待ちください〜Ciao! (-146) 2022/08/13(Sat) 21:13:31 |
【秘】 銀の弾丸 リカルド → 花で語るは ソニー「俺を天使扱いしないでくれないか……」 板につきすぎている眉間のシワを深くしながら、大きなため息を吐いた。 マフィアの男をそのように形容する者なぞ他に居ないぞと思いながらも、それを口にすることはない。 「安全など……普段からあってないようなものだろう。 この国に……悪い人間が居る限りは、な」 それが自分たち自身の事であるなんて、言わずともわかるだろう。 しかしマキアートといい、この男といい。 どうしてこんな街中で、俺に話しかけてくる度胸があるのか、自分には全く理解ができない。 アルバの人間は全員頭に花が咲いているのか、それともなにか思惑があるのか。 この男に関しては後者であることを願いながら、あなたの提案にしぶしぶながらも頷く。 「確かにそれは今知りたい切実なことではあるがな。 …………。わかった……じゃあ、お前に見立ててもらうとしよう」 入ったことがないような一般的な紳士服の店に入り、あたりを見回した。 これはつい癖のようなもので、逃走経路の確認だったり、隠れている者がいないかだったり、そういう物をさっと確認しているだけのものだ。 見立ての服も、言われていることは確かにごもっともなことで。 急に街で遊んでいる若者のような格好をしろと言われても抵抗感しかなくて、「あぁ」と相づちをうって選ばれる服を代わる代わる見ていく。 「なるほど。ポロシャツであれば確かに少しはカジュアルに見えるか」 クールビズなんて言って着ている人も多いから、それくらいなら直ぐにでも着れそうだと頷いた。 (-168) 2022/08/13(Sat) 23:13:54 |
【秘】 風任せ マウロ → 花で語るは ソニー「へえ」 本当に興味がなかったから。 そもそも聖母に感謝するような人生を歩んでいないものだから、この祭りに興味を持ったことがない。 周りが浮かれている日だと、その騒がしさに機嫌を悪くしたことこそ多かったのだけれど。 「そりゃあ」 「面白そうだ。ルール無用のレースなんざ、なかなか見れるようなもんじゃない。 酒の肴には持ってこいだろうな」 知らなかったから、君のその説明で少しばかり興味を持ったようで。 どうせ酒を飲むのであれば、レースを見ながらでも構いやしないだろう。 気を紛らわすにはちょうど良いに違いない。 つまるところ。 マウロは君の提案を利用しようというわけだ。 足を止めて、君の方を振り返る。険しかった表情は、少しばかり和らいでいた。 新しい煙草を懐から取り出して、火を点ける。そうしたのなら、君が手に持っているビール瓶の一つに手をのばすのだろう。 「その酒が無駄になるくらいなら付き合ってやる。 その代わり、誘ったからには退屈させてくれるなよ」 (-198) 2022/08/14(Sun) 1:32:32 |
【秘】 害のない毒 マキアート → 花で語るは ソニーストライプシャツを肘まで下ろし、器用に後ろ手で外して。 肩筋に触れる啄むような唇の感触がくすぐったく、 ただそれが急かされたと感じたのか流れるようにインナーもたくしあげて。 そうして剥き出しになるのは、一見は荒事に対応するために絞られた筋肉質な身体だが、やはり健康的な肉付きが男らしく筋張ったそれを彩っており。ただ、決して少なくない古傷や、色濃く染みついた斑点が決して平穏ではいられない暮らしを物語っていた。 「全く、調子がいいんだから…… 果たしてそれは“どっち”に対するお礼なんだ?」 器用に衣類をテーブルまで投げて、改めてくっついた人肌が愛おしく、互いの昂る情欲を満たしてあげるために一度腰を持ち上げる。着衣も殆どなくなり、身を包むのは力強く膨らんだ脹脛を押し付けるソックスと、秘所を隠すどころか主張させるばかりの下着のみ。 顔を向き合わせて、今度は股の間に尻を下ろすようにして座る。勃ちあがった自分のそれが下腹なりに擦れたら、貪りたくてもっと押し付けるみたいに。 「優しい相手にメチャクチャに、なんて頼むキミは、 存外意地悪なんだなと改めて思うよ」 とはいえ幾度となく好き放題してきた相手を今は自由にしてもいい、となれば、口では乗り気なわけじゃなそうなことを言いつつも、どうしても湧き立つものはあるもの。それが後を引かない感情ならば猶更。 背もたれに手を乗せ、出来の悪い駄犬のような、甘え上手な表情で見下ろして。 鼻先を近づけて顔を斜めにし、慈しむようなbacioを。 せっかくの熱が冷めてしまわぬように、そのままよく手入れされ滑らかな手の平をシャツとズボンの隙間に差し込み。今度はそちらの衣服に手をかけていこうとするだろう。 (-216) 2022/08/14(Sun) 9:06:08 |
