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【秘】 名もなき医者 リカルド → ”復讐の刃” テンゴ【テンゴの部屋】 会議が終わった後か。 包帯を巻き、ふらつく頭を抑えながら、男はよろよろと貴方の部屋を訪れた。 貴方がただの昼行灯でないことはわかっている。 だからこそ、この疲弊した組織をまとめるのは貴方と 姿の見えない上司 しか居ないと、思っているのに。「……リカルドです。テンゴさん、居ますか」 ノックをし貴方の反応を待つ。 待つが反応はなく、ドアに触れるとその鍵は開いていて疑問を覚えた。 「…………テンゴさん?」 周囲に視線を彷徨わせ、質の良いスーツと、机には封筒と不自然に水筒が置かれているのに気づいた。 あの時もらったのと似た竹水筒を振ってみても水が入ってる様子はない。代わりに何かカサカサとした音がしてそれを開く。 自分が秘密裏に設置した施設の事が書いてあり、これはもう必要ないなとその手紙は自分のポケットへと収めた。 「こっち、は…………と」 見慣れた文字を読み、「そうか……」とほっと胸をなでおろした。 そこにいるのなら、行かねば。 (-19) 2022/08/23(Tue) 23:58:15 |
リカルドは、ふらつく頭を抑えながら、どこかにある闇医者の元を、抜け出した。 (a7) 2022/08/24(Wed) 0:02:14 |
【秘】 銀の弾丸 リカルド → ”復讐の刃” テンゴ【隠された医療施設】 医療施設に着いて見れば、自分の手で用意していた施設と似たようなものが、もうひとつあったのを目の当たりにして苦笑した。 人とは、皆、似たようなことを考えるのだなとでも言うように。 施設の人間には、貴方も十分重症患者ですよと言われながらも治療を受けてる暇はないと断り、病室へ案内してもらった。 それはそうだろう。 リカルドが銃撃されてからはまだ、1日しか経っていない。 頭部を撃たれてるのだから絶対安静であり、それは口酸っぱく救出してくれたストレガにも言われたし、自分自身もマウロにそうしろと話した医者であった。 そうしてなんとかたどり着いた部屋で、貴方は驚くほど弱った姿でベッドに横たわっていた。 「……な、んで……」 どうしてこんなことになってるんですか、という言葉がとっさに出てこずに言葉を飲み込んでしまう。 俺に、死に急ぐなと言ったその口でどうして、こんないつでも死んでしまうような姿になっているのか、頭で理解できなかった。 「俺は……頭部損傷の死の寸前でストレガに助けられました。 腕の立つ闇医者に処置を受けてこの通りです。……ですが、その言葉はそっくり貴方に返しますよ」 (-23) 2022/08/24(Wed) 1:27:27 |
【秘】 銀の弾丸 リカルド → ”復讐の刃” テンゴ【隠された医療施設】 「……ノッテ、に?」 まさか、そんな。 そんな事あの人が許すはずもない。 俺の上司が居る限り、そのような事を許すはずもないではないか。 ―――ズキリ、頭が痛む。 「俺が診れればよかったんですが……、生憎頭をやられたもので、しばらくは使い物になりそうもありません」 隠してましたが俺は医者なんですよ、と呟いて近くの椅子を寄せて腰を下ろす。 視線が少し、低くなった。 「俺はここの、医者………、……? っ、いや、俺はここのことは知らん……知ってる?」 頭を撃たれた影響か、記憶が混濁してふるりと震えた。 スタッフが、ここは貴方が作った場所ですよと言ってるのが遠くに聞こえた気がする。 そうだ……ここは、俺の営む密輸倉庫の俺の地下。 忘れてはいけない。 「……ヴェネリオさんとラウラ、それにレヴィアの姿が見えません。 俺は、貴方がただの昼行灯だとは思っていませんから……だから、せめて貴方を呼ばなければと部屋に行ったんです」 そうしたら手紙を見つけました、と、素直に話すだろう。 (-25) 2022/08/24(Wed) 2:39:47 |
【人】 銀の弾丸 リカルド【路地裏】 「………っ、は」 闇医者から出たものの、その身一つだった自分に運転する車はない。もっとも、この頭の状態で運転するなど自殺行為であろうが。 朦朧とする頭と、ふらつく足取りで、一歩、一歩と歩みを進める。 大通りにさえ出てしまえば、タクシーも捕まるだろう。 はやく、アジトに戻らねばと。 その一心でただ、歩いている。 (2) 2022/08/24(Wed) 2:50:24 |
