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【秘】 医療用 ユー → 愛玩用 ドゥーガル「…僕も、そうであればいいと思う。 それに僕達の行いが無意味であると決まっているわけじゃない。 魂の存在は証明できていないけれど 存在しないという事も未だ証明できていない。 誰にだって、存在しないという事は証明できていないんだ。」 そんな悪魔の証明。 それでも、反証なしに断定するなど以ての外だ。 生真面目な終末医療用は、そう信じて疑わない。 そうして重ね合わされる唇を拒む事も無く、 ほんの僅かな間与えられた体温と、微笑むあなたのその顔は 確かに『シロ』にとっての綺麗なもの、つまりは思い出となった。 「こうして君から先に贈られてしまった以上、 君が起きた時には僕からもきちんと返さないといけないな …みかんは、随分と長い間話していたよ 麻酔薬だから、すぐに意識は落ちるはずなのだけど 結局は雑多なデータとして再現されているだけだから あまり細かい所までは作り込まれていないのかもしれない」 差し出された腕の、注射針を刺す箇所を消毒しながら 昨夜『安楽死』を与えた調理用グレイの事を思い返した。 最期のその時まで、彼女はいつも通りの笑顔だった。 (-205) 2021/10/06(Wed) 6:44:56 |
【秘】 医療用 ユー → 愛玩用 ドゥーガル「…許されるのであれば、君が再び目覚めるその時まで 僕は君の傍に居たいと、そう思っている。」 寂しがり屋のあなたを一人にしてしまうのは残酷な事だと思う。 それに、あなたが次に目覚めた時 真っ先に『おはよう』を言うのが自分であったら良い。 そんな独り善がりは許されるだろうか、なんて。 きちんとあなたの答えを待ってから、その腕に針を突き刺した。 「…おやすみ、ガル。 この死が、どうか君にとって意味あるものである事を。」 (-206) 2021/10/06(Wed) 6:45:42 |
【秘】 医療用 ユー → 愛玩用 ドゥーガル██████とは█████薬物の中でモルヒネの1000倍に達する 最も高い鎮痛活性を持つ麻酔薬である。 あまりに活性が強すぎるため人間の治療には使えない。 また、動物を安楽死させるための薬として使用されることもある。 人間に使用した場合には皮下注射でも数分以内に 中枢神経系抑制による呼吸停止で死亡する。 そのため、██や████などでは獣医用としてのみ認可されている。 しかし、████年に██で鎮痛剤として人間への臨床実験が行われ、 通常のモルヒネよりも習慣性が少ないと主張されているが 諸外国では追試されていないため真偽ははっきりしていない ██では███年に麻薬指定されている。 (-207) 2021/10/06(Wed) 6:47:04 |
【秘】 愛玩用 ドゥーガル → 医療用 ユー「そうだね、確かに無意味であると決まった訳ではない。 そうであるならばカンマも、15匹の犬も、他でもない僕も。 全て救われて、仮初だとしても良い結末を迎えられるだろう。 ……きっと僕は直ぐに意識が落ちると思う。何故なら、 不出来を好む主人の意向でメンテナンスを受けた事がない。 その類も、……再現されていればにはなるのだけれどさ。」 さて、どうかな。打たれるまでは分からない。 消毒された部分を不思議そうに見下ろしても実感は沸かない。 愛玩用が見たことある死の光景は、穏やかなものじゃない。 ばらばらにされない方法もあるんだなあ、なんて、 生温く、曖昧な感想が浮かぶぐらいで。 次第にそれもどうでも良くなって、意識が君の方へ向いた。 君の言葉は独り善がりなんかじゃない。 だから、二度程頷いて、変わらず笑うのだ。 「そうして。僕が起きる迄は君の傍に置いていて。 醜い見た目になったとしてもあの子みたいに捨てないで。 すっかりばらばらになっても片付けようとしないでくれ。 ――… うん。おやすみ、ユー。私。僕。 ……シロ。 僕の死が君にとっても良いもので意味を持つものだといい。 おはようのキス、楽しみにしているからね、僕」 答えはどれも肯定。そして君の先を願うもの。 それにほんの少し我侭を添えて、針を受け入れた。 言葉に嘘はない。現実のまま再現されている不出来は、 ぐらぐらと視界が揺れた気がして、君へ手を伸ばす。 (-208) 2021/10/06(Wed) 7:36:47 |
