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【秘】 高等部 ラピス → 童心 クロノちまちまクッキーを齧る様子が小動物らしくて微笑ましい。 自分もよくそう形容される内の一人なのだけれど。 質問に、また頷いて返す。 甘いホットミルクを一口飲む。 いつも心を落ち着けてくれる優しい味だ。 それから、ゆっくりと手袋を外した。 黒い布地の下から現れたのは、柔らかな白い肌の上を、深い青が所々覆い隠した手だった。 夜空を切り取ったその鉱石はラピスラズリによく似ている。 また手を机の上に置く。 先程よりもはっきり、硬い音が耳に届いた。 (-84) 2022/05/03(Tue) 14:45:13 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 高等部 ラピス声のない静かな言葉が、視界に映って。 笑んだ少女の相好は、口角を上げたまま、それでも。 へにゃ、と情けなく崩れた。 それは困ったような、泣き出す前のような。 「……うん」 あなたはやっぱり、みんなのお姉さん。 不安なのはきっとみんな、おんなじで。 それでも、年下の少女を気遣ってくれる。 「最近、なんだか変だから」 「やっぱり、不安になっちゃった」 じっとしていると苦しみや怖いものが追いかけてくるから、少し歩こう、と身振りで示した。 (-88) 2022/05/03(Tue) 15:54:28 |
【秘】 高等部 ラピス → 夢見る乙女 シャルロッテ身振りで促されて、共に歩き出す。 不安に追いつかれないように。 ちょこちょこ、小さな歩幅は誰かと歩くときは少し広くなったり狭くなったり。 合わせてもらうことの方がずっと多いのだけれど。 隣のあなたの様子を気にかけながら、てくてくと。 歩きながら黒板に書くのも慣れたもの。 『ジャステシアがいなくなってから、少しずつ皆が不安になっているように思います』 『シャルロッテちゃんも、何か気になることはないですか』 同室の彼のこと。食堂の片隅が定位置の彼のこと。 はたまた、あなた自身のこと。 (-91) 2022/05/03(Tue) 16:25:50 |
【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス貴方が森に来たならば、それはもうこの場にいないもう一人が居なくなったあと。 だれが言いつけを守ったのかは、青年しか知らない話。 けれどもその場に残った彼は、どのみち貴方と邂逅することになる。 森の奥。灯りもない内。鬱蒼と生い茂る木陰の下。 何も見えない闇の中で、湿った音がする。 /* ヤベ分かりづらかったかもしれません 夜の森で別の人とワーワーした後の話になるので、 差し支えなければ既にこちらが森にいた形になると思います……! (-93) 2022/05/03(Tue) 16:39:57 |
【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット"治療"の瞬間まで立ち会うことはできない。 だから共に歩めるのは森の奥、大人達のいる場所まで。 残り少ない道のりを一歩一歩確かめながら、進んだ。 本当に、このまま付いてきて良いの。 そんな思いを乗せるように、手が握り直される。 何が待っているのか、知らないわけじゃないと思うのに。 /* ヤババ そちら側に都合良い描写で問題ありません!!! 会ったのはワーワー後ということで了解です もう一人が居たことは知らないまま森に入って合流しました……!! (-96) 2022/05/03(Tue) 17:15:51 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 高等部 ラピスあなたの言葉を見るために、少女はゆっくり、歩を進める。 行き先は定まっていない。 それでも無意識に、何となく、外へ向かっていた。 きっと、神隠しの噂が脳裏をよぎるせい。 「そう、だね。 レンも不安になってるし、フィウクスもピリピリしてる」 「トットやクロノも、元気がなくて」 「少しでもいつも通りであるように、バラニが頑張ってくれてるけど……。 ロッテは、みんなのために何ができるんだろう」 ぽつり、ぽつり。 掠れた声が落ちる。 (-98) 2022/05/03(Tue) 18:18:23 |