【秘】 花で語るは ソニー → 鳥葬 コルヴォ「そう? 嬉しいな。これだけが両親からの贈り物でさ。 小さい時に預けられて以来孤児院育ちでね、あとはまあ花は今でも送られてるけれど。 ああ、別にアレコレ気持ちがあるわけじゃないから、気にしないで」 名前についてコメントがあったなら少し誇らしげにはする。 本人が言う通り、他人が想像するほどには己の出自を気にしているわけではないのだろう。 己の口にしたことについて、影のある振る舞いをするふうではない。 「コルヴォが相手だったなら、普段よりもおまけにサービスするかも。 コレ、店の場所。できればほかの花屋に浮気しないでほしいなあ、なんて。 ああでも、そんなに用のある仕事だとかなのかな。墓守とか?」 先の物言いだと個人的な用向きのためであるようにも聞こえなくもないが、 どうにもなんとなくそれでは収まらないような気がして、改めて尋ねる。 互いがどんな人物であるのか、知らないのだから仕方がない。 応じられた手を両手で掴むようにしてぎゅうと握って、軽く引く。 姿勢のわずかに崩れたところを狙うの自体は不自然な振る舞いであったとしても、 頬同士を寄せて挨拶とするのはこの国では珍しいことではない。 だから、頭の位置をずらして寄せようとする男の仕草は多少馴れ馴れしくとも変なものではない。 それを受け入れるだけの姿勢や好意というのは、触れ合うのを厭うような相手にはあるものかな。 (-231) 2022/08/14(Sun) 12:00:14 |
【秘】 花で語るは ソニー → 蜉蝣 アベラルド喫茶店やデリカテッセンと違って、ひっきりなしに人が訪れるわけではない。 街の様子や評判のおかげでそれなりに繁盛はしているものの、 電話で品を予約して、受け取りの時だけ見せに来る、なんて人間も少なくない。 扉に着けられたチャイムが音を立てて来客を報せ、そういえば、なんて時計を見る。 バックヤードから顔を出した男はエプロンを着けたまま、カウンターを通って。 見知った相手の顔を確認したなら、不安通りの気さくな笑みを返した。 「いつもありがとうございます。この花でよろしいですか? どの枝をお取りしましょうか」 この季節の花であれば、ゼラニウムやジャスミン、ブーゲンビリアにつるバラ。 ラナンキュラスやエンジェルトランペットなどもこの季節には合うだろう。 剪定鋏を片手に、相手が指した花の展示に手を添える。 (-233) 2022/08/14(Sun) 12:34:27 |
【秘】 花で語るは ソニー → 銀の弾丸 リカルド「冗談だよ、でも生まれた時から宮殿暮らしなわけじゃないでしょ。 祭りに参加したりするのは、はじめて?」 何気ない、そう聞こえるようにイントネーションを抑えた言葉。 果たしてどれだけ相手のことを調べているのか、そうでなくとも例えば上層の血縁ではないとか、 順当に功績を積み上げて今の立場にあるというのは、ある程度情報を仕入れていればわかることか。 何も相手の出自の如何まで、相手のファミリーの中で噂される以上には知らない筈だ。 「急にデニムのパンツ履いて足元スニーカーにして……なんてやったら動きづらいでしょ。 人が多いから、目の行かないところまで変える必要はないし。 少し体裁整えておきたい場所に行くなら、祭りから離れたらジャケット羽織ったらいいよ」 白からアイボリー、ジャケットに色相の近い青のデニム生地のまでぱっと当ててみたりする。 相手の方が背が高いぶん、宛てがうのにも手を上げ下げして、ちょっとした運動だ。 