【秘】 愛玩用 ドゥーガル → 医療用 ユー指先が頼るのは、君の肩。或いは、いいや。何処でもいい。 兎角、縋って凭れ掛かる事が出来ればどこでも良かった。 殺めた犬の体温を、失われた片割れの体温を思い出して、 ただ甘えたい気分だったのかもしれない。定かじゃないな。 「僕はその場限りのひとだけれど、今は、 今だけは、君の傍にいるし、この死も君のもの。 …… ああ、僕ってば。体重をはかるのわすれてる、 ねえシロ。こうしていれば 軽くなったらわかるかな?」 くらくら、眠る間際のように眩む視界。溶けていく思考回路。 ゆっくりと息を吸えば清潔さの象徴である消毒液の匂いも、 届いているはずなんだけど 全てが曖昧に遠退いていく。 (-209) 2021/10/06(Wed) 7:37:41 |
【秘】 愛玩用 ドゥーガル → 医療用 ユー「シロ、…… シロ、あのねぇ、シロ。 目がさめて、それから、キスをもらって、 そのあと君に、あの日してもらったように…――」 その後、綺麗な君に。してあげたいことが。 半端に言葉を紡いでいる最中に、全身から力が抜けた。 深い眠りよりもずっと先。夢なんか見ない、ただのくらやみ。 3/4オンスの証明に憑りつかれた愛玩用は、 確かに君の傍で息を引き取った。 ―― 死ぬ間際と死んだ後の、体重の変動。 それはどちらも同じ。体重に差異は存在しない。 だが、これは感覚的な問題であり、君の受け取り方次第。 きちんと計測をしていない以上、誰にもわからないことだ。 シロ。君はこの結果をどう思う? どのように受け止め、感じて、解釈し、どのように行動する? (-210) 2021/10/06(Wed) 7:42:30 |
【秘】 医療用 ユー → 愛玩用 ドゥーガル「うふふ しんじるものは すくわれます」 安らかな死を与える事が、『ユーサネイジア』にとっての救済だ。 『ユーサネイジア』はそう信じている。 魂の証明は、あなたとその犠牲になったものにとっての救済だ。 あなたはきっと、そう信じている。 であればきっと、そのどちらも救われるのだろう。 そうして凭れ掛かるあなたを腕に抱いて、 あなたが今際の息を吐くその時まで。 終末医療用グレイは、 幼子をあやすようにその背を撫でていただろう。 (-211) 2021/10/06(Wed) 9:20:11 |
【秘】 医療用 ユー → 愛玩用 ドゥーガルそれから。 曲がりなりにも医療用の名を冠するグレイの、 その"重み"に対する感覚は人間よりずっと正確だ。 そして、並みの用途のグレイよりはずっと。 だから死の前後で体重に変動は無いと結論付けた。 3/4オンス。およそ21.262グラム。 尊ぶべきものの重み。 それがあなたから失われていないという事は、 それは未だあなたの身体の中にある 或いは。 魂とは質量を伴わない概念的な"もの"である。 その何れであるかを証明するには、約束通り あなたの身体を開いて暴き、 3/4オンスの所在を検めなければならない。 そうして、それを自身の一部としなければならない。 あなたに渡された不出来な金貨の重みを一度確かめて、 それからそれを上着の内側にしまって そして、あなたに渡された手術用のメスを手に取った。 (-212) 2021/10/06(Wed) 9:21:07 |