【秘】 銀の弾丸 リカルド → ”復讐の刃” テンゴ「なんて事を……、ですが……貴方も居ないとなれば、俺が現場にいないわけにはいきませんね」 自分の役割くらい承知しているつもりだ。 生き残ってしまった以上、無理は承知で動かねばなるまい。 自分とて、ヴェネリオが守り抜いたこのノッテを愛しているのだ。 彼が居ない間くらい守れなくてどうする。 休むのは戻ってきてからでいい……そう、思っていたのだけど。 「…………は?」 嘘だと言ってほしかった。 告げられた言葉を聞いて、我が耳を疑う。 施設の部下が慌てて持ってきた報告書を奪うようにして見て、目眩がした。 あの上司が。約束をしたはずのラウラが。 もう居ないなんて。 俺が、右腕としてお守りすべきだったのに。 マウロとうまく話ができればいいと、思っていたのに。 「俺、ひとりだけ……生き残ってしまったと……」 仏頂面の瞳から、涙がこぼれた。 (-31) 2022/08/24(Wed) 8:21:13 |
【人】 銀の弾丸 リカルド【路地裏】>>3 ルチア 怪我の影響による重い一歩を懸命に前に、前に出しながら大通りを目指す。 もうしばらく歩けばたどり着く、そんな時に。 自分とはまた違う一歩を進める音を聞いた。 「…………?」 警戒し周囲を見回すと、そこには見覚えのある少女。 アルバとの対立が激しくなった頃に、一度こっそり抗争の場から逃したことのある子供の姿だ。 その後も見かけた時は、明るい顔をしていたはずなのに。 いつも一人で本を読んでいたヴェルデとは違い、あなたの側には油断ならぬ男が控えていたから関わるまいと遠ざけていたが。 ――そういえば、あの男の死亡報告があがっているのだったな。 そう思い出せば、貴方の方へと歩の方向を変えた。 「……君、このような所でどうした。危ないだろう」 気がつけば、声をかけていた。 (4) 2022/08/24(Wed) 8:29:49 |
【秘】 銀の弾丸 リカルド → ”復讐の刃” テンゴ【隠された医療施設】 本来であれば絶対安静の重体であることには変わりない。 頭、脳への損傷は傷が軽く見えても油断ならないことは、一般人であったって理解してる事だ。 それでも、動けるならば動かなくては。 今の状況が、真面目すぎる男を大人しく寝かせるには弱すぎた。 腐った阿呆どもに任せていては、アルバとの交渉だってきっと決裂しかしないだろう。 冷静になれ、考えろ。 自分がどのように動くのが最適解なのかを。 ……ただ、それでも。 「……っ、う」 今だけはこの喪失感を隠せそうもない。 男は正しく、上司を愛していた。 それが色恋のような感情ではなくても、確かに愛していた。 一生忠義を尽くすつもりだった。 ラウラを幼馴染の元へ帰すつもりだった。 感情の種別はさておき、彼女にとっても上司は最愛の相手だったはずだから。 まるで自分のように、妹のように見守っていたのだから。 (-34) 2022/08/24(Wed) 11:24:23 |
【人】 銀の弾丸 リカルド【路地裏】>>7 ルチア 「―――…………」 その言葉に。 「そうか……」 その眼差しに。 「君も、壊れてしまったのか」 あの男がとても大事な存在であったのを理解した。 俺は、あの男の死の真相は知らないが、自分で死ぬような目をした男ではないことくらいは知っている。 そして、もう一人。 同じように狂ってしまっていた男のことを、俺は知っている。 あのようなことになる可能性を、俺はどうしても許せない。 この年端も行かぬ少女に、させてはいけない。 「……おいで。 今度は俺が、君を独りにしないと約束しよう」 そうして男はまた、懲りずに手を伸ばした。 (9) 2022/08/24(Wed) 13:05:30 |
【秘】 銀の弾丸 リカルド → ”復讐の刃” テンゴ【隠された医療施設】 そうかもしれない。 残された幹部を考えるとあまりにも、ノッテは脆い城となってしまった。 その上で唯一信用できた上司の親友はこの有様だ。 今のノッテを支えるのは、俺達三人をおいて他に居ないだろう。 マウロを今の境遇から引き上げるのにも逃せぬいい機会だった。 この方にも、上司にも目をかけてもらった自覚もある。 可愛がってもらった自覚があるからこそ、このままではいられないと、止まらぬ涙を流しながらそう思う。 「はい……、 俺の愛する上司もまた、後にも先にもあの方だけです。 そしてあの方の親友も、貴方をおいて他にはおりません」 ですから、貴方はこのまま死んだりしないでください。 点滴まみれの貴方の手を取って、切に願った。 (-44) 2022/08/24(Wed) 16:29:59 |
