【人】 虹彩異色症の猫[ 澤邑が炬燵を覗き込んでいると、なぁう、と背後で鳴き声がした。幾度かの呼び声への応答にも思える。 先刻まで確かに姿を潜めていたのに、まるで最初からそこに居たような顔をしている。炬燵の掛布に埋もれていたのか、それとも目を離した隙に続き間の襖の合間から駆けてきたのか。 澤邑の足元をうろうろと一巡りすると、脛に鼻先を擦り付けた。それから天板の上に勢いをつけて飛び上がると、澤邑が外から購い>>11、一旦は置いた紙袋に鼻を引くつかせる。外のにおいがするのか。止めなければそのまま紙袋を引き倒し、その中に潜り込もうとしている。]** (24) 2022/04/09(Sat) 19:20:53 |
虹彩異色症の猫は、メモを貼った。 (a6) 2022/04/09(Sat) 19:21:25 |
【人】 虹彩異色症の猫[ 帰宅した飼い主に一通り匂いを擦りつけ終わると、炬燵の天板の上に身軽に飛び乗った。外から持ち込んだものは検分せずにはおれないらしい。興味津々に紙袋を嗅ぎ回り、中身が取り出されたそれにすっぽりと躰を収めてしまった。 天板から下ろそうと>>29、紙袋から取り出す手が伸びてきた時は袋奥に丸まって抵抗した。打粉の様な足先で人の手を叩く。爪は出ていないので戯れている範囲だ。 年寄りの手は子どものような無遠慮さがないのがいいのか、それとも澤邑が主に己の世話をしていることくらいは理解しているのか、膝に抱き上げれば大人しく丸まった。 躰を伸ばし、よくわからぬ布地を当てられ右前足を上に、左前足を下にと良いようされるがままとなっていたが、そのうち苛立ちをみせ喉奥でウゥ、と小さな唸り声をあげた。 澤邑が畳に猫を離すのと、猫が膝上から飛び降りたのは殆ど同じ折り合いだ。 躯を丸め張り付いた見慣れぬ器具をフンフンと嗅いでいる。背から伸びる紐に気付いたのか、飛び掛かろうとして畳に転がり、紐の長さに余裕があるならそのまま床の上で戯れついている。]** (35) 2022/04/10(Sun) 0:03:23 |
【人】 虹彩異色症の猫[ 視界の端をちらつく紐に飛びつき、飛び退き、子猫であっても狩猟本能の真似事だけは一人前だ。飽きもせず畳の上を転げ回って、ひとり鬼ごっこを続けている。 抱き上げようと伸びてきた手も遊びのひとつと思ったか、前足ではっしと捉えたと思えば、後ろの足が忙しなく蹴りつける。我を忘れた様子に細く、小さい子猫の爪が掠める。 胴を抱えられるとじたばたとしていたが、それも手足が床を離れるまで。腕の中にちょうどよく尻が収まると、神妙にじっとしたと思うのも束の間。澤邑の肩に前足を付いてよじ登り、見渡すようにぐんと躰を伸ばしている。] なぅ。 [ 硝子戸が開くと、気に留める程でもない遠くの雑踏、風の揺れ、外気の匂い、そういったものに直接触れるのが物珍しいか、乗り掛かった澤邑の肩の上で鼻を引くつかせ、耳をそばだてている。 猫の姿が見えない、何処へ逃げたと言ってもそれは敷地内、精々表側の店舗までだ。殆ど外に出たことのない子猫は、土の上に下ろされると慣れない感触に背を丸めた形のまま固まっている。それから土の匂いを検めると、全く唐突に駆け出し始めた。 ハーネスに結わえ付けられた紐が、背で限界までピンと張った。]** (44) 2022/04/10(Sun) 17:09:19 |
【人】 虹彩異色症の猫 んなぅっ。 [ 上衣を着るように、胴を包む形のハーネスであるから、食い込むということはないが、紐の遊びの限りに駆け出せば、勢い余って転がっている。 不平の響きの鳴き声を上げれば、澤邑が近づいた分また駆け出しては足止まる。 そのうちまるで澤邑が邪魔しているとでも言いたげに、振り返り、んなぁ、と鳴いた。 暫くするとどうも一定の距離しか進めないことを理解したようで、歩んでは立ち止まり、歩んでは澤邑がちゃんと着いてきているか確認するように振り返る。 それでも例えば塀の向こうを走る車の警笛、子の騒ぎ声、茂みの物音>>47、そういった慣れぬものに反応しては駆け寄ろうとしたり逃げ出そうとしたりするので、白い躰は何度か土の上に転がった。 疲れたのかやがて蹲った躰を抱えあげられると、湿らせた布で躰を拭われるのも四足を丁寧に拭われるのもされるがままにしていた。されるがままにしていたが、んな、んな、と、一丁前に文句に似た鳴き声を上げている。 それも小さな口の中でもごもごとした響きに変わると、そのまま澤邑の膝の上で眠ってしまった。**] (48) 2022/04/10(Sun) 19:40:16 |
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