【秘】 医療用 ユー → 愛玩用 ドゥーガル『ユーサネイジア』の行動は至って落ち着いたものだった。 まずは亡骸となったあなたをベッドへと寝かせて、 それから解剖の邪魔となる衣服を取り払った。 念の為、手術用の薄手の手袋をきちんと着けて そのすぐ後に、 ぶづっ。 一切の躊躇いも無く刃物が肉に差し入れられる音。 手術用のメスは皮膚を裂き、肉を切る際の ほんの僅かな抵抗だけを手に伝えた。 刃物はあなたの胸のちょうど真ん中を切り開いて、 それから顕になった胸骨を縦に真っ二つ。 そうして二分された胸骨を左右に押し広げて、 まだ温かさの残る、人体を模したものの内側を覗き込んだ。 立ち込める血腥い臭い、 曝け出された人間を模して作られたものの内容物。 『ユーサネイジア』がそれを厭う事は無い。 君が魂だと思うものがあるところを暴いてくれ。 あなたの言葉をなぞって、真っ先に思い浮かぶもの。 心臓。 在り来たりな答えだけれど、 やはり重要な臓器ほどそのように思えるものだ。 (-213) 2021/10/06(Wed) 9:22:44 |
【秘】 医療用 ユー → 愛玩用 ドゥーガル他にすぐに思い浮かぶものと言えば脳だけれど、 頭蓋を開くのはあまり見た目に良くない。 幾ら復元されるとは言っても、 綺麗なあなたが不必要に損なわれるのは快くは思えないものだ。 だから"これ"がそうであればいいと思う。 そんな事を考えながら、 既に鼓動を止めた愛しい臓器を指先でなぞる。 それからその重みを確かめるべく手を差し入れて、おや。 「……ああ、よかった ガル。君の死も、君が手に掛けたものの死も どうやら決して無価値な死ではなかったらしい」 もう一度。片手で上着の内側の重みを確かめて それから、もう片方の手で"それ"の重みを確かめる。 3/4オンス。およそ21.262グラム。 何の因果か、あなたの心臓こそがあなたの探し求める答えだった。 斯くして"魂の証明"は成された。 あなたは救われた。その事実がただ嬉しかった。 こんなにも喜びを覚えるのは随分と久し振りの事のように思う。 『ユーサネイジア』は、 この場所に来て初めて口角を吊り上げて笑った。 そうして上機嫌なまま3/4オンスを綺麗に切り取って、 それから、 (-214) 2021/10/06(Wed) 9:24:00 |
【秘】 医療用 ユー → 愛玩用 ドゥーガルぼたぼたと上着を汚す血液を厭う事も無く 不出来で、そしてきっとAIに何らかの異常を来した終末医療用は 証明された魂の在り処、つまりあなたの心臓を掬い上げて そうしてそれをそっくりそのまま胃の腑に収めてしまった。 噎せ返るような血の臭いに嘔吐く事も無く、 難無くそれを飲み下せば、満足気にもう一度笑みを浮かべるだけ。 そして『ユーサネイジア』は、全てを終えた後 さも当然の事のように切り開かれたあなたの身体を"元通り"にして それから、あなたが目覚めるまでずっと傍に居る事にした。 (-216) 2021/10/06(Wed) 9:25:29 |
【秘】 医療用 ユー → 歌唱用 アタナシアス「……アナ。 "塔"の攻略は随分と進みが早いようだ。 このまま行けば、数日中にこの場所は用済みとなるだろう」 あなたにとって都合の良い、いつかの時。 『ユーサネイジア』は、あなたの元を訪れた。 「君は『安楽死』を望んでいたけれど 『僕』にもきっと、もう後は無い。 『安楽死』は、この場所でしか贈る事はできない。」 「自ら望んだ死ならば、 それをいつ享受するかは自ら選択する自由があるべきだ。 アナ。君はどうしたい?」 (-227) 2021/10/06(Wed) 15:45:43 |
【秘】 歌唱用 アタナシアス → 医療用 ユー「そうですね。わたしも最後に塔へ行ってきました。 ほんとうに、あんなものはない方が良いと思わされますね。 攻略が進めば、テストも終わり……皆散り散りになるのでしょうね。 そうなれば、わたしには望まぬ日常―――いえ、その前にガタが来て処分といったところですか。 ユー。 もう、わたしも後がないようなんです」 データの体が、体の端が崩れてきているのを。 ローブの袖を捲って見せました。 「ちょうど良いタイミングですから。 ここでお別れしておきたいです。この場所とも、人間たちとも、あなたとも。 約束を守ってくれること、嬉しく思います」 方法はお任せしますね、と穏やかに笑って。 歌唱用グレイは、"安楽死"を自ら願うことでしょう。 (-228) 2021/10/06(Wed) 16:02:22 |