あくまで目の前で店のものを、なおかつ相手も選ぶ権利のあるものを手に取っているのだから、 何かしら仕込みをしている……とは考えづらい、と思う。 「気に入ったのあったら、着てみたら? 肩の動かしやすさとか色々あるでしょ。 お兄さんは顔立ちがいいから、何でも似合わないってことはなさそうだけどさ」 何枚か持たせて、評価の渋かったものは元の棚に戻して店員に任せたり。 試さずに買うのもなんだから、と試着室の方に背中を押し出す。 ふつうだったら容易に接させはしないだろうけど、それとして。 もし進言のままに試着室に入るのであれば、ひょいと。その後ろからついてくる。 口元に人差し指を当て、"Shh"と合図までご丁寧にして、だ。 (-238) 2022/08/14(Sun) 13:40:51 |
【秘】 蜉蝣 アベラルド → 花で語るは ソニー「ああ、居た。よかった」 「この枝をお願いします。咲き方が愛らしい」 奥から来たあなたを見れば、手を挙げて挨拶をした。 仕事帰りだからアジトに居る時と違い軽装だ。髪も青いゴムで一つに括っている。柔らかい笑みも、表向きのものだった。 そう言って指すのは白いジャスミンの一枝。 ラッピングもお願いします、と一言添えて。 「……どこもかしこも賑やかですね。 花を買う人も、いつもより多いんじゃないですか」 「俺の店もいつもより忙しくて。普段通りの時間に来られてよかったです」 この男が外で裏の話をする事は殆ど無い。 だから今日も、いつも通りの世間話だ。 (-241) 2022/08/14(Sun) 14:01:58 |
【秘】 花で語るは ソニー → 風任せ マウロ「今じゃ祭りなんて体裁のいい悪ふざけみたいなモンだよ、 カミサマがヘルメットと手綱だけ、鞍もつけない馬に乗ってヤバいレースをするのを、 大手を振って歓迎して祝福してくれるわけないんだから。 でもオレはそういうの好きだね。お兄さんも好き?」 盛事や典礼に関わる人間が聞いたら卒倒しそうな話だ。 少しの無礼も気にしないのは初対面の相手だからか、相手のノリを見極めたからか。 何にせよ、相手が乗り気の姿勢を見せたならば男の顔はいっそう喜色に満ちた。 レースを見下ろせる道まで案内する。遠景のレース場は街の建物とほとんど面していて、 誰でも入れる観戦席もあれど、高いところから建物の上から見下ろす人もあれば、 馬の走るドーナツ状の道の真ん中に作られた席も人がひしめき合う。 ビール瓶を一つ渡す、封はきちんとされている。若者なら飲み慣れたモレッティだ。 レース場を加工観戦席の近くまで相手を連れて行って、今から走り出す様子の馬を指す。 「ホラアレ、あそこの騎手が持ってる鞭。アレは他の騎手や馬に向けてもいいんだぜ。 他の騎馬にタックルしてもOKなんての、F1より治安悪ぃ。 どうせレースを見るんだったら賭けでもしようか? どの馬が勝ち抜くのかさ。 何を賭けるかはソッチが決めていいよ」 (-243) 2022/08/14(Sun) 14:55:37 |
【秘】 銀の弾丸 リカルド → 花で語るは ソニー「昔は孤児だったからな、院の外に出ることは殆どなかった」 今でこそ金回りは良いが、当時からすると逆にこのような店や祭は敷居が高かった。 医者の家に養子で入ってからは教養を身につけるための勉強漬けだったし、急にいい服を着せられたから、何分中間、普通を知らない。 家出をしたあとは直ぐにノッテに拾われて、そこからは死にものぐるいであったから、青春らしい青春を経験したことはない。 「それでも一番、普通に遊べたのは孤児院に居た頃だったかもしれないな」 幼馴染の手を引いて、夢を語ったりしたあの頃が懐かしい。 デニムを身体に当てられ、その新鮮さに「ほぉ」と相槌を打ち色々な服を代わる代わる見せられた。 余りこだわったことはなかったが、服の合わせ次第で十分に上品に見えることを初めて知っただろう。 「随分軽い生地だな……。 試着、ここで着替えるのか……?」 一瞬迷いを見せたが、ここに見張りなどはどうやら居ないらしい。 とはいえ、試着室は他の目のない狭い場所。 無防備に服を脱ぐのはいかがなものか。 いや……銃は肌見放さず持っている。 このような場所で騒ぎを起こすのは互いにとって本望ではあるまい。 そう思えば一言「わかった」と諦めた様子で頷き、試着室へ入る。 一緒に入ってくるのがみえると「おい!」と声を上げかけたが、その寸前で飲み込んだ。 (-249) 2022/08/14(Sun) 17:15:03 |