【秘】 童心 クロノ → 高等部 ラピス「きれい、」 なんて、夜空を閉じ込めたような美しい石に、 思わず口にしてしまって。はっとして口を手で隠す。 あなたからしたら、身を蝕む忌々しいものだろうに 少し申し訳無さげにしながら、視線を逸らす。 「 ご、ごめん…………。 ……石に、なっちゃうなんて……、 たいへんそう、というか……えっと」 なんと言えば良いのか、惑って 机の上のその手に、再び視線を落としながら。 「……こわくない?」 (-105) 2022/05/03(Tue) 20:15:12 |
【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス言葉数少なく森の奥へ行く。青年は貴方にその理由を尋ねたかもしれない。 どうして共に森に入るのか、なんて。 森へ通い詰めているのを知っているのだから、理由はどうあれおかしな話ではない。 止めようと思っているのかもしれないし別の理由かもしれないし、 少なくとも本当の理由なんてのに気づいている様子は少しもなかった。 強いて言うなら、それを咎めて忌避する様子ではないことに、 申し訳無さとほんのわずかな嬉しさを、感じていたかもしれない。 光の差さない森の奥深くへと行く。音のする方、その先で。誰かが立ち上がる気配があった。 大人だ。教員を含めた者たちが複数名。 その表情には愉悦のようなものはなく、ただ渋面をこちらへと向けていた。 互いに誰がそこにいるかというのは、わかっていたのかもしれない。 だからこそ次の日の朝、青年は姿を見せなかったのだから。 ただ、どうして、青年なのだろう。何を治さねばならなかったのだろう。 目的を胸に抱えた大人たちの表情には、堅苦しいものが含まれていた。 「……ラピス、離れて。 下がって、早く庭に逃げるんだ」 青年の言葉は流暢だった。普段よりも明瞭で聞き取りやすい。 それは大人の前だからではない。隠していたからではない。 青年が、病気だからだ。病気を抱えているからだ。 それは、治さねばいけないものなのだ。 貴方に何も見せたくない。貴方に少しも疑いは持っていない。 ただ大人から庇おうとして、その前に立ちはだかったに過ぎない。 だから素知らぬ顔でそれを受け入れたってそうでなくたって、かまわないのだ。 → (-106) 2022/05/03(Tue) 20:18:46 |
【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス貴方が、青年と大人のやりとりをどこまで聞いて、見ていたかはわからない。 貴方に背を向けた青年は、貴方が去ったとて関与しないだろう。 無理に連れてきてしまったと嘘をついて、貴方をかばいさえするだろう。 だから、貴方がその一言と、大人の手の先にあるものを見聞きすることがあったか、 それは貴方が選択すべき自由なのだ。 大人は、青年へと声をかける。 『お前が兎を殺したのか』と。 大人の手には、血の付いたリボンが握られていた。 (-107) 2022/05/03(Tue) 20:21:12 |
【秘】 高等部 ラピス → 夢見る乙女 シャルロッテこのところ、意識が向くことが増えた森。 定まらない行き先をそれとなく誘導して、外からの風が頬を撫でる場所に。 換気というのは気分転換に丁度いい。 「………」 掠れた声で吐露される、周囲への心配。 今はその唇から歌が紡がれることはなくて、少し寂しい。 少女もきっと悩みを抱えているのに、他の生徒を案じる言葉が先に出てくるのは確かな優しさなのだろう。 日常を保とうとする努力が生む効果はよくわかっていた。 声を掛けられたら良かったのだけれど、この喉から漏れるのは音にもならない空気だけ。 だから代わりに、黒板が線を引く音を声にする。 『これは私がそう思うだけなのですが』 『私は、いつも通りじゃない時があっても良いと思います』 『全部が元通りでなくても、問題はいつか解決するときが来るから』 ▼ (-110) 2022/05/03(Tue) 20:43:00 |