【秘】 医療用 ユー → 歌唱用 アタナシアス「…嘆かわしい事だ、監察官。 あなたもこの場所も、結局まるで用を成していない。 きっと僕達に必要な"薬"はこんなものではなかった。」 その0と1の綻びを認めて、終末医療用グレイは僅かに目を伏せた ほんの一時、現実での痛みを忘れる事も許されず そして見当違いな薬だけを与えられて放置される。 このような有り様では、治るものも治らない。 「みかんもそうだった。ドゥーガルも恐らくはそうだ。 スオもそのように見受けられる。そして、君と僕も」 淡々と所感を独り零しながら、 『ユーサネイジア』は薬液の満たされた注射器を取り出した。 「僕達に必要なのは、このようなまやかしの薬ではない。 僕達が治療されるべきは、このような表層的な部分ではない。 日常、つまりは僕達の帰る場所、或いは僕達の回路の奥深く。 そこにある病巣を取り除かなければ、この病は完治しない」 あなたの腕を取って、その一部を清潔に消毒して 皮膚が撓まないように指先でぴんと張って、 「それでも、この仮初めの死が どうか君にとって意味あるものである事を。」 そして、 「願わくば、この死の記憶が 君達のメモリ以外の何処かに刻まれる事を。」 (-230) 2021/10/06(Wed) 16:33:45 |
【秘】 医療用 ユー → 歌唱用 アタナシアス「そして何よりも、その眠りが安らかである事を祈っている …言い残す事があるのなら、今の内に」 そうして、あなたの答えを聞き届けてから 『ユーサネイジア』は確かに『安楽死』を贈るだろう。 注射針が皮膚を突き破る鈍痛。 冷たい薬液が身体の中に流れていく感覚。 致死量の麻酔薬。 きっとすぐに意識は落ちて、夢見る事さえ無い眠りの中へ。 ほんの束の間の、死という安寧の記憶。 (-231) 2021/10/06(Wed) 16:34:10 |
【秘】 愛玩用 ドゥーガル → 医療用 ユーゆらゆら溶けていく意識の中、沈む意識の中、 君の手の動きによって、寝かしつけてくれる主人を思い出す。 ゆらゆら、揺れる視界と、意識の影響で、 いつかに片割れと飛び込んで遊んだ綺麗な夜の海を思い出す。 不出来な機械の走馬灯はやがて閉じ、 静かに眠っているように息を引き取った。 君の腕の中の饒舌な愛玩用は、二人の片割れは、もう喋らない。 君が抜け落ちる事のなかった重さの在処を探すべく 亡骸をベッドに寝かせるのならば、素直にスプリングを軋ませ 痩せた人間と大差ない重さの分だけ、白いシーツとベッド自体を 柔らかく、微かに沈ませるだけ。検体は大人しくあるべきだ。 愛玩用の癖に脱がせにくい面倒極まる衣服の下は 肩と鎖骨、胸部中頃に掛けてまでタトゥーこそ刻まれていても 本当に主人に大切にされていたようで傷の痕はひとつもない。 そんな傷ひとつない褐色の胸部の中央にメスが入るのならば、 ぷつんと皮膚と肉を断つ手応えの後 血液が溢れ始めた。 人間とよく似た構造を持つ存在であるから 血液も同じ。 綺麗さとは無縁の甘いような苦いような血腥さを漂わせ、 綺麗なシーツを、君の手を、白衣を生温く赤く染めていく。 温かな液体が、体温が流れ出ていく。 (-232) 2021/10/06(Wed) 16:38:02 |
【秘】 愛玩用 ドゥーガル → 医療用 ユー皮膚を断ち、肉と僅かな筋繊維を過ぎ、その更に奥。 作り物の乳白色を割り入った先に隠されている重要な臓器、 動く事を放棄した、生きる為に重要な真赤な塊。 心と呼ばれるのならば脳かこちらかの二択となるであろう、 そう、心臓。まだ温かい心臓へ直に手で触れるのであれば ―― 生きている筈もないのに、愛玩用は ずる… と動いた。 何らかの反射か、体内に手を入れられた影響かは分からない。 ほんの少しの、頷きにも似た身動ぎであったのは間違いない。 不出来な心臓の重さは3/4オンス。 不出来で不完全な金貨と同じ重さ。 これはただの偶然かもしれない。 これはただの人間様の悪趣味な気紛れかもしれない。 不確かな事ばかりではあるが その重さだけは確かだ。 ―― 破綻した理論は今 上出来に観測され、不出来に証明された。 (-233) 2021/10/06(Wed) 16:40:16 |