【魂】 銀の弾丸 リカルド【ヴェネリオの部屋】 「………………」 主を失った部屋に入り、部屋を見回した。 使う人間がいなくなったというだけで、ひどく寂れた気持ちになり涙がにじむ。 テンゴに聞くまで、亡くなったことすら知らなかったのが、ひどく親不孝にすら思えてしまってならない。 部屋に香るあの人が残した煙草の匂いも、いつかはなくなってしまうのだろうか。 、ひょっこりと「リィィック、直ぐに迎えに来い」なんて連絡を入れてきそうな気さえするというのに。 (_0) 2022/08/24(Wed) 16:37:17 |
【魂】 銀の弾丸 リカルド血の気もなくふらふらと、いつも2人で珈琲を飲んでいたソファに腰掛ければ、上司に託されたノートパソコンがテーブルに鎮座しているのが見えた。 「このパソコンで、2人でラウラを見守っていたな……」 パソコンを開いて、電源を入れた。 小さく稼働する音が聞こえてしばらくすると、パスワードを入れる画面が出てきた。 教えられた操作方法を経て画面を映し出せば、それは、様々を見通す目となる。 ――けれども、見守るべき女も、もういない。 (_1) 2022/08/24(Wed) 16:43:27 |
【魂】 銀の弾丸 リカルドこのパソコンと、操作権限の全を握るUSBは、生涯露出させないことを上司に誓って託されたものだ。 これを破壊できていないまま、二人共死んでいたならば、本当に大変なことになっていたかもしれない。 いっそこの場で破壊してしまうべきかとも思ったが、これはきっと、これからの自分に必要なものになってくるだろう。 情報を握ることこそ、この先の戦いにおいて必要なこと。 ツィオやマウロでは出来ない何かを、俺自身が握っておく必要があったのだ。 それを貰えていた俺は、 「……俺も、随分愛されていたものだなぁ」 と言って笑った。 あの男に逆恨みされるのも当然だったかもしれない。 そしてしばらく無意味に流れる映像を眺め、 いつもの珈琲でも淹れるかと思ったその時だった。 (_2) 2022/08/24(Wed) 16:51:34 |
【魂】 銀の弾丸 リカルド「―――――……っ!!!」 激しい頭痛に目を顰め、質の良いソファにどさりと倒れ込む。 割れるように頭が痛い。 何かが失われそうで、何かが視えそうで。 なぜだかとても恐怖を覚えた。 しばらくソファの上で蹲っていると、フラッシュバックしたかのように、映像と声が、目の前に広がっていく。 「ヴェネ……オ、さ。ラ……ラ……!」 夢と言うにはリアルで、現実と言うには不可解なそれは、きっと臨死体験というものだったのだろう。 川を渡ってしまう前に、貴方達に出会えていた。 そして、生きている者は戻れと送り出されていたのだ。 「あ”……う”、ぁ”……!」 とても痛いです、ヴェネリオさん。 貴方の答えが聞けないのが悲しいです、ラウラ。 ―――男はソファから動けないまま、痛みと喪失感でまた、涙を流した。 (_3) 2022/08/24(Wed) 17:01:05 |
【秘】 銀の弾丸 リカルド → 天使の子供 ソニー「知らないものは、知らんとしか、言えん」 いくら知らぬといった所で、通じないだろうことはわかっていた。それくらいで何年もの間蓄積された物が晴れてしまうならば、この男はマウロを殺してなどいないし、俺を犯そうとも思わないだろう。 消化しないまま直接体内に入れられるアルコールは薬の影響と相まってひどく回る。 「ふ、あ……、あ――――っ」 性急に絶頂へと導かれているのが手付きでわかって、堕ちてはやるまいとふるふると頭を振った。 それでも硬度を増し、弓なりになってしまったそれは、簡単に良いように貴方に弄ばれてしまっている。 断続的に与えられる感覚に、随分とご無沙汰な身体はすぐにでも気をやってしまいそうで。 きっと、あっけなく果ててしまっただろう。 「マウロも、俺も! 何も関係などあるものか、……っ。 あ”、全部俺だと言えば満足なのかっ。 貴様に、きいっ、あっ、話は! 誰にも話して、いないっ」 気をやった後であっても容赦はなく。 与えられる刺激はそのままに残った衣服を剥ぎ取られていく。 出来上がってしまった身体は、衣服の擦れる感触ですらもどかしい快感となってしまっていてたまらない。 けれど、綺麗に衣類を剥ぎ取ってしまったその瞬間に訪れた、つかの間の静寂とひんやりとした空気に、少しだけ冷静に喋るすきができただろう。 「貴様、は……、自分で自分を追い詰めている。 このような方法で、胸の内が晴れるものか。 貴様のそれは、最早敵討ちですら無い、ただの狂気だ。 恨みと嫉妬で塗りつぶされた狂人だ」 「――俺は、貴様の思い通りにはなってやらん」 堕ちながらも、その挑戦的な目だけはまだ、失われていない。 (-46) 2022/08/24(Wed) 17:47:40 |
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