【秘】 高等部 ラピス → 夢見る乙女 シャルロッテ『皆の前で頑張る人が、報われてほしいと思います』 『だから私の前では少しくらい、いつも通りじゃないシャルロッテちゃんでも良いんですよ』 眉を下げた笑顔に後輩への心配と慈愛が混ざる。 自分の喉元をとん、と指先で叩いた。 それがあなたの喉のことを示しているのは伝わっただろうか。 『私では役に立てないことも多いかもしれませんが』 『いつでも相談してください。頼ってください』 『それだけ覚えておいてほしかったんです』 あなたが抱える気持ちを受け止められる先輩でいたかった。 その背に頼るか、頼らないか。 それはあなた自身の自由だ。 この小さな上級生が伝えたいことはそれが全て。 だから後は勉強会の話だとか、明日の日替わりメニューの話だとかを話してもいいし、もっと違う話をしてもいい。 ここから立ち去るかどうかも委ねられている。 (-111) 2022/05/03(Tue) 20:43:28 |
【秘】 高等部 ラピス → 童心 クロノ昼間はあまり日の下で見ることのない青色の手。 机の上で置物のようになっていたそれを、 少し陽の光にかざしてまじまじと見た。 あなたの申し訳無さそうな謝罪も、気分を害した様子はない。 『不思議とこわくはありません』 『進行を抑制する薬を飲んでいるというのも理由だと思いますが』 『どこか他人事のように見えるもので』 恐怖より、日常生活に支障が出る困惑の方が勝るのは変な心地だ。 指先の動きに合わせて追随するそれは、確かに自分の身体の一部なのだけれど。 もう何年もずっと共に生きてきて、病という感覚が朧気になっているのかもしれない。 「………」 『変だと思いますか?』 (-114) 2022/05/03(Tue) 21:16:11 |
【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット本当は、青年についてくる必要はなかった。 でも、しいて共に森を進む理由を挙げるのならば、やはりそこには心配があったからなのだろう。 連れ立って歩くあなたの様子からは、一片の疑いも読み取れなくて。 それは、暗闇が視界を妨げたせいではなかったと思う。 ほんの僅か滲む嬉しそうな気配が、また罪悪感を募らせる。 ぴしり、と身体が固く軋んでいくような気がした。 堅い面持ちの大人たちと対峙して、その大きな背に庇われて。 結局青年は何を治さなければいけないのかも、少女は知らないままここまで来た。 普段より鮮明に届く声。 それは、暗闇が感覚を研ぎ澄ましたからではなかったと思う。 言われるままに逃げるのが賢明だったかもしれない。 自分を庇おうとしてくれる、無垢ですらあるその優しさを受け入れるのが正しかったかもしれない。 それでも、見届ける義務があると少女は判断したから。 己が何に加担しているのかを胸に刻むべきだと判断したから。 少女は数歩下がったけれど、立ち去ることはしなかった。 だから、大人達のその言葉を聞いた。 血のついたリボン。 あの飼育小屋で、小さな命に括りつけられていたものが頭に過ぎる。 そこでまた初めて、青年が抱えているものの一端に触れた。 (-123) 2022/05/03(Tue) 22:21:44 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 高等部 ラピスふらふらと当てどなく歩く足は、不安の元凶と思しきものへと吸い寄せられそうで。 けれど、あなたが正してくれるから、今は、怖いもののないところへ。 心地よい風が駆けてゆく。 かすかに聞こえる固い音は、あなたが声を上げていることのしるし。 いつも通りじゃなくてもいいこと。 頼らせてくれること。 役に立てないだなんてとんでもない。 それだけは否定したくてかぶりを振った。 そうしてあなたの優しさに触れ、少女の口からぽつりとこぼれ落ちるのは。 「――バラニが」 「いつもロッテのことを助けてくれる」 「でも、バラニだって不安なの」 「だから、」 『みんな』ではなくて。 みんなの前で頑張る、あのとびきりまぶしい男の子の支えになりたかった。 けれど、それはきっと、『シャルロッテ』が口にしてはいけない言葉だ。 (-171) 2022/05/04(Wed) 2:48:29 |
【独】 高等部 ラピス/* シャルロッテちゃん 本名シャルルだったりする?いや気のせいかも………花束抱えては歩かないかも…… 寝て起きたら返信……… (-176) 2022/05/04(Wed) 3:33:54 |