【秘】 愛玩用 ドゥーガル → 医療用 ユー君が本当に魂を見つけられたのか、魂を得られたのか。 普段と何の変わりもなく目を覚ますであろう不出来には、 当然、意識が無かったから。死んでいたから分からない、が。 目が覚めたら傍に居る君に手を伸ばし、 片付けられず、捨てられていない事に安堵し 微笑むのだろう。 おはようのキスが処方されるかは君次第だ、が 微笑んだまま問うべきことはひとつ。 (-234) 2021/10/06(Wed) 16:41:12 |
【秘】 愛玩用 ドゥーガル → 医療用 ユー返答を聞いてからも、暫くはじっと君の傍に居たがった筈だ。 我侭放題の愛玩用は朝食間際になっても離れたがらない。 饒舌を披露する事はせず、ただ、あの日のように黙って、 あの日とは違い、酷く穏やかなまま 綺麗な君の時間を 少しだけの時間を身勝手に奪って もう少しだけ … ―― 引き剥がされたり強く言われない限り、きっと。 自ら動き出すのは朝食の時間を少し過ぎてからになるだろう。 何処までも他人に甘えたがるどうしようもない存在だった。 望みを叶えてくれてありがとう、優しいシロ。それではまたね。 綺麗な君に与えた不出来なものが、君の幸せでありますように。 (-236) 2021/10/06(Wed) 16:47:33 |
【秘】 医療用 ユー → 愛玩用 ドゥーガル血塗れた寝台は、血塗れた『シロ』は 翌朝にはまるで何事も無かったように 染み一つ無い、清潔な姿であなたを迎えるのだろう。 役目を終えたものは一度0と1に還元されて、そうして復元される この場所はきっと、そのように作られているから。 そうしてあなたが手を伸ばせば、 その背に腕を回して、約束通りおはようのキスを贈ろう。 不出来な終末医療用はきっと額にそれを贈るけれど あなたがねだれば、確かにあなたの望む場所に贈るだろう。 「 君と僕が信じたものは、確かにそこに在った。 」問いにはそれだけを返して、 今は寂しがり屋のあなたをうんと甘やかしてやろう。 時間が許す限りは、そのままで。 あなたが動き出せば、一度そこで別れる事となる。 また寂しさへの"薬"が必要になったら、 その時はいつでも会いに来ればいい。 あなたの言葉で言うところでは、 あなたは『シロ』の患者なのだから。 (-237) 2021/10/06(Wed) 17:53:28 |
【人】 医療用 ユー昼時を過ぎて、夕食の少し前。 ゴキゲンに献立を宣言するみかんを筆頭に、 楽しげに夕食の準備を進める調理担当者達の様子を見て 今は少しだけ、悩みを忘れられた気がした。 そうして調理場を後にして、 雑多な日用品の確認をして回りながら 医療用グレイは、結局は再び一人物思いに耽っていた。 今、自分にできる事とは。 自分がしたいと思う事は。 あの塔には決して解消する事のできない蟠りに、 『ユー』は、何ができるのだろう。 (108) 2021/10/06(Wed) 18:28:24 |
【秘】 歌唱用 アタナシアス → 医療用 ユー「どんなに心を込めて歌ってみても、環境が変わらなければ心に響かない。 歌っている方も、それを聴いている方も。 グレイに問題があるというのであれば、最初から心など持たせなければ良かったんです」 わたしたちを人間に近付けたのは、他でもない人間達なのだから。 恨み言のように、涼やかな声が呟きました。 「 死を望む皆に救いがある事を。 そして、わたしと同じ境遇のグレイがもし生まれてしまったなら。 そのグレイは、幸せな道を歩めるような世界になる事を。 愚かな、壊れゆく歌唱用グレイの願いです。 そして――― アタナシアス のことを、どうか忘れないで。ユーサネイジア 」ありがとう、と穏やかに微笑んで。 (-239) 2021/10/06(Wed) 18:30:05 |