【秘】 鳥葬 コルヴォ → 花で語るは ソニー/* Ciao!ボスの飼い猫の妹の息子です。 12:00:14に頂いた秘話について、仕事中の名前でお呼び頂いているのですが 文脈的に恐らくミスかな?と思いますので、 その場合はそっと脳内補完をして返信しようと思います。 表記とまったく違う偽名を名乗るなんぞという 死ぬほどややこしい事をしていてすみません…… お忙しい中お手数お掛けしますが、念のため確認をとご連絡させて頂きました。 (-250) 2022/08/14(Sun) 17:31:32 |
【秘】 鳥葬 コルヴォ → 花で語るは ソニー/* エッチなことを!!??!!?!? わかりました。(受けられるとは言っていない) ご連絡ありがとうございます、これより返信に移ります… (-252) 2022/08/14(Sun) 17:36:37 |
【秘】 花で語るは ソニー → 害のない毒 マキアート唾液を含ませてぬるついた舌は背筋を伝い、傷のふちをなぞるように辿る。 首を伸ばせば届く端っこまで耳朶を食んで続きを催促するよう。 何もせず与えられるばかりを好むわけじゃない、むしろ触れるほうがずっと好きだ。 だからこそ、魅惑的に見える相手を何もしないまま待つのが堪えて、こうして求めているのだろう。 背中越しの体温の主は興奮を覚えていると、示すように時々腰が揺れて門渡りを刺激する。 「オレ、我侭言うの好きなんだ。応えてくれるの、嬉しいから…… カフェはいい匂いがする。ちゃんと手入れしてる、匂い」 眉は下がり、蕩けるように見上げる。遊びでもこうして触れ合わせられるのは特別なことだ。 それが身持ちの固い人間の言う意味よりもずっと浅い意味であったとしても、 肌を寄せる喜びを分かち合えるのは、全く誰でもかまわないというのとは、少し違う。 こちらを向いた顔を見上げて、顎下に舌を這わせて深く息を吐く。 触れ合った唇は内側の粘膜を啄むように合わせて、ぴちりと水音を交換する。 どちらのものともわからないくらい混ざりあえば、次第に丸く甘い味の錯覚を覚えた。 「ン、もっと」 せがむ声を朱色の間に流し込んで、絡み合うほどではないくらいに舌先を送り込む。 唇の柔さをなじませるくらいの浅さで、誘って続きを乞うくらいのもの。 相手が脱がせやすいように袖口を浮かせたり椅子の座り方を変えたりして、労を減らすのも惜しまない。 段々と、あたたまった肌が密着し合う箇所が増える。 乾いて感じないくらいに薄うく汗をかいた皮膚がよけいに、性的なものを連想させて息を呑んだ。 (-262) 2022/08/14(Sun) 19:55:53 |
【秘】 花で語るは ソニー → 小夜啼鳥 ビアンカ/+ お疲れ様です。 >>21の白茶、二日目が終了しそうなのでこのままやりとり中止で大丈夫です。 おそらくログに紛れて気づかなかったのだと思うのですが、 後で気づくとショックかなと思い連絡しました、またの機会がありましたら〜。 返信は不要です! (-264) 2022/08/14(Sun) 19:59:57 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 花で語るは ソニー/* お疲れ様です。大変失礼しました、気が付きませんでした… この時はすげなく立ち去ったというようなていで、改めてこちらから声をかけさせていただきますね。 ご丁寧にありがとうございます。 (-267) 2022/08/14(Sun) 20:16:40 |