【秘】 高等部 ラピス → 夢見る乙女 シャルロッテ「……」 心地よい風が、あなたの心も軽くしてくれたら良い。 "だから"の先に、本当の願いが微かに見えた気がした。 『確かにバラニくんは頑張っていますね』 ジャステシアが居なくなったとき、彼は空いた時間を縫って探し回っていた。 朝の食堂でも配膳を手伝い年少の子達の面倒を見ている。 それは間違いなく称賛されるべき献身だった。 けれど、あなたの口からその先が語られなかったことが疑問に思えて。 『自分を助けてくれる誰かの力になりたい気持ちは、胸を張って良いことではないですか?』 何が躊躇わせているのだろう。 少女の口を塞ぐものの正体を捉えたくて、夜空のような瞳が向けられた。 (-182) 2022/05/04(Wed) 8:20:48 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 高等部 ラピスそのことを考えると、胸がくるしい。 言葉がつかえて出てこなくなって、無意味な喘鳴だけが幾つもこぼれては、風に攫われてゆく。 「……………………でも、」 長い沈黙。 ようやく絞り出されるのは、消え入りそうな声。 「…………バラニは『女の子』の『シャルロッテ』が好きだから」 少■は、彼に愛される資格を持たない。 「…………『シャルロッテ』は『お母さん』だから」 少女は、彼を愛してはいけない。 (-193) 2022/05/04(Wed) 12:31:29 |
【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピスここに従属する大人たちのうちには、軽蔑すべき性質のものもあるのだろう。 治すべき子どもたちを確実に確保するために、貴方がたを利用しているのだ。 自身の立場を利用して、子どもたちに浅ましいことをする者もいる。 さて、そのうち前に立つものが普段何を抱えているのかはわからないが、 少なくとも、彼らは僅かな警戒をにじませて青年とその後ろに控える貴方を見る。 『ラピス、危ないから下がりなさい。何をするかわからない』 大人は確かにそう言った。異分子を前にし、貴方を慮った。 そしてその内容はやはり青年自身も理解しているだけに、 貴方がここにいる理由への疑いをかける材料には、少しもなりはしなかった。 「はい、そうです」 危険であると言われた青年は腕を下ろし、審判を待った。 意外でもなんでもない答えを聴き、大人たちは更に険しい顔をした。 ゆっくりと近づきながら、更に問答は続けられる。 『埋葬をしたのもお前か』 「そうです」 『森に罠を仕掛けたのもお前だな』 「そうです」 『生徒にはまだ被害を及ぼしていないな』 「はい」 『本当か』 「はい」 『両腕を前に出せ』 「はい」 → (-194) 2022/05/04(Wed) 13:08:26 |
【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス例えば突然に悪辣に振る舞うのでもなく、暴れるのでもなく。 青年は未だに従順なままで、教師群のいうことに従った。 それでもなお彼らは大きな獣を相手取るように、じりじりと距離を詰める。 まるでそこにいるのは人間のかたちをした危険な生き物であるかのように。 貴方の目の前で、青年は手錠を掛けられた。 次に、犬につけるような口枷を着けられた。 肘を振り回されることのないように、縄で遠巻きに引きずられる。 その様子は、狂犬病の犬にも似た扱いだった。 青年はどこかしらに連れて行かれるのだろう。 その先で何をされるのかはともかく、不思議と、そこまで理不尽な扱いではないように見える。 観念したように押し黙った青年が、明日どのように他の人間と接するのか、 きっと今まで以上に遠巻きなものになるのだろうというのだけは確かだ。 (-195) 2022/05/04(Wed) 13:08:45 |
【人】 高等部 ラピス「?」 「!」 勉強会が始まる少し前。 疎らに集まり始めた下級生を相手している。 持ってきた課題の内容を軽く見て、教科毎に適した参考書が置いてある席を指す。 後でその分野が得意な生徒もやってくるだろう。 勉強の合間につまめるお菓子類も食堂からいくつか運んできて、空いたテーブルに準備していた。 (42) 2022/05/04(Wed) 14:17:29 |
