【神】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>G1 宵闇 【4日目 『不発弾』処理】 「……あ、翔兄!」 遅れてやってきた男の声にぱっと顔を上げて、 続く言葉に非難の声を上げた。 心からの、というよりはやはり軽口じみたものだけど。 「サボろうとしない!もう随分遅れてきてるんだから!」 (G3) 2021/08/17(Tue) 18:38:11 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>@1 >>@2 夜長 「会いたいよ、夢から覚めてもずっと」 どこか憂鬱そうに笑う。 それでもその言葉は本心からのものだった。 「…この夢は、ずっと楽しかったよ。 だから続けていたかった。それこそ夢のような話でも。 もう会いたくない人なんて一人だって居るわけない。でも」 「だからお別れが寂しいんだ。」 楽しい時間はいつか終わってしまう。 夢は覚めれば色褪せてしまう。 そんな当たり前の事が嫌で仕方ない。 嫌で仕方ないのに、過ぎた事になれば熱は冷めてしまう。 愚かなくせしてまた明日、を愚直に信じる事もできやしない。 そんな自分が何よりも嫌で仕方なかった。 (8) 2021/08/17(Tue) 18:55:32 |
【赤】 君ぞ来まさぬ 百千鳥「本当に、仕方ない人ばっかりなんだから」 ざあっと木立が戦いで、その向こうに誰かの声を聞く。 その声を代弁するように一人呟いた。 「人が何かを抱えられるのは両腕の数まで。一遍にはね」 「でも一つずつ順番に手に取れば、ほんとはもっと持てるはず」 「もう手放さないようにしなね、どっかの誰かさん」 形を保ったままの石畳を踏んで、背を向けた。 夢はもう手放した後、でも今から拾い集める事はできるから。 「──さ、行こう 。」 (*0) 2021/08/18(Wed) 2:50:44 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>@3 >>@4 夜長 【祭りの終わり】 「そうだね」 夢を見せるなら、最後まで騙していてくれたらよかったのに。 この夢も、この祭りも なまじ楽しいと思ってしまえるから、 尚の事終わりが来る事の寂しさが募る。 この夢の終わりを感じ始めてから、何度も思った事。 「うん、夢を見せ続けてくれないなら、初めから。 皆には、きっとこの夢が終わっても会いに行けるよ。 でも、僕が本当にこの場所で会いたかった人には 夢から覚めたら、何処に行っても、もう会えないから。」 思い出の中にしか居ない人には、思い出の中でしか会えない。 見ないふりをしていた事実を改めて、喪失感が蘇って行く。 どうにもならない想いを抱えて、それでもと言葉を継いだ。 「でも、この夢で 皆と過ごした時間が楽しかったのは本当のこと。 『みんな』と『この村で』会う事はもう叶わなくても 僕が思っていたよりもずっと、 皆は過去に縋り付く事無く"今"を生きていける人達でも 僕はそれならそれで、どうとでも納得する事はできてしまうし 呼子姉が皆を好きだった事も、無かった事にはならないから」 (21) 2021/08/19(Thu) 22:10:03 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>@3 >>@4 夜長 【祭りの終わり】 「呼子姉もきっと 僕が皆と、また昔みたいに遊んでいられた事 よかったねって言ってくれるとは思うんだ」 「でも、だからやっぱり寂しくて。 呼子姉と一緒に来て、一緒によかったねって笑いたかった。 それはもう叶わない事だから、 いつまでも考えたって仕方ないのにね」 淋しげに笑って、晴臣へと片手の小指を差し出した。 目の前に居る人が、和臣でなく晴臣だという事は 夢の残滓がそうさせるのか、大して違和感も無く腑に落ちて。 「ね、晴臣くん。 僕はきっと、それでもずっと同じ事を考え続けてしまうから また会いに来て、君達の居る"今"を大事にできるように。 いつか遊びに連れ出しに来て、考える暇も無くなるように。 …またいつか、約束してくれる?」 (22) 2021/08/19(Thu) 22:12:44 |
【秘】 君ぞ来まさぬ 百千鳥 → 学生 涼風神社の境内を後にして、人の手の入っていない雑木林を抜けて 二人言葉も無く歩いて、暫くの後。 「……これからどうするの、だっけ」 徐に口を開いて、そう零した。 「どうもしないよ。 って言うと多分、誤解があると思うんだけど… この夢にやり残した事は無いから、今まで通り生きてくだけ。」 今まで通り。 可も無く不可も無く生きて、 時々過ぎた事に後悔をして、それから。 「いくつか探しものはしないといけないみたいだけど。」 (-30) 2021/08/19(Thu) 22:53:18 |