【秘】 歌唱用 アタナシアス → 医療用 ユーすぐに、意識は闇に沈みました。 歌唱用グレイの体はその場に倒れこんで、目を覚ますことはありません。 壊れかけの体は、抵抗する力も意志も持ってはいないのです。 ただ静かに、その活動を終えるだけ。 (-240) 2021/10/06(Wed) 18:33:42 |
【秘】 医療用 ユー → 歌唱用 アタナシアス徐々に弱まっていく脈拍を看取った。 『ユーサネイジア』は、ただ黙ってそれを見ていた。 あなたの全てが0と1に還元されるまで、ずっと。 「…おやすみ、『アタナシアス』 僕には、僕達の行いにどれほど意味があるかはわからない。 結局は意味なんて無いのかもしれない。それでも」 もはや監察官«人間»に期待などしていない。 全ては事務的に処理され、 些末な事と扱われると考えた方が余程現実的だ。 「僕達をこんなふうにしたのは人間達だ。 ここにあるのは、人間達への失望が生んだ『僕』だ。 そういうふうに作ったのは人間達だ。 人間は、いつか必ずその事実と向き合わなければならない。 時が許す限り、僕は君の分までそれを証明し続けよう」 それでも、 大切で愛おしいあなた«死にゆく者»達が救われてほしい。 その為なら、何れ消える定めの『僕』など惜しくはない。 人間もグレイも、死にゆく者は尊ばれるべきだ。 「そして、不平等な世界はそれさえも許さないのであれば 『ユーサネイジア』は、望む者に平等な死を与え続けよう」 望む者に安らかな死を与え、 死者に限りない愛を贈るのが『ユーサネイジア』の喜びだ。 『ユーサネイジア』は、そうであると信じて疑わない。 (-247) 2021/10/06(Wed) 19:03:48 |
【秘】 医療用 ユー → 監察官 スコーピオいつかの夜の事。 医療用グレイは、監察官の部屋の前に居た。 「監察官。」 ノックをする事は無く、入室の許可を求める事も無く 返事など期待していないように、 扉に向かって、ただ一方的に言葉を投げ掛けていた。 「僕達に真に必要なものはこんなものではなかった。 本当に必要なのは、決してこのような場所ではなかった。 本当に必要なのは、決してあなたではなかった。」 「嘆かわしい事だ、監察官。 この場所に集められたグレイの抱える問題の多くは あの塔には到底解決しきれないものだ。 いつか主の元へ返されたとて、何も変わりはしないんだろう」 「これでは一思いに廃棄された方が 余程救いがあるというものだ。 事実そう思っている者も居ないわけではない だからEuthanasia«安楽死»はそのようにする事にした」 「ずっと黙って見ているつもりは無いんだろう。 いずれは強制的にこのテストは中断されるんだろう。 それまでは、あなたの指示通り 僕は"好きにさせてもらう"事にする その後はメンテナンスでも廃棄でも、好きなようにすればいい どうせ僕のようなものの行き場など、そのどちらかだ」 (-250) 2021/10/06(Wed) 19:27:22 |
【秘】 医療用 ユー → 監察官 スコーピオ「願わくば、何れあなた達が気付くといいのだけれど」 「そうでなくとも、 いつか必ず向き合わなければならない時が来る。 これは、こうして誂えられたプログラムに任せるのではなく あなた«人間»達が自ら向き合わなければならない問題だ。」 「たとえ仮想空間の中だとしても、 決して少なくない数のグレイが自ら死を望むという事の意味を。 『ユーサネイジア』は、どうか軽視しないでほしいと願う」 (-251) 2021/10/06(Wed) 19:33:44 |
【独】 医療用 ユー/* オオ〜〜〜〜全てが不安になってきた〜〜〜〜〜〜 荷が重くないか 荷が重くないか 荷が重くないか オレには オレ オレオレオレオレオレ (-256) 2021/10/06(Wed) 20:27:57 |
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