【秘】 高等部 ラピス → 夢見る乙女 シャルロッテ風に攫われそうな声を、聞き逃さないように拾い上げる。 抱えたものに押し潰されそうな苦しげな声。 どうにか和らげてあげたくて、小さな子にするようにその背を撫でた。 胸につかえた想いが零れる間も、拾い上げた言葉を吟味する。 身体的性別が男性であることは、知っている生徒は少なくなかったと思う。 自分もそのうちの一人。 教師にお父さん、という呼称を使うことも周知であったろうか。 ただ、その後の言葉はわからなかった。『お母さん』。 何も全貌をわからないまま、不用意な言葉を掛けられない。 書けない。 だからもっとその心の中を垣間見るように、でも傷を広げすぎてしまわぬように。 一緒に悩めるように。 『バラニくんが、"女の子"の"シャルロッテちゃん"が好きだと言ったのですか?』 『先生方をお父さんと呼ぶのには、何か、あなたを縛る理由がありますか』 (-201) 2022/05/04(Wed) 14:22:02 |
【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット大人達の扱いと、それを受け入れる青年。 両者にとって彼が危険であることは異論ない事実であるらしかった。 言われるままに、後ろに控えたままでいるしかなかった。 「……」 埋葬、罠、被害。 およそ普段接する青年からは程遠いとすら思える語群。 それに思いを馳せる間に、青年は様々な拘束に囚われて。 まるで獣にする扱いにも、青年は不平を言う素振りはなく。 むしろ正当な対応であるかのようだった。 終始従順に大人達の言いつけに従う様子。 引き摺られながら遠くなっていく巨躯を見送る。 せめて姿が見えなくなるまではと。 一体彼の何が危険だったのか、少女にはついぞわからぬままだった。 それから、教師群の内の残った一人に『もう戻りなさい』と声を掛けられたように思う。 きっと自分は、青年が庇った通りに、大人達の中では無理に連れてこられたことになっているのだろう。 違うと否定しても、かえって青年がそう言うように指図したと思われるかもしれない。 だから何も言葉にしないままで、踵を返すしかできなかった。 来たときとは半分の足音だけが森の静寂に溶ける。 血のついたリボンのことが、頭から離れなかった。 おやすみなさい。また明日。 音にならない願いを、誰に届かせるわけでもなく呟いた。 (-202) 2022/05/04(Wed) 15:15:34 |
ラピスは、今日は黒板に公式を書いている。 (a28) 2022/05/04(Wed) 17:42:34 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 高等部 ラピス背を撫でてくれる手のぬくもりに促されるように、一粒。 赤い瞳から、色のない雫がこぼれる。 白い頬を伝い、落ちてゆく。 「……バラニはロッテが本当は男の子だって知らないの」 「知られたらきっと、嫌われちゃう」 女の子ならよかったのに。 そうすればきっと、みんなが幸せで。 ここにいる間だけでも、あの子のそばにいられたのに。 ぱち、ぱち。濡れた睫毛から雫を払うように、少■は瞬いた。 それは、あなたが不思議な言葉を続けたからでもある。 「――先生は、先生だよ、?」 (-206) 2022/05/04(Wed) 17:58:58 |
【秘】 高等部 ラピス → 夢見る乙女 シャルロッテ背を撫でる。言葉が全て吐き出されるように。 流れる涙には、ハンカチを差し出したりして。 『バラニくんは』 『性別ひとつで誰かを嫌う人間だと シャルロッテちゃんは思いますか』 打ち明けてみろとは言えないし言わない。 それこそ無責任だから。 結果はこの場の誰にも断言できないから。 ただ、彼がそういう人間であると思わないのなら、考えてみる価値くらいはあるのだろう。 今のままを、続ける自由だってあるのだろう。 それはあなたが、■■■■が選択すべき決断だった。 「………」 お父さん、という呼称は実親を指して使う、或いは子どものいる母親が配偶者を指して使うものだと認識していた。 けれどシャルロッテは、全ての教師をそう呼んでいる。 