【秘】 学生 涼風 → 君ぞ来まさぬ 百千鳥 お祭りが終わった後、あとは帰るだけという暗がりの時間。 どうしてこの時間はいつもよりちょっと寂しさが増すのだろう。 静けさの中に落とされた貴方の声を拾い上げて凪いだ水面のような落ち着いた声を返す。 「今まで通り……そっか」 訃報で姉の呼子鳥が亡くなったことを知っている。でも、それが"今まで通り"になってしまった後の百千鳥の様子は分からないままだ。 それでも、10年前の姿、この夢の中で見ていた姿、そのどちらでもない事くらいは分かる。 「いくつかの……探しもの? 何を探しているの?それは私に手伝えるものかな?」 少し不思議そうに目をほんのちょっと丸くさせて尋ねた。 (-46) 2021/08/20(Fri) 23:55:22 |
【神】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>G12 >>G13 >>G14 清和 宵闇 【4日目 『不発弾』処理】 御山洗は来れない、そしてそれは宵闇のせい。 そんなやり取りに少し気遣わしげな顔をして、 それでも確固とした語り口で"次"を突き付ける清和に あまり気にする事でもないのだろうかと思い直した。 宵闇の冗談には、 なんでタイムカプセルにそんなもの入れるのさ なんて軽口を挟みながらも中身を覗く事はしなかった。 中身を検めた二人の反応から大体察しが付いたという事もあり。 「……なんていうかこれ、反面教師ってやつ? いつかタイムカプセル埋める事があっても モモチは絶対に変なもの入れないようにしよーっと」 一緒に埋めるあてがあるか、と言えば怪しくはあるけれど。 ぼんやりとそんな事を考えて、ふと思い至った。 「10年後になっても一緒に掘り出しに来れるって よくよく考えたら結構すごいよね、 そんだけ時間経っても仲良いままって事だし…」 10年後もそれなりの関係が続いていると素直に思える事、 それから、そのきっかけは意図しないものであったとしても。 確かに10年後にこうして集まる事ができている事が、 或いは埋められたものの中身よりも ずっと大事なのかもしれないな、なんて。 (G15) 2021/08/21(Sat) 4:49:45 |
【神】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>G15 清和 宵闇 【4日目 『不発弾』処理】 「あーあ、つっかれた〜!!んもう、勤労奉仕!! …そうだ、穴埋めるのと帰りの荷物持ち翔兄が担当ね!」 詮無い考えを放り出すついでにスコップを投げ出し…… かけて、やっぱり思い直して適当な所に置いた。 物を乱暴に扱うのはよくないので。 (G16) 2021/08/21(Sat) 4:50:32 |
【秘】 夢のその先 百千鳥 → 学生 涼風喧騒は今は遠くに過ぎ去って 聞こえるのは、細流のような声と、日の暮れに鳴く鳥の声だけ。 からん。 一つ、下駄を鳴らして振り返る。 「みんなのこと。」 問いには端的に"捜し物"の名を告げて。 淋しげに響く下駄の音につられてか、 湛えた笑みは寥々たるものだった。 「お願いがあったから、だけじゃない。 僕だって、また皆と会えるなら会いたいと思ってる。 この夢が終わったら、きっと会うのは少し難しくなるけど」 それでも。 過ごした時間が楽しいほどに、寂しさが募っていくように。 「呼子姉が、"みんな"のこと…… "大好きなみんなの居るこの村"が好きだった ことも僕が皆の事を好きってことも、消えて無くなるわけじゃない だからまた会いたいって思うのは、変な事じゃないでしょ?」 そうして寂しさが募るほどに、"また"を乞う気持ちは強くなる。 「それとも、薫兄さんはもう"僕"とは会ってくれない?」 (-47) 2021/08/21(Sat) 4:52:29 |
【人】 夢のその先 百千鳥>>@5 >>@6 夜長 【祭りの終わり】 置いてけぼりになった小指に、一瞬だけ ああ、やっぱり皆は自分が思うほどには、なんて 後ろ向きな考えが首を擡げて けれどそれはすぐに散り失せる事になった。 「……そうだね。 砂が落ちて積もる場所は、一つだけ。 そこには当然良くない思い出もあって、 他のものと混ざり合っているから、よけておくのは難しい」 「だから、掬い取ってよそへやってしまうのも良くない。 全部が混ざり合って、それでやっと今の僕があるから。 たとえたった一掬いだけでも、それを失くしてしまったら きっとそれは、今の僕とは違う人になってしまうのかも」 さんざん人に取り落とすな、なんて言っておいて その実、自身を省みる事もできていなかった。 はは、と息を吐くようにも笑いを零す。 夢を見るのに疲れてしまった今のそれは弱々しいものだけど 決して、後ろ向きなものだけではない。 「…うん。 それがいつになるかは僕にもわからない、それでもよければ いつか会いに来て、晴臣くん。 それで会えたらその時は、もう一度"またいつか"を約束しよう」 (37) 2021/08/21(Sat) 4:55:09 |