【秘】 花で語るは ソニー → 蜉蝣 アベラルド「はい、こちらですね。ちょうど時期なんですよ。 香りも清潔感があって柔らかいし……贈り物にはぴったりかも」 なんて言うけど、相手が何の用途で花を買っているのかは知らない。 それが喜ばしいものなのか、悲しいものなのかさえも、だ。 けれどそれ以上のことを言うわけではなく、薄いミントブルーの不織布がくるりと巻かれる。 白に薄緑がしのばされた枝は、花は小さくとも上品な華やかさを持つ。 「そうですね、業者から個人から、いつもよりかは出入りも多いですよ。 通りも人どおりがわっと多くなってるから、大変なんじゃないかな。 オレも配達車を移動販売と勘違いされて子供に囲まれたりもして、ははは」 有事であることを加味して、時に間接的に暗部の話をすることもある。 けれどもたびたび言葉を交わすごとに、相手がそれに積極的でない向きを悟って、 彼に対してはあまり裏の話を振らないようになったらしい。 少しラフで気軽なふうに見える格好に、ちょっとだけ嬉しそうに頬を緩ませた。 「お兄さんは祭りの方へは、あまり? その様子だと仕事が忙しいかな」 (-268) 2022/08/14(Sun) 20:18:34 |
【秘】 蜉蝣 アベラルド → 花で語るは ソニー「そりゃいい。きっと喜んでくれる。 ……うん。いいな。やっぱりここの花屋はセンスがいい」 ラッピングされていく様子を満足そうに眺めていた。 たおやかで清潔そうなその雰囲気が気に入ったようだ。 何の為の花なのかはきっとまだ誰にも知られていなくて、けれどおそらく、喜んでくれるような相手はいるらしい。 「あはは、そうですか。祭りになると島の外からも子供は来ますしね。もちろん大人も、ですが」 「やっぱりお互い大変ですねぇ、儲かり時と言えばそうなんでしょうけど。 悪い気はしないですがね」 「俺は〜……まあ、少し覗くくらいですよ。 ほら、祭りになると美味しいものに多く出会える。 昼飯時にそれ目当てで出向くくらいですかね」 「そういうお兄さんこそ、あんまり行けてないんじゃあないですか?」 一緒に行く相手もいない……いや、いないこともないけれど。 世情が世情だ。大っぴらに連れ歩くのも気が引けていた。 そちらの方を伺うように、首をかしげる。 (-273) 2022/08/14(Sun) 20:42:03 |
【秘】 花で語るは ソニー → 銀の弾丸 リカルド「そっか。じゃあちょっとくらい、楽しみ方でも教えようか? 馬の走る時間は過ぎてるけど、次の日の出走馬の様子くらいは見れるかもね。 トライアル・ランを何度か走るし、夜はビアガーデンが出てる頃かな」 わざとらしくならないよう、知っていることへの反応は簡素に。 毎日続く祭りを毎夜深くなるまで楽しむ元気な者自体はそう多くはないものの、 それぞれにまばらにあれば、結局のところ夜まで祭りは続いているのに等しい。 外から聴こえる楽器の音や人の声なんかも、きっぱり遮断することは出来ないようだ。 「別に全部買っていってもオレは困らないけど、まあ、荷物にはなるんじゃない? ちゃんと着るなら馴染みのブランドのでも見てあげたら」 カジュアルなものだからといって皆廉価なわけではないし、ブランド物となれば一見同じようなものでも数百ユーロする。 きちんと見立てて普段遣いするのであれば、河岸を変えないほうがずっといいだろう。 さて、着替えができる程度にスペースを取っているとは言え、二人は居れば試着室は狭い。 当然離れて立つなんて芸当は出来ないし、そうするつもりもないようだ。 手は、向こうの壁について。囁く声が漏れないように、耳のある方に唇を寄せる。 「 ――……ヤサに現れなかったのは、カルロ、アルミオ、ピーノ…… 」こうしてふざけた態度を取っている割に、一応わざわざ時間を取るだけの仕事はあるよう。 名前が上がったのは末端がほとんどだが、構成員の名前なのだろう。その数は、十数名。 おそらくは騒ぎがはっきりと情報となった日、昨日のうちにアジトに顔を出さなかった人間だ。 とはいえ同国の人間としては多少ありふれた名前。それに顔と照合できねば、意味がない。 それでもその中にはいくらかもっと、重要な名前も紛れていたかもしれない。 例えばある程度功績を残したメイドマンやソルジャーなどのような。 そのくせ、同じ小声で胸元から見上げて囁く。 「脱がないの? 時間掛かったらヘンだよ」 (-274) 2022/08/14(Sun) 20:42:24 |
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