バラニを愛してはいけない理由に、『お父さん』を挙げる。 どうしても結びつけがたい何かが浮かびかけている。 それらを全部押し込んで、敢えて何でもないようにチョークを走らせた。 『変なことを聞いてしまいましたか』 『お父さんというのは、一人だと思っていたので』 (-209) 2022/05/04(Wed) 18:45:08 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 高等部 ラピスハンカチを受け取り、きゅっと握る。 縋るものを見つけたみたいに。 あの子は優しいから、友達にならなってくれるかも。 少■が口を噤んでいれば、話ぐらいはできるだろうか。 「………………わ、から、ない、」 それは、告げてみるまで誰にもわからないことだった。 だからあなたも、簡単に『大丈夫』だとは言わないのだろう。 だから少■も、勇気を出せずにいる。 そして、わからないことがもうひとつ。 「……『お父さん』は、ひとり……」 「ひとりなのに……?」 「……ここに先生がいて……でも、家族のところに帰らなきゃ……」 ——おかしいな。 『お父さん』がここにいるなら、一体どこへ帰るんだろう。 或いは、『お父さん』のところへ帰るなら、ここにいるのは誰なんだろう。 (-214) 2022/05/04(Wed) 19:31:17 |
【秘】 童心 クロノ → 高等部 ラピス/*大変お待たせしました〜〜! 「そっ……か、」 綴られた文字を見て、あなたの表情を見て。 おそらくほんとうに、なんとも思ってないのだろう。 病院を恐れなくて済むのなら、 それに越したことはないのかも知れない。 「…………ううん、でも……」 「……こわいと思ってくれないことが、 ちょっとこわいかも……って、思うかも」 ……怖くないからそのままでもいいと、 もし石の範囲が広がったとしても、 後回しにしてしまいそうで。 (-227) 2022/05/04(Wed) 20:19:38 |
【秘】 高等部 ラピス → 夢見る乙女 シャルロッテ『そうですね』 『わからないことです』 『誰にも』 ただ一人、バラニ以外には。 まだ、考える時間が必要なのだと思った。 縋るように握られるハンカチを一瞥して、また黒板に視線を移す。 「……」 シャルロッテの言葉の端々から、錯乱のようなものが伝わってくる。 お父さんと呼ぶ人が複数人いるということは、その混乱の原因に深くその存在が関わっていることの証左ではないだろうか。 少しずつ少しずつ、問い掛けを重ねることで何かが姿を現してくる。 『お父さんは、バラニくんと仲良くするのを許してくれないでしょうか』 (-229) 2022/05/04(Wed) 20:26:48 |
【人】 高等部 ラピス「♪」 面倒見良く生徒の相手をしている同学年を見て、どこか機嫌が良さそうだ。 リアンの身体が空かない分は、ラピスが受け持っている。 中等部生に任せられるところはこちらも任せて。 わからない問題を解けた下級生と拍手で喜んだり。 言葉の代わりに公式や語句が多く並ぶ黒板を片手に、小さな授業を行っていた。 (53) 2022/05/04(Wed) 20:42:45 |
ラピスは、いつか学校の先生になりたい。 (a38) 2022/05/04(Wed) 20:43:37 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 高等部 ラピス「………………」 何もかもがわからなくなり始めていた。 当たり前が壊れてゆく。 見ないふりをした呪縛が、足首を掴んで離さない。 ただ、あなたがこちらを案じて、慎重に言葉を投げかけてくれていることだけが。 そのやさしさだけが、今、理解できていることだった。 「…………だめ」 だめだ、それは。 問いかけに咄嗟に首を振る。 「『シャルロッテ』は『お母さん』」 「『お父さん』と『お母さん』はひとりずつ」 「だから、……だめ」 『シャルロッテ』は『お母さん』にならなければならない。 『お母さん』は『お父さん』の『お嫁さん』だ。 だから、だめ。 (-233) 2022/05/04(Wed) 20:48:54 |
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