百千鳥は、「ゆびきった。」 (a13) 2021/08/21(Sat) 4:55:59 |
【秘】 学生 涼風 → 夢のその先 百千鳥「……え。 …………ううん、ううんっ。 会いたいに決まっているじゃないか!」 初めこそ驚きに僅かに目を見開いたものの、少年は勢いよく返事をした。 「会いたいよ、モモ。こうしてまたお話がしたい。夢が覚めても、これからも、ずっと。 ……望んでもいいの?君にまた手を伸ばしていいの?」 言葉尻が萎んでしまって、どうにも格好がつかなかった。 怖かったのだ。姉の呼子鳥は既に亡くなっているのだと気付いた時から、貴方になんて言葉をかければいいものかずっと迷っていたのだから。 (-53) 2021/08/21(Sat) 14:37:24 |
【秘】 夢のその先 百千鳥 → 夢の綴り手 涼風「ダメって言ったら」 伸ばされた手を躱すふりをして、少しだけ悪戯に笑う。 「それで諦めちゃうなら、少しがっかりするかもね。」 それでもきっと、追いかけて来てくれると信じていたくって。 勝手に期待していた現実に少し裏切られた気持ちになるだけで 決して嫌いになるわけではないけれど。 「夢を見るのは疲れたから、 叶わない夢 を見るのは暫く休憩させてほしいけど。今居る薫兄さん達に会うのは、叶わない夢じゃないでしょ?」 今は少し、夢を見るのには疲れてしまったけど。 今の"僕"は、もう夢の見方もあやふやだけれど。 誰かと同じ夢を見る事なら、きっとそう難しくはない。 「僕はきっと、これからも 一人でだってただ何となく生きていけてしまうけど でも、だからって誰も目を向けてくれなかったら そりゃあきっと、辛くて苦しくて泣きたくて、でも泣けなくて 一人じゃどうしようもなくなるくらいに寂しいよ」 「だから諦めないで、手を伸ばしていて。 僕から、僕が掴める誰かの手を一つでも取り上げたりしないで。 そしたら僕も、きっと諦めないでいようって思えるから。」 (-60) 2021/08/21(Sat) 19:47:44 |
【置】 夢のその先 百千鳥「さようなら、慈姑さん。 ずっとを望むくらいには、ここは良い夢だったよ。 あなたにとってもそうであったらいいんだけど。 ──待っててね、きっといつか、また皆で会いに行くから。」 皆を見送る老婆に挨拶を終えて、 爽やかな風の吹き抜けるあぜ道を歩く。 夢から覚めたら、現実を生きていかなければならないから。 だから夢と現の狭間、微睡の中にある今の内に これからの事を考えよう。 皆を守る、"正義の味方"を守るのは誰? 誰もなれないのなら、今は何にもなれない自分がそうなろう。 いつも皆の背を追ってばかりのあの人は、 今や自分も追われる側なのだといつ気付くだろう? 物語を、夢を紡ぐ事を今尚捨てなかった人々に "みんな"の居る長閑な村を、物語の中に創ってもらうのもいい。 水鉄砲の、最後の一発は"またいつか"のその時までとっておこう この村に来た時に、自身の慕う兄がそうしたように "再会の挨拶"を叩き付けてやるのだ。 自分と同じように、抱えきれないほど多くを欲しがって 同じ夢を見て、そしてこれからも同じ夢を見続ける 大人になりきれなかった誰かさんに。 (L15) 2021/08/21(Sat) 20:40:29 公開: 2021/08/21(Sat) 20:50:00 |
【置】 君ぞ来まさぬ 百千鳥わが門の 榎の実 もり食む 百千鳥 千鳥は来れど 君ぞ来まさぬ ──作者未詳 『万葉集』 巻16-3872 雑歌 我が家の門前の榎の実を啄みにくるたくさんの鳥たち、 鳥は来るのですが、あなたは来てくださらないのですね。 (L16) 2021/08/21(Sat) 20:43:33 公開: 2021/08/21(Sat) 20:50:00 |
【赤】 夢のその先 百千鳥「ばいばい、呼子姉」 「みんなと一緒に、ここで待ってはいられないみたいだから」 「だからみんなを連れて、会いに行くよ」 「いつか、きっと。」 (*3) 2021/08/21(Sat) 20:49:36 |
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